おすすめ度*1 |
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ASIN |
aptX対応のワイヤレスイヤホン。QCYはこの製品をQY8の後継機種と位置づけているようだ。ただ音質面ではシャープかつ抜けが良い軽妙な味付けに仕上がっており、QY8とはだいぶ色づけの違いを感じる。付け心地もその音質に似た軽めの付け心地。QY8ほど耳にはまり込むことがなく、そのせいか遮音性はそれほど高くなく、音漏れもやや目立つ。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースの替え、イヤーフック、充電用USBケーブルが付属する。細めの丸形ケーブルにタッチノイズはほぼない。
【2】音質
音質的にはシャープさのある抜けのよい音で空気との一体感がある。キラキラシャリシャリとしたところはあるので大音量では刺さりが痛くなるところもあるが、メリハリもよく爽快感強めの味付けは心地よい。
[高音]:透明感はよく出ている。のびやかさもあり突き抜け感もほどよくある。シャリっとした音に出やすいところはある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:全体的に抜けがよく、端は空気に溶け込む広さがあって透明感のある音。
[低音]:100hz~40hzまで荒れるところなくきれいに減衰する。30hz以下は沈み込む。低域ドラムは爆発力のある音で爆竹のようにパチパチした刺激がある(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、Round Table featuring Nino「Rainbow」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:中低域付近の密度は高く感じられるので、そこらへんに音が集中している曲は若干前屈みに聞こえる。しかし抜けがよく空間と一体的な音の鳴り方をするため、おとなしめの曲では逆に広さを感じやすい(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:かなりメリハリが強く、緻密な音表現と抜けの良さと相まって、爽快感強め。低域ドラムも爆発力があって、上方向に盛り上げる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルは透明感が出やすく、抜けのよい音でキラキラとした明るさを感じやすい。
【3】官能性
鈴木このみ「DAYS of DASH」は活きの良いメリハリ感のあるメロディーに、息づかいまで感じられるボーカルが軽快に紡いでいく。サビでの盛り上がりは抜けが良いので空気に溶け込むところがあり、力強さは若干弱く感じられるところはある。全体的に爽快な味付け。
AKINO with bless4「エクストラ・マジック・アワー」は煌めき感と爽快感に満ちている。イヤホンによっては耳に刺さるほど強くキレる曲だが、このイヤホンでは抜けがよいのでほどよく空気に溶け込む。その音の溶け込みが全体の密度を高めている。
ダイスケ「いつだって。」はきれいに抜けてねばっこいところのない音が爽快。パーカッションとギターの表現も軽く、気持ちを軽快にする。立ち上がり良好で消失もスカッと消えてメリハリ感強く楽しげな曲調。
東山奈央「Hello Alone -YUI Ballade-」はのびやかな弦楽音、透明感に満ちたボーカルが空間全てを満たすような豊かな表現を作っている。ピアノも立ち上がりよく、肝心なところで演出をしっかり加える。
【4】総評
シャープでキレの良い表現力、空気に溶け込むエッジの抜けが爽快感を演出する。透明感強めでキラキラ感に満ちた音は明るく叙情もたっぷり。ロックサウンドやクラブミュージック向きのように思うが、穏やかなバラードも空気感が出て違った味わいで楽しめる。
軽量な付け心地は圧迫感とは無縁でタッチノイズもなくスポーツ向けにしっかり仕上がっている。価格的にも廉価で魅力的なので、素直におすすめできる。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。