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【ワイヤレスヘッドホン Skullcandy CRUSHER WIRELESS レビュー】音の湯船に浸るというか半分沈む感覚。クラッシャーという名前から想像されるクラッシュ感はあまり感じない。決して音は悪くないが、コスパ的には難しい気がする。映画鑑賞用にはよい

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SoundPEATS A1 Pro

Skullcandy 振動する究極の重低音 ワイヤレスヘッドホン Bluetooth対応 CRUSHER WIRELESS BLACK 【国内正規品】 A6CRW-K591

 

おすすめ度*1

Skullcandy CRUSHER WIRELESS

ASIN

B06VVXFQTC

 厚めのイヤーマフは耳当たり良好。バンドはちょっと硬めで装着感はきつめに感じるというか頭に合わせづらいところがあるが、それほど悪くはない。ただし遊びは少ないので頭の大きい人は店頭で装着感をしっかり確認することをおすすめする。折りたたみ式で持ち運び可能。

 遮音性は低域モデルにしては思ったより高くなく、意外と周辺音が聞こえた。音漏れも結構目立ちやすいので音量に注意。

 aptXには対応しない。通信性能は安定していて、遅延や音飛びはないので動画鑑賞にも使える。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はキャリイングポーチ、充電用USBケーブル、有線接続用AUXケーブル、説明書。背面に搭載されたバススライダーでシームレスに低域の利きを調整でき、ウーファーの振動感を好みに合わせられる。

 

Skullcandy CRUSHER WIRELESSSkullcandy CRUSHER WIRELESS

 

【2】音質

 このヘッドホンはAUX有線接続可能であるが、一般的な使用状況を考慮して、ワイヤレス環境での音質でレビューしている。

 

 ウーファーを最低にしても低域が厚く頭の周りに滞留する。ウーファーを上げていくとぶるるんぶるるん振動しだし、耳がかゆくなるくらい低域が踊ってくれる。とにかくその支配力が圧倒的でブラックホールのように音を飲み込んでいくが、中高域を邪魔するのではなく、むしろ低域の中でそれらを引き立たせるように雑音を飲み込んでいくような低域だ。こう書くとなんか意外と良質な低域のように思えてくるが、実際聞いてみるとタイトじゃないから弾みは薄いし、重みは場全体にゆるくかかる重力的なものだし、熱気はサウナ並みどころかマグマの風呂並みに出てくる、そんな癖の強い低域。ドラムの弾ける感じもシャープさに欠けるため、重みのある塊がクラッシュしているというより、沼地のようにずぶずぶと沈んでいく溺れていく感覚がある。中高域に関しては意外というかじつはかなり優秀なんじゃないかと思わせるくらいの色気があり、弦楽など結構な艶味があるが、低域が厚すぎて印象的にヒョロい。

 全体として、熱々に沸きたった低域風呂に浸かって音楽を聴いている感覚があり、個々の音の解像度が悪いわけではない上に色気もあるのでなんか良い感じに聞こえるが、どうも夢の中にいるようで感覚的にはっきりしないといった風な音という感じ。独特のえも言われぬ魅力のようなものを感じるが、悪酔いしそうな危険も感じられる。パッと見金持ちそうだしクールだしすごく魅惑的だが、なんとなくうさんくさげな男といった感じ。こういう音はどうも素直にのめり込めないところがある。

 

[高音]:確かな高域表現力があり、高さも出るし艶味も感じる。ただ全体として低域の中から浮かび上がる感じで聞こえてくる。音は自然で上品に聞こえ、歪んだ感じはなく、シャリつく感じもない。これは良音というべきだろう(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:弦楽の伸びやかさや色気、ピアノの透明感も結構よいように思われるが、価格帯として見ると標準レベルではないだろうか。

[低音]:好みにもよるが、量感や振動感の割に深みとか重みがぼやけて感じられ、低価格イヤホン並の量感一本勝負で来ているところがある。なんとなくひずんで沈みやすい音で、機種名のクラッシャーという言葉が感じさせるイメージとは大分違う(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:低域の圧倒的量感の中に中高域の音の色気を埋没させない解像度には確かなものがあり、この製品が決して頭が悪い低域バカでないことはわかる。密度の高い低域の湯船に浸かって、その熱気が満たす風呂場で中高域の音が浮かび上がってくるイメージで密度感高めであり、音楽では立体的な感じは薄まりやすい(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラム優位。ドラムの鳴り方もあまり個性的でなく、なんかブーミーではっきりしない優柔不断さを感じるが、それはそれで曲の色に染まりやすいところもある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:及第点の分離感。臭みもなく、中高域の間の不自然な分断感やシャリ感、刺さる感じなどない。

 

【3】官能性

 Trysail「オリジナル。」はドラムの量感とその空間への伝わり方、溶け込み方が圧倒的。ブーミーでやたらと熱い鳴り方で曲のボリューム感は増し増し。ただ熱気が風呂場に湯気を満たして視界を曇らすように、曲全体の見晴らしは悪くしているように思える。だが耳を澄ましてみると、細かな効果音の描き分けは丁寧にこなしており、低域に全てを埋没させて台無しにすることはない。せっかくのボーカルが低域の量感に溺れている感じがあって個人的にかなり消化不良だが、迫力はあるし、この機種の魅力はよくわかる。

 鈴木このみ「DAYS OF DASH」では、ブーミーで量感のある低域表現にも関わらず、輪郭感に乏しいので、この曲の表現ポイントであるドラムの締めがいまいちでメリハリ感に欠ける。分離感はよく、これだけ低域が強い中でもボーカルは一貫して元気で明るく、パワフルで翳る様子は全くなく、曲全体としても、重厚なのに意外と明るく感じられる不思議な感じになる。

 低域が厚ぼったい曲ならいいんじゃないかと思ったが、Aimer「あなたに出会わなければ~夏雪冬花~」はたしかにブーミーな低域の存在感はすごいけれども弾みが悪く衝撃力も無くて面白味がなかった。ボーカルがはっきりしていて艶も乗っていて、さすがと思わせてくれるが、全体としてもっさりしていて盛り上がりに欠けていて、この曲のせっかくのカタルシスがうまく出てこない気がする。まあたしかに、曲の歌詞的には失恋を引きずっていっぱいいっぱいで苦しげなところがあり、低域にボーカルが溺れてあっぷあっぷしているこのヘッドホンの表現の方向性は案外曲に合っているのかもしれないなとも思うけど。

 別な方向からアプローチしてスタイリッシュな感じのOddisee「That's Love」を聴いてみたが、これはなかなかいい。ドラムがくどく叩きすぎず、柔らかめな音で耳を満たしながら、その中にラップが浮かび上がってくるこの密度感はなかなかにキレている感覚があった。解像度が良いので、量感を盛りながらも低域がひずみを生みづらいので、メインのストーリーラインはつっかかるところなくスムースな感じで表現される。

 

【4】総評

 スカルキャンディーというメーカーはよく見るし、人気もあるということなのだが、個人的には今までその製品を店頭で試聴してみても正直いまいち音に魅力を感じることがなかった。各所で結構このメーカー絶賛されていて、アメリカでも飛ぶように売れているという話なのだが、どの機種の音も妙に野暮ったく聞こえていまいち食指が伸びなかった。このCRUSHER WIRELESSは各所で評判も良く、好印象なので修行感覚で使ってみているが、やはりなんとなく垢抜けた感じがしない気がする。低域の圧倒的量感の中でも高域は比較的きれいに出ていて艶味もあり、ボーカルも歪んだりせずにしっかり分離されていて、実力があることは確かにわかる。だが全体として見ると低域の湯船に鼻くらいまで浸かってその中から音楽を聴いている感じがあり、曲のメリハリがうまく出ないからカタルシスを感じづらい。クラッシャーというのだから頭に衝撃が走るくらいのエッジ感を期待していたが、エッジ感は逆に乏しく、その意味でも期待外れであった。振動がウリで「クラッシャー」と付けているつもりなら、むしろその妙な中毒性も加味して「(マインド)シェイカー」とでもいうのが適切な印象だ。

 低域ジャンキーの至宝みたいな持ち上げられ方もしているけれども、個人的に低域好きに入ると思っていた自分から見ても、これは低域愛好者が手放しに歓迎するような音質なのかと疑問に思う。たしかにバススライダー(低域調整機能)はなかなかに独特で、同じような機能をつけている他機種よりも実用的で面白いが、振動機能はこの機種でなくともゲーミングヘッドセットでかなり低価格なモデルから実現している機種はある。動画鑑賞用にはいいと思えるけれども、音楽は明らかに好みを分ける音でコスパ的にもこの価格なら別の機種の方がと思うが、これが売れているというのだから時代はこういう音を求めていると素直に受け入れるべきなのかも知れない。このヘッドホンを聞いていると、低域の振動で脳がとろけて、スカルキャンディー的な音しか受け付けなくなるのではないかと本気で危惧するほど、「ぶっ飛んでいる」。

Skullcandy CRUSHER WIRELESS

 

【5】このイヤホン向きの曲

 個人的に結構意外なのだが、この曲の聴き応えはかなりあった。厚みのある低域が空間全体を暖色にしてほっこりした感じがうまく出て、弦楽の色気も結構いいレベルで出ているので、情感表現もよく出る。ボーカルもきれいに浮き上がってきて、寒い季節に飲む温かいココアのようにクリーミーで甘い。この曲のボーカルをしっかり味わわせてくれるということはこの機種は中高域の表現力も決してなおざりにはしていないということだ。(東山奈央「Hello Alone -Yui Ballade-」)

 

 こちらの曲は比較的イメージ通り。低域音を盛ると素直にボリューム感とスケール感が出やすく、空間表現の出し方がうまいのでこういった低域一辺倒のヘッドホンで聞いても歪んだり広さが台無しになったりせず、味を引き立ててくれる神曲。そしてボーカルの艶味に関してはこのヘッドホンの表現力は確かで、まず不満はない。

 

  こういったライブ音源も熱気がうまく出るうえに、聴衆の反応もきれいに描かれるので素直にすごいと思う。低域が増し増しになったことで、低域の飲み込んでくる密度がよく、ボーカルの孤独感が強調されており、恋に溺れた男の哀愁をぐっと感じさせる。

 

【6】番外編:ゲーミング体験

 このヘッドホンは特性的に結構ゲーミングに向いていて、音の定位感もしっかりしている。低域が弾けすぎず、振動感をしっかり出す味付けなせいか、足音は埋没せずにはっきりしやすく、ステルスアクションにも向いている。マイクもついていて、その性能もクリアで悪くない印象。音楽・映画鑑賞・ゲーミングとシームレスに楽しめるという意味では万能かもしれない。

 「Shadow of War」をプレイしてみたが、空気感と密度感は良く、劇伴的な音楽も綺麗に聞こえる。中高域の浮かび上がる感じはゲーミングという枠組みではゲーム内の空気感に溶け込む感じがあり、うまいといえるかもしれない。ホラーゲームの表現もよく、臨場感が高いので恐怖感が否が応でも感じられる。バススライダーを使えば、FPSなどでは足音重視で振動弱めに、ホラーでは振動強めで没入感高めといった使い分けも出来、ゲーミングヘッドセットとしての使い勝手はかなりよい。

 携行性も高いので、外出先でのゲーミング用としての使用感にも優れている。

 

Skullcandy 振動する究極の重低音 ワイヤレスヘッドホン Bluetooth対応 CRUSHER WIRELESS BLACK 【国内正規品】 A6CRW-K591

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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