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【完全ワイヤレスイヤホン audio-technica ATH-CKS5TW レビュー】熱狂する音を奏でるSOLID BASSはようやく自由を手に入れた。使い勝手は非常に良い。音質は第一印象はとっつきにくく、かなり人を選ぶかもしれない。情感の篭もったボーカル最強。おすすめ

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audio-technica ATH-CKS5

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オーディオテクニカ 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(ブルー)audio-technica ATH-CKS5TW-BL

 

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「ちょっとデカイかな」

おすすめ度*1

audio-technica ATH-CKS5

ASIN

B07T8SSPCV

 ちょっとデカイ感じはあるけど、装着感は悪くない。イヤピとイヤーウィングでしっかり固定されるので、遮音性もそこそこ高い。

 音質的にベース音が太く、ロックなんかをかけると音量はそれほどでなくても周りの音はかなり消える。

 

 aptX対応。通信品質はかなり安定している。駅構内でも途切れをほとんど感じなかったし、移動中も途切れることはまずない。相性や使う場面によって変わるかも知れないので、確実には言えないがQCC3026でも途切れにくいNT01AXとかTE-D01dより途切れないかも知れない。私の環境ではSONY WF-1000XM3の「音質優先モード」よりは優秀。

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【2】外観・インターフェース・付属品「物理ボタンで操作もしやすい。しかし、手持ちの個体は挙動にクセがある」

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル(Type-C)、専用充電ケース、説明書。

 

 インターフェースボタンは物理式で反応も良い。誤操作しづらく、率直に言ってこの操作感は好みでよくできている。

 

 ケースはデカいがイヤホン単体の連続再生時間が最大16時間もあるので、ぶっちゃけ邪魔ならケースは止めて別にポーチでも用意して、それに入れて運んで全然問題ない。普通のイヤホンケースに入れたっていい。

 

 私の環境で気になる点は接続当初数十秒~1分くらいの間に、なぜか片耳の電源が自動OFFする症状が出ること。しかし、これは私の環境の相性問題か初期不良の可能性があるし、気づいたらONにすればいいだけなので、今のところ気になるけど、とくに不便ではない。

 

 ちなみに個人的に付属イヤピは傘が薄皮で、なんかパリパリしてて着けててかゆくなるし、いまいち装着感がしっくりこなかった。おすすめはJVC スパイラルドット++。あるいは中低域の滲みが気になるようだったら、final E Clearがよい気がする。また篭もる印象を受けた場合は、イヤーピースのサイズは小さめを選ぶと相対的に低域の利きをセーブできて篭もった印象は減るかも知れない。

 

【3】音質「豊かな低域と熱気のある中低域、濃密な中域、煌びやかではなく、ギューンと胸をわしづかみにしてくる中高域。ライブ感に溢れて、情緒的。篭もってるっていうヤツがいようと、俺はこの音が好きだ」

 この機種についてはプレレビューでも、私自身、篭もっている第一印象があったと述べているし、実際おそらく多くの人が篭もっている第一印象を受けるかも知れないとは思う。少なくとも最近は高域の高いほうで空気感や抜けを重視して聴かせる系や高域に明るいさわやかな感じを出す機種が比較的多いので、この機種の高域はあきらかにそれより暗い印象を受けるだろう。

 低域の広がりも強く、曲によっては中域に滲み出す感じがあり、とくに最近は中域では多かれ少なかれ清潔感を重視する味付けが多い中で、中域に濃厚感を強く出す調整になっているため、高域の明るさで違和感を覚えるということは充分にあり得る。実際ボーカルの輪郭は抑えめで最初は息感の手がかりも乏しく、一段声が後退して聞こえるかも知れない。

 

 完全に正確ではないが、イメージとしてこの音の変化を具体的にイメージできるように解説すると、たとえば下に示す音源の上の動画の曲が、下のように聞こえる感覚と言えばイメージが掴めると嬉しい。

 

 上の動画に比べて、下の動画は音が太く、高域も暗めで一聴すると「篭もっている」印象を受けるかも知れない。しかし少し長めに下の動画を聴いてから、上の動画を改めて聞き直すと、上の方でシンバルのシャリシャリしている音が露骨に目立って鬱陶しく感じるという印象を持つ人もいるだろう。ボーカルに注目してみれば、下の動画では生々しいボーカルの生気感に集中できるのに対し、上の動画ではボーカルのすぐ上でシンバルがシャリシャリしているのが非常に煩わしくて集中力を乱しているように思える。

 ドラムも上の動画の方がタムが明るくて最初はクリアに聞こえてよいような気がするけど、下の音の方がボーカルを侵食しておらず、むしろボーカルをしっかり支える重厚なリズム感になっているのがわかると思う。最終的にはやはりどちらが好きかということになるけど、個人的にはたしかに清潔でクリアな音ではないので、第一印象で「篭もる」と判断する人がいるだろうことを充分に承知した上で、この鳴らし方はリスニング向きというわけでは必ずしも無いかも知れないし、原音忠実という方向性とも異なるが、個人的には素晴らしいと思うということを言いたい。

 

 この機種は個人的に好きなので、敢えて誤解を恐れず踏み込むけど、たとえば「一番の宝物」という私の好きな曲をSONY WF-1000XM3がどのように聴かせてくれるか期待すると、たぶんこういう感じ。清潔で優雅でのびやかに透明に聴かせる。


 audio-technica ATH-CKS5TWはそれに対し、こういうアプローチで聴かせる。より暖かく、情緒的で熱気のある感じ。

 

 もちろんこの括りは正確でないはずだし、これが正解だみたいなことを言いたいんじゃなくて、正確である必要もないけど、少なくとも下のような曲を聴くなら、私はATH-CKS5TWを選ぶということ。正直に言うが、私はATH-CKS5TWでこの曲を聴いて泣いた。低域のベース、ドラム、中高域の弦楽やギターすべてが温もり感を持って、たっぷりとつややかに湿っぽく甘く、胸を打つように太く聴かせてくるボーカルに全身全霊でエネルギーを注ぎこんでいるかのような、その表現の仕方にオーテクの本気を見た。この曲で男泣きできただけで満足でオーテクすげぇって思います。だからいくらこの機種の音をけなすヤツが出てこようと、俺は別に「はい、そうですか」で終わることができる。

 

[高音]:高域は暗い。少なくとも抜けが良い感じではないだろう。シンバルの空気感は率直に言って抑えめ。でもだからこそ中域を充分に温めることができるということは言っておきたい。たとえそれによって詳細なディテール感と現代的なデジタル曲への適応性のいくらかが失われたとしても、オーテクは判断を誤ったわけではない。この味付けはオーテクが本気で作りたい音作りが何なのかを如実に物語っている。全ては中域の充実感のために設計されている(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)

[中音]:中域の息巻くような熱気に満ちた充実感は最初はとまどわせ、第一印象は音の全ての定位がぐにゃぐにゃしているように感じられるかも知れない。よくあるクリーンな空間になれたリスナーにはとくにその感覚に慣れるのは最初は困難なはずだ。実際一聴した感じではそこは渾然としている。ピアノは膨らんでいるし、ギターも膨張し、ドラム音とつながっていて、最初は分離感は明瞭には思われないだろう。

 だが、そんな細かいことは気にしなくていい。音に身を任せていれば音は見えてくる。最初の戸惑いは、たとえばライブ会場に入ったばかりでまだライブハウスの反響の多い音に慣れていない感覚に似ていると思えば良い。ただ単に慣れていないだけで、音は実はすぐそばに存在している。音に包まれて身を委ねてしまえば、音の方からしっかりと前に出てきて、包み込んでくれる。そうしてだんだん音を掴む感覚がはっきりしてきた瞬間に、信じられないほどの広がりを持ったギターやドラム音が聞こえてくる。それも分離感は決して強くないが、確かにソリッドに定位を伴って。そこにある完全ワイヤレスの音とは思えない、熱狂的な音は少なくとも現状最高に、自由なライブハウスだ。そう、俺たちの愛したSOLID BASSは今ようやく自由の翼を手に入れて、夢を叶えてくれた。

 私はこのイヤホンで大好きな「ここから、ここから」という曲を聴いて、そのじんわり沁み入るようなボーカルを、音場全体、全身全霊で聴かせるこのイヤホンの表現に涙を流しながら、「馬鹿にされたってかまわない。信じていこう」という歌詞に大きく頷くことができた。少なくともこのイヤホンは第一印象の取っつき悪さに負けずに、信じて踏み出して聴くだけの価値があるイヤホンであることは確か。


[低音]:SOLID BASSの低域らしく、このイヤホンの低域は広がりを持つが、決して濃い方ではない。JVC XXシリーズの引き締まった黒みのある重低音が好きな人には最初はゆるい音に聞こえるかも知れない。ご心配なく。中域の充実感の味を知ってしまえば、この低域のさじ加減は計算されたものだということが分かる。なぜなら分離感をそれほど強調しない密度の高いこのイヤホンの音場で、低域がもしボーカルより濃かったら、埋もれちまうだろ?誰がそんな溺れそうなボーカル聴いて楽しいの?低域のほどよく柔らかく、ベースも適度な濃さで温度感を強めに広がる感じはボーカルのライブ感を輝かせるために設定されているのであって、ベース音だけ聴きたいヤツのためにあるんじゃないんでね。

 低域は100hz~30hzまで厚みのある振動。20hzはほぼ無音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:渾然一体としつつ、音の定位は明瞭ではないが、明確に分かる。音は太く、広がりが強く、最初はその全容を把握するのは難しいが、耳が慣れてしまえば問題ない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムはやわらかめで、シンバルも暖かいから、それぞれ単体としてはまあこんなもんって感じに聞こえるかも知れない。場合によっちゃぼんやりしてるだろうし。でもぶっちゃけそんなん関係ないよ。ドラムはバズンバズン重くて膨らむ感じで濃さはそれほどでもないです。シンバルも空気感やシャリシャリ感、白味なんかは強調しないので、それだけ聴いてるとやや埋没した印象を受けるかも。でもまじでそんなの関係ないよ(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは甘く太く充実してしっかりと濃く、音場でもっとも活き活きしている。篭もってると最初は思うだろうけど、ちょっと耳慣れすると説得力半端ない。

 

【4】官能性「ドライでソリッド。熱狂する音楽空間」

(K)NoW_NAME「Knew Day」

 最初はなんかアニソン聴いてたら「重たいやんけ!こもってるやんけ!」って思ってたんですけど、いくつかプレイリスト回してたら、この曲にぶち当たって、見事にソリッドバスされました。こういうドライでギラギラしてるロック感のある曲、聴き応えあります。中低域にボリューム感があって、音場全体を熱狂させるくらいの熱量感が感じられ、そうするとぶくぶく太ったドラムを想像するんですけど、ソリッドバスちゃんのドラムは違います。こいつのドラムは妙にメリハリきいてて、上では少し熱量高めで中域を暖かくしてるんですけど、床面ではビシバシしてて気持ちいいんです。ボーカルもフルボディ感があってしっかり濃いです。ライブ感が感じられます。

 


TVアニメ『灰と幻想のグリムガル』オープニング・テーマ 「Knew day」

 

秦基博「Rain」

 それで、ああそういえばソリッドバスっていうと、この曲聴くの好きだったなぁって思い出したのが秦基博「Rain」。うん濃厚。ボーカルすげぇ濃厚。ドラムがまた良くて、ほどよく膨張して厚みを出しつつ、下でしっかりビシバシしてて、「うほほい!ソリッドバスってこんな感じだったわ、オーテク最高だわ。JVC党とか名乗るの今すぐやめるわ」って失言しそうになっちゃうくらい。重低音の深みに支えられた、しっかり聴かせるボーカル、最高です。

 


言ノ葉

 

【5】総評「ごちゃごちゃ言わずに聴いてみな。使い勝手は現状最高レベルだし、音は選り好みされるだろうけど、好きな感じなら現状でこれ以上はないよ」

 この機種はまず聴いて判断してみて。接続品質とか連続再生時間とか使い勝手のクセはほぼないんで、音が好みかどうかだけ。第一印象で嫌いなら、もう少し聴いて判断して欲しいけど、それはそれでそれ以上聴かなくて結構。音がクソとか、またオーテク失敗してるとか吹聴してくれても構わない。こちとら、「ほぅ、この機種の真価が見抜けませなんだか」と思うだけ。

 自分の好きなロックやじんわり系のポップスを数曲じっくり聴いてみて、こりゃヤバイと思った人だけ買えば良い。やっぱりダメならそれでいい。でもじっくり聴いたなら、中高域潰れているとか篭もっているとかって感想は出ないはず。

 とにかく全身全霊で楽器にサポートされて聞こえてくるボーカルがすごい。

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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