Victor JVC HA-FW1500 WOODシリーズ/密閉型イヤホン/リケーブル/ハイレゾ音源対応
根っからのJVC党・オーテクファンの私としては、とくにこの2ブランドの新作からは目が離せません。というわけで、聴いてきました。
JVCの完全ワイヤレスイヤホン2作品は力作
まず完全ワイヤレスイヤホンの方から。今回投入されたのはJVC HA-A10TとHA-XC50Tの2機種。HA-LC50BTと同様に、とくに若い層をターゲットにしているということを聞きました。
これら2機種ではHA-LC50BTであった欠点が克服されています。
- スイッチの押下感が配慮され、押しやすくなった
- 防水性能がついた(IPX5)
- HA-XC50Tについてはさらに防塵性能もある(IP55)
- イヤーピースがS/M/L同梱(HA-LC50BTはS/Mのみ)
- アプリは廃止(イコライザー非搭載)
一方でJVCの販売員さんと現品を使いながら話したときにも言ったのですが、ケースが大きめです。完全ワイヤレスイヤホンの最近の潮流としては、低価格モデルではコンパクトなものが好まれる傾向がある気がするので、低価格モデルでケースがでかいのはマイナス要因になるかもしれません。もちろんこれは個人的な見解です。
音質についてはどちらも若者向きで、EDMやアニソンを意識しているような解像度の高さを狙った味付けでした。
HA-A10TのほうはHA-LC50BTのクリアボイスモードのような音質でボーカルの輪郭を強めにくっきり聞かせる音になっています。ツ音がやや強調されますが、中域は清潔で音が浮き上がるように明るく聞こえてくると思います。クリアな音が好きなら気に入ると思います。
一方のHA-XC50Tについては、XXシリーズらしい重低音を利かせたドンシャリになっています。その重低音も良く分離されて低い位置を維持しており、中域の清潔感を意識して調整されています。上ではシンバルやキーボードがきれいに色づいて聞こえるような鮮やかさもあります。アニソン・ロック・ポップス・EDMを床面をしっかり感じて聴きたい人に向きそうです。
気になる点としてはHA-A10Tのほうがamazonのカスタマーレビューでは通信品質で低評価にされています。相性問題もあると思われますので確実なことは言えませんが、通信コーデックはHA-A10TはSBCのみ、HA-XC50TはAAC/SBCと、後者の方がよいチップを使っていますので、通信品質が気になる人はXC50Tを選ぶ方が無難かも知れません。
どちらにせよ、JVCは本気で完全ワイヤレス市場に今後も商品展開してくるだろうなという意気込みを感じる製品でした。製品のターゲッティングが的確になってきています。
audio-technica ATH-CK3TWは濃厚感のある低域が魅力
audio-technicaの方も完全ワイヤレスイヤホン市場に新作ATH-CK3TWを投入します。こちらはQualcommのチップを使っていて、aptXに対応し、さらにTWS+での運用も可能です。ただし、TWS+は送信側の実装機種が少ないので、実質的にあまり気にする必要はありません。
こちらはJVCと違って、ケースデザインは明らかにコンパクトで、手軽な使い勝手とかわいさを求める層にアピールしている感じがあり、この点は個人的に感心しました。
ただし入門機としてはやや高めの値段設定になっており、上掲のJVCの2機種に比べて、一回りお高い印象があります。
音質的にはATH-CKS5TW同様、低音を意識しており中低域と中域の境目あたりに濃厚感があります。ライブ感が高く、男声ボーカルや楽器音に深みが出るバランスになっていますが、CKS5TW同様にわずかに篭もっている印象を与えるかも知れません。ダンスやロックを意識しているような若者向けの音を目指したとどっかで見た記憶があるんですが(曖昧)、聴いてみたところ、むしろJAZZやクラシック音楽が豊かに楽しめる印象に受けました。低域は濃厚で豊かで温かみのある床面を作り、上では滑らかに音が伸びていく広がりを意識したサウンドになっていました。
もちろんライブ感は高い音なので、ダンス・ロック・ポップスも楽しめますが、最近の若い世代の傾向としてはライブ感より見通し感/清潔感重視な感じがあるので、ここは少し逆行してるかなというのが私の感想です。
JVC HA-FW1500はブライト系でした
最後に注目のWOODシリーズの新作、「HA-FW1500」です。ネット上の情報なんかでHA-FX1100に似ているみたいな感想もあったんですけど、私が聴いた感じは全く違って、むしろWOODシリーズでHA-FD01的な音作りをしたのかなといった印象でした。
まず低域ですが、クリアです。FX1100の燻る感じの低域ではなく、篭もらない透明感があり、かつWOOD独特のしなる暖かみを出しつつ、深掘り感を重視したような下でコクを感じさせる音になっています。FX1100の熱い低域と比べると、上品さを意識した音になっています。
高域方向ではWOODシリーズの中でも一番と言えるほど、シンバルに詳細なディテールが感じられました。高さはうまく調整されていて、白く浮き上がりすぎないようになっていますが、非常に粒のあるディテールでグルーヴ感を出してくれます。これまでのWOODシリーズとは違い、JAZZも少し若い、ノリを意識して聴かせてくれる楽しい音になっています。従来とは異なり、空間は少し風通しが良いです。
なんとなく空間が明るいって感じを頭に入れて、下のe☆イヤホンさんのレビューを読むと、よりイメージが明確になると思われます。
e-earphone.blog
装着感の面でも向上が見られました。ノズル周辺はHA-FD01に似せた構造になっています。ただしFD01の回転ノズルは廃止されています。しかし、LRをケーブルに逆に繋げば、シュア掛け装着可能です。FD01の装着感をそのままに、かなり軽量に仕上げられています。
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