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【オーバーイヤーヘッドホン final SONOROUS II レビュー】フルスピーカー環境をコンパクトに再現するかのような音場。自然な広がりの中で色づく楽器音が魅力。個人的に超絶おすすめ

final SONOROUS II

final SONOROUS II ダイナミック型ヘッドホン FI-SO2BD3

 

おすすめ度*1

final SONOROUS II

ASIN

B01C49NK42

 独特の可動をするヘッドバンドのおかげで耳の真横にイヤーカップが来る。厚いイヤーマフがフカフカと優しく、側圧も穏やか。重めの装着感ではあるが、負担は大きくない。ただ聞き疲れしにくく、聴き惚れるところのある音なので、長時間聴いてしまいやすく、2時間以上着けているとさすがに首が疲れる。

 遮音性はそこそこ。音漏れも目立たない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品は着脱式ケーブル、イヤーパッド、説明書。リケーブル可能。標準ケーブルのタッチノイズはない。

 

final SONOROUS IIfinal SONOROUS II

 

【2】音質

 音質バランスは中高域に寄っていて、高域が手前に伸びてくる。低域は控えめではあるものの、穏やかな輪郭を持ち、温もり感があって、タイトに音場を引き締めるが、目立ちすぎずに中高域を引き立てる。左右と奥行き感の感覚は良く、スピーカーと相対しているかのような広い音場を感じさせてくれるので、聞き疲れせずにリラックスして音に没入できる。

 

[高音]:高域はやや近めに伸びてくるので立体感や奥行き感は感じやすい(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:弦楽は躍動的で活きが良く、色づきも豊か。ピアノもなめらかで若干クールな光沢を持っており、材質感もある。金管の膨らみもよい。

[低音]:タイトだが優しい輪郭のある鳴らし方。反響感もあって広さを感じさせる。100hzから40hzまでしっかりした振動で、30hz以下はほぼ無音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:左右広く、奥行き感もある。正確な定位感を目指したというコンセプトをよく体現している印象(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:輪郭はタイトだが、固体感はそれほど強くなく、優しく反響する。弾けと粘りは優しい。パツンとした音。シンバルは生々しい材質感があり、チシャチシャとした細かな羽振りが良く再現されている。アコースティックなJAZZでも十分に満足できる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは広がりよく、楽器音の作り出す広い空間の中空を支配する。

 

【3】官能性

 岡崎律子「空の向こうに」は楽器の色づきが良く、鮮やかな空間が広がる。この曲のピアノは電子的で平坦な音味になりやすいところもあるのだが、このヘッドホンは躍動感と厚みを出してチープな表現にさせない。活き活きとしている。ハイハットの煌めきはサラサラとした穏やかな光沢感で、優しい肌触りを思わせる。弾みの良いドラムは深さもあり、下から鼓動を感じさせる。そうした楽器たちの生命的な空間に、豊かに優しくボーカルが広がっていく。

 奥華子「変わらないもの」は透明感のあるボーカルが空間いっぱいに広がり、清涼感を演出する。サビでの伸びもよく、すっきりこちら側に広がってくる。突き抜ける立体感ではなく、そのまま高い天井に広がっていく充実感がある。弦楽の奥行き感もよく、色づきも丁寧なので、情感もピンポイントに盛り上がってくる。ピアノは虹を思わせる色の良く乗る透明感のある色合いで、透徹した表面の向こう側に材質を思わせる有機的な色が映り込む。

 澤野弘之「Binary Star」は弦楽の色づきと奥行き感が、星々だけがまばらに輝く虚空の宇宙空間を表現する。音色には温もり感もあって優しく、広く包み込んでくる中にボーカルの声色が染み渡っていく。サビでボーカルが色づく楽器音とともに広がってくる充実感は圧巻。ドラムも優しくタイトな弾みで生命的に音場を支える。パワフルというより生命感に溢れたソウルフルな充実空間を形成する。

 宮本笑里「東京et巴里」の弦楽が主導する、のびやかな空間は左右の定位感も良く、側面から膨張するような活力を感じる。温もり感のある淡いボーカルは楽器の色彩を受けながら、膜のように空間全体を満たす。タイトなドラムはメリハリをつけて躍動し、曲を優しく支える。

 

【4】総評

 finalの高級ヘッドホンシリーズのエントリーモデル。しかし、エントリーモデルとはいえ、ドライバーは共通で、チューニングは上位機種よりも精度が高いと謳っている。たしかに音質は3万円台としては破格のレベルで、装着感の良さを考えても、5万円クラスと十分勝負できそうな印象。広がりを感じられる調和的な表現で、ゆったりと音楽を楽しむのには良い。ただ長く音楽を聴いていると、ヘッドホンの重みが少し気になってくるところは、ささやかな欠点かも知れない。

 鮮烈というよりは穏和な鳴り方なので、好みの問題はあるだろうが、音楽空間の表現は秀逸で聞き疲れせずに迫力を感じられ、3万円クラスでは有力な選択肢になりうる。

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【5】このヘッドホン向きの曲 

 躍動的で元気なバッツンバッツンのドラムが活きの良い広い空間を作る。ボーカルがその広い空間を隅々まで埋める充実感を味わえる。

 

 分島花音の曲でも1,2を争うダイナミックさがある、個人的に大好きな曲。そして、この曲を味わうなら、このヘッドホンはかなりいいというのが個人的な感想。全体的に音が活き活き、躍動的で快活なのもそうだが、音にたしかな厚みがあるので重厚感も十分。軽薄にならないパンチ力がある。ギターの色づきも良く、ロックな風味もうまく溶け込んで調和的に聴かせてくれる。

 

 これも個人的に大好きな曲。ピアノは暖色の温もり感を、弦楽は色に艶やかさのある色気を、空間いっぱいに振りまく。そしてボーカルは空間いっぱいに広がって、そうした音をすべて包み込み、溶け合う。サビでは浮かび上がるようにまっすぐに伸びてきて、唸ってしまうほど、イイ。後半は穏やかなドラムがさらに躍動的に盛り上げてくれるが、このMVではカットされている。

 

 これも好きな曲。こういうアコースティックな曲の材質感ある楽器音も得意なのがfinal。Heaven Ⅴでも聴かせてくれた濃厚な味わいをここでも存分に再現してくれる。一見穏やかに見える低域弦楽の分厚い深掘り感はとにかくやばいくらい気持ちよく、ぐいぐいえぐってくる。その上に、濃厚で躍動的でしかも広い音楽空間があり、そこにボーカルが楽器の色づきと遊び混じり合いながら、のびやかに聴かせてくる。この一体感は嘆息しちゃうほど素晴らしい。

 

 最近頻繁に聴いている曲。エモーショナルな、少し野暮ったく表現すると、お涙ちょうだい系の曲で新居昭乃風なんですが、こういう曲大好きです。そして、こういう曲を実に気持ちよく聴かせてくれるのがfinal様。文句ないですなぁ。いつまでも聴いていられそう。新居昭乃やKOKIAといった方々が歌う、こういう曲を集めたプレイリストを作って延々聞き惚れていると、しばらく経ってこのヘッドホンの重みが気になってきます。んーむ。

 

final SONOROUS II ダイナミック型ヘッドホン FI-SO2BD3

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。