ソニー SONY ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン WI-SP600N BM : Bluetooth対応 NFC接続対応 防滴仕様 2018年モデル ブラック
おすすめ度*1 |
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ASIN |
丸みを帯びたハウジングで比較的耳への収まりが良いワイヤレスイヤホン。遮音性は高め。ただしノイズキャンセリング単体の効果は思ったほどでもないので、構造的にかなり遮音性が高いように思われる。音漏れもあまり目立たない。
aptXには対応しない。AACには対応。通信性能的には遅延なく、動画鑑賞にも十分堪える。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースの替え、サポーターの替え、充電用USBケーブル、説明書。ケーブルのタッチノイズはかすかにあるが、ほとんど目立たない。
amazonのレビューで気になるのは、一部SONYのアプリやDAP製品のイコライザー機能に対応していないという指摘。NW-A40番台の製品は対応していないとか。ただこれは確かNW-A30番台以降はbluetooth接続でイコライザー機能が動作しないのは仕様だったはずで、この機種に限った問題ではない気がする。そこが、いまだに私がNW-A27を愛用している理由の一つ。アプリ云々については使ってないのでわからない。
【2】音質
どちらかというと中低域に厚みを感じる。高域は煌めき感や透明感は抑えめで演出感は少なく、自然。突き抜け感はそれほど出ないので、高さは感じづらい。中域には低域が少し被さってくる。中域の楽器音の発色は悪くなく、ピアノなどはきれいに瑞々しく聞こえる。低域はかなり厚みがあり、やや前面に出てくる。全体として見ると、中低域に密度を感じ、重厚で満腹感のある表現になっている。
[高音]:ややおとなしい。突き抜け感は出にくい。煌めき感控えめ(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:中域は低域に比べて少し後ろから聞こえる。低域の後ろからでも精彩は悪くなく、ピアノはなめらかなポロンとした色気のある音。ギターもエッジを感じさせながら、ドライになりすぎず、しなやかにのびる感覚がある。
[低音]:100hzから厚い振動。30hzまで存在感しっかり。肉厚。前面に持ち上がってくる(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:低域が近く、その後ろから中域が形成される。密度を感じさせる配置に思うが、個々の音にはなめらかに抜ける感じがあり、圧迫感は少ない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムは重く地熱もある音で重厚味が出る。バスンバスンという音で表面には革張り感もある。ハイハットも粒感良く、強弱的にはドラムよりは控えめだが、存在感しっかり(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:やや暗めで自然な声色。
【3】官能性
perfume「Dream Fighter」はよい。デジタルドラムの重みがしっかり。しかもボケずにタイトにまとまって心地よい。重厚感をしっかり意識させてくれる。その重厚な足場を固めた上に、やや暗めの色彩感で密度のある空間を作る。弾ける効果音は衝撃がやや抑えられ、厚みを感じさせる表現になっている。爆発力より肉厚な密度で満腹感を出して勝負している印象。
DAOKO「終わらない世界で」は重厚感が出る。音色はやや重く暗いようにも思うが、ハイハットの粒感が緻密に感じられ、疾走感は失われない。サビでの厚みもよく、とくに太めの弦楽が情感をしっかり盛り上げる。
ねごと「アシンメトリ」も同じように重厚感とスムースなリズム&展開を両立させている。電子音は煌めきを抑えられていて、やや暗め。しかしなめらかでスムースな音色を感じるので、展開になめらかな疾走感が出ていて、不必要に暗すぎたりはしない。なにより粒感の良いハイハットがつねにリズムを盛り上げており、もっさりするような鈍重感はない。やや大人びて聞こえる。
【4】総評
音質的にずば抜けている印象はない。ただよく聴いていると、中低域で意外と芸が細かく、細かな分解能や音色の発色の良さを感じる。全体的に自己主張が強い感じではなく、曲に少し厚みを持たせて素直に聴かせるといった感じ。その意味で派手さは感じないが、魅力は十分にある。
ただお値段は高め。音質だけで判断すると、コスパは正直難しいかなというのが率直な感想だ。個性的な音という雰囲気では決してないので、これでしかこの音楽体験は出来ないという感じの機種ではない。
【5】このイヤホン向きの曲
金管の色気がよい。厚みと吹き鳴らし感のバランスが良く、少しの光沢感もあって魅力的。太めの弦楽の抑制された表現も大人びて曲をゆったりした流れに乗せながら、しかもここぞというところで金管と一緒になって妙に情感をえぐってくる。そしてパーカッションの粒の良い色彩感も曲を重たくさせない。(Minako Mooki Obata「There’ll Never Be Good-bye 」)
ピアノが瑞々しい。ギターはエッジ感良好ながら、表面の音色は滑らかで、スムースに響いてくる。エッジで攻めるギターと、つややかな甘酸っぱささえ感じさせるピアノとのせめぎ合いというか、駆け引きが楽しめる。それぞれの楽器は別方向を向いているようで、実際はタイトで重厚なドラムがそれをまとまりよく骨格に落とし込んでいる。一聴して感動させるという鳴らし方ではないが、細かな仕事が意外に感じられ、満足度高め。(「宇宙よりも遠い場所」ED「ここから、ここから」)
ギターのエッジよし。例の如くスムース感のある音色なので、エッジを利かせてアタック感をほどよく感じさせながら圧迫感はない。そして相変わらず重厚なドラムが曲の骨格をよくまとめあげている。浮ついた感じはない。
ギターのエッジ感はそこそこよい。細かいギザギザ感と滑らかさのバランスが良い。ただ個人的にはこの曲はもうちょっとガリガリ削るような感じで出してくれても良いかな。しかし、ベースとドラムの圧迫感を出し過ぎない重厚感はなかなかにバランスに優れている印象。曲の骨格表現がうまく思える。後半の畳みかける展開もしっかり「重み」が出てこそ、メリハリが良く感じられて中毒性が増す。
ソニー SONY ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン WI-SP600N BM : Bluetooth対応 NFC接続対応 防滴仕様 2018年モデル ブラック
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。