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【中華イヤホン TForce Yuan Li ファーストインプレッション】プレファイナル版と製品版の比較(主にサウンドバランスの解説)

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TForce Yuan Li

TForce Yuan Li

 

TForce Yuan Liについて

 新興イヤホンブランドである「TForce」の第一弾製品が「TForce Yuan Li(李淵)」です。Yuan Liのパッケージには「Trilogy Part 1」と綴られており、TForceが少なくともあと2作品をリリースする予定であり、Yuan Liがその第一弾であることがわかります。おそらく唐朝の皇帝の名前を冠したシリーズ製品が続くのでしょう。

TForce Yuan Li

 

 私がYuan Liに結実するプロジェクトの存在を聴いたのはだいぶ前です。ある有名なイヤホンメーカーが新しいブランドでMoondrop Starfieldに対抗するハイコスパイヤホンをリリースする予定があることを聴きました。初期段階の構想では、StarfieldよりEtymoticのサウンドに寄せた周波数特性で製造する予定だという話でした。実際、あとで確認するように、Yuan Liのプレファイナルバージョンはその構想に沿ったサウンドデザインがされています。なお、Yuan Liがそのプロジェクトの製品だということを知ったのは、製品版を予約したあと、全く無関係にレビュー依頼を引き受けていたYuan Li プレファイナル版を手に入れたときです。

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 Etymoticターゲットの利点は中域の明瞭感にあり、そのサウンドはひどく硬質に聞こえ、音場が狭く感じる代わりに、中域の楽器の質感がはっきりして聞こえるところにあります。最新のEtymotic Evoも最近聴く機会がありましたが、見事にそれは引き継がれていました。一聴して「あ、Etymoだ」とわかる音ですね。私はあんまり好きじゃありません。

 

プレファイナル版と製品版の比較

 さて、以前別記事で紹介したのですが、TForce Yuan Liは何人かのレビュアーに好印象を持って迎えられたあと、わずかな弱点が指摘され、それに合わせて製品版はリチューニングされました。

 実際のところ、リチューニング後の「よりニュートラルになった」という周波数特性を見た私は、内心あまりよい方向性の調整ではないかもしれないと感じていました。とはいえ、その段階では理論上の話だったので、実際に入手して測定したり聴感で確認しないとなんとも言えない状況でした。今日、TForce Yuan Li製品版を手に入れ、こうした懸念について実のところが明らかになったので、この記事ではそれを中心に解説します。

 まずは周波数特性の違いを見てみましょう。

 

REW周波数特性

プレファイナル版と製品版の比較

プレファイナル版と製品版の周波数特性の比較(ストックの「バランス」イヤーチップを使用。94dB@500Hzで正規化して測定)

 

 調整の方向性は明確です。TForceはHead-FiでのBryaudioreviewの指摘に従って、中高域の音圧を下げることに集中しました。周波数特性の全体像はより平坦になったように思えますが、低域と高域の双方で興味深い変化があることがわかります。

 

 プレファイナルバージョンに比べて、製品版は確実にウォームなサウンドになりました。

 

製品版のインプレッション

 一聴した印象では、製品版のYuan Liのサウンドは非常にスムーズで全音域がなめらかに仕上がっており、心地よいニュートラル系サウンドと言えます。

 プレファイナル版はやや中高域の存在感が強く、ニュートラルより鮮烈さの強いサウンドとなっていましたが、製品版はこのあたりが引っ込み、落ち着いて聞こえるようになっています。中高域が「テイム(飼い馴ら)」されていることがすぐにわかります。それによりアグレッシブさ、シャウト感は大幅に減り、聴き心地は安定しました。

 個人的にはしかし、この「テイム」はやりすぎている感じがあります。それはニュートラルの北(上)側から南(下)側までかなり大幅に下げられたので、中域のイメージングはより派手な方向から、どちらかというとわずかに地味すぎる方向にシフトしました。

 

ライバルとの比較

 この点に関しては同じ価格帯のライバルと比較することでより明確になります。

同価格帯のニュートラル系ライバルとの周波数特性の比較(94dB@500Hzで正規化して測定)


 グラフを眺めると、この問題が明確になります。個人的にこの価格帯で最も理想形に近いニュートラルサウンドを持つThieAudio Legacy 2やMoondrop Starfieldと比べると、プレファイナル版は中高域が隆起しすぎ、逆に製品版は下がりすぎている(テイムされすぎている)ということが理解できます。

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 録音忠実性に基づいて評価されるオーディオステータスを確認すると、一層この点が明確になります。

同価格帯のニュートラル系ライバルとのオーディオステータスの比較

 オーディオステータスは偏りが小さいほど原音忠実性が高いと言えるのですが、その点で最も理想的に見えるのはStarfield(濃い青)です。プレファイナル版のYuan Li(緑)はThieAudio Legacy 2(オレンジ)と似たような傾向ですが、製品版のYuan Li(黄色)はそれよりは低域に偏っており、この中では「Warmth」や「Boom」など中低域が最も大きく隆起していることもわかります。以前Geek Wold GK10のインプレッションで解説したように、中低域はイメージングに関わるので、人によってはかなり敏感なポイントです。

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 中低域の影響についての詳しい解説はここでは繰り返しませんが、製品版のYuan Liはこれらの中で最も中低域が強く、イメージングに関わる高域の「Definition(or Articulacy)」値が最も少ないために、多くの人にとって、この中で「最も解像度が悪い」サウンドと感じられるかもしれないことが予想されます。

 

 私のYuan Liの製品版に対する印象もまさにそれで、「全体のサウンドは滑らかで心地よく、聞き取りにくい感じもほとんどないが、それでも少し音像が曖昧で、ときどき音が眠たく感じられる」というものです。

 そのため、あくまでオーディオマニアとして判断する場合、Yuan Liの製品版はStarfieldやLegacy 2、そしてYuan Li プレファイナル版よりもおすすめ度は低いとなります。

 

 一方で、QOA AdonisGeek Wold GK10のような、中低域を強調したニュートラル系と言えるサウンドのイヤホンがそれなりにヒットしており、傾向としてYuan Li製品版も同様のサウンド(ウォームなニュートラル)を持っていることを考えると、実際はプレファイナル版より製品版のほうが多くのリスナーに歓迎される可能性が高いとも考えられます。

 プレファイナル版のボーカルはくっきりしていますが、時々聞き苦しく、邪魔に思うことがあります。快適なリスニングには、鮮度は少し落ちた気がするものの、ボーカル帯域付近でよりスムーズになった製品版のほうが優れているでしょう。

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 そのため、とくにまろやかでリッチなサウンドを求めるクラシック音楽のファンや、派手ではない、少し大人びた静かなJAZZが好きなリスナー、温かみのあるバラード系のサウンドを好む人には、Yuan Liの製品版を自分の肌に合っているものとして受け入れるのではないでしょうか。

 

Tforce Yuan Li

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TFORCE YUANLI 10mm DLC Single Dynamic Driver In-Ear Monitors

 

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