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【中華イヤホン KZ ZSX レビュー】高域と低域が過剰に近く前屈みで、濃い。低域はパワフルで妙に近いので深いとか重いとかでなく、ただただ濃く太い印象が勝る。そして高域は意外とピーキー。音場が破綻していて、ほとんどごちゃごちゃ。ドンシャリの極北。ロック向きであることは間違いない。

KZ ZSX

KZ ZSX

KZ ZSX Terminator Metal 5BA+1DD Hybrid 12 Units HIFI Bass IEM Earbuds

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は悪くない。遮音性もほどほど」

おすすめ度*1

KZ ZSX

ASIN

B07WST7K85

スペック・評価
再生周波数帯域 7~40000Hz
インピーダンス 24Ω
感度 111db
ドライバー構成

6ドライバー(DD×1, BA×5)

 音質傾向

ドンシャリ、情緒不安定、窮屈、パンチ力がある、ド派手、奥行き過剰、中域不足

 ハウジングはIEMタイプのデザインをしているので、装着感は良いです。遮音性もそこそこ高め。

 

テスト環境

 今回のテストはCayin N6IIAstell&Kern KANN CUBEで行っています。

www.ear-phone-review.com

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【2】外観・インターフェース・付属品「2pinリケーブル対応」

 付属品はイヤーピースの替え、専用キャリイングケース。

 

KZ ZSXKZ ZSX

 

【3】音質「音は濃く分厚く、圧も強めでもっこりしやすい。低域と中高域、そして高域の上の方は妙に近くて見通し感は悪い。利点は音質の悪いスマホでもそれなりの音圧と迫力が出ることだが、いろいろ犠牲にしているものが多い。とくに音場」

※ちなみに今回の音質レビューはやたらと説明的な上に長いので、手っ取り早く音質を知りたい人は「まとめ」のところだけ読んでください。

 

 のっけから面食らうようなことを言うと、率直に言って、このイヤホンにあまり魅力を感じない。理由は簡単で、単純に音の圧迫感が強く、うるさい。音場に開放感が全くなく、ぶっとい音が上から下までぎゅうぎゅうに詰まっていて、それもお互いで「押しくらまんじゅう」をしているみたいに音同士がのめり込んでいる。信じられないことに、低域に高域がのめり込んでいる感覚すらあるほど、空間が詰まっている。まるで満員電車。

 こんな音でさぞ酷評されているだろうとHead-Fiなんかを覗くと、これが意外や意外、「低域はエクセレントだぜ!!!!」とか「KZ史上最高の逸品!!」みたいなレビューがあり、あんまり読んだことないオーディオブログのaudiophileonってとこでも基本高評価。私の印象とは違う。もちろん私はこれらのレビューが嘘をついていると言っているわけではなく、実際のところ、とくにaudiophileonについてはその名誉のために弁護するが、FiiO FH7とTFZ No.3のレビューを読む限り、私の聴いた音を非常によく説明していると思うし、FH7がクラシックやJAZZ向きというのも私が今度レビューで書こうと思っていたことと同じ意見である。とくにFH5と聞き比べてみれば容易にその充実感の差が感じられ、どちらかといえばシルキーで繊細な傾向の音だったFH5に比べて、濃厚感が出て万能性が増していることがわかるから、この人がFH7を万能系と評価しているのも実に妥当。TFZ No.3についても、深さとパンチ力にステータスを極振りしてるような、下でタイトな低域が、一部の曲でビシバシ感を強く出しすぎて、正常な音楽性が阻害される可能性があるというような書き方に、「そのレビュー、冴えてるね!」って返したい。細かい点では意見の相違を感じるけれども、全体的なキャラクターの印象において、この人が本質を見誤ることがあるようには思えず、むしろ信頼感を覚える。Head-Fiのほうは「素晴らしい音場(Superb Soundstage)」とか、「Clean and detailed midrange(清潔で詳細な中域)」とか書いてあるが、ギター音がやけに横長で縦軸のつながりが不足してるけど?って疑問しか湧かないんで、個人的には何を言ってるか分からない。

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 そういうわけで、私が何を言いたいかというと、KZ ZSXについて今書いているこのレビューはおそらく内容は異端的であるということ。少なくともTwitterやらamazonのカスタマーレビューで比較的絶賛されている感じがある機種なので、メジャーな意見はこの音を高く評価していると思われるが、私はこのイヤホンの音は表現の根幹部分において、出自がはっきりしないほとんど無名のGlazata TE20にも劣ると考えている。もちろん率直に言って私は常日頃からKZ製品について否定的評価をしがちであるので、目(耳)が曇っている可能性は大いにあるので、鵜呑みにしないで頂きたい。

※ここまでですでに「何言ってんだバカヤロー」と思った人はたぶんこのイヤホンを好きな人だと思うので、このレビューを読まないでください。往々にして他人が好きな製品なり作品なりを批判するというのはどんな形であれ軋轢の元であり、私は争いごとを好んでいませんし、できれば嫌われたくないので。また私自身の判断や感覚が絶対正しいとも思っていません。

※幸いにしてこの機種には音の特徴を的確に捉えた「良心的な好意的レビュー」があります。この機種の音質を好意的に知りたい場合はそちらを読むことをおすすめします。

www.ear-phone-review.com

 

 そういうわけで、これまであまりしてこなかった方法であるけれども、私が極めて異端的なレビューをこれからするかもしれないということによく注意を向けるために、今回のレビューではあえてaudiophileonの言葉に耳を傾けつつ、それに対する私の所感を述べていく形式にしたいと思う。そうすれば、メジャーな意見と私の意見との相違がはっきりし、そのことでこのイヤホンについてより具体的なイメージを読者に提供できると思うからだ。それに私は批判的なレビューをするときほど、この製品を作り、またこの製品を愛している人の名誉を守るために、丁寧に説明する必要があると考えているということも付け加えたい。私は物知り顔をしながら、一方的に製品の悪いところだけを抜き出し、コケにするような辛口レビューをするのは、どんな製品に対してであれ、オーディオ製品全体に対する冒涜だと思っている。

 

 さて、私がこのイヤホンの明らかな問題点と思う中域の貧弱さとそれに伴う自然な音場観の破綻に関連する話題について、audiophileonの意見を拾いながら解説したい。私がaudiophileonに対して「それはないんじゃない?」と思うのはたとえば次のようなレビュー内容だ。

 audiophileonは「If there is a weak point of the sound its in the midrange.(弱点があるとすれば中域です)」という的確な評価を下しつつ、一方で「In reality, the midrange isn’t bad; it’s just that the bass and treble are punching above their weight in terms of performance.(実際のところ、この中域はそんな悪いもんでもなくて、ただ低域や高域がそれに増してパンチを加えているだけなんだ)」と述べている。

 しかし、個人的にこの書き方は頂けない。なぜなら、この中域のあまりに弱いパフォーマンスが低域と高域を必要以上に張り出させ、音場に過剰な奥行き感を与えており、自然な音の広がりをほとんど破綻させているからである。私であれば「中域は確かに表現力で劣るとは言えないが、高域や低域とのパワーバランスで過酷なほどに劣位な状況に置かれており、そのせいで自然な音楽性を表現するための音空間がほとんど破綻したものになっている」という書き方をする。まあ、簡単に言えばaudiophileonはまだこの音は聴ける範囲と判断したけど、私には聴ける範囲を越えてしまったというだけで、おそらく実際言ってることはほとんど一緒であるが力点が異なるだけとも言える。

 で、これだけでは外面を示しただけで内実のある説明になっていないので、具体的にはどういうことかというと、このイヤホンは、低域の張り出しが過剰なために、ボーカルのすぐ下までドラムサウンドがくるような、息の詰まるように狭い音場になっており、大抵の曲で非常に息苦しい音楽表現になる。しかもこの低域はタイトにまとめられるでもなく、クリアにされるでもなく、ウォームでパンチを利かせた存在感の強い濃い音なので、そのドスドス床面を叩く音がボーカルのすぐ下に聞こえてきて、とくに男声ボーカルで顕著だが、まるで歌手は床面に這いつくばってるか、埋まりながら歌を歌っているかのように表現される。また高域の方はもう少し特殊であり、中高域のあたりともうちょっと上のシャープネスを出す高いあたりに二重の強調が加えられていて、女声ボーカルが楽器と比べて、大抵の曲でサビになると過剰に迫ってくる調整になっている。そして弦楽なんかは、そのボーカルの頭の上を飛び越えて、さらに明るく煌びやかに、「伸びるというより前に出てくる」。高域のディテールも過剰に強調されている。このあまり心地よいとは思えない奇妙な空間を、とびっきり濃い感じで表現してくれて鮮やかに印象づけるという余計なことをするので、なおさらうるさく、ガチャガチャする。「お腹と背中がくっついた」じゃないけど、高域が派手な曲だと高域と低域がほとんど混濁し、とにかく空間に余裕がない。

 どうしてこんなことになっているかというと理由は簡単で、「高域のディテールが良いと人は解像度が高いと感じるので、10khz付近盛りました」「中高域の聞こえが良いと快感を感じるので盛りました」「やりすぎちゃった高域の派手さを覆い隠して聞き心地を調整するため、また低域好きを満足させるために、低域盛っときました」みたいな単純にスイートスポットだけ強調している頭の悪い調整がなされているからである。だから、低域音がこれほど盛られているのに、正常な深さが出ておらず、「低域の深さはただ重低音を盛れば出るというわけではない」という音空間に対する配慮がすっぽり抜け落ちていて、ただ気持ち良い音を最大限に聴かせるだけの麻薬的な、サイケデリックな表現になっており、このイヤホンはただ単に音で遊んでいるだけになっているのである。

 そういうわけで、このイヤホンに比べて、ほとんど無調整にただドライバー3つ並べただけに思えるGlazata TE20のほうがよほど音楽的で正常な感覚を持った見通しの良い音を出し、音場的に破綻がない。

 このイヤホンはほとんど、悪い意味での「ドラッグ」ないし「おもちゃ」でしかない音しか出せない。個人的には聴いていてうんざりする音であるが、一方で聴感上の官能ポイントを刺激することには長けているので、ある種の芸術作品のように独特の美学を持っていることは事実だし、KZの調整に他のイヤホンにない魅力を感じるというのも、それは決してその人の感性が悪いとか耳が悪いとは思わない。そもそも私は正常な音空間ということを繰り返し強調し、このイヤホンを少し低く評価しているが、それは私の聴覚においてそれが受け容れがたいだけであり、人によってはむしろこの新鮮な音空間こそが最高の音質に感じられることは大いにあるし、実際この製品に寄せられる肯定的評価を見れば、メジャーな意見はむしろこの音を歓迎しているはずである。ただ私の意見としては、音空間の破綻は分離感に致命的な欠陥をもたらすので、解像度的には害悪にしかならないだろうということは言っておきたい。

 

 じゃあこのイヤホンは最終的にひどい製品かというと、そうは思わない。個人的評価としては「ほとんど悪い」で、たしかに扱いづらいイヤホンに感じるけど、再生機器の側を考慮することで、幾分、このイヤホンは正常な音楽的感性を回復することができると思っている。つまり、音場が過剰に狭いなら、音場の広い再生機器を使うことで不自然な音空間はとりあえず改善される。手持ちのDAPではKANN CUBEが音場表現で最も優れるので、これに変えると低域と高域がくっつく極端なナロウレンジ感がなくなり、さらに、音のうるさすぎる剥き出し感を抑え、音場の見通しもよくするためにイヤーピースをePro Horn-Shaped tipsに変更することでほとんど普通のドンシャリイヤホンになる。

 それでも異様に中域が貧相なので、厚い低域の床面にボーカルより上の音がぽっかり浮いているような奇妙な感じはあるが、ほとんど自然な音空間になる。

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まとめ

 まとめると、音空間の正常感覚をほとんど犠牲にしてまで「ドンシャリの極致」を過剰なまでに追い求めた感じで、ある意味貴重であり、さらに人によってはかなり楽しい音に感じるであろうことは容易に想像できる。だから個人的には「えー?これいっちゃうの?やめときなよ」とは思うけど、一方でべた褒めしたくなる気持ちも分かるし、好きな人は好きなんだろうなってことも納得できる。

 

美点
  1. 明るい女声へのボーカルフォーカス
  2. 高域のディテール
  3. 低域の量感と存在感
  4. 充分な濃さ、音圧のある音
欠点
  1. あまりに極端な奥行き感
  2. 音空間における縦軸の不足
  3. 過剰な剥き出し感
  4. 露骨な混濁のある落ち着きのない音楽
  5. 過剰に派手
  6. 曲によって異常なほどボーカルに近くなる床面
  7. 中高域以外の中域音など存在していないかのように、過剰に清潔でスカスカな幽霊部員のような中域
  8. 見通しが悪い
  9. 多くの楽曲で開放感に欠ける、音圧と密度感が高すぎる音響表現
  10. 耳への負担感が大きく、聞き疲れしやすい
  11. 音量の上下による音圧の変化量が著しくピーキーで、曲による上下も大きく、耳にダメージを与えやすい

 

[高音]:高域は詳細なディテール感を出すために高いところで強調が加えられており、具体的には弦楽音にのびやかさとややヒステリックな感触があり、シンバルは余韻が過剰で派手派手しい。ボーカルの子音は少し強調されているが、サ行が刺さるほどシャープにはなっていない。中高域にも強調が加えられているために光沢感も強めで、基本的にド派手で華美。この高域は曲によって容易に過剰になりやすく、耳に刺さりやすいところがあるので音量注意(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中高域以外の中域は過剰に後退している。中域自体のディテールは決して悪くないだろうが、ほとんど存在感がないので厚みは感じない。中高域以外はクリーンすぎて、音源によっては中高域からそのまま低域につながっているかのようなナロウレンジ感がある。イコライザーをいじって確認した感じでは、おそらく単純に1khz付近が極端に不足している。

[低音]:100hz~40hzまで濃く、ぶっとい振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音だがわずかな振動感を感じる。低域は存在感が強く、濃く、パンチが強い上に、ほとんどの楽曲で音場の下半分くらいを完全に支配している。そのため床面が高く感じられることも多く、高域音とさえ混濁しやすいところがある。音それ自体はほどよく深掘り感もあり、パンチがはっきりしているので音圧と重量感、衝撃力があるが、ベースラインは強いパンチで途切れ途切れになりやすいので、クリアな低域ではない。というより低域のパンチで高域まで吹き飛ぶ感じすらある。しかしパンチが強いことはリズムのコントロールではプラスに働いているうえにスピード感もあるので、外連味も丁寧に出すという意味では美点もあることは指摘したい。この低域はほとんどの曲で自分が主役と勘違いしてるようで、個人的には過剰にうるさいけど、活きが良く、躍動感に満ちていることは確か(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:中域がとにかく弱く、奥行き感に過剰な強調があって、中高域以上と低域の板挟みになっている。不自然なほどドンシャリ。開放感はなく、手前に出てくる音が強すぎて、奥行きがあるのに音場の見通しが良くない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ぶっちゃけタムもスネアもバスドラも濃く、タムやスネアが上から、バスドラは下から音場をサンドイッチしてくる。タムは上の方でパツパツ皮の粘りを感じるが、輪郭に明るさはなく、パリッとした感じは薄いため、アタック感には不足を感じるかも知れない。ハイハットの存在感は比較的しっかりしているが、低域の暖かい音の支配力が及びやすいので、曲によってドラムに埋没しそうに感じ、マイルドな音なのかと思うが、実際は埋没しないようにハイハットにも強調が加えられているため、ドラムの支配力が弱かったり、ハイハットの頂点を強調するような曲では露骨に派手になる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは低域に埋没しやすい。女声ボーカルはやたらと前に出てくる。「バンドリ!」なんかの曲によくある、明るめのガールズロック曲なんかでは、サビで女声ボーカルが逆上して「頭の血管ぶち切れてるんじゃないの?」って思うくらい、上に向かって圧をかけてくる歌声になる。まあ、ある意味ダイナミクスには満ちていると言えるかも知れない。ただサビで語尾が不自然に伸びるのが気持ち悪い。1khzとその付近を盛ると、普通にボーカルに安定感と、より甘味のあるツヤが出る。

 

【4】官能性「低域ドンドン、女声ボーカルとギターは異様に近い。そのため音場に閉塞感がある」

nano.RIPE「月花」

【Cayin N6II/KANN CUBEで鑑賞】ギター音とドラム音に強調があるこの曲を聴けば分かるが、単純に音場が狭い。元々密度感が高い曲だけど、少し高めのボーカルが近くにいるにも関わらず、バスドラがボーカルにかかり、ギターも同様にやたら前面に出てくる。要するに音楽構造に焦点がない。極端なドンシャリにして奥行き感に強調を加えているので、かろうじて聴ける感じだが、下半分から2/3くらいバスドラムの支配領域となっており、そのうえにすぐにギターとボーカルがくるので単純に音場の縦軸が不足しており、余裕がない。ゴチャゴチャうるさい。以上。

 適正音量ではKANN CUBEでないとまともに聴ける感じがしない。

 


シアワセのクツ

 

Poppin'Party「ガールズコート」

【Cayin N6II/KANN CUBEで鑑賞】高域で結構派手に明るい音を聴かせる割に、音場に開放感がない。単純にドラムとボーカルが近くてベースもやたら前の方で聞こえるので、位置関係的に自然な深さを出せておらず、せっかくの存在感にも関わらず、深さを出すことに失敗しているように感じる。そして全体的に音が濃く近く、ぎっしりで縦軸の不足がなおさら窮屈感を出す。パンチ力のあるドラム、この曲では途切れないベースライン、ツヤのある明るいボーカルと個々の表現には面白味を感じるものの、ぎっしりしすぎて風通しが悪く、それぞれの音が主役級だと自己主張するので、音楽全体を見ると烏合の衆に成り果て、「船頭多くして船山に上る」の観あり。圧迫感しかない。

 なんとなくこのイヤホンでやりたかったであろうことは分かるが、それならただ聴かせたい音を目立たせるのではなく、適切なレイヤリングをして音の重なりに実体感を持たせ、風通しを良くしないといけないと思う。透明感が足りない。

 


ガールズコード

 

【5】総評「迫力あるドンシャリを密度感重視でガンガン聴きたいならおすすめ。」

 異様に聞き疲れやすい音で耳への負担感が大きく、率直に言って不健康な音である。個人的にセーフリスニングの観点から、このイヤホンには危険な感じしかしない。音量を上げるとすぐ音圧が増し、音場は狭くなり、高域のピーキーさが際立つ。とくにパンチ力と高域の白味は音量を上昇させるとすぐ上がるので、音量には充分気をつけた方が良い。もしかしたらベント穴を開け忘れた可能性がある。適正音量では圧迫感が強すぎ、小音量なら他のイヤホンと音はあまり変わらない。イヤホン難聴になりたくないなら、こんなのは聴かない方がいい。

 しかし低域ジャンキーあるいはドンシャリ好きな人で「なんかよくわからんけど、とにかく刺激が欲しい」って人には格好の遊び相手になってくれるはずだ。個人的には厳しい評価を下したことになってしまうが、ひどい機種だと早合点せずに、好意的なレビューもよく読んで総合的な判断をして頂けると嬉しい。音圧を気持ち良く感じたいならこれ以上の機種はあまりないかも知れないし。

 

推奨する好意的レビュー

 すでに紹介したaudiophileonのレビューの他に、本レビュー掲載後に見つけたThePhonographの以下のレビューは非常によくZSXの特徴を捉えており、私が魅力をうまく伝えられないポイントについて補足をしてくれると思われます。イコライジングについても中域の下側が肝だということも含めて私も同意見です。個人的意見としては内容が好意的すぎるし、ベントを塞ぐといいよみたいなことが書いてあるんで、「この音でベント塞ぐとか正気かよ?」って思いますし、中域の欠点を適切にほのめかしつつ、「活き活きした中域」なんて言ってるのは、意識的にやっていることなのか無意識にやっているのか判別不可能です(私なら「躁鬱の激しい中域」と書く)が、中域部分のレビューを読むと、問題点はすげぇ的確にさらっと書いてるんで、この人はこういう音が好きなんだと思います。そういう意味で、私とは音の感性が異なり、音楽を違う楽しみ方をしているであろう人の、こういう意見は、より心に響く可能性があります。

 すごくよくイメージを伝えているのは事実で、このイヤホンを露骨に好意的に判断するとこういうレビューになるはずです。信頼が置けます。

www.thephonograph.net

 

このイヤホンへの処方箋

 イコライザーで1khzとその周辺を強調するだけで、このイヤホンの音響は自然になります。音に厚みとツヤが出て、低域と中高域の間に緩衝が設けられることで、縦軸の不足感が緩和され、不自然な奥行き感は修正されます。16khz周辺を下げるという選択肢もありますが、低域のうるさい感じはほとんど改善されないので、中域を盛るのが手っ取り早いでしょう。

 

KZ ZSX

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。