BL-03 イヤホン 高音質 イヤモニ 3Dステレオサウンド カーボンナノチューブ振動板ダイナミックを搭載 リケーブル可能 ハイレゾ カナル型 イヤホン (ブラウン)
- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良い」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「2pinリケーブル可能」
- 【3】音質「バランス的にシンバルとギターの明るい方に丁寧なディテールが出るので、刺激的で気持ちよい音を出すが、音が全体的に細くミニチュア的になりやすく、低域の存在感は緩い。色味と音圧はやや薄味なのが評価を分けそう」
- 【4】官能性「とにかく明るい」
- 【5】総評「解像度は充分。音の偏りが激しいが、それだけにイコライザー好きな人には楽しみ甲斐もある機種」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良い」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
丸いハウジングは耳に良く収まるので、装着感は良好。遮音性もそこそこ。音漏れ少し。
ハウジングの工作精度は価格を考えるとたぶんかなり高いです。金属ハウジングの接合部は目立つ溝となっていますが、接着剤が溢れているといったことはありません。2pinコネクタもスムーズに取り付け、取り外しできます。
【2】外観・インターフェース・付属品「2pinリケーブル可能」
付属品はイヤーピースの替え。ケーブルのタッチノイズはほとんどありません。2pinリケーブル可能。
【3】音質「バランス的にシンバルとギターの明るい方に丁寧なディテールが出るので、刺激的で気持ちよい音を出すが、音が全体的に細くミニチュア的になりやすく、低域の存在感は緩い。色味と音圧はやや薄味なのが評価を分けそう」
まずこのイヤホンを耳に入れて、ロックを聴くとハイハットがシャリシャリシャーンと白く刻みよく空気感も充分に聞こえてくるのがわかると思います。ギターも明るめで「ディストーションしたいぜ!」みたいな感じありありで上に伸びたがっている、浮かれた印象を受けるはずです。ボーカルは明るいですけど、細い印象を受けるでしょう。とくに男声ボーカルはツルツルしてて渋みがないので、深い声色に魅力を感じる人にとっては色気がこれっぽっちもないかもしれません。
中高域から高域にディテールがあると、解像度が高い、清潔で鮮明だと人間は感じやすいので、一聴した印象は悪くないはずです。しかし、このイヤホンの音にはあまり温かみやふっくら感がなく、低域は薄くて音場の安定感に乏しいので、人によっては飽きやすいでしょう。しかし逆に言えば、変に無理な味付けしてないので、中高域から高域のディテール感をそのままに、ちょっとイコライザーでいじると化けます。
中高域から高域の印象を見ると、女声ボーカルのロック曲や、EDM、ポップス曲などと相性良さそうに見えますが、留意すべきは低域の全体的な不足感です。あくまでこのイヤホンは中高域から高域以上を聴かせることに異様なこだわりを見せていますので、低域はスカスカに感じる人がほとんどでしょう。逆にEDMなんかで「高域のディテールをとことん味わいたい、低域なんてどうでもいい。むしろ邪魔」って人にはコスパ最強イヤホンになりえるかもしれません。
このイヤホンのあまり目立たない美点としては、価格なりの音圧と色の濃さなので、普通に考えるとかなりきつめのシャリシャリイヤホンですが、くどい感じがそれほど強調されて感じられないことです。
美点
- 中高域から高域に詳細なディテール
- ボーカルはよく伸びて突き抜ける
- 中域はクリーンで見通しが良い
- 音圧や色の濃さがそれほどないので、高域のディテールや空気感が緻密だがくどくない
欠点
- 音に太いところがほぼ無く、全体的に薄いのでミニチュア的である
- 男声ボーカルはツルツルで渋みがない
- 低域スカスカ
ロック向きにするイコライジング例
今回紹介するのは、こういうヒョロい音の頭でっかちな高域バカなイヤホンを無理矢理ロック向きにするときによく使っている自作イコライザーです。「ダークガイスト」とか厨二的なイコライザーネームが付いてますが、私の趣味ですので気にしないで下さい。
まずベース音がよく聞こえないので低域、中低域を上げます。ぶっちゃけベースとバスドラのドンが濃く聞こえてきて、ゆらめく熱気が出てこないと、私はロックは楽しめません。ボーカルや中高域が途端に埋没するので、少し上げます。
高域のコンセプトはギターとボーカルの絡み合う感じを強めつつ、上方向に抜ける流れを作ってやることで、4kあたりを上げてギターのエネルギーを伸ばしつつ、8kあたりで一度下げて熱気を押さえ込み、超高域に向けて音が解放されて広がっていく、抜ける空間を作ることです。
と、したり顔で解説してますが、まあぶっちゃけだいたい適当に、「これはいい音だから、たぶんこういう働きがあって、こうなったんだな!」って後付け設定ですから、あまり真面目に読まなくて良いです。最終的には音が面白ければ何でもいい。
まあ私の評価ではつまり、ロックを聴くのにこのイヤホンでは超高域の抜けと低域が不足しているって感じをこの波形から読み取って頂けると嬉しいです。
[高音]:高域の空気感とディテールは多めで人によってはかなり明るすぎる印象を受けるかも知れない。弦楽やピアノの音色にキラキラの透明感が感じられるはず。ハイハットはシャーンと弾ける。またボーカルはサビですいーっとシームレスに伸びる。しかし個人的な欲を言うと、わずかに抜けが足りない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中高域重視で低域方向はクリーン。厚みや温かみがないので、中高域がただただ浮き上がっている印象を受けやすい。少なくとも色味に濃さが足りず、音に太い感じが欠けていると感じやすいだろう。逆に言えば、音が細かったり、空間が清潔だったりする分音場は広く感じられるという人もいるだろう。
[低音]:100hz~30hzまで太い振動。20hzでもわずかな振動。つまり深い音が出てなくて音場が軽いわけではない。そのためポテンシャル的にはイコライザーで低域を盛ってやれば意外と素直に重厚感が出る。普通に重低音盛ってやればベースが黒くなって出てきてくれる。またそもそも低域音に敏感な人は、このイヤホンの低域の存在感をかなり感じ取れてバランス良い印象を受けるかもしれない。私が聴いている感じでは不足している(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:中高域から高域にかけてディテールが集中しており、明るく細くのびやか。音場は広めだが、私のようにこのイヤホンの低域にあまり深みや重みが感じられない場合はスカスカに聞こえるだろう(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムはスネア、タム、バスドラと案外バランス良く音が並んでいるように見えるが、私には平坦で面白味がなく聞こえる。JAZZを聴いてもロックを聴いても活き活きしている感じがない。音の印象はバランス良く、ほどよく粘って、ほどよくドンがあり、バツンバツン系の悪くない音に思えるけど、ドラム各部の音が垂直降下するように平坦に並んでいる印象で、私はあまり感心しなかった。理由の一つは明快で、地熱感が足りず、色味に濃淡がないので音にメリハリを感じないところだろう。後付け解釈だけど。ハイハットは結構はっきりシャリシャリ空気感多めに聞こえてくれる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:男声ボーカルは渋みが出ないのでとくに深いところの声色が好きな人には物足りないだろう。女声ボーカルは上によく伸びて明るめにくっきり。
【4】官能性「とにかく明るい」
沼倉愛美「Climer's High!」
この曲は元々低域モリモリされているので、一聴した感じだとかなりよく、最初このイヤホンをロック向きだと私が判断した根拠になった。ただ低域は最終的には不足しているので、化けの皮はすぐ剥がれる。ギターにギュワギュワした熱気が足りず、ギラギラ感がどうもリアルじゃない。ドラムもよく聴くと熱気が感じられなくて、床面に音が広がる感じがなく、防音マットかなんかの上で叩いているのかってくらい、音に深みがなくて仕事が投げやり。そうとはいえ、これくらい低域盛ってるロック曲はなかなか聴き応えがある。
PSY・S「Angel Night ~天使のいる場所~」
この曲については許諾動画がないので、上のカヴァーを味わうか、下のApple Musicの視聴サンプルでどんな曲か確認して欲しい。
この曲も最初聴いた感じは悪くないかなって思ったけど、なんかボーカルにツヤが足りないのはやっぱり低域不足に思われる。ギターとかボーカルとか全体的にのびやかだし、シンバルも気持ちいいんだけど、なんか音に深みや広がりを感じない。全体的によくできている組み立てをしている感じはあるから、聴き応えは充分なんだけど、奥行きとか立体感が足りないかな。手前味噌だが、この曲はとくにイコライザー「ダークガイスト」で劇的な効果が期待できる。しっかし、まじでこうやって文章で「ダークガイスト」とか書いてると恥ずかしいな。
GOLDEN☆BEST/PSY・S[s iz]SINGLES+(シングルス・プラス)
Kimii「ikanaide」
こういうクリアなダンスミュージックを味わうにはいいかもしれない。しかしこの曲は結構思い切って高域よりで作られているので、最初はディテールがきれいに出ていいかもって思うけど、イコライザーで低域とか中域を盛って厚みを出した方が音に実体感が出て、充実感が出る。第一印象では「詳細ですげー」って思っても、最終的には面白味に欠けるだろうから、すぐ飽きそう。
fhána「天体のメソッド ~Quote from Stardust Interlude~」
結局このイヤホンの一番の良いところは、この曲のようなサウンドを詳細にキラキラしてディテール重視で味わうことができるってところかな。こういう上でキラキラ緻密って曲はかなり隅の隅まで見通せる感じがあって、「それで5000円以下?安いね」って気持ちにはさせてくれる。
天体のメソッド ~Quote from Stardust Interlude~
【5】総評「解像度は充分。音の偏りが激しいが、それだけにイコライザー好きな人には楽しみ甲斐もある機種」
価格を考えると、非常に詳細な高域ディテールを持ち、ボーカルにも充分な抜けがあり、一聴した印象はかなり良いはずです。これまで同価格くらいのイヤホンを使ってきた人は、もしかするとこれを買ったばかりの間は、かなりの感銘を受けるかも知れません。しかし、音作りは頭でっかちなので万能性は高くなく、実際のところ音の風味とか開放感とか熱気とかいろいろなものが足りない印象が出てくるはずです。
一方で、素性はよいらしく、イコライザーでいじりがいがあります。イコライジングを楽しむ素体としてはかなり面白く、伸びしろがあります。元々の透明感のある音を生かして磨きをかけていくと、低価格機種で「ここまでの音を聴けてるぞー!」と自己満足に浸れるかも知れません。実際ビルドクオリティも高めなのでチープさはありませんから、所有欲的にも満足できます。
BL-03 イヤホン 高音質 イヤモニ 3Dステレオサウンド カーボンナノチューブ振動板ダイナミックを搭載 リケーブル可能 ハイレゾ カナル型 イヤホン (ブラウン)
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。