中華イヤホンとは?
中華イヤホンとは中国で製造されている中国独自ブランドのイヤホンのことです。amazonなどのネット通販の拡大により、2010年ごろから流通が増え、現在では爆発的な人気を得るようになってきました。音質に対するコストパフォーマンスが優れていることで知られています。
5年前くらいまでは中華イヤホンというと安かろう悪かろうの製品の代名詞でしたが、ここ数年は技術的進歩も早く、さらに中華イヤホンブランドは最新技術の導入に非常に熱心なため、サウンドパフォーマンスは大幅に改善しました。現在では日本をはじめ先進国の一流ブランドに勝るとも劣らない製品が生み出されています。
割安で良い音の中華イヤホン。なぜ安い?
中華イヤホンの進歩は世界経済の動向と密接に関係しています。2000年代以降、中国は世界の工場として躍進し、オーディオ製品においても世界的な生産拠点となります。
主要なオーディオブランドが軒並み中国に製造拠点を構え、中国の深圳や東莞などにそうした一流ブランドのオーディオ製造施設が集まり、最先端のオーディオ関連技術が中国に集約されるようになりました。
2000年代後半から2010年代にかけて、そうしたオーディオブランドで知識と経験を積んだエンジニアやデザイナーが独立したり、OEMやODMを請け負っていたメーカーが販売ノウハウに習熟して、独自ブランドを立ち上げる動きが活発化します。
こうした独自ブランドは当時急速に発展していたamazonやeBayといったインターネット通販流通網を活用し、中間コストを排除することで大手ブランドよりも高いコストパフォーマンスを実現しました。
初期の中華イヤホンはパッケージやビルドクオリティは良質とは言えませんでしたが、現在では1万円台でもきれいで豪華なパッケージを備えるようになり、ビルドクオリティも先進国の同価格帯の製品以上のものが提供されるようになっています。
何より、最先端の音響技術を取り入れるのが早いため、中華イヤホンは音質面でも有利です。中華イヤホンは開発から製品化のスピードも早く、モデルチェンジが早いのも特徴です。売れる商品の改良にも熱心です。
この記事では2021年10月時点で最新の中華イヤホンの低価格モデルを紹介します。
TRN MT1
廉価な価格で手に入るシングルダイナミックドライバーモデルのTRN MT1は非常に優れたエントリー製品です。
明るく聞こえる中域とパワフルな低域を持ち、音楽は前方定位感のある奥行き感のあるステージングを提供します。中域は少し奥に聞こえますが、ボーカルは十分に音像が大きく、よく聞こえるため、ボーカルファンを満足させます。
低域のランブルは強くないものの、ドラムキック、ベースノートはドライで、深くはありませんが、十分に強くキックが感じられます。またTRN MT1は高域がよく調整されており、歯擦音が強くなることはなく、聞き苦しさがありません。一方で鮮明感はかなり良好で、音楽のディテールをよく浮かび上がらせます。
TRN MT1のスペック
- ドライバーユニット:10mmデュアル磁気回路DDユニット
- インピーダンス:22.5Ω
- 感度:106dB / mW
- 周波数範囲:20-20000Hz
- コネクタ:2ピン0.75mm
- 色:クリア、エメラルド、クリアブラック
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KZ EDX Pro
廉価で人気製品を多く手掛けるKZのシングルダイナミックドライバーイヤホンです。低価格とは思えない美しいデザインで話題になっています。
前世代のKZ EDXは低価格でありながら拡張性に優れ、没入感の高い良質なドンシャリサウンドで好評を博しました。KZ EDX Proはサウンド面はほとんど変更していません。
KZ EDX Proは低域が力強くはっきりと聞こえ、中高域も鮮やかなのでダイナミックに聞こえるサウンドが特徴です。ボーカルは少し暗いですが、音楽全体がパワフルでエネルギッシュに聞こえ、高域の伸びも良いので、音場も低価格とは思えないほど開放的に聞こえます。
KZ EDX Proのスペック
- ドライバーユニット:10mmデュアル磁気回路DDユニット
- インピーダンス:24Ω
- 感度:112dB / mW
- 周波数範囲:10-20000Hz
- コネクタ:2ピン0.75mm
- 色:クリア、シアン、クリアブラック
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CCA NRA
CCAはKZの姉妹ブランドで、手頃な価格で優れたイヤホンを提供してきた歴史があります。CCA NRAはこのブランドが初めて投入する静電型イヤホンです。
NRAは、パンチの効いた中低音を備えた良質な低音ブーストを備えています。アタックとディケイのスピード、ウェイトとコントロールのバランスが取れており、膨張感や音像のぼやけはありません。重低域は少し不足しますが、ランブルは悪くないでしょう。NRAは静電型が提供する詳細で伸びの良い高域のおかげで、中域がはっきりと聞こえ、この価格帯ではかなり魅力的な製品です。高域は少しピーク感が強いので、高域に敏感な人を悩ませる可能性があります。
CCA NRAのスペック
- ドライバーユニット:ダイナミックドライバー+静電型ツイーター
- インピーダンス:23Ω
- 感度:103dB / mW
- 周波数範囲:20-40000Hz
- コネクタ:2ピン0.75mm
- 色:シルバー
KZ ZEX
最新モデルであるKZ ZEXは静電型ツイーターを搭載したはじめてのKZイヤホンです。静電型ドライバーは同様の機能を提供するバランスド・アーマチュアドライバーより低歪でサウンド出力できるため、ハイブリッドドライバーイヤホンの長年の課題であったTHDの問題を解決することができます。
そのサウンドはバランスが取れたニュートラル系サウンドで、低域は十分に持ち上がっていながらも、中域をほとんど邪魔せず、ボーカルや楽器も充実して聞こえます。歯擦音がほとんどない滑らかなチューニングと静電型らしい高域の伸びと輝度の強調があり、低価格で静電型ツイーターを導入した革新的な意義がはっきりわかるでしょう。
KZ ZEXのスペック
- ドライバーユニット:ダイナミックドライバー+静電型ツイーター
- インピーダンス:25Ω
- 感度:103dB / mW
- 周波数範囲:20-40000Hz
- コネクタ:2ピン0.75mm
- 色:ブラック、ローズゴールド、グラフェン
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CCZ Coffee Bean
新ブランド「CCZ」は精力的にイヤホンをリリースしています。
CCZ Coffee Beanは全体的に非常にバランスの取れた温かみのあるサウンドを持っており、この価格帯で優れた音色とかなり自然な調性の音楽を聞かせます。音は少し暗いですが、分離も悪くありません。女声ボーカルよりは男声ボーカル向きです。低域はかなり適切に制御され、中域とバランスが取れています。
この価格ではかなり評判が良いイヤホンです。
CCZ Coffee Beanのスペック
- ドライバーユニット:10mmデュアル磁気回路ダイナミックドライバー
- インピーダンス:18±2Ω
- 感度:111±3dB / mW
- 周波数範囲:20-20000Hz
- コネクタ:2ピン0.78mm
- 色:ブラック、ブラウン
KBEAR KS1
KBEAR KS1のサウンドはCCZ Cofee Beanに似ていますが、よりウォームで暗く、落ち着きがある上品なサウンドです。
男声女声ともにボーカルは自然に近く、楽器とボーカルは美しく、ステージングが強調されていて、ウォームなサウンドで中域の聴き心地がよく、この価格帯では素晴らしいミッドパフォーマンスを持っています。ただし中高域の艶やかさに欠けるため、色彩感ではCoffee Beanのほうが優れています。
KBEAR KS1のスペック
- ドライバーユニット:10mmデュアル磁気回路ダイナミックドライバー
- インピーダンス:16Ω
- 感度:109dB / mW
- 周波数範囲:20-20000Hz
- コネクタ:2ピン0.78mm
- 色:ブラック、ホワイト
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