- 【1】4000円未満の価格でワイヤレス対応でバッテリーも大容量
- 【2】外観/操作性「かなり洗練されている。わかりづらさはない」
- 【3】細かな便利機能
- 【4】実際の対応ファイル形式は公式アナウンスより多い
- 【5】音質「ワイヤレスで聴いた方が良い」
- 【6】総評「いろいろ使い勝手が良く、入門機としておすすめ」
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今回紹介するミュージックプレーヤーはVicture M5Xです。
Victureというメーカーはamazonで低価格のカメラ製品やポータブルミュージックプレーヤー、ボイスレコーダーなどのAV機器を販売している中華ブランドです。名前が似ているVictor、つまりJVCとは何の関係もないと思われます。Victureは中華の低価格mp3プレーヤーでは比較的安定した品質の製品を提供していて、密かにそれなりの人気があるメーカーです。デザイン的にも安っぽさがなく、動作的にも安定している製品が多いので初心者にもお勧めしやすいです。
そんなVictureの製品の中でも現状1,2を争う人気機種なのがM5Xです。
【1】4000円未満の価格でワイヤレス対応でバッテリーも大容量
この製品の一番の特徴は4000円を切る低価格にも関わらず、Bluetoothを備えており、最近流行の完全ワイヤレスイヤホンを扱えることです。amazonの商品ページを見るとBluetooth接続の対応機種はあまり多くないような書き方をメーカーがしているのですが、私の手持ちの低価格完全ワイヤレスイヤホンとワイヤレスイヤホンを数機種試した感じでは、接続できないというものはありませんでした。対応コーデックはSBCのみと思われます。
バッテリーは有線イヤホン接続で最大45時間、ワイヤレス接続で最大15時間の連続再生時間を実現しています。私の経験では12時間以上の連続再生時間を確保していれば、普通のユーザーが日常使用で一日使うには充分ですから、この点の不満点はないでしょう。むしろ1万円以上するデジタルオーディオプレーヤーでも実測で連続再生時間10時間を越えるものは多くありませんから、使い勝手では優位性があるとも言えます。
【2】外観/操作性「かなり洗練されている。わかりづらさはない」
外観に関してはアルミ材の高級感のあるデザインで、少なくとも材質感に関しては格上のSONY NW-A55に遜色ありません。一応参考のため画質は悪いですが、写真を掲載します。
液晶の解像度は高くはなく、アルバムジャケットはそれなりにわかりますが、細かいディテールまでわかるレベルではありません。仕様上、動画再生も可能になっていますが、ミュージックビデオを再生しても画面は小さいですし、ゴチャゴチャとなって見づらいので、面白味はありません。
液晶はタッチ対応ではなく、操作は全て物理インターフェースで行います。この物理インターフェースは電源ボタン以外は全てタッチパネル式になっており、反応速度はわずかに時差がありますが、それなりにレスポンスが良いです。
曲選択などでいらだつことはなく、比較的スムーズに操作できます。ただ、一点だけ注意する必要があるのはBluetooth接続機器を選ぶときで、このときだけは機器情報の呼び出しに時間がかかるのか、レスポンスが悪いです。複数機器を登録している場合、つい違う機器を選び間違う可能性があります。個人的にはこのとき以外インターフェースレスポンスの不満はありません。
【3】細かな便利機能
いくつかこの機器には便利な機能が付いています。
- ボイスレコーダー機能
- スピーカー搭載
- FMラジオ機能
- 歩数計機能
- 画像ファイル表示機能、電子ブック閲覧機能など
1と2の機能は個人的にかなり便利な機能なので詳述します。3と4は人によっては便利かも知れない程度の機能。5にあるような雑多な機能が他にもありますが、小さな液晶で画像や電子ブックを見ても実用性に欠けるので、むしろこれらはいらない無駄な機能です。
一番興味深いのは1で、ボイスレコーダーとして使えます。指向性は悪く、屋外で使用しても風切り音がひどくて相当大声で話さないと聞こえない程度の録音性能ですが、室内ではそれなりに実用性があり、学生なら教室前列に座れば講義の録音くらいはできます。ただし標準容量は少ないのでボイレコ機能を使うなら、最低32GBくらいのSDCardは増設しましょう。不満点としては、録音に使うマイクは本体マイクしか使えません。高性能なマイク機能を備えたワイヤレスヘッドセットで録音できたりすると最高でしたが、基本的におまけなのでそこまで高性能を求めてはいけません。ボイレコ機能はスマホ用アプリとしても提供されており、決定的によいというわけではないですが、この機種はスマホよりコンパクトなのが利点になります。
2のスピーカー機能も便利で、イヤホンがなくても本体のスピーカーから音楽を聴けます。このスピーカー、モノラルですが音量は意外に高く、安いスマホにやや劣るかな程度の音量音質があります。胸ポケットに入れて再生すれば、騒音が少ないところでは充分音楽が楽しめるレベルです。さらに、このスピーカーを使って目覚ましアラームを設定することも出来ますが、音量は目覚ましに使えるほど大きかったり力強くはない感じなので、スマホのアラーム機能を使った方が良いです。
その他の機能は個人的には実用性が低いと判断しており、興味も薄いのでこのレビューでは割愛します。amazonのカスタマーレビューなりを参照してください。
【4】実際の対応ファイル形式は公式アナウンスより多い
このプレーヤーを使う上で注意すべき最大のポイントはサポートするファイルフォーマットが少ないところ。公式で対応がアナウンスされているのは、MP3 / WAV / APE / FLAC / WMA(DRMなし)。FLACとAPEの対応は16bit44100hzまでらしく、ハイレゾ音源のファイルは再生出来ませんでした。ハイレゾ音質で再生出来なくてもハイレゾのFLACファイル自体再生可能というパターンのプレーヤーはよく存在しますが、このプレーヤーはハイレゾ音源は完全に再生不可なので、そのまま再生出来ず、適宜変換する必要があります。
一方で、対応フォーマットにないオーディオファイルも一部動作するようです。私が実際に再生を確認できたのはAACとm4aファイル。AACが使えることは大きく、Apple系のiPod / iPhone / itunesを使う人もそのまま移行できます。m4aはSONYのmoraがこの形式でダウンロード販売していますが、それもそのまま使えます。この点で迷っていた人がいましたら、全て試したわけではありませんが、数曲試した感じでは100%動作したということをお伝えします。ただ公式でサポートされていない点には留意して、あくまで参考情報、できるかは自己責任と割り切ってください。
なお、これらの公式サポート外のオーディオファイルは有線接続やスピーカーモードで聴けても、ワイヤレス接続ではm4aとAACのファイルは聴けない可能性が高いです。私がテストした範囲では、ワイヤレスにした途端にm4aとAACのファイルはスキップされました。
動画はおそらくavi形式の動画ファイルにしか対応していません。手持ちのmp4とmkvの動画を突っ込んでみましたがファイルリストに表示されもしませんでした。
【5】音質「ワイヤレスで聴いた方が良い」
音質的には3.5mmプラグから有線イヤホンで聴いた感じ、高品質なスマホに劣るレベルで、音の輪郭感は良く聴くとざらざらしています。低価格なイヤホンで聴く分には粗が目立たないので、この機種と同じ価格くらいのイヤホンならそれほど不満はないでしょうが、ちょっと解像度が高い5000円から1万円クラスのハイレゾ対応イヤホンくらいになると、ハイハットの粒感も粗く、もさもさして感じられやすく、発色も悪く思えるかも知れません。
その点、ワイヤレス接続の方が高級機種との音質差をあまり感じません。この機種の場合、相手機種によってはワイヤレスで接続した方が音が良く聞こえるくらいです。
【6】総評「いろいろ使い勝手が良く、入門機としておすすめ」
ポータブルオーディオプレーヤーに興味があるけれど、1万円以上出すつもりはないという人にはおすすめできる製品です。ワイヤレス接続ができて、完全ワイヤレスイヤホンの機能も味わえますし、最低限の動画再生機能やボイレコ機能を備えていて、使い勝手は良好です。音質はスマホレベルを超えていないので、スマホと充分棲み分けができているとは言えませんが、バッテリーは長持ちするので、外出時に音楽をよく聴くような人には、スマホに音楽を入れてストレージ容量を圧迫したり再生にバッテリーを使うよりはこちらを使った方が良いです。何より、音楽専門のプレーヤーならスマホと違って、音楽再生中に呼び出し通話が来たりお知らせ通知が来て邪魔されるってこともないですしね。
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