- Astell&Kernのエントリークラス「a&norma」がリニューアルされます
- SR25はSR15の後継機種
- SR25関連の記事
- SR25のまとめ
- SR25のメリット
- 現状でSR25は魅力的ですか?
- 【関連記事】
Astell&Kernのエントリークラス「a&norma」がリニューアルされます
Astell&Kernからa&normaシリーズの新作「SR25」がアナウンスされました。発売日は5/22で、価格は94800円程度とされています。
SR25はSR15の後継機種
SR25はa&norma SR15の後継機種で、AK70以来のエントリークラスDAPシリーズの最新機種になります。DAC部分はSR15から引き続き「CS43198」のデュアル構成のままとなっていますが、ハードウェアは全体的にレベルアップが図られており、クアッドコアCPUを搭載した上に、最大32bit/384khzのPCM、DSD256までのDSDネイティブ再生に対応し、さらにMQA再生も可能となりました。Bluetoothは、これまでのSBC/aptX HDに加え、AAC/LDACにも対応し、OSはカスタムモデルですが、Android 9.0ベースとなり安定性が上がっているらしいです。さらに連続再生時間は最大約21時間に改善され、新たにパフォーマンスモードを実装して高解像度音源を遅延なくクオリティーを維持して再生出来るようにしたということです。
近年デジタルオーディオプレーヤーは中華メーカーの進歩が著しく、10万円以下のミドルレンジからエントリークラスの価格帯では無双していると言って良い状況でしたが、Astell&Kernもテコ入れを図り、競争力の回復を目指したと思われます。実際最近の中華DAPの強みである高解像度ファイルへの対応能力やワイヤレスオーディオへの対応能力の高さに追いついたモデルになっています。ただし最近流行のプレイストアまで完備した完全Androidモデルではないようです。
SR25関連の記事
SR25のまとめ
- 心臓部のDAC自体はSR15から据え置き
- 価格はSR15から据え置き($799)だが、国内の初値はSR15より税込みで5000円ほど安い
- CPUが改善され、処理速度が向上
- 最大32bit/384khzのPCM、DSD256までのDSDネイティブ再生に対応(SR15はそれぞれ最大24bit/192khz、DSD64まで)
- 価格帯では優秀な内蔵ストレージ容量64GB
- BluetoothオーディオコーデックのSBC/AAC/aptX HD/LDACに対応(SR15はAAC/LDACに対応しない)
- Bluetoothのバージョンは4.2(SR15は4.1)
- 連続再生時間は最大約21時間(SR15は10時間)
- パフォーマンスモードの導入
- MQAファイル再生に対応
- バランス出力端子は相変わらず2.5mm(4.4mmに比べて劣る)
- 国内発売日は5/22
SR25のメリット
価格帯では音質と携行性のバランスが最も優れている機種になる可能性があります。重量はSR15の154gから10%以上増加して178gとなっており、これはiBasso DX160(178g)とほぼ同等で、以前ほど軽量とは言えなくなり、大きさも一回り大きくなるようですが、それでも大きさの点でよりコンパクトで持ち運びに優れており、取り回しがよいです。ただし寸法はSR15より大きくなったせいで、Hiby R5のほうが小さくなります。
バッテリー駆動時間が最大21時間に改善されたのは非常に大きな前進で、もしスペック通りの性能が発揮できるなら、SONY製のNW-A105の残念なバッテリー仕様に取って代わり、外出用のポータブルオーディオプレーヤーの王者になれる可能性があります。これまで私はAstell&KernのDAPをその電池持ちの悪さから多少蔑んで来ましたが、これからはバカに出来なくなる可能性があります。
現状でSR25は魅力的ですか?
公開された情報だけを考えると、10万円近い価格設定はかなり強気に思えますが、それでも既存のDAPではなかなかない魅力があります。一つは電池持ちの良さ、そして携行性の高さで、これによりSR25は外出時に長時間音楽を楽しむユーザーの最強のポータブルDAPの候補になり得ます。
ただし最大21時間のスペックは連続再生時間で、待機時間が含まれていないことに注意する必要があります。電源入れっぱなしの運用ではFiiO M11 Proの待機時間が恐ろしく優秀だということはすでに証明済みなため、もしSR25の待機時間電力効率が悪く、電源を頻繁に入れたり切ったりしなければいけないようなら、実際の体感的なバッテリー持ちはFiiO M11 Proのほうが良好で使い勝手も良くなる可能性があります。
既存のSR15からの買い換えにはそれほど魅力がないかも知れません。使い勝手や音質で一定の改善が見込まれますが、現状の情報からは基本的な音質のキャラクターに変化はないように思われます。むしろAK70mkⅡのユーザーや新しいSONY DAPに不満を持っている人が乗り換え先として選択する可能性があります。
競合機種としては、半額以下で買えて音質面ではSR25に遜色がないか優れてさえいるiBasso DX160や、機能性と音質のバランスで非常に人気が高いFiiO M11 ProやHiby R6 Pro、Shanling M6 Proなどが同じ価格帯にいます。SR15はコスパ面ではこれらのDAPに水をあけられてきていましたが、SR25は多くの点で追いつきました。ただしOSはおそらく完全Androidではないので、プレイストアは搭載されない可能性が高く、ワイヤレスオーディオ製品の付属アプリなどの使用は制限される可能性が高いです。中華製DAPの多くがこの点でアドバンテージを維持すると思われます。
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