DUNUについて
DUNU TOPSOUNDは1994年に設立されたオーディオブランドで、当初はOEMを中心にイヤホンを製造していた比較的歴史の古いブランドです。2006年から独自ブランドで製品を展開し始め、今では市場で存在感を放つ中華イヤホンブランドに成長しました。その歴史にふさわしい高い技術力を持っており、多くの人気製品を出しており、中華イヤホンに詳しくない人でもDUNUの名前はどこかで聞いたことがあるかもしれません。
そのDUNUが新たなIEMシリーズとして2020年6月からリリースしているのがStudioシリーズです。現在このシリーズの製品として発表されているSA3とSA6はともに、これまでのDUNUのIEMとはデザインを一新し、ポップでスタイリッシュなアーバンスタイルの外観を持っています。
今回はそのDUNU Studioシリーズから、エントリーモデルであるDUNU Studio SA3を紹介します。
メトロポリタンな雰囲気のキャッチーなパッケージ
DUNU最新のIEMシリーズであるDUNU Studioシリーズはそれにふさわしい、現代的でアーバンな外観のパッケージに入っています。
パッケージはシンプルなデザインではありますが、決してチープではありません。キャッチーなカバーを外すと、今度は黒地に銀字でDUNUのブランドロゴが描かれたシックな内箱があります。
その内箱の中には目も覚めるような青色のイヤホンが据えられており、お出迎えしてくれます。開梱体験は決して贅沢ではありませんが、価格に見合っており、十分楽しめるものになっています。
付属品にはSA3のイメージカラーに合わせたこれまた目も覚める青色の立派なレザーケースと多数のイヤーピースがついています。ケーブルのクオリティは価格帯の標準以上ですが、ケースから出し入れするときなどにわずかに絡まる気がします。基本的にはしなやかで外観も美しく透き通っており、SA3本体の透明感のあるデザインとよくマッチしています。
ビルドクオリティはお値段以上の品質です
DUNU Studio SA3の本体は透明感のあるブルーの清潔な色を持ち、そこにハンドペイントで波か風を思わせるタッチがあしらわれ、金色でブランドロゴとSA3を象徴する3のアラビア数字が描かれています。ラピスラズリのようにきれいなハウジングは、見ているだけで爽やかな気持ちになりますね!
樹脂製のイヤホン本体は軽量で、耳につけても負担感はなく、2pinコネクタの作りもしっかりしています。
HiFiGOの記事で見た時からこの青色のデザインに目を引き付けられ、購入を決定したのですが、商品イメージの画像は少し「盛っている」だろうと考えていました。しかし、届いたSA3を見てみると、本体の透明感は想像以上で、ヒスイか瑪瑙のように美しく、完全に予想を裏切られました。外観のクオリティは1万円台前半としてはとても素晴らしいです。少なくとも私はお気に入りです。
装着サンプル
音質
DUNU Studio SA3はその見た目にふさわしい、透明感のある中域を持つモニターサウンドを持っています。そこで今日は、独特の妙なる中域が美しいCayin N6II/A01につないで聞いてみました。
aimerを聞こうかUruを聞こうか迷いましたが、ここはUruの中でも大好きな曲である「Scenery」を聞くことにしました。TVアニメ「グランベルム」のクライマックスシーンで使われたUru屈指の情熱的で切なさのあるカタルシスに満ちた曲です。
DUNU Studio SA3は奥行きのある中域が視界のすぐ近くに広がるような、見通しよく透明感のあるどちらかといえばホリゾンタルな安定的なサウンドを持っています。音響的な組み立てはボーカルを中心に奥行きを出しながらレイヤーのように水平線方向で定位がわかりやすい音質になっており、DUNUがこれをStudioと名付けたのもよく理解できます。音は全体的に近くから配置されていく感じで、ボーカルは前面、ほかはやや背景となって聞こえる形になっている音場を持っています。この空間では、Uruの情熱的な歌声が思う存分味わえ、楽器音はボーカルを印象付ける仕事に終始していますが、それぞれが十分に光沢があり、あでやかで輪郭のくっきりした音を奏でます。そこではボーカルとともに色づきと輪郭のよい印象的な音楽を聴くことができます。まさにスタジオ的に「音が近い」感覚があります。
Cayin N6II/A01はDUNU Studio SA3のクリアで甘い中域をさらに磨き上げて、音楽的に聴かせてくれます。このDAPはボーカル表現や中域の生々しさに定評がありますが、ボーカル中心に組み立てるStudio SA3との相性はなかなかよく思えます。鮮やかなボーカルが映える音楽が聴きたいなら、DUNU Studio SA3はなかなか魅力的なイヤホンです。モニター的ですが、刺激になりやすい音域は抑えられており、適切な静寂感があって、聞き心地も安定しているので、聞き疲れしません。
DUNU Studio SA3の技術仕様
- 両側に3基のKnowles製バランスアーマチュアドライバー
- 高精度3Dプリントのイヤホン
- 手描きのフェイスプレート
- 3.5mmエンドプラグ付きの4芯編組OCCケーブル
- 0.78mm 2pin コネクタ
- Hi-Res認証取得済み
- 駆動が容易でスマホでも十分駆動できます
- 正味重量:12.5 g
- 周波数応答:5 Hz-40 kHz
- インピーダンス:13Ω
- 感度:112±1 dB@1kHz
- 全高調波歪み:0.5%未満@1kHz
まとめ
DUNU Studio SA3は明瞭性がありレイヤリングに優れた透明感のあるサウンドを持っています。ボーカルを中心にしっかり音楽を組み立てて隅々までわかりやすく提示してくれるサウンドで、不快になりやすいピークは抑えられていて分離感もよく、DUNUらしい堅実な音作りになっています。そのサウンドの魅力は試聴ですぐにはわかりづらいかもしれませんが、少し長く聞けば安定感があり、聞き疲れしないのに音像の提示が丁寧で定位もわかりやすいことに気づくと思います。デザインも非常によく、1万円台ではかなりおすすめできる機種です。
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