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【カナル型イヤホン qdc NEPTUNE レビュー】清明なる中高域。透明感の表現力は価格帯最高クラスの一級品

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qdc Neptune

qdc Neptune

qdc バランスドアーマチュア型イヤホン NEPTUNE QDC-5915

 

 

 

おすすめ度*1

qdc NEPTUNE

ASIN

B077JLSMJY

 シュア掛けタイプのイヤホン。中華製のこのタイプのイヤホンはきつい付け心地のものも多いが、このイヤホンは耳への収まりは悪くなく、装着感は良好。

  密着度は良いので、遮音性はそこそこ高い。音漏れも少なめ。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、携行ケース、説明書。リケーブル可能。標準ケーブルのタッチノイズはない。

qdc NEPTUNEqdc NEPTUNE

 

【2】音質

 一聴してわかるのは驚くほどの精彩感がある高域。煌めき感と透明感ともに非常に高いレベルの表現力で華麗と言って良い鮮明さも兼ね備えているが、一方で音の味にはキンキンするような尖りはなく、耳に刺さらずにきれいに抜ける。音の伸びもはっきりと感じられるので、突き抜け感にも優れており、心地よい。この高域の表現力だけで一聴に値する。

 傾向としてはやや誇張感はあり、音は細めでメリハリ感は強調されている印象があるが、見通しは非常に良い。また、バランスドアーマチュアモデルだとカリカリした硬い感じの低域音になりやすいが、この機種の低域は比較的耳に優しく、厚みを感じさせる音で、意外と温かみが感じられる。バランスドアーマチュアっぽい妙に明るげな音ではあるものの、膨張感が少し感じられて、粘りや爆発力に表情を感じさせる。

 この中高域の鮮明で見通しの良い表現力と、低域の少しだけ生々しさを感じさせる発色の良さが、誇張感はあるのに、どことなくアコースティックで、空間的にも少し広がりを感じさせる、ほかのバランスドアーマチュアモデルとは少し違う個性的な表現力をもたらしているように思う。

 

[高音]:妙にうっとりさせられる音。煌めき感と透明感のバランスが良く、しかも発色もよくて鮮烈といっていいインパクトがあるが、しかし後味は見事に空間に溶け込み、刺さるような尖りを残さない。決して自然な味という感じではなく、誇張感が感じられるが、鼻につく臭みがない。たとえるなら出来の良い芳香剤。人工的だが心地よい香りがある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:ギターのドライなエッジと発色の良さが妙によく聞こえる。金管や弦楽の金属光沢の感じさせ方もコントラストが利いていてキラ味があるのに、尖らせず最後はきれいに溶かす。音の線は細めだが、ヒステリックな感じはほとんどない。

[低音]:100hz~40hzまで厚い振動。発色は明るめで黒く塗り込む音ではない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:緻密さは良く出る。音は全体的に細く、メリハリもきれいに出す。見通しは良く奥行き感も出る。個々の音のコントラスト感が強いせいか、曲によってはほんの少しだけガチャガチャする(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムは粘りも爆発力もある。色味はやや明るく、輪郭と音の発色は良く思える。また若干の膨張感も出る。ハイハットの粒立ちもよく、固着感も感じられて、耳に粘る(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:明るめの色彩だが、息感のシャープさや中盤の透明感がよく感じられる。高域のボーカルはとくに秀逸で女性ボーカル向き。

 

【3】官能性

May'n「ノーザンクロス」

 May'n「ノーザンクロス」はボーカルのパワフルさがのびやかに大胆に表現される。息感の篭もり方、しなやかな伸び腰、高域に到達した時の鮮烈な透明感、どれもがかっこよい誇張感で満たされていて、ファンタジック。それを包む楽器音もエッジが利いていて、この曲の緻密な光彩感をコントラスト強めに表現する。ここまで華やかさを加えると、普通はどぎつさが目立つように思うが、このイヤホンは抜けよくまとめて後味スッキリ。カツカツとしたメリハリの良いリズム感と、ミュージカルのように誇張された華やかな色彩表現を両立させて、曲を破綻させないギリギリを狙っているかのよう。

 


「マクロスF」VOCAL COLLECTION 娘たま♀

 

Fate/Grand Order「清廉なるHeretics」

 このイヤホンの華やかな高域と、きわどいが秀逸な演出感を楽しむ曲を探して、真っ先に思いついたのがFate/Grand OrderのOST2に収録されている「清廉なるHeretics」。思った通り、全体的に発色良く、コントラストも強めで、音の一つ一つが自己主張してくる独特の混沌とした感じが良く出る。しかもほどよく膨張感を伴いながら締め上げるドラムがちゃんと仕事をしていて、曲の要所要所でしっかりまとめ上げている。空間表現的にも十分な広さを感じ、密集して苦しい感じはない。

 


清廉なるHeretics

 

fhána「ムーンリバー」

 fhána「ムーンリバー」はデジタルドラムの表現に粘りを感じ、ややウェットで腰がある。楽器のエッジ感もよく、メリハリがある。色味は全体として明るい。が、何よりボーカルの透明感と突き抜け感が独特で別格。華やかな精彩があって活き活きとしている。

 


TVアニメ『有頂天家族2』エンディング主題歌「ムーンリバー」(アニメ盤)

 

【4】総評

 正直独特な音色なので、ファンタジックでうっとりするところはあるが、よい音かというと難しいところはある。個人的にこの価格帯では、たとえばJVC HA-FX1100の、あの濃厚で調和的、かつ空間表現的にも優れた表現力と比べると、演出感が強すぎると思うし、同じバランスドアーマチュアでも、広さと表現のバランスという面ではEtymotic Research ER4XRのほうが音楽を実直に表現している気がする。だが、この機種の透明な水底を思わせるような、温もりのある清明な表現は他の機種にない魅力があり、それがどうしても物欲を刺激する。決して安くなく、率直に言ってこの価格帯ではこれ以外に魅力的なイヤホンはたくさんあり、これ以上に素晴らしい機種が多い。コスパがよいわけでは決してない。それでもこれをつい手にしてしまう。そういう、かなり小憎く因果なイヤホンだ。

qdc NEPTUNE

 

【5】このイヤホン向きの曲

rionos「ハシタイロ」

 温もり感と透明感を両立させたボーカルをよく表現する。弦楽とピアノ音に厚みがある曲だが、透明感とコントラスト感をほどよく演出するので、なおダイナミックに、色彩感も強く思える。

 


TVアニメ『クジラの子らは砂上に歌う』ED主題歌「ハシタイロ」

 

れるりり「chaos and creation」

 発色がよいのに臭みがないので、こういうデジタルな曲もいける。なんていうか、こういう曲を処理するときのバランス感覚は妙に良く、色彩感やメリハリのかっこよさを強調しつつ、ドラムを騒がしすぎないレベルで、きつくない程度のきわどいあたりで絶妙に聴かせてくれるところがある。個人的にはこのイヤホンのそんなとこが好き。

 

Stringspace「パッフェルベルのカノン」弦楽四重奏

 この音源を最高に素晴らしく聴かせてくれるのは同価格帯ではHA-FX1100が抜きんでている。だが、このイヤホンもまた、それとは違うファンタジックな色彩感でこの曲を中毒的に聴かせてくれる。発色良く、妙に音の当たりは硬質だが、伸びはしなやかで艶めかしい独特の華やかさが感じられる。

 

qdc Neptune

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qdc バランスドアーマチュア型イヤホン NEPTUNE QDC-5915

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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