| おすすめ度*1 |
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イヤーフック付きのドラム型マグネット内蔵ハウジングは耳への収まりもよく、非使用時はネックレス状にして首掛けも出来るので便利。
aptXに対応する。PC用のaptX対応レシーバーや手持ちのAndroidスマホ/タブレットaptX対応機種では問題なく認識され、音飛び・遅延などもない。通信性能は安定している印象だ。
【１】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、日本語含む多言語マニュアル、携行ケース。丸形コードには全くといっていいほどタッチノイズはなく、スポーツ用途としても使いやすい。
【２】音質
音質的には低域と左右パーカッションがやや鮮やかで目立つところのある重厚気味の味わい。aptXのおかげか音像はかなりはっきりしており、明度は高めで音の透明感は反響まで含めてしっかりと出る。ただギターやピアノ、ハイハットの明瞭さがかなり高く、それがやや勝ちすぎる演出になりがちなところもあり、高域音の味わいはやや埋没気味。中低域に豪華さを感じる味付けのようだ。そのため、どちらかといえば、JAZZで本領を発揮する。
［高音］：高域はなかなかのびやかで、明度もはっきりしている上に尖るところのない良質な音だが、やや奥まりやすく存在感が薄くなりがちなところがある（秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト）
［中音］：中域のサラウンド感は楽しく、とくに左右のパーカッションははっきりと感じられるため、音楽に包まれている感覚は強い。
［低音］：低域の足場はしっかりしており弾みも感じられる。ドラムは明度と粒感のあるハイハットとともに実に活きの良いパーカッションを形成する。音には重みがあってやや厚ぼったいので、重厚より。ベースの深掘り感も出ている（分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト）
［解像度・立体感］：足場のしっかりした頭を中心にやや前方から左右に張り出して包み込む空間を感じ、高さや奥行きはやや弱い。どちらかといえば前のめりに音楽を押し出してくる、広さより濃密さを重視した空間表現になっている（petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト）
［パーカッション・リズム］：シンバルの表現が細かいため疾走感や色彩感もきれいに出るが、ドラムはかなり重厚ではっきりしているので、全体としては安定感が強い（東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト）
［ボーカル傾向］：尖る感じもなく、自然で鮮明度もあり、息感も出ていて楽器にも埋もれずはっきりと聞こえるため、女声でも男声でも万能に味わえる。
【３】官能性
高鈴「愛してる」はシンバルの繊細な音表現をうまく出しており、緻密なこのイヤホンの表現力を遺憾なく味わえる。息遣いもよく出た精彩のあるボーカル中心に濃厚なJAZZテイストの曲調に仕上がっており、圧倒的表現力を感じる。
petit milady「azurite」はかなり重たい爆発力を感じさせるパンチの利いたドラムに、粒が細かく疾走感のよく乗ったハイハットが曲本来の推進力を丁寧に表現し、とにかく元気。そこに鮮明でのびやかさもあるデュエットボーカルが明るく楽しくのっかってくる。やや直情径行で元気さを前面に出した味わいになっており、この曲の飛行高度を感じさせる空間表現は鮮烈なパーカッションの支配力に押されて背景に溶け込んでしまっているところはあるが、大味で気分を高揚させてくれる。
山崎あおい「伝える日」もパーカッションが元気でかなり明るめで快活。中盤の弦楽の情感はパーカッションの躍動感に若干負けており、曲全体はやや単調に感じられるかも知れない。しかしその分密度のあるしっかりした充実感を感じやすい。
歌組雪月花「夢見サンライズ」はリズムパーカッションがかなりパンチが利いており、この曲本来の元気のよさがしっかり出ている。その表現力は人によっては少し爆発力が出過ぎているとうるさげに思うほどだろう。情感よりは快活さを前面に押し出した味付け。
【４】総評
高い装着性とタッチノイズのほとんどないケーブル、安定した通信性能、濃厚な音質と価格以上のパフォーマンスを感じさせる良質イヤホン。とくにJAZZやポップスを元気に楽しみたい人には有力な選択肢になるイヤホンだ。繊細さよりは大味に振れた表現力だが、とにかく快活で楽しく、しかも軽薄なところのない、深掘り感を伴った味付けは爽快かつ濃厚。通勤通学時のような雑音の多い環境でもしっかり音楽を楽しめる。反面、インドアでゆったりと音楽を味わうという場面ではすこし大味気味なのが気になるかも知れない。コスパは文句なく良い。
【５】このイヤホン向きの曲
重厚感と爆発力のあるパーカッションがかなり明瞭な足場を作って空間を支える。足場中心でこの曲本来のサビでの高さを感じさせる空間的拡がりは弱いように思うが、一方でリズム中心の密度の高い濃厚な表現は感動的。
安定感のあるリズム表現が丁寧で変化に富む楽しいこの曲を実にうまく聴かせてくれる。全体的に濃厚でおすすめ。
JAZZの濃密な空間表現を出すのは得意。このような曲では空気感まで丁寧に感じられる。
わかりやすいというか素直な構成といえるこの曲のようなポップスも楽しめる。濃厚でキラキラしたきれいな空間表現が楽しい。（橋下潮「ロマンティックあげるよ」）
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い！ここが味わい深い！」と思ったポイントです。たとえば低域が「５」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。
