TANNOY LIFE BUDS フルワイヤレス Bluetooth イヤホン
- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は悪くない。通信品質は少し貧弱かもしれない」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「防水性能が不安」
- 【3】音質「TANNOYらしさはどこだろう?」
- 【4】官能性「明るめでクリア感を意識したサウンド」
- 【5】総評「やや個性が埋没している印象を受ける」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は悪くない。通信品質は少し貧弱かもしれない」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
丸形で耳当たりの良いハウジング。密閉性も高いので、イヤーピース次第でそれなりの遮音性を実現できる。音漏れそこそこ。
通信品質は比較的安定しているが、家の中でも左右稀に途切れる。外出時はちょっと心許ないくらいで、競合となりうるSOUL ST-XS2には少し劣るかも知れない。
【2】外観・インターフェース・付属品「防水性能が不安」
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、説明書。
イヤホン単体のバッテリーでの連続再生時間は4時間で、悪くないレベル。ケース込みで16時間程度の再生時間を謳っている。
自動ペアリング・自動接続はちゃんと実現されている。
防水性能は不明だけど、一応防水処理されていることになっている。たぶん防滴くらいしかない。
機能面での最大の特徴はトークスルーモード。いわゆるヒアスルー(外音取り込み)機能で、音楽を聴きながら周辺音を確認できるというもの。しかし、ぶっちゃけ精度はあまり良くない。ONにした途端ガシャガシャとした音が聞こえるようになり、音楽との共存も悪くて、曲次第では効果をほとんど発揮しない。ライバルのST-XS2がヒアスルーの精度で結構頑張っているのを考えると……ちと、水をあけられているといえる。
【3】音質「TANNOYらしさはどこだろう?」
この機種はDSP(デジタルサウンドプロセッサー)で英国老舗オーディオブランドTANNOY自慢のデュアルコンセントリックドライバースピーカーの音が再現されるというのがウリだった。
が、そもそもデュアルなんちゃらについてよく知らないし、TANNOYに愛着を特に感じてない私には、率直に言ってどこにその良さがあるのかは、理解不能だった。解像度は価格帯では普通だし、普通に明るめの、ややシャリシャリしたこの価格帯の完全ワイヤレスイヤホンらしい音を奏でている。
ドライバーはグラフェン系ではないはずだが、それっぽいような刻みの良い音なので、そこらへんに何か特別な技術が使われているのかも知れない。だが、全体的にSOUL ST-XS2と客が被りそうな音質だし、ST-XS2の方がわかりやすいドンシャリでたぶん好まれそう。その点では差別化は充分できていないかもしれない。
サウンドイメージとしては、AVIOT TE-D01dやMaxell MXH-BTW1000の音の解像度を若干粗くしたような音響。この機種を買う場合は、店頭試聴でここらへんとSOUL ST-XS2をいっしょに聞き比べて、音質的な立ち位置を確認し、気に入ったなら買うとよい。
[高音]:高域の刻みは良く、シャリ感強めで少し白化する傾向はある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:音域の印象はやや高域方向に上向いており、中域は少し後退して高域と低域がつながって聞こえる感じは出やすい。
[低音]:100hz~30hzまで芯のあるビーッという振動。20hzで芯だけ聞こえる。この振動の仕方は比較的独特なので、もしかすると独自技術はここらへんに使われているのかも知れない。詳しくないのでわからないけど(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:解像度はそれほど高くない。全体的に少しコントラスト感が強調された音響。輪郭感も少し強め(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:シンバルは明るめの発色で刻みが良い。ドラムは硬質でバシンバシン系。パーカッション周りはややシャリ味強め(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルは少し楽器に近く、左右が張り出すので、それに包まれて聞こえる。女性ボーカルは明るめ。
【4】官能性「明るめでクリア感を意識したサウンド」
Ed Sheeran「Castle On The Hill」
印象的には明るく、中高域に少し広い奥行き感があるかな。でも左右は結構出張ってくるから、横はそんな広くないかも知れない。低域は柔らかくポンポンとした優しい重量感で温かみは充分に出る。
UVERWorld「CORE PRIDE」
全体的にシャリシャリ明るめでドンシャリ風に聞こえる人が多いんじゃないかな?ドラムは細めで印象的にバシンバシン系の軽めの音。ベースに深掘り感はあまりない。ボーカルも明るい感じかな。曲はちょっと軽薄なチャラいサウンドに聞こえるかも。こういう明るい感じが好きって人はいるだろうけど。
森口博子「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」
中高域の透明感はきれいに出て、シンセの透明感なんかとくに美しく思う。ボーカルは上に細く伸びてスリム。低域は若干薄味で厚みはあまりなく、輪郭だけ強調するけど、この曲だとこれくらいスパイシーな味付けの方が迫力が出るかも。音場は奥行き感の見通しは良いけど、やっぱり左右は少し近いかな。
羊毛とおはな「はだかのピエロ」
かなり明るめの音響で輪郭が強調されているので、少しきつめに感じられるかも知れない。緻密に解像度感を出して聴かせる感じではある。解像度自体は高いってわけでもないけど、解像度を意識した感じがある。
【5】総評「やや個性が埋没している印象を受ける」
SOUL ST-XS2っていう有力ライバルがいるので、やや押しが弱い印象を受ける。トークスルー機能の精度もあまり高くなくて、利便性をそれほど感じられない。通信品質もやや不安定だし、1万円以下で手に入るのは魅力だけど、差別化されているような印象は受けない。
音からTANNOYらしい哲学みたいなものが感じられる印象は、私にはない。
TANNOY LIFE BUDS フルワイヤレス Bluetooth イヤホン
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。