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【カナル型イヤホン ZERO AUDIO ZH-DX210-CB レビュー】コスパ最強クラス!3000円以下のイヤホンを買うなら、多少上乗せしてこれを買った方が良い。価格帯を超越した空間表現としなやかな音質

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ZERO AUDIO インナーイヤーステレオヘッドホン カルボ バッソ ZH-DX210-CB

 

おすすめ度*1

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 一部例外を除いてZERO AUDIO製品全般に言えることだが、正直外観デザインはチープ。装着感は悪くないが、LRはわかりづらく、毎回装着するときに確認する必要がある。遮音性はそこそこ高く、音漏れはほとんど目立たない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、携行ケース。細身のケーブルのタッチノイズはほとんどない。

 

 

【2】音質

 音質的には高域は伸びやかでしなやか、空間に溶け込むように消失し、すっきりしている。中域は広めでやや柔らかめの耳当たりがよい味付けで、低域はゼロオーディオ製品全般に共通する、膜を張るようなやや粘る弾力のある音で自己主張は強くないが、存在感がある。何よりも素晴らしいのはそのバランス感覚で、音域の高低のバランス、左右と空間のバランス、ボーカルと楽器との距離関係と一体感に優れており、どんな曲でも大抵過不足なく聞くことが出来る万能さがある。どんな曲でも不満を感じづらいイヤホンというのは多くはないもののそれなりの数はあるが、どんな曲でも一定以上の満足感が得られるイヤホンというのはあまりない。それが低価格帯ともなればなおさらである。

 

[高音]:のびやかで上方向にきれいに消失する。空間との親和性が高く、浮き上がることなく、天井も感じさせない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域も広さを良く表現する。ピアノはやわらかく繊細さを感じる表現だが、弦楽にはのびやかさとほどよい厚みがあり、しかも弦楽中心の曲でもそれが目立ちすぎない品格ともいえるバランス感覚があって驚く。

[低音]:ほどよく弾力と反発感もあるが、硬くなりすぎずに空間に抜ける、やはり空間との調和性を感じる音。振動にはやや厚みがあり、100hz~40hzまで自然な減衰をするため、深掘り感もよく出る(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:全体的に広い。上下も境を感じさせないが、高域が空に抜けていく消失感があるのに対し、低域は一定の床面を感じさせる。ドームのような広い球状の空間を感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:立ち上がりとアタック感が良好で必ずしも自己主張は強くないが、利きはよく、曲に塩味や酸味をうまく加える印象。ドラムは弾力的でズバンズバンといった色合い。重低音という言葉から想像されがちなドンという硬い重い音とはやや異なるのは留意が必要かも知れない(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは伸びやか。ハイレゾ対応なんじゃないかと思うくらい高さと自然な抜けの良さを感じる、サビできれいに上へ伸び上がる表現は一級品。戻ってくる声色もつややかで、全体的にしなやかさを持っている。

 

【3】官能性

 分島花音「killy killy JOKER」はガチャガチャしがちな曲だが、このイヤホンはそつなくこなしている印象。弦楽が伸びやかで元気よく、ボーカルの力強さとコシ、のびやかさも出ていて、元気よく、重苦しさ・暗さがあまり感じられず、ポップな感じが強調されていて、ゴシックな雰囲気はフレーバーにとどまっている印象。それなら味気ないかと普通思うのだが、弦楽を始めとする表現が優麗で、世界観はうまく出ており、納得させられる。

 いきものがかり「未来惑星」はボーカルが元気よくのびやか。消失感も綺麗で変な余韻無く空間に溶け込む。ドラムは弾んで躍動的であり思わず耳が向く存在感があるが、支配しすぎない。演出音も過剰感なく空間に密度を加える表現で、ボーカルを邪魔せずに全体として調和が取れた世界観を表現している。

 Rasumus Faber「月の繭 JAZZ Ver.」は豊かな低域がのびやかで広い空間を作り出し、その上にピアノが繊細かつ優しい、月影を思わせる色づけを丁寧にしていく。パーカッションのハイハットは粒感良好で自己主張しすぎず、静寂な空間に星々の宝石のような小さいながらも強い輝きをまぶすように、彩りを与えている。虚空の中に自己主張せず、しかし存在感と神々しさを感じさせる月の姿がありありと浮かんでくる。

 

【4】総評

 とても5000円未満の価格帯のイヤホンとは思えない、バランス感覚の良さ、表現力の高さがあり、1万円クラスの製品とさえ渡り合えるほどの恐るべきコスパを感じる。一方で無駄を削ぎ落としたところが見られ、やや安っぽい外観デザインや使い勝手の面での配慮の少なさなどはあるが、価格を考えればこれもわずかな不満をこぼす愚痴・当てこすりでしかない。ただもう少し手を伸ばすと同じメーカーでハイレゾ対応かつデザインもゼロオーディオにしては珍しくかっこよく機能的な名機ZH-DWX10が控えており、欲を出すと迷うところではある。しかし、同価格帯では圧倒的すぎるともいえる表現力とコストパフォーマンスに他の選択肢はほぼないと言って良く、好みがはっきりしている人以外は、これを選んでほとんど間違いはない。

 

 

 

【5】このイヤホン向きの曲

 重く鳴りすぎず抜けよく弾む元気なドラム。ガチャガチャせず方向感も広さも丁寧に表現される中域。ボーカルは中央で楽器とほどよく分離しており、混ざらないが離れすぎず一体感を失っていない。サビでは上方向に綺麗にボーカルが溶け込み、音楽全体の情感が素直に高まっていく。

 

 ギターやベースにエッジとアタック感が有り、パーカッションの立ち上がりも良く、疾走感がうまく出ていて、前に突貫していく展開が丁寧に表現される。低価格イヤホンでは楽器音に埋もれてぼやけやすいボーカルだが、このイヤホンでは温度感も失われず、息遣いさえも感じられる。

 

 空気感があり、情緒感に満ちている。しっとりとしたボーカルとそれを丁寧にフォローする楽器が一体となってノスタルジックな世界を作り上げている。ボーカルに素直に追随して目立ちすぎないが色づけを加える楽器音の調和した表現に、しつこいところを感じず没入でき、情景に浸れる。(坂本真綾「光の中へ」)

 

 サビに向かって天上へと高く飛翔していくこの曲のボーカルの表現をここまできれいに味わえる低価格イヤホンはほぼ皆無。穏やかに自問するような導入から、情景へと向かっていくにつれて昂揚していくボーカルが抜けた後の消失感もカタルシスに満ちており、中毒性が高い。(池田綾子「三日月」)

 

ZERO AUDIO インナーイヤーステレオヘッドホン カルボ バッソ ZH-DX210-CB

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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