日々進歩するイヤホンの製造技術において、最新のトレンドの一つがピュアベリリウム、あるいはトゥルーベリリウム振動板と呼ばれる、純粋にベリリウムのみで製造されたダイアフラムの使用です。これは蒸着されたベリリウムコート振動板とは区別されるもので、より純粋に、ベリリウムのオーディオ特性に優れた性質を活かすことができる製品です。
ピュアベリリウム振動板搭載イヤホンはダイナミックドライバーIEMのハイエンド、フラッグシップ製品として提供されており、つい先日FiiOがピュアベリリウムIEM「FiiO FD7」をリリースし、注目を集めています。
ピュアベリリウム振動板とは?何が優れているの?
ベリリウムは287GPaと非常に高いヤング率(縦弾性係数)を持っていることが知られており、非常に高い湾曲強度、抗折力を持っています。同時にかなり低密度であるために、およそ秒速12.9kmという著しく優れた音伝導性を持っており、優秀なスピーカー振動板素材として利用されてきました。
ピュアベリリウム振動板は、この優れたベリリウムの音響特性を純粋に再現することができ、ダイアフラムが不要な湾曲なしに均一に動作し、内部エネルギーを損失少なく非常に良好に拡散するため、高効率で低歪のサウンドレスポンスが得られます。
こうした特性により、ピュアベリリウム振動板は時間周波数応答特性に優れていることが知られており、実際の音の聞こえ方により近く、録音の奥行と幅をレンダリングする能力が高くなるため、原音場の広さと雰囲気の再現性に高い効果をもたらすと考えられています。final流に言うと、トランスペアレント(透過的)な特性が高いということになります。
つまりピュアベリリウム振動板は自然界の音の伝播に近いサウンド体験が得られるために、音が人工的に聞こえる、イヤホンのクセのようなものが消失して聞こえるのではないかと考えられているのです。材質的に現状で最も完璧なサウンドエクスペリエンスに近いというわけですね。
さて、ピュアベリリウム振動板がいかに音響特性に優れているかを確認したところで早速、現在市場で手に入るピュアベリリウム振動板イヤホンを見てみましょう。
DUNU LUNA 玥
非常に優れた研究開発技術を持つDUNUはベリリウムの優れた特性に注目し、フラッグシップイヤホンにピュアベリリウム振動板を採用しました。
DUNU LUNAは1994年以来のDUNUの技術の集大成であるとともに、1969年7月20日の人類初の月面着陸から50年を記念する製品でもあります。イヤホンシェルの内側のファセットによる湾曲したプロポーションは、陰影によって月の表面の地形に似た自然な輪郭を見せ、DUNUの定評ある工業デザインセンスが存分に発揮されています。
DUNUのパッケージは非常に豪華なことで知られていますが、DUNU LUNAも例外ではありません。高級なIEMにふさわしく、それは完全にオーディオファンを満足させます。
イヤホンを除いて、パッケージに含まれる他のすべてのアクセサリも適切に構築されており、イヤホンの豊かなフォームファクタに追加されます。レザージッパーケースでDAPとともにIEMを簡単に持ち運びできます。
DUNUが特許を持つモジュラーケーブル設計により、市場に出回っているすべてのプレーヤーとイヤホンを簡単につなげて使用できます。 3.5mmシングルエンド、3.5mm Pro(3.5mmバランスプラグ)、2.5mmバランスプラグ、4.4mmバランスプラグの4つのモジュラープラグが付属しています。
DUNU LUNA 玥
¥189,721
世界的に有名なIEM「Dunu Dk4001」をはじめ、高品質なイヤホンで有名な中国のプレミアムイヤホンブランド「Dunu」から、全く新しいIEMが発売されました。
Dunu Lunaは、50年前の月面着陸をデザインのモチーフとして開発されています。
final A8000
日本のハイエンドオーデイオメーカーであるfinal audio designのフラッグシップモデルが「final A8000」です。finalは独自の物理測定法と主観評価方法を導入し、final独自の評価法「PTM」(Perceptual Transparency Measurement)に基づき、最高のサウンドを実現したとされるイヤホンです。
finalは自らの求めるトランスペアレントな音の実現のために、ピュアベリリウム振動板を採用しました。
final A8000
¥198,000
音楽を聴いて得られる高揚感を、トランスペアレントな音で実現するfinalのフラッグシップモデル
NiceHCK Lofty
NiceHCK Loftyは、フラッグシップグレードのシングルダイナミックドライバーIEMです。
比較的低価格でありながらピュアベリリウム振動板を採用していることで話題になりました。10.1mmの大型ベリリウム振動板を搭載し、エネルギッシュで生き生きとしたサウンドレスポンスと、高解像度の透明感とディテールを実現しています。
外観的にも美しい、5軸CNC加工による高級アルミ合金製イヤーキャビティを採用しています。また、ロスレスな信号伝送が可能な高品質の6N OCCケーブルが付属しています。
FiiO FD7
FiiO FD7は、12mmの大型ダイナミック・ドライバー・ユニットとピュア・ベリリウム・ダイアフラム・コイルを搭載し、高精細なサウンドを実現する究極のパフォーマンスを発揮します。
外観的にはブラックとゴールドの組み合わせによる独自の新色処理が施されており、非常に美麗です。FD7は、交換可能な3つのサウンドチューブ、セミオープンバックアコースティックデザイン、フロントアコースティックプリズムを採用し、フラッグシップグレードの体験をユーザーに提供します。FiiOは、FD7と組み合わせるために高純度の単結晶純銀ケーブルを設計し、付属しています。
【関連記事】