audio-sound @ hatena

audio-sound @ hatena

オーディオ機器やゲーミングデバイスのレビュー、そして好きな音楽を徒然なるままに

MENU

【ハイレゾ対応デジタルオーディオプレーヤー SONY NW-A55HN Disney FANTASIA コラボモデル レビュー】なんだかんだ言って使い勝手と音質のバランスが良く、最高にコスパが良いのはNW-A50シリーズだ。

ヘッドライン

icon

iconiconicon icon icon icon

ウォークマン®Aシリーズ Special Collection 〔Disney FANTASIA〕

ウォークマン®Aシリーズ Special Collection 〔Disney FANTASIA〕

ソニー SONY ウォークマン Aシリーズ 16GB NW-A55 : Bluetooth microSD対応 ハイレゾ対応 最大45時間連続再生 2018年モデル トワイライトレッド NW-A55 R

 

 

 大抵のオーディオメーカーの公式通販サイトと同じように、SONYストアでもコラボレーションモデルが精力的に展開されています。今回その中でもNW-AシリーズのDisney FANTASIAコラボモデルを手に入れたのでレビューいたします。

www.sony.jp

 

【1】UNBOXING(開封)「他社のコラボモデルに比べると梱包は緩い印象を受ける」

 いつも通り画質が悪いです。正直あまり撮影はしたくないんですが、コラボモデルは外観をレビューすることも大事ですので、参考になるよう写真を掲載します。そして例の如く、スマホでの撮影ですので、必要に応じて縦長になったり横広になったりするのはご愛敬です。

f:id:kanbun:20190112125916j:plain

 以前レビューした「A&norma SR15 ウマ娘 プリティーダービー Special Edition」に比べると、化粧箱の外観はやや作りが緩いというか、若干安っぽい印象を受けます。NW-A55の標準の箱はもう少し噛み込みの硬い作りだった印象があります。デザインは豪華さのあるパッケージではあり、満足度は高いです。

 

f:id:kanbun:20190112125945j:plain

 箱は二重構造になっており、一番外側の蓋だけ外すと、窓からコラボモデルの背面デザインが覗くようになっています。これはおしゃれです。ただDAPは飾っておいても意味がないので、こういう梱包に意味があるかは微妙です。

 

f:id:kanbun:20190112130041j:plain

 Disney Fantasiaセットにはイヤホン「IER-NW500N」が付属しています。後述しますが、SONY NW-A50シリーズのヒアスルー機能やノイズキャンセリング機能を使うためには基本的に対応イヤホンやヘッドホンが必要になります。このコラボモデルはイヤホンが付いている分高いところはありますが、そのおかげでこれらの機能を買ったその日から存分に味わえるのでお得とも言えます。まあ、安上がりに済ますなら、コラボを気にせず標準モデルをソニーストア以外の安売り店で買うのが一番でしょうが。

 

f:id:kanbun:20190112132341j:plain

 私はSONYのDAPを初心者向きとして推していますが、その理由の一つが初回起動時にしっかりとチュートリアルガイダンスがあり、操作方法に迷いづらいことです。だいたいの使い方は説明書を見なくてもこれでわかりますので、開けてすぐ使用できます。

 

f:id:kanbun:20190112132512j:plain

 楽曲再生画面での操作方法ガイダンスです。このように説明は丁寧ですが、私が個人的に一言文句が言いたいのは、ブックマークリストが再生画面からの右スワイプになっているのが些か使いづらいです。

 またコアなオーディオユーザーほど複数機種でSDCardを抜き差しして使い回したりするかも知れませんが、SDCardを抜き差しすればSDCardの曲を登録したブックマークリストは消えます。実際には抜き差ししなくても読み込み失敗でも消えます。そうした特徴を踏まえると、ブックマークリストはライトユーザー向けの仕様ということができます。そのため、個人的にはコアユーザーの方は、m3u形式のプレイリストをSDCard内にしっかり作って管理することをおすすめします。はっきり言って私が音楽を聴きながらやってる作業の大部分がこのプレイリスト作りです。

 

 なおこのコラボモデルには特典曲などはないので、中身は完全に標準のNW-A50シリーズと共通になります。

 

【2】外観/操作性「今発売されているあらゆるDAPの中で、個人的に最も洗練されていると思うインターフェース」

 NW-A50シリーズの最も素晴らしい点は、わかりやすいインターフェース構造です。物理ボタンは右側に集中して配置されているのは上位機種のNW-ZX300と共通なのですが、操作のしやすさには雲泥の差があります。

 NW-ZX300の物理ボタンは大きさの違いなどはありますが、どれも丸い形状をしていて、指先だけでは直感的にわかりづらく、誤操作しやすいです。それに比べて、NW-A50シリーズは操作ボタンのうち、音量調節ボタンのデザインがバー形状に変更されており、これだけでも断然操作のしやすさが変わります。

 外観インターフェースのデザインが考えられているだけでなく、デジタルな内部インターフェースのデザインも、ブックマークリストなどの一部例外を除いてどこに何があるかがわかりやすく、初心者でも気軽に使えます。中華製DAPなどと比べて直感的に操作しやすく、迷うことがありません。中華製DAPは音質はよいものがありますが、基本的に操作が特殊なものが多く、思い通りに曲を流すのに苦労するでしょう。SONY製DAPが備えるブックマークリストは概念的には素晴らしい機能で、気軽に自分の好きな音楽を好きな順番で聴くのに最適です。使い勝手の良さはライトユーザー向けには完璧と言って良いです。

 

 さて、現行のSONY製DAPとしてはNW-A50シリーズはミドルエントリークラスとなります。上位機種は価格的には5万円クラスのNW-ZX300になりますが、はっきり言って、よほどオーディオ好きでもない限り、この上の機種に手を出す必要はありません。

 上位機種のNW-ZX300をNW-A50シリーズのスペックと比べると、実は機能面では結構NW-A50シリーズに見劣りするところもあります。たとえばNW-A50シリーズは流行のヒアスルー(外音取り込み)機能やFMラジオチューナーが付いています。これらの機能は日常的にも便利ですし、アウトドアなんかのお供にも役立ちそうです。

 NW-ZX300が機能面でNW-A50シリーズに勝っているのはバランス接続可能ってところですが、ポータブルプレーヤーとしての場面ではワイヤレスイヤホンを使うことが多いでしょうから、カジュアルな使用シーンではあまり利点になりません。どちらかというとNW-ZX300はポータブルで持ち運ぶというよりは、自宅で音楽を楽しむのに向いているような印象です。バランス接続で高音質の高級イヤホンを楽しむ用途でパフォーマンスを発揮しやすい感じです。

 さらに上位のNW-WM1Aになると、筐体がデカくなって完全に持ち運び用って感じじゃなくなります。音質によほどこだわりがあるなら、バランス接続を楽しんでもよいと思いますが、相応に費用がかかるようになります。

 それならばとNW-ZX300より値段が安くて音質が良いという理由で中華製DAPを薦めてくる人が世の中にはいますが、その多くは操作性が最悪でバッテリー持ちも悪く、すぐハングアップします。大好きな曲の名前が文字化けすることも多いでしょう。音質はいいとは思いますが、私個人の見解としてはDAPは使い勝手>音質で選ぶ方が失敗しません。

 

 NW-ZX300も選択肢として考慮している人のために、一応機能差を下にまとめます。

NW-A50シリーズの機能面での利点
  1. より軽くコンパクトで持ち運びしやすい
  2. ヒアスルー(外音取り込み)機能付き
  3. FMラジオ機能付き
  4. デジタルノイズキャンセリング搭載
  5. 語学学習支援機能付き
  6. ダイレクト録音機能付き
NW-ZX300の機能面での利点
  1. バランス接続可能

 

  こうやって機能面だけ並べると、NW-A50シリーズのほうが使い勝手が良さそうに見えます。実際外出時に使うならNW-A50シリーズのほうが使い勝手が良いと思います。あとNW-A50シリーズの「ダイレクト録音」というのが気になると思いますが、これはMDコンポやラジカセに専用の録音ケーブルでつないで、古い音源やラジオ音声を録音して音楽ファイルにできる機能です。MDやカセットテープ、レコードなどの音楽の再利用が出来るというわけです。

 実際はDACの音質差があるとはいえ、スペック上の音楽再生能力はNW-ZX300とNW-A50シリーズとで差が無いので、ハイレゾ音源を楽しみたい程度の人にはNW-A50シリーズで充分です。NW-ZX300はバランス接続を楽しめますが、普通はイヤホンやヘッドホンにバランスケーブルなんてついてないので、専用ケーブルを別に買う必要が出てきますし、SONYは一般的な2.5mmバランスコネクタじゃなくて4.4mmバランスコネクタだというのも少し面倒です。4.4mmバランス接続はJEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)が一生懸命標準規格化しようとしていますが、まだ普及率が高くありません。これからは4.4mmが主流になりそうな気配はありますが、よりコンパクトであるというポータブル上の利点がある2.5mmバランス接続が絶滅するのは当分先でしょう。

 

ヒアスルーはとくに便利だが、使用条件がある

 この機種の機能の中で私が最も便利だと思うのはヒアスルー(外音取り込み)機能です。この機能は外部から人の声だけを拾って、音楽を邪魔せずに聴かせてくれるというものです。個人的にはこれが非常に素晴らしいです。しかも前述したように上位機種のNW-ZX300には搭載されておりません。

 これを用いると何が便利かというと、たとえば私の場合、家でテレビ番組やネット動画を見ながら音楽を楽しめます。私は前にも言ったように、頻繁にプレイリストを作成しているので、こうしたプレイリストを作成する作業の片手間にテレビやネット動画を楽しめるというのは大変ありがたいです。人間、時間が限られていますから、好きなアニメやドラマ、バラエティを見つつ、プレイリストを作ることが出来るのはお得な感じがしますし、家族の声なども聞こえるのでリビングでも孤立することがありません。

 実はヒアスルー機能は良い心理的効果を促すという意味でもおすすめできます。ヘッドホンやイヤホンをして外音を遮断している人間のパーソナルスペースは広くなることがわかっています。外音遮断によってパーソナルスペースは狭くなる*1と思いがちですが、実際はそれによってパーソナルスペースが広くなってしまいます*2*3。人は不快音から身を遠ざけるためにイヤホンをしてパーソナルスペースを広げるわけですが、パーソナルスペースが広がることはコミュニケーション能力の低下を招きます。ついでに言えば,パーソナルスペースが広がるということは、ストレスを受けやすいエリアが広がるという意味でもあります。ヒアスルー機能は不快な環境音を遮断しつつも、コミュニケーションに必要な声情報を拾ってくれる機能ですから、これによりパーソナルスペースが広がりすぎることもなくなります。

www.athome-academy.jp

 

 このヒアスルー機能を利用するにはしかし、条件があります。ヒアスルー機能に対応したSONY製のイヤホン・ヘッドホンで利用しないと、この機能が使えないばかりかハウリング音が発生して不快になるだけです。

 ヒアスルーの精度については最大の「+15」に設定しても、IER-NW500NとNW-A55で実現するヒアスルーはJabra Elite Active 65tのヒアスルーに劣ります。テレビの音を聴く場合、テレビ側をかなり音量大きめにしないと音楽に埋没します。

SONY NW-A55

 

【3】連続再生時間「素晴らしく優秀」

 SONY製の方が使い勝手がよいと感じるのは連続再生時間の長さが優秀なせいです。使い方にもよるでしょうが、私の場合、満充電すれば2日くらい平気で使えます。SONY製なら外出中にDAPの電源がなくなって音楽が聴けなくなるなんてことはまず起こりえません。DAPのためにモバイルバッテリーを持ち運ぶ必要も無いです。快適です。

 イヤホンやヘッドホンの連続再生時間以上に、DAPの連続再生時間は重要です。とにかくバッテリーが長持ちするってだけで総合的な使い勝手は格段に違います。そもそも操作性が多少悪くたって、外出時音楽聴いている時にそんな頻繁に操作しないでしょ?音質の違いだって、あまりにひどくなければ気になりません。多少の操作性の悪さや音質は結構気にならないものですけど、連続再生時間だけはなかなか看過できません。個人的にはイヤホン2つ分くらいの連続再生時間はほしいところです。ワイヤレス再生でこの条件を満たしているDAPは少ないです。SONY製DAPはこの点異様にタフなので、まず不満に思うことがありません。

 

 

製品名

操作性

対応コーデック 連続再生時間
SR15 SBC/aptX/aptX HD 10時間(実際はもっと短い)
CT10 SBC/aptX/aptX HD 10時間(実際はもっと短い)
NW-A27 SBC/aptX/LDAC 23時間(SBC時、充分一日使える)
NW-ZX300 SBC/aptX/aptX HD/LDAC 14時間(LDAC時、ほぼ一日使える)
NW-A55 SBC/aptX/aptX HD/LDAC 13時間(LDAC時、ほぼ一日使える)

 

【4】音質「やや硬いドンシャリな音だが、すっきりしている」

 音質的には3.5mmプラグからアンバランスで聴く限り、ほとんどNW-ZX300と変わりません。NW-ZX300のほうがやや音に厚みを感じ、とくに低域が厚ぼったく思いますが、それに比べると見通しが良くすっきりしているようにも聞こえます。

 アイリバー系(SR15/CT10)のまろやかな音に比べると肉質がやや硬く、力強さが感じられる音なのはNW-ZX300と同じ傾向です。同じ価格帯の祖先に当たるNW-A27に比べると、音の輪郭感がより明瞭で、音場感も広くなっており、旧世代のNW-A27よりは同世代のNW-ZX300とのほうに音質的な親近感があります。バランス接続を考慮しなければ、NW-ZX300との差は実質的にほとんどないので、そのコスパの高さは音質面でも感じられます。

 

製品名

音質傾向

音場 解像度
SR15 フラット 広大 高い
CT10 フラット やや広 高め
NW-A27 ドンシャリ(シャリ感強め) 狭い 普通
NW-ZX300 ドンシャリ(低域やや強) やや広 高い
NW-A55 ドンシャリ やや広 高め

 

【5】旧世代機「NW-A20」シリーズとの埋められない差

 ほぼ完璧に近いコスパを誇るNW-A55ですが、旧世代機NW-A27と比べると埋められない決定的な差があります。それは動画ファイルの再生時は音声だけになり、動画を再生出来ないという仕様です。

SONY NW-A25

旧世代機になるNW-A20シリーズだが、A30シリーズ以降の仕様変更のせいで人気は高く、今でも高値で取り引きされている。

 NW-A20シリーズまでは動画を再生する機能があり、ミュージックビデオをそのまま楽しむことが出来ました。NW-A30シリーズからは動画再生は音声のみとなっています。これが何かと不便です。ライブビデオやミュージックビデオを完全に楽しめないだけでなく、音質チェック動画などの細かいレビューテストに使う動画も再生出来ません。そのため、私は今でもNW-A27を手放すことが出来ません。

 

【6】総評「入門用としてはどう考えてもSONY製がいい」

 もはやこのブログでデジタルオーディオプレーヤー(DAP)を取り上げるたびに言っていることの繰り返しになるのですが、個人的な意見としては、デジタルオーディオプレーヤー(DAP)でいいのを初めて買うんだったら、圧倒的にSONY製を選ぶべきです。市場で最も売れているのがSONY製ですが、売れているのには訳があり、それ以外のDAPの使い勝手は基本的に中華製DAPに毛が生えた程度です。

 その優れたSONY製DAPの中で現状最もコスパが良く、万人向きで満足できるのがNW-A55です。バランス接続に興味があるし、オーディオにお金をかけても構わないという人はNW-ZX300に進むべきですが、音質以外はNW-A55に劣ります。

 デジタルオーディオプレーヤーに興味があるなら、現状では必ずこのNW-A55を最初に検討すべきです。この機種を買わないとしても、これを基準に自分の趣向にあったプレーヤーを選べば失敗することはないでしょう。コスパも含めて過不足がないという意味で最高にバランス感覚のある製品がNW-A55であり、だからこそベストセラーになっているのです。

 

 

【関連記事】

www.ear-phone-review.com

www.ear-phone-review.com

www.ear-phone-review.com

www.ear-phone-review.com


*1:そのように説明している心理カウンセラーのサイトがあります。個人的には明らかに理屈がおかしい説明なので無視しますが、逆のことを述べている専門家もいることに留意するため、ここにリンクを示します。

*2:齋藤寛『心を動かす音の心理学 ― 行動を支配する音楽の力』ヤマハミュージックメディア, 2011年, 「現代人は過剰な音にさらされている」

*3:小松正史「聴覚特性を生かした音育メニューの開発 ―「環境音のきき方」ワークショップを実践して」『京都精華大学紀要』(48), pp.63-84, 2016年, p. 82.

中華イヤホン
完全ワイヤレスイヤホン
イヤホン
ヘッドホン
デジタルオーディオプレーヤー
ニュース
特集記事
HiFiGOブログ
セール情報

 

新着記事