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【高級イヤホン試聴レビュー Klipsch X20i】百合のような優美なフォルムに、豊かで優雅な音を備える。どんな音楽も麗しく聴かせるクリプシュサウンドの極致[KANN CUBEで聴く高級オーディオ]

Klipsch X20i

Klipsch X20i

Klipsch ハイレゾ対応イヤホン New-Xシリーズ X20i KLKX20I111

 

 

【0】免責事項

 このレビューは販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。

 

 テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。

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 一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。

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※この機種はノズルが細いのでJVC スパイラルドット++は使えませんでした。このレビューではSpinfit CP360を使用しております。

 

【1】装着感/遮音性/通信品質/ビルドクオリティ

装着感

 耳に差し込むタイプ。この付け心地に好き嫌いはあるが、女性の耳には意外とよくフィットする。

遮音性

 遮音性はそこそこ。差し込み型だがイヤーピースによっては隙間ができやすいので遮音性にはムラがある。

ビルドクオリティ

 ビルドクオリティは文句なく高い。独特の質感のあるなめらかなデザインはクリプシュ好きにはたまらない。

 

【2】イヤーピース考察

 この機種のノズルの太さは細め。

  1. SpinFit CP360は音像が明瞭で装着性も高い。相性高め。
  2. Acoutune AET08では低域の量感が増す。中域に太さが出て、豊かな感じになる。
  3. final E Violetは全体的に中高域がはっきりし、パーカッションに手がかりが多くなり、艶やかさが増す。
  4. final E Clearは中高域から高域にかけてのあたりに清潔感が出て、緻密感が増す。また低域の音にも張りが出てくる。
  5. FAudio FA INSTRUMENTは低域に広がりが出て、主張が強めになる。
  6. Deep Mountは重低音のドンが増し、低域にブーム感が出る。低域がタイトになるのでワイドレンジ感も増す。

 

【3】音質

総合:27/30

高域:9/10

優美で温厚。しかししっかりと拡張されている高域

  • 質感:ややウォーム、みずみずしい、艶やか
  • 明るさ:明るめ
  • 拡張性:良好
  • 派手さ:やや派手
  • 緻密さ:やや緻密

 弦楽や管楽がみずみずしく、ピアノも艶やかで潤いのある音色を奏でる。これらの音は尖りを感じさせず、優美に伸び、華やかな色合いを持っているが、過剰な存在感がなく、鼻につくことがない。

 音は細くなりすぎず、適度で自然な太さが維持されている。シンバルは空気感を強調する、手応えは柔らかめの嫋やかな音色で聞こえる。

 

中域:9/10

充実感があり、情緒豊か。

  • 質感:ややウォーム、ふっくら
  • 明るさ:明るめ
  • 横幅:広い
  • 奥行き:広い
  • ボーカル:自然、ふっくら、ウェット感も出る

 中低域に厚みを感じるので、中域は少しふっくらと豊満な印象を受ける。輪郭は柔らかに描かれており、音像は少し膨張しながら聞こえるが、不鮮明ではなく、むしろ中域の充実につながっている。ボーカルは中域で豊かで、息感に温もりや湿りも感じられ、情緒が豊かに味わえる。Klipschらしい豊穣さのある中域。

 

低域:9/10

温かく雄大な大地のような低域

  • 質感:ウォーム
  • 明るさ:明るめ
  • 重心:普通
  • 重み:普通
  • 重低音:地熱感があり、暖か

 100hz~30hzまで厚みのある振動。20hzでほぼ無音。

 重低音の深いところはしっかりと地熱となっており、ベースにじんじんと温かい情緒的な色合いがある。中低域には膨張感が持たせられており、バスドラムに優しい手応えを出し、心地よい温かみを提供しているが、重低音をマスキングする感じはなく、ベース音とドラムの輪郭はそれなりに分離されている。しかし、全体像から低域を聴いてみると、どちらかといえば一体感の方に重きが置かれていて、少し渾然としながら低域全体で豊かな地平を感じさせてくれる雄大な音である。

 

【4】官能性

ハルカトミユキ「17才」

 比較的金属光沢の多い曲で、高域の色味を見るのに聴いている曲。

 シンバルの音色が柔らかいが、色ははっきりと濃く、上ではシャーンという空気感も丁寧に表現されるので、自然で明るさを強調しないが、暗い感じは全然ない。アコースティックギターにも温もり感があり、刻みも穏やかだが色づきが良く、草の匂いが香るような風味がある。音場は非常に情緒的だが、何よりボーカルが湿っぽさと温もり感を出していて、息遣いや吐息にライブ感があって生々しい。ディテールを強調しないようでいて、そのほどよく濃厚な温度感に安心して浸っていると、ある時はっと気づいたら音楽の世界観に包み込まれているような、淡く繊細なディテール感を感じる。

 


17才

 

山崎あおい「君のいない夏なんて嫌いだ」

 この曲を湿っぽく情緒豊かに聴くなら、同じ価格帯でKlipsch X20iに勝る機種はそうそういない。全体的に手がかりを適度に与えていながら、そのディテールを強調することなく、全体の統一感を維持して聴かせてくれる。豊かな中低域の音が音場全体の温度感につながり、放射熱を受けたピアノやギターが、その熱気によって芽吹くように、みずみずしいつややかな音で煌めく。ボーカルも楽器に適度に包まれながら、つややかに聞こえてくる。

 


12センチ (初回限定盤)

 

大塚利恵「夏気球」

 音場に適度な温度感があり、ベースのじんわりした音が、濃すぎず、強すぎず、目立たないのに、音を下ごしらえするかのように、しっかりと風味を出している。ボーカルはまるっとしたつややかさと温もり感を持っていて、耳から胸に染み渡る。この充実した感じがいかにもクリプシュっぽくて、温度感があって聞き心地が良いのに、解像度が高くよく聴くとディテールがしかり味わえる。

 


夏気球

 

上坂すみれ「POP TEAM EPIC」

 かなりきつめの緻密感がある感じのトランス感がある曲なので、臭みが出やすい感じの曲だが、X20iで聴くとライブ感がありつつ、尖るきついところはうまく丸め込み、聴かせるべき電子音のキラキラ感はちゃんと聴かせるという、なかなかうまい調整をする。明らかにマイルドにしている感じだが、それでも高域に不足感がなく、音の高さはしっかりしていて、解像感も失われていない。

 低域にもスピード感がしっかりあり、やや激しいこの曲でも、もっさりして音が滞る感じなく走り抜けていく。

 


POP TEAM EPIC

 

SPYAIR「サムライハート」

 ベースやドラムに熱気があるので、ロックでも充分な熱気がある。床面はあまりビシバシしないが、既述のようにスピード感はしっかりしているが、タイト感を求める人には少し物足りないところはあるかも知れない。

 ギターはしっかり黒く、エッジ良く聞こえ、ハイハットの空気感、ライドシンバルのチンチン音も温かい空間で少し優しく、しかしはっきりと存在感を持って聞こえる。ボーカルはSPYAIR独特のHOTな息感が湿っぽさも感じさせながら聞こえてきて、非常にセクシー。

 


サムライハート(Some Like It Hot!!)

 

奥華子「窓辺」

 動画は弾き語り版になっているので雰囲気は少し異なるが、どんな曲かの参考にあげる。

 この曲ではアコースティックギターの色彩がしっかり感じられるので、暗めの曲でありながら、中高域に一定の明るさを感じられる手がかりがある。そのせいか、この曲にややポジティブな華やかさがあり、どちらかといえば湿っぽく暗い曲にも拘わらず、穏やかな情緒が感じられ、ひたすら落ち込む感じではなく、光明が感じられる。穏やかで温かく弾むドラムも音場を上向かせている。ボーカルやギターのしっとり感をしっかり味わわせつつも、優美で力強ささえ感じられる生命感があり、癒やされる。

 


やさしい花の咲く場所

 

【総評】ディテールを決して強調しない、でも確かなディテールがある音。クリプシュらしい優美で上質なサウンド。

 クリプシュの音がどうして好きなのかっていうと、やっぱり音が柔らかい感じなのにボンヤリしてないってところに尽きると思います。個々の音のディテールや手がかりをあまり強調せずに全体としてゆるやかな感じで温かみを加えて聴かせてくれるので、音にしっかり浸れて包まれることができるんですよね。でもその音は決してマイルドなだけじゃなくて、細やかなディテールは存在していて、音のみずみずしさとか質感が感じられるんですけど、はっきりした感じじゃないというバランス感覚が秀逸すぎて惚れます。

 奥ゆかしいというか、余裕を感じる表現で、音の余韻とか響き方をよく考えて、「こう聴かせたい」っていう設計思想がちゃんと備わっているのがクリプシュ製品です。とくにこのX20iは、いかにもクリプシュらしい派手さを強調しないのに高くまで伸びている透明でしかも自然な太さのある高域と、雄大で地熱豊かな低域のコラボレーションが見事に整えられています。ゆったりしているのにスピード感も充分にあって、比較的万能に、それでいてどの曲もクリプシュらしく聴かせてくれる独特の風味が、すごく好きです。

 

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