- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにMeze Audio Japanから貸し出されたサンプルに基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
こんな人におすすめ
- パンチのあるサウンドが好き
- チャーミングなボーカルを楽しみたい
- ビルドクオリティにこだわる
MEZE RAI PENTAの概要
「アウトラインレビュー」は製品の概要を簡潔に紹介するレビューシリーズです。今回取り上げる製品は「MEZE RAI PENTA」です。
MEZE RAI PENTAの完全なレビューはこちらにあります。
基本スペック
- 周波数特性:4Hz~45kHz
- インピーダンス:20Ω
- 感度:110dB
- ケーブルコネクタ:mmcx
- 価格帯:100000円~200000円
パッケージ
昨今の豊富なアクセサリーや豪華なパッケージに見慣れていると、RAI PENTAのパッケージは10万円を超える機種としては少し物足りなさを感じることは事実です。ただ、付属品に不足はなく、価格の標準は満たしていると思われます。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。
- イヤホン本体
- イヤーピース
- 航空機用アダプタ
- 3.5mm→6.35mmアダプタ
- クリーニングツール
- キャリイングケース
ビルドクオリティ
外観のビルドクオリティは価格帯の水準を満たしています。
装着サンプル
比較的収まりの良いハウジングで、装着感は良好です。
音質
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
RAI PENTAの全体のサウンドバランスはやや中域に寄ったナローなV字型サウンドでむしろM字型と言える形をしており、中低域と中域上部に強調があり、中域中心部が凹んでいます。全体的にやや明るく艶やかに聞こえ、解像度もハイエンドにふさわしい水準のサウンドを持っていますが、低域と高域の両面で拡張性にやや乏しく、中域に少し癖があります。
音質についての詳しいレビュー内容はこちらを参照して下さい。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:B
MEZE RAI PENTAは独特の中域構造が生み出す印象的なボーカル表現が魅力のイヤホンです。ただし、オーディオスペック的には総合的に価格の水準を満たしているかは微妙なところで、透明度は個人的には少し物足りません。
しかしながら、有料記事で述べましたが、RAI PENTAのオーディオスペックのデータを個別に確認していくと、MEZE Audioが品質管理面で優れており、一流オーディオブランドとして個々のイヤホンのクオリティの一貫性で優れていることが示唆されました。
2022年現在のオーディオ業界では中国ブランドが音響設計で優れた水準を実現していますが、品質管理の面では先進国の一流ブランドに追いついている中華ブランドは稀という状況です。
MEZE RAI PENTAは2022年の一般的な水準からすると、オーディオスペック自体で優れている機種ではありません。しかし、MEZEが品質管理面で非常に丁寧で細心のコントロールをしていることが、複数の測定データから推測できました。一般的な中華イヤホンでは左右があまり一致しない測定値で高い一致率を示すなど、左右のユニットがかなり丁寧にマッチングされています。RAI PENTAだけでなく、99Classicsの測定値でも同様の傾向が見られたので、MEZEのクオリティコントロールは優れた水準にあると予測できます。
一方で、クロスオーバー付近の処理に今ひとつ調整不足が感じられるデータがあったり、歪率の数値が良くないなど、中華イヤホンが当たり前に実現している設計水準に比べると、物足りなさを感じる部分があります。
音質的な特徴
美点
- 価格の水準を満たす解像度
- 比較的高い原音忠実度
- 印象的で魅力的なボーカル表現
- ウォーム
- パンチのある低域
- 艶やかで色気のあるサウンド
- 聞き心地を考えて調整された高域
欠点
- 歪み率が高め
- 窮屈な音場
- 拡張性に欠ける高域
- 深みに欠ける低域
- 爽快感に欠ける
- マイクロディテールの不足
総評
MEZE RAI PENTAは独特の美しいボーカル表現を高い解像度で聞かせてくれる魅惑的な製品です。しかし、オーディオスペック面では歪率の高さ、音場の広がりに欠けるといったハイエンド製品としては不足を感じる部分があり、その独特の表現を好ましく思う場合以外はいまいち価格なりの良さを感じづらい製品でしょう。ただMEZE Audio自体の品質管理は非常に優れている可能性が高く、ハイエンドオーディオにふさわしいコントロールがされていることが推測されます。
【関連記事】