Klipsch New-Xシリーズ X6i ブラック KLKX60I111
おすすめ度*1 |
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ASIN |
Klipschの主力モデルXシリーズの一つ。同シリーズの中ではやや大きめのハウジングだが、付け心地は相変わらず軽めで良好。遮音性はそこそこ。音漏れは結構ある。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースと携行ケース。細身のケーブルはタッチノイズが若干目立つ。
【2】音質
クリプシュ独特の鮮明で透明感のある中高域を求めると若干違和感を覚えるはず。クリアな傾向は変わらないが、みずみずしさはあまり感じず、全体としてドライな方向にまとめられている印象だ。同時に低域がかなり前面に出て存在感を出しており、中高域寄りだったImageシリーズのラインナップでは低域に振られており、全体として見るとバランスは良くなっている。低域の存在感もしっかりしているので、ジャズなどもしっかり楽しめるはずだ。
[高音]:きれいに伸びる傾向がある。若干ドライ気味(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:中域はやや奥まる印象。精緻だが色彩感は抑えられており、ドライな印象。
[低音]:若干ブーミーで厚みのある振動が前屈みに聞こえてくる。中高域にかかりやすいところがある。減衰は素直で荒いところはない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:低域がかなり前面に出ており、舞台のような厚い床面を作る。高域よりは中域が奥まって感じられる。
[パーカッション・リズム]:ドラムに躍動感と熱気がある。太くて力強い(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:分離感がしっかりしており、一貫性あり。表現力という面ではほぼ同価格のX7iには劣る印象。
【3】官能性
nano.RIPE「サクゴエ」は低域のベースとドラムに優位があり、前面に出てくる。しかしボーカルには分離感があって鮮明で、低域に潰されておらず、むしろうまく共存している。低域が鳴り止んだ瞬間の消失感が気持ちよく、メリハリが利いていてとても楽しい。
supercell「告白」は低域に熱気がある。やはりボーカルが良く分離されていて、個々の楽器音もクリアで精密。やや色彩感が足らず、ドライな傾向ではあるが全体として緻密で中毒的な曲の傾向は失われていない。
山崎あおい「花火のあと」は色彩がドライ。ギターの利きが暗く、そこにかぶさるボーカルの息遣いが鮮明な分辛口に出やすく、さらに伸びる弦楽も方向性としては重ため。ドラムは重厚さと弾力のバランスが良く、甘酸っぱさよりはほろ苦さの強い青春ソングになっている印象。
Lia「Bravely You」も味付けはドライ。ドラムはタイトに引き締めながら、しかも厚みがあってブーミーさも感じられるバランス感覚がなかなかに良質。音は全体的にやや硬質に響き、色合いは暗めだが、サビでのボーカルは伸びやかで力強さに満ちており、大人びた芯の強さがある。
【4】総評
音質的にはバランスも良いが、クリプシュらしさという点ではちょっと方向性が違う気がする。コスパの面でも厳しいところがあり、出回る数が少ないのかお値段は高めでX10、X7i、X12iとほとんど変わらない。クリプシュのブランドイメージとしてはImageシリーズのエントリークラスと位置づけているようだが、それならばもう少し手を出しやすい価格設定が必要だろう。やや低域寄りの音域バランスの良機種を求めるなら、あえてこのイヤホンを選ぶ必要も無いし、クリプシュらしい中高域の情感溢れた幻想的ともいえる表現力は期待できない。クリプシュの音があまりに上方向にキラキラしすぎて華やかに着飾っているところがチャラいので気に入らないという人にはいいかもしれないが、そういう人はクリプシュを選ばないだろう。
【5】このイヤホン向きの曲
やや重厚気味にはなるものの、タイトな低域が空間に利いて引き締まっている。ボーカルは良く分離されていて息遣いも綺麗で伸びやか。全体的なバランスの良さを味わうならこの曲が良い。
ドライな味付けとタイトさと重厚さの同居した低域が支える、スカッとした味わいを楽しむならこの曲。
充実した低域とよく分離されたボーカルが楽しめるこの曲もこのイヤホンによく合う。
Klipsch New-Xシリーズ X6i ブラック KLKX60I111
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。