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【特集】音質にこだわるマルチドライバー完全ワイヤレスイヤホン。注目機種をご紹介!

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音質に優れたマルチドライバー完全ワイヤレスイヤホン。注目機種をご紹介!

 

 2010年代になって登場した最も新しい革新的なオーディオ機器である完全ワイヤレスイヤホンは、いまやオーディオの主要なストリームを占めるに至っています。この新しく若々しいオーディオの潮流は、古く伝統的なオーディオ機器を押しのけ、音楽の世界を一変させました。世界中で多くの人がワイヤーの煩わしさから開放されています。

 

 しかし一方で多くの人が疑念を持っていたのはその音質です。ワイヤーがなくなって空中を音声信号が飛び交うということを想像したオーディオファンはすぐにこう考えました。「音楽信号を空中に飛ばすだって?……信じられない。ノイズから保護されているはずのケーブルですら音楽を劣化させるのに、それをさらに磁界ノイズの溢れた空中に解き放って劣化させるなんて正気の沙汰じゃない」と。

 

 一部のオーディオメーカーも音質の劣化を理由に完全ワイヤレスイヤホンの市場に参入するのを躊躇っていましたが、時間がすべてを解決しました。初期の完全ワイヤレスイヤホンはかなりの問題を抱えていたことは事実ですが、すぐに一定程度の満足できる音質と通信性が実現されました。古い考えの人々も、完全ワイヤレスイヤホンがオーディオ売り場の一番目立つ位置に美しく並べられるようになり、人々がそれについて目を輝かせて語り、楽しんでいるのを見ると、その環に加わろうと思い直しました。完全ワイヤレスイヤホンがオーディオ的にはまだ不完全であるにしても、それは音楽の楽しみを後退させるものではない、むしろ重要な前進がそこにあることに気づいたのです。

 

 完全ワイヤレスイヤホンの進歩は驚くべき速度で進み、技術は日々更新されています。課題は次々と解決され、今も解決されつつあります。この新しいオーディオ機器はスマートデバイスと連携するようにもなり、旧来のオーディオ機器が持っていた電気的性能の束縛(インピーダンス整合の問題、駆動の問題)からの解放をもたらし、ユーザーに直感的なオーディオアクセスを可能にするとともに、人々がこれによって開かれたオーディオの未来に目を向けていったことは当然の流れです。

 

 消費者もエンジニアもこの新しい潮流がオーディオ機器の革命であり、ライフスタイルにおける音楽のあり方自体を変える可能性があることを理解すると、次はどうやってこの革命を押し広げ、既存のオーディオを置き換えていくかということを考え、実行し始めました。

www.grandviewresearch.com

 

 2021年の現在、市場は様々な完全ワイヤレスイヤホンに溢れています。そして、完全ワイヤレスイヤホンの中には有線イヤホンの高級機種と同じようにたくさんのドライバーを積んだモデルが登場するようにもなりました。この記事では現在市場に存在しているマルチドライバー完全ワイヤレスイヤホンの中から注目すべき機種をピックアップします。

 

ところでマルチドライバーイヤホンってどういうメリットがあるの?

 一般にマルチドライバー化のメリットは音域周波数のレンジと解像度の改善にあります。各音域をその音域の特性に最適化した専用ドライバーに担当させることで周波数特性の精度が高まり、各音域のドライバー数を増やすことで解像度も改善します。一方で、適切な設計をしない場合、複数のドライバーを同一空間に入れることによる歪の増大、クロスオーバー周波数で問題が発生するといった音響上のデメリットがあります。

www.ear-phone-review.com

 

SoundPEATS H2

 SoundPEATSはワイヤレスイヤホンにおけるパイオニア企業として知られており、廉価な価格で高品質な製品と誠意のあるユーザーサポートで知られ、日本のユーザーに徐々に支持されてきました。SoundPEATSも日本市場に積極的に関与し、日本の成熟したポータブルオーディオ市場にコミットしたいと考えており、専用のチューニングを施した機種を販売するなど、熱心なマーケティングを行っています。

www.phileweb.com

 

 しかし、今となってはほとんど忘れられていますが、彼らは完全ワイヤレスイヤホンにおいては少し出遅れたメーカーでした。SoundPEATSは完全ワイヤレスイヤホンが出回り始めた比較的初期の2017年にQCYと協働して作ったと思われる「Q29」や「Q16」といった機種をリリースしていますが、全くと言っていいほどヒットしてません。SoundPEATSが完全ワイヤレスイヤホン市場で存在感を示すようになるのは、2018年の「SoundPEATS TrueFree」のヒット以降です。

 

SoundPEATS H2

 

 その後は高い品質の製品と確かなチューニングと技術力に基づいた豊富なラインナップが評価されはじめ、直近のVGP 2022でも「Air 3」や「H2」が部門金賞を取るなど、存在感を急速に高めており、オーディオファンにも広く認知されるブランドになってきました。

 

 部門金賞を取ったSoundPEATS H2はそのSoundPEATSの最新ハイブリッドドライバー搭載完全ワイヤレスイヤホンです。リーズナブルな価格でありながら、最新のaptX Adaptiveコーデックに対応するなど機能面を充実させ、スタジオチューニングライクなサウンドを施されたH2は、完全ワイヤレスイヤホンに参入するエントリーユーザーが高音質にステップアップするためのちょうどよい腰掛けとなるでしょう。

 

 

SoundPEATS H2

SoundPEATS H2

SoundPEATS H2

¥8,990(税込)

 
 
 
 
 

 

QCY T11S

QCY T11S

 QCYは日本では少し知名度に劣るかもしれませんが、世界的にはSoundPEATS以上の存在感を持つとも言えるブランドです。2018年頃までQCYはSoundPEATSと密接な関係にあり、おそらく両者は工場を共有していたか、QCYがSoundPEATS製品を受託生産していたようです。SoundPEATSの現在の製品群を見ると、複数のブランドと同じ工場で作られたと思われる製品が存在しているため、同社はファブレスブランドだと思われます。SoundPEATSの製品は2018年頃までQCYの型番そのままの製品を展開していましたし、「TrueFree」も「QCY T1」の同一機種です。しかし、近年は両者の製品ラインナップは全く異なったものとなっています。

 

 QCYはSoundPEATSに比べるとより技術的なメーカーであり、その製品の殆どに対応する独自のQCYアプリを備えていることで知られています。QCYは優れたワイヤレスオーディオ開発能力を持っており、完全ワイヤレスイヤホンにいち早く「低遅延モード」を導入したことでも知られています。

 

www.youtube.com

 

 その最新のマルチドライバーモデル「QCY T11S」はSoundPEATS H2の強力な対抗馬であり、ほぼ同等のスペックでイコライザーを備えた高機能アプリに対応しているという優位性を持っています。残念ながら輝かしいVGPアワードの栄冠はこの機種にはないものの、それはおそらく審査員の面々がこの機種をまだ知らないというだけでしょう。

 

 

QCY T11S

QCY T11S

 

KZ VX10

KZ VX10

 KZは他社より安く大量のドライバーをイヤホンに詰め込むことを至上の喜びとしているようなメーカーです。公式サイトで「有名他社のミドルレンジ帯と似せた外観のイヤホンをより安く提供しています(The company offers an impressive range of low-priced earphones that crib the form-factor from many moderately priced earphones provided by the mainstream brands.)」なんて宣言するブランドはKZくらいのもんでしょう(せめてリスペクトと言え。辞書でcribの意味を調べてみよう)。このブランドは他社を出し抜き、見た目上のスペックを優秀に見せることを至上命令としているかのようです。

 

KZ VX10

 

 フェイスプレートに「10 Drivers」と無邪気に書かれているKZ VX10は、わずか$65程度の価格で手に入るにも関わらず、片側に1DD+4BAの合計5基のドライバーを搭載しているハイブリッドモデルです。この天才的なブランドはさらにこのVX10に、ハーマンターゲットに基づいて音響設計を施したと称していますが、公式周波数特性はハーマンターゲットとは少し違うようです。

 

KZ VX10

 

 KZファンなら毎度おなじみのことで、いつもの楽しいKZ節が全開で心地よいのですが、真面目に受け取りすぎると痛い目にあいます。技適を取得しているかも不明です。最近のKZはまじめに技適を取得しているのですが、この機種に関しては総務省のサイトで検索しても出てきません。

 

 他の人が持っていないレアイヤホンを求めるなら、アリでしょう。一般の方にはおすすめしません。個人的にKZ流ハーマンチューニングに興味津々ですが、技適を取得していないとおおっぴらにレビューすることも難しいので、見送っています。

 

 

KZ VX10
KZ VX10

 

AVIOT TE-BD21j-ltd

AVIOT TE-BD21j-ltd

AVIOT TE-BD21j-ltd

 

 日本人エンジニアによる徹底的な日本人のためのサウンドを謳っている日本のオーディオブランドがAVIOTです(AVIOTのために「日本」を連呼しておきました)。先日、AVIOTはかねてより開発を明らかにしていた「Qualcomm Snapdragon Sound」対応の完全ワイヤレスイヤホンをリリースしました。

 

 「TE-BD21j-ltd」は、圧倒的な音楽性と解像度を実現するハイブリッド・トリプルドライバーモデルとして発売された「TE-BD21j」を大幅ブラッシュアップした最新作になります。デザインの基本はそのままに、新世代オーディオプラットフォームに対応することで、最新の快適で柔軟かつ高音質のオーディオ体験を実現し、マルチポイントにも対応しているなど大注目製品です。 

 

 

AVIOT TE-BD21j-ltd

AVIOT TE-BD21j-ltd

¥17,280(税込)

 
 
 
 
 
 
 

 

Noble FoKus PRO

Noble FoKus PRO

 音の「ウィザード」ジョン・モールトン博士が手掛けるNoble Audioはインイヤーモニターの世界では人気のあるブランドです。そのNoble Audioは(エミライの差し金もあって)この手のブランドとしては珍しく、完全ワイヤレスイヤホンの展開に熱心です*1

 

 Nobleは最初の1DD+2BAのハイブリッドドライバー完全ワイヤレスイヤホン「FALCON PRO」で成功を収め、今回はさらにチューニングに磨きをかけて最新仕様で「Fokus Pro」を完成させたといいます。Falcon Proの評判の高さを考えると、Fokus Proも期待できそうです。

 

 発売時期と価格は未定です。現時点で4万円は超える価格設定との噂があり、わりと高額のお値段になる可能性もあります。

 

 

Noble FoKus PRO

Noble FoKus PRO

 

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*1:公式にはモールトン博士の「遊び」から生まれたとされています。

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