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【カナル型イヤホン BGVP DMS レビュー】2万円以下で1DD+6BA。深掘りされて地熱を出す低域、豊かな中高域で女声ボーカル周りに高い充実感を出す。パノラマなサウンドステージにも注目。おすすめ

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BGVP DMS

BGVP DMS

BGVP DMS 6BA+1DD バランスド.アーマチュアドライバー6基とダイナミックドライバー1基を搭載したハイブリッド型インナーイヤホンMMCX端子と3.5mmプラグを搭載によりリケーブル可能 3Dプリント技術で作られた筐 原音に忠実 カナル型 高遮音性 中華イヤホン (ブルー)

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「遮音性は高い」

おすすめ度*1

BGVP DMS

ASIN

B07RZQF22C

 シュア掛けスタイルの機種。装着感は良好で遮音は悪くないが、ベント穴が大きいので音はだだ漏れに近い。通勤用には向かない。

 

【2】外観・インターフェース・付属品「ビルドクオリティは高め。BGVPらしく、イヤホンケースは付属しない」

 付属品はイヤーピースの替え。ケーブルにはタッチノイズが少しある。

BGVP DMSBGVP DMS

【3】音質「女声ボーカル付近に音の暖かみと明るさを共存させた厚みのある焦点がある。低域は暖かいが、中低音の厚みより、重低音の深さ重視」

 音質的には中音から中高音にかけてと重低音に太い感じがあるので、全体的にウォームに聞こえる。女声ボーカルはかなり聞こえが良いが、この厚みのある中高音付近と重低音がボーカルを豊かに包むので、やや細く埋もれる感じがある。そのため、ボーカル周りにスッキリ感はない。これはほぼ同じ価格帯に位置するSIMGOT EM2と聞き比べて見ると、ボーカル周りの清涼感の差になって表れ、EM2のほうがボーカルの浮き上がりは良く、ディテール感が高く感じられるだろう。DMSもボーカルだけ聞くと決してディテールが低いわけではないが、音楽全体のコントラストを見てみると、周囲の中音域や重低音に対して音味の差があまり無く、一様に聞こえる感じがあり、リスナーの意識をボーカルに集中させる表現とはなっていない。

 そのため、あくまでボーカルだけを考えると少し埋没しているが、一方で楽器との一体感を考えると、中高音付近と重低音の温度感に包まれて一体的に聞こえてくるので、充実感があってマイルドな聴き心地になっている。穏やかなピアノやアコースティックギターで豊かに聴かせる曲ではかなりの聴き応えが出る。ボーカルは若干重みが出やすいので、甘味もあるが、ニュートラルかやや暗く感じられる場合も多い。

www.ear-phone-review.com

 

[高音]:6BAも積んでいるだけあって高域の拡張もそれなりにあるが、どちらかというと中域から中高域付近のつややかさと煌めき感を派手めに強調する感じになるので、高域の余韻や空気感のディテールは高くない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)

[中音]:ボーカル付近に厚みが出て、近くに出てくる。曲によってはボーカル周りに密度感が出すぎて埋もれる場合もある。また少し下に重みのあるふくよかな感じになるので、音になめらかさやボーカルに甘味が出る反面、音やボーカルは少しだけ暗めに聞こえやすい。

[低音]:100hz~30hzまで太さのしっかりした一貫性のある振動。30hzでも結構はっきりした振動感がある。20hzでほとんど無音。中低域に盛り上がりを出さない音で、比較的深くまできれいで重低音がよく聞こえる。本来低域では一番厚みを強調されやすい中低域は平坦な感じなので量感的にはやや多いかなくらいに思っていると、重低音のズーンという沈み込みがかなり重めでこれはかなり量感あるぞ?って感じになる。深い方の量感が多く、表面の方は普通に近いバランス。低域はエレクトロダンスミュージック系の曲に強い味付けといえる(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:音場全体の重心は低い。高域も少し下に重く、低域も下に重い感じになっている。ボーカルあたりにスポットが当たりやすくなっていて、同時に中域に豊かさもかなり出るから、曲によってはボーカル周りの音域全体が豊満になってボーカルが埋もれるパターンがある。膨らむ感じのエレキギターがくると埋没しやすい印象。サウンドステージは奥行き感より横長の広さが感じられるパノラマ感がある。(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムは下の方のズドンズドンが床に響いている地熱感が強い。鼓面の弾けも感じられるが、基本的には粘る感じの重たさが目立つ。バズンバズン系。ハイハットは粒は細かいが、やや空気感抑えめで目立たない(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは自然でちょっと明るいかなくらいの印象。女声ボーカルは少し暗く、ふっくらした甘味が出る。女声ボーカルのほうはほとんどの曲で一番近い印象を受ける。しかし曲によって高域方向で細く埋もれる場面もある。男声ボーカルはもうちょっと楽器の厚みに包まれやすいが、太く首尾一貫した感じで埋没感は出ない。

 

【4】官能性「暖かな情感表現力が高い」

高田梢枝「秘密基地」

 2万円以下でこの曲を聴くなら、個人的に絶対に外せないイヤホンの一つであることは確か。まず低域だが、ドラムとより深いベースの力関係で、この曲ではベースのほうがやや有利くらいの調整になっているので、ベースの深い地熱のある温度が曲全体に充実感と締まりをもたらす。この曲ではボーカル周りをすっきりさせすぎると濃厚な空気感が失われて軽くなりやすいが、このイヤホンなら厚みのある暖かいボーカル表現の周りを、温度感のある楽器がさらに包み込んで、いろいろ思いの詰まったノスタルジックな雰囲気を濃厚感でたっぷり感じさせてくれる。秀逸。

 


秘密基地

 

藤田麻衣子「出会えただけで」

 こういう情感を中高域の豊かな感じで表現する曲にはめっぽう強い。ボーカルに孤独感はないし、楽器音と一緒になって包まれながらも、甘味を出しながらしっかり伸びてくる。このイヤホンは基本的に藤田麻衣子キラーで、この「wish」の収録曲を聴いていったが、相性良すぎ。藤田麻衣子の曲は結構重低音を利かせているので、このイヤホンの深い方を少し目立たせる低域表現とも都合が良い。

 


wish(初回限定盤)

 

菅野よう子「Hitomi's Theme」「Farewell」「Arcadia」「Cradle Song」

 同様に低域に暖かな深掘り感と中域にリッチな温度感があると聴き応えがある曲として「エスカフローネ」のOSTからこの4曲を挙げる。ちょっと暗く重いくらいのしっとりした情感を出しつつ、ピアノや弦楽には少し明るい光沢も出るから、上では少しふわっとした抜けが出て、緊張感の高い音場を閉じ込めた感じにしない。クライマックスでは自然に上の方にカタルシスが開放される。

 


「天空のエスカフローネ」ORIGINAL SOUNDTRACK 3

 


天空のエスカフローネ ORIGINAL SOUNDTRACK 2

 

池田綾子「愛の言葉」「三日月」

 2万円以下でこの曲のサビの充実感をここまで豊かに聴かせてくれるイヤホンはなかなかない。1万円台全部聞いたわけじゃないから難しいけど、同じ価格帯で対抗馬になるイヤホンを挙げるとすると、たとえばBang & Olufsen H3 MK2とかかな。ベースの深みのほうをきれいに出す感じとか、弦楽やピアノの風味の付け方とか似ているよね。こっちの方がBAらしい硬質感はあるから、ちょっと角がキツい感じにはなるけど。

 

 私の大好きな曲「三日月」もピアノにリアルな重みがあって、非常に聴き応えがある。

 


LUNAR SOUP

 

Jess Glynne「Never Let Me Go」

 1万円台でJess Glynneを聴くなら最有力候補。「123」くらいチャラい曲だったら、SIMGOT EM2でも浮かれたくらいでいいよねってなるけど、同じくチャラい系の曲でも、この曲はもうちょっと重心は低いから、EM2だとさすがに中域に充実感が足りなくてスカスカな印象を受ける。まあその分パーカッション周りが妙にスッキリしてさわやかに聞こえるから、EM2の音はこの曲でもまだ聴き応えはある方かもしれないけど、重量感の違いが如実に感じられる。

 


オールウェイズ・イン・ビトウィーン

 

RUANN「There's No Ending」

 中域に充実感があるので、この曲の密度感はしっかり出る。しかも重低音がズーンと深い方の沈みが良い感じなので、この曲ではかなり大事なアクセントとして使われているブーム音がしっかり浮かび上がる。この曲を聴くなら、2万円以下ではかなり満足できる。高域は少し暗めだけど、中域と重低域の、この曲で一番迫力のあるあたりがしっかり聞こえるから、ほとんど気にならない。そもそもこの曲はあまり高域で空気感出すような曲ではないかも知れないと思わせてくれるしね。

 そう言いつつ、SIMGOT EM2に取り替えて聴くと、「このボーカルが上に広がっていくような透明感と明るく躍動するハキハキしたドラムラインが良いのよ」みたいな逆のこと言い出すから、わがままなんだけど。

 


There's No Ending

 

saya「宇宙を見上げて」

 ギターの色味が少し暗めのこういう曲だとしっかりした温度感が出る。ドラムは明るく鼓面で弾ける感じはほとんど無くて、潜るようなキックと床面を強調する感じで深いところの味わいを重視しており重厚。そのおかげでボーカルにも自然と重みが感じられて、深い心の奥底からの決意みたいな強いメッセージ性が感じられる。個人的にはボーカルにサビでカタルシスを解き放つようなもう少しふわふわっとした浮揚感が欲しいけど、聴き応えは充分。

 


TVアニメ「 宇宙よりも遠い場所 」オープニングテーマ「 The Girls Are Alright! 」

 

Suchmos「GAGA」「808」

 Suchmosの重低感が強い渋いサウンドとも相性が良い。中域の豊かさのおかげか上の方は明るくディテールが綺麗に聞こえるし。ただやはり深掘りされてズンズンはっきり響くベースラインが曲全体を黒く引き締めてかっこよい仕上がりに一番貢献している。

 

 スピード感も適度にあってもっさり感はないから、「808」のようなスタイリッシュな曲でも味わい良好。シンバルも粒感細かく、この曲だとよく映える。

 


THE BAY

 


THE ASHTRAY(初回生産限定盤)(DVD付)

 

【5】総評「重低音と豊かな中域がとにかく充実感のある音楽を奏でる」

 音漏れは結構ダイレクトに漏れるので、通勤ラッシュ時の電車で使うのは厳しいです。音質は中域ごとボーカルを持ち上げて豊かに聴かせてくれる上、低域も深いところを重視した中域の味を損ねないサウンドになっているので、とにかく情感の篭もったしっとり系の曲に強いのが魅力。スピード感も出るズンズン感のある重低域はEDMでも高いパフォーマンスを発揮してくれます。

 付属品にイヤホンケースはありませんが、高いビルドクオリティも満足度につながる製品です。

 

BGVP DMS

BGVP DMS

BGVP DMS 6BA+1DD バランスド.アーマチュアドライバー6基とダイナミックドライバー1基を搭載したハイブリッド型インナーイヤホンMMCX端子と3.5mmプラグを搭載によりリケーブル可能 3Dプリント技術で作られた筐 原音に忠実 カナル型 高遮音性 中華イヤホン (ブルー)

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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