おすすめ度*1 |
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ASIN |
比較的小型・軽量で持ち運びの楽なスピーカー。
aptXには対応しない。通信性能は安定している。音飛び・遅延は感じられず、レスポンスはよい。
この機種の型番ははっきりしない。マニュアルの型番表記は「K-116」でこれが正式名称と思われるが、ペアリング名は「SPEAKER 4.2」。amazonの商品ページではサイズのところに「SC211」。型番名称の不安定感はこの手の廉価な中華オーディオ製品では珍しくないので、お約束と受け流そう。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品は充電用USBケーブル、AUXケーブル、日本語含む多言語マニュアル。
【2】音質
音質的にはボーカルを味わうには悪くない。奥行き感を出す弦楽はやや篭もった感じがする。重低音は出ないが、低域は比較的膨張感のある形で音場を支えるので、曲の骨格は悪くない。衝撃力はやや硬く、粘質を感じるスチャッとした音で出る。そのためソリッド感は感じやすいが、快活さの面では明るさがあまり感じられないので、少しもっさりに聞こえるかも知れない。ドラム音も粘質が強い。曲によってはこの粘りを感じさせる音が重厚感につながることもあるが、深みはあまりないので地熱感はそれほどなく、表面的な感じがするだろう。
もしかするとこのもっさりした出方は筆者のバーンインが足りないのかもしれない。かなり慣らしたつもりだが。
[高音]:妙にもさっというかカサカサした感じはある。やや細かな音割れがあって毛羽立つ印象。篭もったような印象を受ける(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:奥行き音が少し篭もって感じられる以外は比較的左右の広がりは良い印象。奥行き感を出す弦楽は存在感が薄い。のびやかさは感じられづらいところがある。ピアノは硬質だが色味が暗く感じられる音で、落ち着いている。だが、少し発色が悪く音の輪郭が悪く思えるところもある。金管音はのびやかさに欠けるが、渋く大人びていて個人的にはかっこよく聞こえる。
[低音]:100hzから太く粗めの振動で70hzkるあいまでしっかり。60hzから極端に沈み込み、40hzくらいでほぼほぼ無音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:クラブサウンドの緻密な電子表現を聴くと、明らかに輪郭感のつぶれを感じ、解像度は悪く思える。全体の骨格感は悪くなく、左右も広いので大味では良い感じに聞こえるが、繊細はないので表現はやや単調(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムは表面の粘りが強いバッツンバッツンした音。シンバルはシャリ感強くシャリシャリと結構強めに出る。疾走感は感じやすい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:高域でかさつく感じがあるので、やや暗い。もしゃもしゃして感じやすい。中域ではそれなりにふっくらしている印象。
【3】官能性
分島花音「RIGHT LIGHT RISE」は冒頭の金管音が少し暗く渋い。本来だったら明るい色彩を加えるこの音が渋いせいで、第一印象は少し重い。ドラムも粘りが強いので、軽くはなく、重たげな印象はその後も強い。サビでのボーカルも高域に近づくと少しもしゃもしゃし、突き抜け感は味わいづらい。どちらかというと重厚味が強いと言えるが、シンバルのシャリ感と粘りながらもそれなりの躍動感のあるドラムは疾走感もそれなりに感じさせるところはあるが、色味としては暗い。
petit milady「360°星のオーケストラ」はボーカルが高域でもしゃもしゃしやすく、また耳に痛いような音割れ感を感じる。本来はかなり突き抜け感の強い感じで出るボーカルなので、そのエネルギーを持て余している印象はある。弦楽もややガチャガチャしている。ドラムは非常に軽く、シンバルのシャリ味も強め。キンキンしやすい曲調が少し出過ぎてしまうところがあり、耳に痛いかも知れない。
Choucho「明日の君さえいればいい。」はボーカルがやや乾いた感じで聞こえる。ドラムは表面の粘りだけはしっかりしており、シンバルもシャリシャリ細かく、パーカッションの疾走感は感じやすい。本来はもうちょっときれいに聞こえてくれるはずの弦楽は奥ではあまり存在感がなく、全面に出てくる場面でもそれほど色気を感じさせない。ベースは緩く、電子音は輪郭がはっきりせず、温度感を出すのに苦労している。
歌組雪月花「回レ!雪月花」は一見表面的な追随性は良く、音もキレよく聞こえているような気がするが、背景音があまり聞こえず、立体的な中毒性が大幅に減じている印象を受ける。表現としてはそのため単調になってしまっているが、ボーカルを中心に味わうにはまあ、粗を感じにくいかも知れない。
【4】総評
小型な筐体で持ち運びしやすく、奥行き感の少ない単調で平面的な感じながら、音楽の骨格はそれなりに出してくれる。通信品質的には問題がほとんど見られず、モバイルスピーカーとしての使い勝手は悪くない。
ただ2000円以上でもっと音質的にも機能的にもデザイン的にも魅力的なモデルは多数あるので、この機種のアドバンテージは2000円ちょうどくらいという安さだけ。
【5】このスピーカー向きの曲
ドライ傾向のハスキーボイスはこのスピーカーでも粗が出ずらく、弾き語りのスタイルも骨格だけで味わえるのでこのスピーカー向け。(高田梢枝「インコ」)
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。