- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良い。通信品質は価格帯では標準的な品質」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「インターフェースはタッチ式」
- 【3】音質「2ドライバーらしいパワフルさがあるが、高域も充分に明るく、音は全体的にぎっしりしている」
- 【4】官能性「ベースの暖かみを感じながら、密度と厚みのある音を楽しめる」
- 【5】総評「音質的にはオススメできるが、通信品質は標準クラス、連続再生時間はそうでもないことを考えると普通か」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良い。通信品質は価格帯では標準的な品質」
おすすめ度*1 | |
---|---|
ASIN | |
スペック・評価 | |
連続再生時間/最大再生時間 |
3.5h/108h |
Bluetoothバージョン | 5.0 |
対応ワイヤレスコーデック | AAC/SBC |
防水性能 |
IPX5 |
音質傾向 |
弱ドンシャリ、重みがある、厚みがある、ウォーム、力強い、どっしり、太い、シャープ |
デザイン的にはIEM的な耳に嵌まる感じの凹凸があるハウジングになっており、装着感は良い。遮音性もそこそこ良好。
対応コーデックはAAC/SBC。ONKYO GRANBEATとHiby R6 Proで交互に繋ぎながら接続品質をみた。新宿駅構内から街中を歩いてテストしたが、人が多いところでは普通に途切れる。レシーバーはR側で、送信機器を右側のポケットに入れれば通信品質は若干改善するように思われるが、どちらにしても左右は途切れやすい。通信品質は同時にテストしたA.A Touch Two C5と同等か、わずかに良いくらいに感じた。
しかし、混雑している場所で途切れやすいだけで、人が多くなければ駅構内などでも通信が安定しているので、おそらく価格帯では標準クラスの通信品質だと思う。
テスト環境
今回のテストはHiby R6 ProとONKYO GRANBEAT、SONY NW-A55で行っている。
【2】外観・インターフェース・付属品「インターフェースはタッチ式」
付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Micro-B)、専用充電ケース、説明書。インターフェースはタッチ式。反応はワンテンポ遅れるくらいの普通の反応速度。
【3】音質「2ドライバーらしいパワフルさがあるが、高域も充分に明るく、音は全体的にぎっしりしている」
音質的には2ドライバーさらしいパワフルな音響表現が見られ、全体的に音に充分な太さと厚みがあり、ややぎっしりめに聴かせる感じになる。音色自体はややドライで乾燥した感じがあり、高域は少しだけ後退して落ち着き気味ではあるが、それなりにシャープネスと金属光沢感が出て派手めに目立つ感じがある。そういう意味で全体的に密度感は高く太い感じはあるものの、高域にほどよく風通しの良さを感じることができる。
同じ2ドライバーの完全ワイヤレスイヤホン SoundPEATS Truengine SEとNW-A55に同時につないで聞き比べてみると、このイヤホンの方が低域が若干浅く、響きの重さもセーブされて感じられるので、もう少し高域方向に明るく感じられるバランスとなる。Truengine SEに比べてやや迫力不足を感じるかも知れないが、おそらく中域でマスキングを感じる可能性はより低いと思われる。
基本的には床面に力強さと、シンバルにそこそこのディテール感、ギターにほどよい厚みが感じられ、空間にほどよい熱気もあるので、ロック向きのように思う。ダンスも悪くないけど、やや空間に清潔感が出ないので、床面が少しドスンドスンする。一方で低域弦楽に充分な量感が出る感じがあるので、低域弦楽が味を出すやや重めの感じのJAZZも楽しめるかも知れない。
音質因子評価
音質因子 | 評価 |
鮮やかさ (鮮やか/色味が薄い) |
普通。中高域にディテールがあるが、低域と中域の境目付近は少しボケる感じがある。 |
鋭さ (鋭い/鈍い) |
やや鋭い。高域で少しシャープネスを強調する感じはあり、ボーカルの子音にわずかに尖りが感じられる。 |
明るさ (明るい/暗い) |
やや明るい。低域の重心が高く、床面が少し明るく感じられるのと、ボーカルの伸びが良く、シンバルも少し派手め。 |
派手さ (派手/地味) |
やや派手。低域は柔らかいが、高域でやや鮮やかさとシャープネスを強調して感じられ、発色と刻みが少し強い。 |
硬さ (硬い/柔らかい) |
普通。高域は少し硬いが、低域が柔らかく膨らむので、全体的にはやや柔らかいくらいかも知れない。 |
尖り (尖っている/丸みがある) |
やや尖る。高域の高いところまでは音が出ないので、刺さる感じはないが、ややシンバルや弦楽にシャープネスの強調感が見られる。低域方向では丸みを感じる。 |
穏やかさ (穏やか/騒々しい) |
やや穏やか。低域の暖かみの中に全体の音楽が調和して収まる感じがある。音圧も強すぎない。 |
力強さ (力強い/嫋やか) |
やや強い。キックなどにドンという重みもあり、高域もややパワフルに伸びる感じがあるが、低域の質感は柔らかく、高域も強く主張はしない。 |
豊かさ (豊か/貧弱) |
やや豊か。低域の温度感がやや強く、温かみのあるサウンドで音に根立ちの良い太い感じがある。 |
太さ (太い/細い) |
やや太い。高域はシャープで少し細く感じるが、低域方向で充実しているので、音は深く太く広がる感じがある。 |
手触り (ざらざら/滑らか) |
ややざらざら。全体的にツヤは少し押さえたところがあり、ドライな感じがあるので、高域のちょっとシャリシャリしたザラつく感じが目立つ。ボーカルの息感にもやや強調がある。 |
粒感 (きめの細かい/粗い) |
やや細かい。高域でややシャープネスが強調され、粒感が細かに出る。 |
清潔感 (澄んだ/濁った) |
やや濁った。中域と低域の境目でややもっさりする感じはある。中域はどちらかというと低域の温度感を受けた膨らみのある印象。 |
潤い (潤いのある/乾いた) |
やや乾いた。清潔感が強くないので、目立ってドライではないが、全体的な印象はややドライである。 |
重さ (重い/軽い) |
やや重い。低域の存在感が強めなので、音場全体の重心はやや低く感じられる。ただし、その低域自体は濃さはそれほどでもなく、重さや深さもそれほど強く強調しない。 |
ボーカル因子評価
ボーカル因子 | 男声 | 女声 |
澄んでいるか (澄んでいる/濁っている) |
やや濁る | 普通 |
明るいか (明るい/暗い) |
やや明るい | やや明るい |
伸びやかか (伸びる、突き抜ける/天井感がある) |
やや伸びやか | やや伸びやか |
潤っているか (しっとりしている/乾いている) |
普通 | 普通 |
太いか (太い/細い) |
やや太い | やや太い |
濃いか (濃い/薄い) |
やや濃い | 普通 |
子音が強調されるか (目立つ/目立たない) |
やや目立つ | やや目立つ |
空間因子評価
空間因子 | 評価 |
主に中域の密度 (ぎっしり/スカスカ) |
ややぎっしり |
主に高域の高さ (抜けが良い/天井感がある) |
やや抜けが良い |
主に低域の深さ (深掘り感がある/浮き上がりがよい) |
普通 |
主に低域と中域の横幅 (広い/狭い) |
普通 |
主に中域の奥行き感 (奥まる/前屈み) |
やや前屈み |
美点
- 全体的に密度感が高く、パワフル
- 中高域から高域でほどよいディテール感がある
- 音に太さと厚みがある
- ウォームで聴き心地が良い
欠点
- 高域がやや暗い
- 清潔感は抑えめ
- 人によっては篭もっていると感じるかも知れない
[高音]:高域は中域より奥にいるようだが、結構シンバルが空気感強めに聞こえるので、少し高いところまで伸びている感じがある。曲によってはボーカルの子音も少し強調される。ボーカルの抜けはたぶん大抵の曲で充分で感じられるはず(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中域は低域の暖かい感じを受けて、少し音に厚みを感じられる。中高域のツヤはほどほど押さえられて強調感は強くないが、明るさは充分。音源の組み合わせの寄っては中域で潤い感が見られるが、基本的にはシンバルの印象もあり、やや乾いた印象を受ける。
[低音]:100hz~40hzまで、締まった振動で聞こえる。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。低域はキックがやや重い。ベースもはっきり聞こえる。ただ、音の感じは柔らかく、やや明るく感じるくらいで、黒みを強調しすぎず、温もり感がある(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:全体的に密度感は高め。シンバルが意外と目立ちやすく、低域の量感も多く感じるので、基本的にはドンシャリだと思うが、中域も充分にボディがあるので、弱ドンシャリくらいと言えばたぶん誤解がない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:やや下で重い樽形のドラム音に聞こえる。タムは革張り感が強いバツバツしたドライな感じ、バスドラはドンと重みを出すが、深くまで沈む感じはなく浮き上がりは良い。やや下に重いバズンバズンといった感じ。ハイハットは白味や刻みがよく相対的に浮き上がりがよい。黒めのドラムと白めのシンバルのコントラストが利いている二元論的なリズムサウンドに聞こえる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:男声ボーカルも女声ボーカルも温かみのあるふっくら系サウンド。色味も濃いめ、太さも太めに感じるが、潤い感は相対的に抑えめ。声色に厚みがあるが、伸びも悪くなく、天井感はあまり感じない。
【4】官能性「ベースの暖かみを感じながら、密度と厚みのある音を楽しめる」
河野マリナ「たからもの」
【ONKYO GRANBEATで鑑賞】低域ではベース音に温かみがあり、この曲の温和な雰囲気を充分に感じさせてくれる。床面のドラムもほどよくパンチを利かせて、パスッと気持ち良く決まるが、他の音に比べて音圧が強くなりすぎる感じはなく、温かみのあるベースと調和性がある。膨らみに不足も感じないだろう。膨らみすぎるほどでもない。ボーカルは少しふっくらするくらいの温度感でピアノにも深みがあり、ボリューム感は充分。それでいて、明るいボーカルの上辺には息感がしっかり出ていて、シンバルの音も爽やかで清涼感も感じられる。
Aimer「Monochrome Syndrome」
【ONKYO GRANBEATで鑑賞】この曲はこのイヤホンだと、ベースが強めで、少し床面が主張する感じで表現されるので、ライブ感は強めだが、人によっては中域に篭もる印象を受けるかも知れない。高域の爽やかさも抑えめになって聞こえる。とくに多用されるハンドクラップ的な効果音はやや埋没して聞こえやすく、その爽快感だけが少し物足りなく思える人は多いかも知れない。
Sun Dance & Penny Rain(初回生産限定盤A)(Blu-ray Disc付)(特典なし)
川井憲次「Going To "ZONE"」
【Hiby R6 Proで鑑賞】かなり低域に厚みがあり、とくに低域弦楽のボンという音のディテールが高めで、床に鳴動する振動感と空間に広がる深みのある感じがきれいに出る。しかし、この曲ではやや低域にフォーカスされすぎている感じもあり、ギターや金管が若干派手さに欠け、やや退廃的な雰囲気が足りない感じがする。重みと渋みのある、ホールで聴いているような重厚感のある音響で、すごく説得力はあるが、個人的にはもう少し中高域が鮮やかに感じられるバランスで退廃的な雰囲気を味わいたい。
Metropolis (Original Motion Picture Soundtrack)
【5】総評「音質的にはオススメできるが、通信品質は標準クラス、連続再生時間はそうでもないことを考えると普通か」
音質はパワフルで厚みと密度感もあり、かなり没入感高く聞かせてくれる感じはあるが、スペック的には結構物足りない。また音質の特性上、曲によってはやや篭もって聞こえやすい印象もある。面白い機種ではあるが、個人的な印象では、Truengine SEに比べると、やや劣った印象を受ける。
まとめ
- とくに低域で量感のある音が好きなら好みかも知れない
- 通信品質が平凡
- 連続再生時間が物足りない
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。