- 深く重い低域
- 派手でエッジの立ったサウンド
- aptXに対応しない
- 【1】装着感/遮音性/通信品質「スポーツタイプで装着感は良好」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「充電ケースはモバイルバッテリー機能付き」
- 【3】音質「重く暖かい低域と、のびやかでマイルドな高域が味わえる、重厚なU字に近いドンシャリ」
- 【4】官能性「やや派手で聞き疲れしやすいが、甘味があって艶やかなドンシャリ」
- 【5】総評「重厚感とシャープネスが同居し、ボーカルニュアンスも良好」
- 【関連記事】
【1】装着感/遮音性/通信品質「スポーツタイプで装着感は良好」
おすすめ度*1 | |
---|---|
ASIN | |
B085DKYL3G |
イヤーフックつきのデザインで、装着感は良好です。遮音性も悪くなく、音漏れも少なめです。
対応コーデックはAAC/SBCです。通信性能については、いつもは混雑した場所でロケテストをするんですが、今回は行っておりません。新型コロナの流行もあり、混雑する場所への外出を控えているためです。
FiiO M15にAAC接続で繋いでテストしましたが、距離耐性はなかなか良好で、5mくらいまでシームレスで途切れません。近所を歩き回った感じ、外出時もよほど混雑する場所でなければ、たぶん途切れはあまりなさそうです。
amazon Prime Videoで「邪神ちゃんドロップキック´」を鑑賞しましたが、遅延はありませんでした。
テスト環境
今回のテストはFiiO M15、Galaxy A30、ONKYO GRANBEAT、Shanling M6、FiiO M11 Pro SSで行っています。
装着サンプル
【2】外観・インターフェース・付属品「充電ケースはモバイルバッテリー機能付き」
付属品は充電用USBケーブル(Type-C)、イヤーのズルカバー、専用充電ケース、説明書です。
スペック情報
- Bluetoothバージョン:5.0
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 連続再生時間/最大再生時間:15時間/-
- 防水性能:IPX7
【3】音質「重く暖かい低域と、のびやかでマイルドな高域が味わえる、重厚なU字に近いドンシャリ」
このレビューは標準イヤーピースのLサイズを使用して執筆いたしました。
周波数特性イメージ(試験運用中)
※周波数特性イメージはあくまでレビューの便宜上、個人的に周波数分布のだいたいのイメージを掴むための参考情報で、測定方法も測定されたデータも非常にアバウトで厳密な信頼性や正確性に欠けます。いずれ勉強を深めて信頼性を高めていきたいとは思いますが、本ブログは周波数特性の測定をメインとしていませんので、期待しないで下さい。私自身も聴感上の音像印象の解釈の補助として利用しているだけで、この周波数特性イメージを全面的に信頼し、依拠しているわけではありません。
※またイヤホンの周波数特性イメージはヘッドホンの測定値との互換性を持たせるために、外耳道を疑似的に再現した環境で測定されています。
レコーディングシグネチャー(試験運用中)
レコーディングシグネチャーはバイノーラル録音されていますが、品質は良くありません。人工的に外耳道に近い環境を作って録音していますので、それなりに自然に近い音になっているとは思いますが、聴いたそのままの音質とは異なりますので、あくまで参考情報ということでお願いします。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
原曲①
ギンノイシ Silver Will / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
原曲②
淡い恋~Too full with love~ / Ys HEALING / Copyright © Nihon Falcom Corporation
原曲③
花と風のうた / Zwei!! Super Arrange Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
音域印象
シャープ感がある、エッジが立っている、子音が尖りやすい、ギラつく、アグレッシブ、アタック感がある、クラッシュ感がある、甘味がある、ボーカルフォーカスが良い
低域「重み、深さ、地熱」
低域は深いところまで沈み込み、地熱があります。エレキベースはブンブンウンウンしており、熱気が感じられます。キックもやや丸く床面に鳴動感が伝わる広がりがあります。膨らみは強くないので、ベースとキックのぶつかりはうまく避けられていて、熱気で少しボンヤリしていますが、キックとベースのディテールの描き分けはしっかりしています。またドラム音は膨張感はそれほどないので、ブーミーな重低音の広がりを持っていますが、リズムコントロールの点では比較的タイトです。
低域弦楽は深みがあり、厚みは抑えめなので少し下にゴリッと重みがあり、重量感があります。ややドンドン鳴動感が強く、床面を意識して聞こえるでしょう。
低域は全体的に重量感と深さ、熱気があります。中域からは充分分離されて深みと鳴動感を感じさせてくれるでしょう。
中域「透明、清潔、モニター的」
中域はゆるやかに前傾しています。低域近くでは厚みが抑えられており、パンチは強くありません。胴鳴り感の強調もそれほどなく、中域下は清潔で透明感があり、低域の深みを覗き込みやすくなっています。そのため、音の沈み込みは悪くありません。厚みはやや抑えめなので音に透明感があります。ボディの厚みはあまりないので、中域で豊満さは強調されず、むしろ中高域の手がかりが強調されて、やや派手めでエッジを感じます。中域に関する限り、モニター的と言える見通し感があります。
高域「エッジ、荒さ、シャープネス」
高域は少しギラつきが感じられ、エッジが立っており、華やかできらびやかな雰囲気でクラッシュが強調されます。シンバルの音は薄めで芯があまり感じられず、脆さがだいぶ強調されて聞こえます。粒立ちはかなり細かめでシャリシャリシャキシャキした音になります。ただし高域はあまり抜けが高くなく、派手めにシャーンと響く割に粒子はそれほど高くまで飛翔しません。そのためハイハットに風通しを求める場合は、きらびやかな割に思ったよりは清潔ではないと思う可能性があります。逆に言えば、中高域の音が少し濃厚になっているので、派手な雰囲気を求めている人には好ましく思えますし、高い高域の閉じているおかげで、中域に甘味が適度に感じられるようになっています。
全体として少し派手で、クラッシュ感があり、若干荒々しい感じのある高域です。ガチャガチャというよりはガシャガシャとしたエッジの強い感じが出るのが、刺さりを苦手とする人には向かない可能性があります。
ボーカル「ギラつく、子音が尖る、媚びる」
男女ともにボーカルはやや前傾的でエッジが聴いており、子音はやや尖ります。また少しギラつく雰囲気がありますが、きらめき感に繋がっているので、激しい楽曲でも埋没することは基本的になく、艶やかで活き活きしているように聞こえるはずです。全体の雰囲気はアグレッシブで、ボディの欠如があるために柱の不足を感じますが、柱の上辺から息の先までよく伸びていくので、溺れる感じはありません。シャウトはきつくなる傾向がわずかにありますが、上昇圧のある元気なボーカルで煌めき感があってスポットライトが当たっている雰囲気があり、活気に満ちています。
音場「清潔、見通し、横幅」
横幅は比較的良好です。深さがあり、奥行きもそこそこ感じられます。高さは一定以上先は暗く、抜けの高さを重視する人にはやや不満が出る可能性がありますが、自然な雰囲気と甘味に貢献しているので、ナチュラルサウンドやレトロサウンドを好む人にはちょうどよいくらいでしょう。
全体印象
エッジを強調し、シャープネスが強めなのが好みを分けます。低域は深みと重みがあり、厚みには欠けますが、ディテールの描き分けはそれなりに良好で、床面がやや鳴動して人によってノイズになりやすい以外は、案外モニター的と言えます。パンチは少し抑えめなので、ポップスはともかく、ダンス曲は好みを分けそうです。また低域弦楽に濃厚感がないので、JAZZをムード重視で聴く人には少し物足りないかも知れません。ボーカルフォーカスは悪くなく、ボディが不足し、柱は少し弱い気がしますが、エッジが利いており、ニュアンスの面で良好です。
美点
- 見通しが良い
- 音場が広い
- 重みがある
- 深みがある
- 音の粒立ちが良い
- シャープ
- 明るい
- エッジ感がある
- 派手
欠点
- 子音が少し尖りやすい
- 楽器音がガシャガシャしやすい
- 聞き疲れしやすい
- 濃厚感に欠ける
- 潤い感に少し欠ける
音質特性(サウンドシグネチャー)
[高域]
- 抜けの高さ*2:B
- 金属光沢感:A
- クラッシュ:A
- アタック:A
- ツヤ:A
- ディテール:A
音は輪郭の先端が強調される、エッジ感の強いシャープ系の音になります。やや刺激が強い音です。派手で明るい割に抜けは高くなく、風通しもそれほどではありません。
[中域]
- 甘味:B
- 広がり:B
- 濃厚感:C
- コク:C
- 太さ:B
- ディテール:B
中域は前傾していますが、自然な奥行き感を維持しています。ほとんどフラットに近いですが、透明感があります。
[低域]
- 深さ:A
- 重さ:A
- パンチ:C
- 厚み:C
- 熱気:A
- 鳴動:A
- ディテール:B
低域は重みと深さがあり、音楽全体が床面にしっかり着地して聞こえます。沈み込み感はよく、それがワイドレンジ感と安定感に貢献しています。また床鳴りにリアルさがあります。
[解像度・立体感]
シャープネスが少し強く、高域の刺さりに敏感な人にはややとげとげしく聴きづらいサウンドに聞こえる可能性があります。派手めのギラつく音を好む人に向いており、また低域は深く重いので低域好きもそれなりに満足できます。ボーカルフォーカスも良く、エッジの尖りさえ気にならなければ、案外万能に楽しめるドンシャリイヤホンです。
[パーカッション・リズム]
- ドラムの雰囲気:ドラムは鳴動が充分に感じられ、重量感があり、床鳴りも良好で熱気がある。ボディが薄めなので、スネアとキックの間に分離感があるが、二元論でリズムを把握しやすいとも言え、ロックのリズムコントロールは悪くない。重めのバツンバツンといった感じ。
- ハイハットの雰囲気:ハイハットはギラつきが強く、高さはそれほどでもないので、芯が少し脆くてクラッシュを派手めに出してガシャガシャしやすい。少し派手で白い感じだがギラギラと目立ちやすい。
- 弾け:A
- 粘り:B
- 重み:A
- 濃さ:C
- スピード感:B
パーカッションのスピード感は悪くありません。ドラムキックは少し深いので、わずかにゆっくりしているようにも思いますが、骨太です。ドラムセット全体はやや低域と中高域以上で分かれて聞こえやすいので、モニター的と言えるかも知れません。
[ボーカル傾向]
ボーカルはきらめいて媚びた色があり、活き活きしています。シャウトは少しギャンギャンしやすいですが、露骨に吠えるほどではないと思います。子音の尖りはツ音サ行ともに少し尖ります。ボディの不足を感じるので、やや清潔系で、若干あどけない雰囲気が出やすいところがあります。思春期アイドルボイスといった感じです。
【4】官能性「やや派手で聞き疲れしやすいが、甘味があって艶やかなドンシャリ」
After the Rain「解読不能」
【Shanling M6(PRIME MODE)で鑑賞】低域に重みと鳴動感があるのでドラムキックが活き活きしています。ギターは歪みの倍音が少し多めで、アタックもあり、色気があります。また甘味も乗っているので艶やかです。ディストーションの歪みの伸びも悪くありません。この曲の鮮やかなギターサウンドはかなり満足に聴かせてくれるはずです。そしてちょっと若く媚びた中性的なボーカルはセクシーで激しい曲の中でも甘味を乗せて埋もれずに前に出てきて聞こえます。
LiSA「シルシ」
【FiiO M11 SS(Pure Music Mode)で鑑賞】ちょっと派手めのバイオリンと、タイトなスネア、色気のある明るいピアノはハンマーの音も少し強く、打撃感が強く、高域は少しリズミカルです。ボーカルは伸びやかで甘味と息遣いと子音が明瞭で、ニュアンスに満ちていて活気があり、この曲の躍動的な歌声を少し清潔に、きらめいて表現してくれます。ボーカルは決してボディで充実していませんが、埋もれそうで最後まで埋もれずはっきりと聞こえます。全体的に少しきらめいた艶やかな雰囲気で聞こえますが、一方で低域の深みと重みが音を沈みこませてもいるので、軽薄な雰囲気はありません。
佐々木李子「Good Night」(vs AUKEY EP-T21)
【FiiO M15(Pure Music Mode)で鑑賞】アコースティックギターは粒立ちも良く、光沢感も強くきらびやかなので、アルペジオが映えます。ピアノともにリズミカルな雰囲気でグルーヴ感をよく出してくれるので、ノリの良い雰囲気があるはずです。床面は重みを出してランブルしてくれる上、床鳴り感もあるので活き活きして聞こえます。そしてボーカルはニュアンスディテールが良好な上に、甘味が乗っており、濃厚感はありませんが、歌詞は明瞭で艶やかな吐息を存分に味わわせてくれます。ただ、潤い感だけ足りず、ドライなのが個人的には気になります。
【5】総評「重厚感とシャープネスが同居し、ボーカルニュアンスも良好」
aptXに対応していない点だけは少し欠点になり得ますが、個人的にはあまり重視しておりません。AACやSBCでもあまり不満はないと思います。音はドンシャリと言えるでしょうが、中域はフラットに近く、U字型サウンドのようなバランス感覚も兼ね備えています。そのため、ドンシャリサウンドにありがちな過酷さはそれほどなく、聴き心地はそれなりに安定しています。それでも高域がややシャープで派手なので、少し聞き疲れはしやすいかもしれません。個人的には、ボーカルニュアンスが良好なところが気に入っています。
- シャープで派手なサウンド
- 重く深みのある、見通しも悪くない低域
- ボーカルフォーカスが良く、ニュアンスも豊富
【関連記事】
*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。
*2:全般的に言えることですが、この評価は主観的であり、しかも音はバランスと好みが大事だということに留意して下さい。Aのほうがその分野では優れていると判断していますが、たとえばシャリ付きが苦手な人はクラッシュがAの評価のイヤホンは避けるべきです。あと稀にSが出てくると思いますが、Sは「やりすぎ」という意味で、必ずしも良い評価とは限りません。ただしその音質特性が好きな人には良いでしょう。
*3:価格帯を考慮した相対評価です。
*4:価格帯を考慮した相対評価です。
*5:価格帯を考慮した相対評価です。
*6:主にサ行が刺さるかどうかです。スーハーしている感じが強いかです。
*7:主にツ音が尖るかどうかです。Aに行くほど尖ります。