- 【1】装着感/遮音性/通信品質「コンパクトなケース。丸みを帯びて耳に優しく嵌まる装着感。かなり堅牢な通信品質」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「タッチパネル式」
- 【3】音質「中高域を中心にマイルドに聞かせるバランス」
- 【4】官能性「適度にマイルド。聞き心地が安定している」
- 【5】総評「音圧が若干緩くてウォームな傾向なのは好みを分けるかも知れないけど、これはいいね」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「コンパクトなケース。丸みを帯びて耳に優しく嵌まる装着感。かなり堅牢な通信品質」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
丸みを帯びたデザインのハウジングは耳に自然に収まる。遮音性はそこそこ高い。
対応コーデックはAAC/SBC。通信品質はかなり安定しており、テスト環境(Cayin N6ii[AAC]/ONKYO GRANBEAT[SBC])では都内のターミナル駅でも駅のホームくらいでしか途切れを感じない。ただしテストを行ったのは通勤混雑時ではない。路面移動中はほぼ途切れず、安定動作する。
通信チップはRealtek RTL8763と明記されている。パッケージにはわざわざ「日本ではカニチップと別称」といらんことまで書かれている。マーケティングなども積極的に行っていくとパッケージで宣言しているあたり、日本展開に積極的な雰囲気を感じる。
【2】外観・インターフェース・付属品「タッチパネル式」
付属品はイヤーピースの替え、USB充電ケーブル、専用充電ケース、説明書。イヤホン単体の連続再生時間は5時間、ケース込みで最大25時間程度。防水性能はIPX5。
操作インターフェースはタッチパネル式。操作性は普通で、反応が非常に良いという感じではないが、そこそこスムーズ。日本展開を本気で考えているだけあって、ガイダンス音声は完全日本語化されている。自動ペアリング、自動接続/切断に対応。
【3】音質「中高域を中心にマイルドに聞かせるバランス」
中高域を中心にマイルドに聴かせる音質で、ポップスをはじめ比較的万能に聴けそう。同じような音質傾向のMEBUYZ E18とSONY NW-A55に繋いで聞き比べたが、こちらのほうが低域の存在感がわずかに強く、MEBUYZ E18のほうは同じ音量だと音は少し濃いくらいの差で、ほとんど似ている。少なくともSBC接続で試す感じ、音質的に全く一緒ではないが、ほとんど違いは無いので、この2つの機種で迷った場合は、デザインや使い勝手で選んで問題ないだろう。
そういうわけでほとんど印象は直近に紹介したMEBUYZ E18とあまり変わらないので、だいたい同じような音質レビューになるわけだが、この機種は中高域をほどよくマイルドに温かめに聴かせるバランスの弱ドンシャリである。中低域に一定の厚みがあって中域以上を支えているが、中高域の方が重視されているので見通し感は良く、聞き心地をマイルドにする以上の演出は感じない。色味的にややウォームに寄せるといった感じだろう。高域もマイルドに閉じられており、シンバルの空気感や高域のディテールはほどほどに抑えられ、質感はシルキーで耳当たりが良い。
全体の組み立てとしては女声ボーカル付近の中高域をほどよく温かめに聴かせることに集中し、その周辺はマイルドに仕上げてディテールをやや抑えてあるといった感じだ。
美点
- 価格を考えると充分な解像度
- 弱ドンシャリで万能に聞きやすい
- 中低域に少し厚みがあってややウォーム
- 中高域が最も目立ち、女声ボーカルが聴きやすい
欠点
- 高域のディテールと突き抜け感、空気感にやや欠ける
- ボーカルの息感は抑えめでウォームに寄っている
- 音圧がゆるめなのでメリハリに欠ける印象を受けるかもしれない
[高音]:高域は上に向かってなだらかに閉じていく。開放感はほどほどで高域のディテールはそこそこだがダンスを楽しめるくらいはあり、シンバルのシャーンという空気感はそれなりに感じられ、女声ボーカルの抜けも良いとは言えないかも知れないが、すらっと抜けるので悪い感じではない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中域は充分に明るく、マイルドなポップスからややロック向きな味付けに思える。ギターのディストーションにもそれなりの高さが出る。このあたりが一番聞こえるバランスになっており、ボーカルやアコースティックギターはよく味わえる。ディテールも良い。
[低音]:100hz~30hzまでややボーッとした厚い振動。20hzでほぼ無音。低域はやや手応えが柔らかめでベースは温かめ。中低域に少し膨らみがあるが、低域はクリアで下まで見通しやすいが、中高域に比べると存在感控えめ(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:中高域が浮き上がって聞こえるバランスでやや上に前屈みな温情を感じる。低域の主張は強くなく支えるバランスで、中域には一定の清潔感がある弱ドンシャリな組み立て(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムは少しタムの鼓面にパリパリした感じがあり上では少し明るいが、低域の濃さもあって全体として見るとニュートラル。バスドラキックは若干柔らかく濃さはそれほどでもない。少し下に重いバツンバツン系の音。ハイハットはチクチクした感じが聞こえ、少し上に空気感も広がり、ドラムに負けない存在感がある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルは全体的に少し明るめ。女声ボーカルは甘味も充分で上にも少し伸びを感じる。男声ボーカルは少し中性的に思えるが、下でも一定の濃さを感じることができる。
【4】官能性「適度にマイルド。聞き心地が安定している」
ZAYN & Zhavia Ward「A Whole New World」
中高域にディテールが集中し、やや明るめに充実して聴かせる。その周囲は高域は少しスッキリマイルド、中域方向も清潔感があり、やや離れて中低域が厚みを出してやや広めに支えるという王道的な配置。低域の深掘り感もほどよく、濃さもややはっきりと聞こえるので下支えする存在感充分。こういう王道ポップスとは相性よさげ。
アラジン (オリジナル・サウンドトラック / デラックス盤)
鈴木克崇「ゴルベーザ四天王とのバトル FFRK Ver. arrange From FFIV」
中高域あたりの弦楽や金管を熱気を維持しながら聞かせるバランス。中域に清潔感があるので、中低域までの低域の広がりを適度に感じさせつつ、メインの旋律に被さらないようなバランスで聴き応えと聞き心地のバランスが取られている。やや音圧は抑えめで場合によって低域に力不足を感じるくらいだが、全体的な組み立てはバランスをよく考えて構築されている印象。
ゴルベーザ四天王とのバトル FFRK Ver. arrange from FFIV
the Dave Brubeck Quartet「Take Five」
中高域は少し明るめに感じるくらいだが、中低域以下の沈みこむ感じが良いので、ほどよい濃厚感がある。音圧が抑えめなのも、ムード作りに貢献しているかも。シンバルは空気感を少し出しつつ、チンチンしたあたりを丁寧に聴かせ、その落ち着いた色味の中で、木管が下で渋みも出しながら、やや明るめに浮き上がる。
Take Five - The Best of the Dave Brubeck Quartet
μ's「それは僕たちの奇跡」
ちょっと音圧緩いから、ズドンとかってリズムがところどころ締めが甘くて、ややメリハリに欠ける印象はある。ギターはほどよく暖かく、音の広がりも悪くないが、やはりちょっと濃さが足りないかも知れない。一方でボーカルは暖かみと甘味をしっかり出しつつ、抜けも少し出て充実感がある。それでもこういうアイドル系ソングを楽しむには、抜けが足りない印象もあり、人によってはややもさっとしていると感じるかも知れない。
【5】総評「音圧が若干緩くてウォームな傾向なのは好みを分けるかも知れないけど、これはいいね」
低価格で通信品質が安定しているのが非常に好ましいポイント。この機種は4000円を切るくらいでかなり安めなのもよく、ガイダンス音声や説明書までしっかり日本語化されているのも、人によってはかなりポイント高いかも知れない。日常使用でほぼ不満を感じることはなさそうで、強いて言えば音質が緩いウォームな感じなのが、まあ好みを分けるかも知れないといったところ。これはおすすめできる。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。