- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良い。通信品質少し弱め」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間長め」
- 【3】音質「ミスターカマボコ」
- 【4】官能性「好き嫌いありそうだけど、正統派R&Bやラップ向きかな」
- 【5】総評「人を選ぶ」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良い。通信品質少し弱め」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
内側にラバー加工がされており、耳への収まりは良く、装着感は良好。遮音性はそこそこ高く、音漏れも少し。
SBC/AAC対応。接続品質は家の中でも稀に左右途切れる。外出時は混雑する交差点などで途切れる場合がある。
【2】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間長め」
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、日本語含む多言語説明書。
連続再生時間が優秀で最大6-8時間を謳っている。厳密にテストはしていないが、おそらく4時間は充分に持つ。
【3】音質「ミスターカマボコ」
音質的には今時珍しいドカマボコ。中域がだいぶ盛り上がり、高域と低域がかなり凹む。イコライザーでドンシャリに調整してようやくフラットくらいになる。中域が出張るカマボコは一般的に、メリハリが悪くなりやすく、音楽性に乏しい音になりやすいと言われている。
実際このイヤホンもシンバルやドラムの音が壊滅的にゆるいので、16khz(シャリ味と余韻)、2khz(爆発力)、200hz(ボディ)あたりを大幅に盛ってドラムとシンバルだけでも聞こえを良くすると良い。あと500hz付近は逆に低めにすると締まりが出てくる。どちらにせよ大胆にイコライジングしないと面白味がないイヤホンである。
音は太めでなめらかであり、厚みもあるうえにつややかさもあるので解像感は意外と悪くない印象も受けるが、イヤーピースで調整のしようのないほど音質がカマボコなので、完全に上級者向きのイヤホン。
[高音]:中域の背後に回るので弦楽なんかはつややかだけど、非常に元気がない。シンバルもやる気を感じない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:金管がひでぇ。最初だけプップ鳴らして引っ込むので、伸びる感じがなく、かなりやる気を感じない。全体的に音が盛り上がって聞こえてきて伸びはよくないので、ピアノも薄っぺらく聞こえる。
[低音]:100hz~60hzまでは結構しっかりした太い振動があるが、50hzくらいから妙に弱々しくなる。30hzでほぼ無音。低域は中域の下に潜るような感じになる(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:中域の厚みだけが目立ちやすい(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムは中空の輪郭、鼓面の粘りは少し出るが、地熱感やボディの肉があまり感じられないので、浮き上がって聞こえやすい。軽めのパツンパツン、バツンバツン。シンバルはほとんど目立たない(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルの聞こえは良い。
【4】官能性「好き嫌いありそうだけど、正統派R&Bやラップ向きかな」
Usher「Confessions」
まあカマボコ型で聴く曲っていうと、久しぶりに聴くUsherのこの曲くらいしか思いつかない。ボーカル周り以外は音の焦点が合わず、穏やかな雰囲気の中に自然と歌声が浮き上がってくる温度感が実にこの曲向き。Usherは基本こんな曲ばっかだからこのイヤホンと相性良いかもね。
R.Kelly「Genius」
まあUsherから自然に思いついたのがこの曲。普通のイヤホンで聴くと、低域うるさいバランスかもしれないけど、このイヤホンなら穏やかにロールオフするので気持ちいい。Usherよりはメリハリがある曲だから、人によってはこのイヤホンの聴かせ方は緩いって思うかもだけど。
Black Panties (Deluxe Version) [Explicit]
KAZAMI「You feat. KAZAMI」
うーん。ゆったり系のR&Bだけど、この曲は意外と効果音が結構多くてそれとボーカルの絡み合いが楽しいところがあるから、このイヤホンだとボーカル中心になっちゃって、そういう細かな面白味は出にくいところがあるかも。ドラムは元々ウォームだからそれほど差は感じないにしても、アコースティックギターなんかはこのイヤホンだと少し引っ込むから、もっと目立つ形でボーカルと絡んで欲しいって人は多そう。最終的には好みだけど。一方でこのイヤホンの聴かせ方みたいに、後半のギターの歪みが目立ちすぎない方が味が出るって人はいそうで、自分も結構そのクチ。
MINMI「四季ノ唄」
この曲なんかドラムがドンドコしすぎてギター目立つとちょっとロック色強くなるけど、このイヤホンで聴くと、そこらへん良い具合にやる気無い感じで篭もったような印象を受けるから、案外良いかもしれないと思ったりもする。一方で中盤の金管のやる気のなさはひどく、息切れしてんじゃないのってくらい緩い。まあ音楽性が薄い音ってこういう金管みたいなやる気の無い音を言うんだよね。
Pharell Williams「Happy」
ボーカルとハンドパーカッションに音の焦点が合う。ドラムは鼓面と多少の胴鳴りが聞こえる感じで軽やかで、シンバルはシャリシャリしない明るすぎない感じ。この曲に関しては落ち着いた感じでしっとり聴くなら、かなりいい。
高橋李依「Stay Alive」
カマボコだと意外とこの曲聴きやすいのかな。結構いつもシンバルうるさい感じだったけど、このイヤホンで聴くとおどろくほどさわやか。ギターやドラムもいつもより落ち着いているから、かなりボーカルに集中できるし、妙に見通しがいい。この曲は驚くほど良い感じに聴ける。これはちょっとうれしい発見。
TVアニメ「 Re:ゼロから始める異世界生活 」後期エンディングテーマ「 Stay Alive 」
【5】総評「人を選ぶ」
音質的に人を選ぶ。音質さえ好みなら、悪くない選択肢。ロックやエレクトロダンスなどの若い系の曲とは基本的に相性が悪い。ただ聞き疲れはしないので、意外とこれが落ち着いて聴けるって人もいそう。今日日カマボコの完全ワイヤレスイヤホンなんて意外と珍しいから、むしろニッチな需要がありそう。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。