JVC HA-XC70BT-R 完全ワイヤレスイヤホン XXシリーズ/Bluetooth対応/重低音/最大12時間再生 レッド
おすすめ度*1 |
---|
ASIN |
耳への収まりの良い小型ハウジング。出っ張りがあるが耳に干渉しづらいデザインになっている。密着度も高め。遮音性はそこそこ高い。音漏れは少し。
AAC対応。aptX対応ではないが、通信性能面では、遅延・途絶はなく、安定している。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、説明書。
【2】音質
本機種にはバスブーストモードが搭載されており、それをONにすることにより完全ワイヤレスの常識を越えるような重低音の感覚を実現している。後述するように実際の低音はあまり出ているとは必ずしも言えないが、中低域付近に圧を感じさせることで低音の存在感を感じる一種の錯覚を利用しているとのこと(ヨドバシカメラの担当者に説明を伺った)。音質的には重厚感がしっかり感じられる足場の上に、空間表現に秀でた中高域が乗っかっている。完全ワイヤレスではありがちなシャリ感はほとんど感じられず、自然に近い音色。価格を考えてもほぼほぼ文句のない音質だ。
[高音]:突き抜け感もそこそこ感じられる。きらきすぎずシャリ感の少ない、自然な温もり感のある伸びやかさ(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:弦楽の存在感があり、空間表現と情感は出やすい。
[低音]:意外にも40hz以下はほぼ無音で重低音がそれほど出ているわけではない。だが低域の厚みはしっかり感じられ、しかもブーミーになりすぎない締まりを感じる音。素直に良質に思える(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:広く、奥行き感が感じられる。圧迫感のない広い球状空間(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムはやや衝撃力強めでシャープに出る。粘りはそこそこ。シンバルも尖りのある音でアタック感は出やすいが、耳に刺さらない(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ナチュラルで中盤ふっくら。やわらかく空間に伸びていく。
【3】官能性
SPYAIR「0 GAME」はドラムの衝撃力と反発力がある。パーカッションが強い曲なので、ややシャリつく傾向は出てしまうが、気になるほどではない。ボーカルは輪郭感良好で楽器に埋もれない。
下地紫野「プ・レ・ゼ・ン・ト」は重厚感と深掘り感が良好な低域弦楽の表現力に妙味あり。サビの突き抜け感とのびやかさのあるボーカルの甘味も自然。ピアノの色づきも良く、全体的に充実している。
高橋李依「小さな恋の歌」は重厚で色彩感があるが、目立ちすぎないパーカッションがバランス良い。自然な甘味と息遣いのボーカルの色彩感覚も絶妙なラインだ。
山崎あおい「君のいない夏なんて嫌いだ」はエッジ感良好な弦楽が煌めきすぎず、色彩豊かだが、自然な材質感が感じられる。ボーカルもナチュラルでシャリつかない息遣いと膨らみがあり、耳に温もり感を与える声色。全体としてややスウィート味に振れた甘苦い感じになっている。
【4】総評
夏のボーナスを握りしめて完全ワイヤレスモデルを物色していた時にPioneer SE-C8TWとともにその音質に感動した製品。2018年9月上旬現在15,000円程度とまだ割高な印象だが、年末にかけて1万円近くまで徐々に値が落ち着くだろうと思われる。音質は完全ワイヤレスでは抜きんでているので、現状でも十分にコスパは良いが、ライヴァルとなるSE-C8TWとの価格差を考えるともう少しこなれるまで待ちたい気持ちもあるかも知れない。
バッテリー駆動時間は連続再生3時間と標準的だが、バッテリーケースの蓄積量が多く、実際の使い勝手はかなりよい。HA-ET900BTでは若干懸案であった付け心地の問題も見事にクリアされており、総合的な使い心地は大幅に向上している。完全ワイヤレスモデルの購入を検討するなら、ぜひ選択肢に入れておくべきオススメ機種である。
【5】このイヤホン向きの曲
緻密な背景音と深みを感じさせる低域表現が広大な宇宙のような空間を感じさせ、散りばめられた音の輝きに引き込んでくる。音の輝きには煌めきすぎない、重みを感じさせる生命的な濃密さがある。
のびやかに空に抜けるような弦楽と勢いのあるパーカッションが明るめで躍動的な空間を作る。ボーカルものびやかだが、息遣いに温もりがあり、甘味も感じられる。自然な温度感と開放感がなかなかよい。
ブーム感を感じさせながら、ボワボワッとくずれずまとまりのよいベース音。精彩のあるシンバル。パーカッションの作り出す熱気が心地よい。マグマのような熱量感のあるリズム音の中でしかし、ボーカルも埋もれない。
ピアノの音色に煌めきだけでなく重みもあって色彩感は良好。トリオボーカルの左右の方向感も比較的しっかり出ており、定位感の遊び心も十分味わえる。
JVC HA-XC70BT-R 完全ワイヤレスイヤホン XXシリーズ/Bluetooth対応/重低音/最大12時間再生 レッド
【関連記事】
*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。