- 【1】装着感/遮音性/通信品質「良好な装着感。通信品質は悪くない」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「充電ケーブルはMicro-Bです」
- 【3】音質「中高域のグルーヴ感を重視した少し明るい軽快系の音だが、床面もしっかりしているので、メリハリもよい若く楽しい音」
- 【4】官能性「適度な透明感のある空間の中、少し明るめな感じで、比較的万能に音楽を楽しめる」
- 【5】総評「ちょっと明るい感じが好みを分けそうですが、解像度は高く、比較的万能に聴けます。通信品質や使い勝手も良いでしょう」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「良好な装着感。通信品質は悪くない」
おすすめ度*1 | |
---|---|
ASIN | |
スペック・評価 | |
連続再生時間/最大再生時間 |
5h/25h |
Bluetoothバージョン | 5.0 |
対応ワイヤレスコーデック | AAC/SBC |
防水性能 |
IPX4 |
音質傾向 |
明るい、立体感がある、透明感がある、解像度が高い、元気、ボーカルフォーカスが良い、のびやか、快活 |
うどんタイプです。良く嵌まって装着感は軽く、装着性の調整もしやすいです。遮音性もそこそこです。
対応コーデックはAAC/SBC。ONKYO GRANBEATとCayin N6II/A01で交互に繋ぎながら接続品質をみました。テストしたのは都内某駅周辺です。混雑する時間帯でなかったせいもありますが、駅の改札の通過、電車の乗り降り時の間もほとんど途切れる感じはありませんでした。基本的に通信品質が安定しており、この価格帯では充分だと思われます。
テスト環境
今回のテストはONKYO GRANBEAT、Cayin B6II/A01で行っています。
【2】外観・インターフェース・付属品「充電ケーブルはMicro-Bです」
付属品はイヤーピースの替え2種類、充電用USBケーブル(Micro-B)、専用充電ケース、説明書です。
【3】音質「中高域のグルーヴ感を重視した少し明るい軽快系の音だが、床面もしっかりしているので、メリハリもよい若く楽しい音」
今回は標準イヤピの中で、Lサイズを使ってレビューします。
まず全体像を確認してみますと、ほどよく締まった低域の床面と少しアタック強めにこちら側に楽器音を響かせるノリの良い中高域が目立ちます。ギターエッジはのびやかにアタックしてくる感じで、ディストーションも高めに抜けていく感じがあり、シンバルもちょっとこちら側に迫りながら聞こえてきます。ちょっと明るめで元気のある音でありながら、中高域の上の高域方向は適度に落ち着いており、音楽の一番艶やかなところで音像を少し押し出し気味に丁寧に聴かせようというコンセプトが感じられます。ボーカルは少しのびやかで楽曲全体は自然と上を向いている、元気な雰囲気があります。
次に個別に音域を聴き込んで確認してみますと、まず低域では胴鳴り感を適度に感じさせつつも、量感を抑えて基本的にクリアに下の方から音が聞こえるレイヤー的な床面を感じます。ベースは適度にブンブン床面を聴かせて少し黒い感じながら、本体の厚みは抑えて暖かみを強く主張する感じはありません。バスドラキックは響きの広がりを抑えているドンの音を一点に聴かせる重みを重視した感じに聞こえます。ドラムはどちらかというとタイト傾向に聞こえるでしょう。低域弦楽は下に少し重みとコクを出しつつも、厚みを抑えた透明度の高い音を奏で、自ら出張って深掘り感を強く主張する感じではなく、どちらかといえば中域以上を支える感じです。
中域は中高域に向かって前傾して聞こえますが、傾斜は強くないので、自然な奥行き感と伸びやかさが感じられます。また低域の暖かみが強くないので、中域は基本的に充分に透明で、中高域で少し艶やかに伸びる音の響きをしっかりと楽しむことが出来ます。一方でアタック感のバランスは押し出しすぎないように傾斜が考えられていて、スネアの鼓面の弾けやギターエッジが前に出るにしても、強く押し出しすぎない適度な均衡が考えられています。そのため艶やかな響きに押し出し感を感じさせつつ、響きがしっかりと横に広がる横軸も考慮されていて、音像も一定の安定感を持つように調整されています。基本的に万能に明るめのきれいな音を透明な中で聴かせたい、そうしたしっかりしたコンセプトが感じられます。
高域は基本的には中高域に比べると落ち着いており、ボーカルのスーハーする息感やシンバルの空気感は自然に抜ける高さを意識しています。目立ちすぎないながらも中高域からさらに少し伸びている空間を感じさせ、ボーカルより少し高い位置に弦楽が届いて、ちょっと派手に筋立って包み込むくらいに音楽空間を広げています。
総合すると、やや深いところを重視した抑制的だが重みのある低域の床面のうえに、中高域が一番艶やかになるようなのびやかな中域以上が存在しており、その高さは風通し良すぎるところまでは高くない感じで音が希薄化するのを避けつつも、充分にのびやかに音楽に上昇エネルギーを与えている、そういう縦軸にワイドレンジな表現になっています。低域に太さがないこともあり、音の全体的な印象はわずかに細いかもしれません。一方で、適度に緻密でアタック感がありながらも、ボーカルフォーカスもよく、空間は透明感が維持されていて音数も調整されていて、聞き疲れしにくいです。
音質因子評価
音質因子 | 評価 |
鮮やかさ (鮮やか/色味が薄い) |
やや鮮やか。低域は強くないものの黒みを意識しており、中域には充分な透明感があって、適度なコントラストの中で中高域音が映える。 |
鋭さ (鋭い/鈍い) |
やや鋭い。中高域で少し硬い感じはあるが、抜けは細くなりすぎないので、鋭い感じはあまりない。アタックは少しあるので、音のキレはやや強い。 |
明るさ (明るい/暗い) |
やや明るい。基本的に音場は明るい。 |
派手さ (派手/地味) |
やや派手。中高域をしっかり聴かせるので色づきは良く感じられる。 |
硬さ (硬い/柔らかい) |
やや硬い。中高域の手がかりは少し多く、どちらかというと硬い感じがある。 |
尖り (尖っている/丸みがある) |
普通。音の印象は少し細いが、高いところで鋭い感じは強くない。 |
穏やかさ (穏やか/騒々しい) |
普通。中高域に焦点があるのでややガチャガチャしやすいが、アタックも強すぎないので、広がりの響きが考えられており、音がぎっしりしすぎないので聴きやすい。 |
力強さ (力強い/嫋やか) |
普通。中域下が少し清潔な分だけ低域のパンチの聞こえが良いところがあって、ほどよい力強さが感じられる。 |
豊かさ (豊か/貧弱) |
普通。音はわずかに細いが、中高域で充分に響く感じがあり、全体のバランス的には情報の適量感がある。 |
太さ (太い/細い) |
やや細い。普通に近いが、高域に伸びている分だけわずかに細く聞こえやすい。 |
手触り (ざらざら/滑らか) |
普通。中高域で少し硬いが、基本的に適度にマイルド。 |
粒感 (きめの細かい/粗い) |
ややきめの細かい。普通くらいだが、わずかに音が細めで高域にも伸びているので緻密な感じは少し強い。 |
清潔感 (澄んだ/濁った) |
やや澄んでいる。高域の風通しは適度だが、低域の暖かみが抑制されているので、基本的に中域以上の空間に透明感がある。 |
潤い (潤いのある/乾いた) |
やや潤いのある。音は基本的にみずみずしい。 |
重さ (重い/軽い) |
やや軽い。バランス的にはちょっと浮揚感が強く、上向きの音場に思う。 |
ボーカル因子評価
ボーカル因子 | 男声 | 女声 |
澄んでいるか (澄んでいる/濁っている) |
やや澄んでいる | やや澄んでいる |
明るいか (明るい/暗い) |
やや明るい | やや明るい |
伸びやかか (伸びる、突き抜ける/天井感がある) |
伸びやか | 伸びやか |
潤っているか (しっとりしている/乾いている) |
ややしっとりしている | ややしっとりしている |
太いか (太い/細い) |
やや細い | やや細い |
濃いか (濃い/薄い) |
普通 | 普通 |
子音が強調されるか (目立つ/目立たない) |
普通 | やや目立つ |
空間因子評価
空間因子 | 評価 |
主に中域の密度 (ぎっしり/スカスカ) |
ややスカスカ |
主に高域の高さ (抜けが良い/天井感がある) |
やや抜けが良い |
主に低域の深さ (深掘り感がある/浮き上がりがよい) |
やや深掘り感がある |
主に中域の奥行き感 (前進的/後傾的/前傾的/後退的) |
前傾的 |
主に低域と中域の横幅 (広い/狭い) |
やや広い |
定位感 (頭内的/頭外的) |
普通 |
分離感 (拡散的/密集的) |
やや拡散的 |
美点
- ボーカルフォーカスが良い
- 薄味ながら重みのある低域
- 適度な押し出し感のある艶やかな中高域
- 充分な高さのある音場
- 縦軸が広い
- 横幅も優れている
- 透明感のある中域
- 適度な立体感がある
- 聞き疲れしにくい
欠点
- 充実感に欠ける
- 低域が少し薄味
- 暖かみに少し欠ける
[高音]:高域の高さは少しだけ弦楽のエッジが突き抜け、ハイハットの穂先も少し中高域から出るようなくらいには高い。ただし輝きは少し強い方向ではあるものの、強調しすぎる感じはなく、中高域の一番艶やかなあたりをかき乱す感じにはなりにくい。中高域のあたりはわずかによく響く感じがあり、ギターのアタックは少し前傾して聞こえるが、それでも強く押し出しすぎない感じで、極端に奥行き感を出して音像が落ち着かない感じになることは避けられている(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中域は少し明るく、透明感があって、少し前傾している。ボーカルや楽器音は上に向かって伸びていく感覚があり、スネアも明るめ。ピアノもちょっと浮かれた感じになりやすく、キンキンはしないが上辺は明るめの光沢感を持っている。低域方向からはやや浮き上がって聞こえやすい。
[低音]:100hz~40hzまであまり太くない重めのビーッとした振動。30hzでほぼ無音。低域は胴がそれほど太く鳴らず、たとえばドラムスはどちらかというとスネアの鼓面とバスドラのキックが分離的で、間はややブランクになっていて清潔になっている感覚がある。ベース音は黒みはあって下で少しブンブンしているが、厚みは多くなく、重み方向に寄せているが、その重みも強いというわけではない。アタックはそれなりに良い。低域弦楽も重みに強調点があるが、ボディは太くない透明感のある音で、ドヨンというくらい(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:高域方向で充分な高さと適度な立体感、低域方向も基本的には重く深い音で縦軸はワイドレンジ感がある。中域は透明感があって見通しも良く、幅はわずかに頭外に出ており、前方定位感も少しある。コントラストは高めで解像感は高めである(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムスはやや胴鳴り感が薄く、スネアの鼓面が明るくパチパチからバシバシの間で弾ける感じが強い。バスドラキックには重みがあるが、鳴動感は強くなく、広がりもあまりない一点に定まった感じで、力関係的にも中高域の明るい鼓面よりは地味に聞こえやすい。アタックはほどよく強い感じで、全体像はやや明るめのパチンパチンといったところ。ハイハットは白味はそこそこ強く、適度な高さを感じさせるので、基本的にスネアの上にしっかり浮き上がって聞こえると思われる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルは男女ともにコクに欠ける感じはあり、やや上方向に伸びて聞こえる。一方で高域のスーハーする息感は強くなく、自然な声色の先に息が伸びる感覚は強くないので、甘味が透ける感じはあまりない。やや明るめに滑らかに伸びるボーカル表現といったところ。男声ボーカルはわずかに薄めで中性的に聞こえやすい。女声ボーカルはちょっと子音を強調するが、その尖りも強くないくらいで、やや媚びるくらいの明るい艶やかな声色。ツヤ成分は少し多めでツルッとしている。
【4】官能性「適度な透明感のある空間の中、少し明るめな感じで、比較的万能に音楽を楽しめる」
ひろえ純「サイレント・ヴォイス」
【GRANBEATで鑑賞】この曲を楽しむのに充分な透明感が中域にあります。床面は分厚くなりすぎず、適度なパンチを利かせて音場を引き締めてくれます。高域方向の弦楽や管楽は少し派手めに筋立ちして高さを強調し、わずかに音が細い印象を与えますが、中高域では横幅の響きもあり、とくに弦楽は中域近くでは幅を出して豊かに響きます。ボーカルは少し明るめに、艶のある声色で充分に映えて聞こえ、息感を強調しすぎないのでみずみずしい甘味が乗って聞こえます。全体的に少しアタックが強めですが、そのアタック感も強すぎないので、ほどよい落ち着きがあって静寂感が一定程度感じられます。
(K)NoW_NAME「seeds」(vs Hiyoo A8-C5)
【Cayin N6II/A01で鑑賞】この曲を少し明るい雰囲気で聴けます。楽器音の色づきがよく、ほどよくアタックもあるので元気よく、上に向かって響く楽器音の中で、やや明るめの甘味のあるボーカルが伸びていく感じがあります。低域もパンチを利かせて元気に足場を築くので、気持ちはちょっと自然と元気になっていく感じがあります。ちょっと気持ちが昂ぶるくらいで楽しめますが、ぶっちゃけ私の好みからすると明るすぎるかなと思います。ボーカルにみずみずしさはありますが、涙に濡れるような感じではありません。
あくまで基本的に陰キャな傾向のある、私の好みの話ですが、この曲はもっと切々ともの悲しい感じで聴きたく、EP-T21の音には憂鬱さが足りません。たとえばHiyoo A8-C5は高域が暗く、中高域音をしっとりした感じで聴かせてくれ、ボーカルもちょっと泣きそうな感じの陰鬱さを出しつつ、より太い感じで慰めるような穏やかな甘味を出してくれます。ピアノ音は沈み込みが良く、深く落ち込んでくる静寂感があります。ベース音やドラムははさらに深く太く心を抉って、音楽を腹に落とし込んでくれます。
解像度的にはなんとなくA8-C5はEP-T21と比べて音がぼやけていて、背景にノイズがあり、透明感も悪いので、どことなく野暮ったいのですが、品の良いメロウな感じで聴かせてくれます。この曲に関する限り、EP-T21は解像度は良いが、なんか表現が軽っぽい印象を受けます。まあ最終的には好みです。
「灰と幻想のグリムガル」エンディング・テーマ「Harvest」
飯島真理&チエ・カジウラ「天使の絵の具~Macross 15th Anniversary Version~」(vs AUKEY EP-T16S)
【Cayin N6II/A01で鑑賞】まあ、ぶっちゃけこの曲も私の好みはもうちょっと暗い感じが好きですが(性格陰キャで申し訳ない)、一方で明るく元気な形で、高域の粒立ちもよい感じで、楽器音とボーカルを透明な空間に充分に響かせてくれます。ギターは強すぎない程度のアタックで充分にギュンギュンとエッジを際立たせてくれるので、外連味も適度に感じられますし、シンバルは細かで、スネアの鼓面も明るく弾けてくれます。この価格の割に空間は充分に透明で解像感もあり、なかなかセンスが良い洗練された現代的な雰囲気があります。ちょっと都会的な感じでこの名曲を聴かせてくれ、15周年アレンジのオシャレな雰囲気をよく表現しているように思います。スピード感を出しすぎない感じも良いですね。
一方でぶっちゃけ同じAUKEYならもうちょっとボーカルは暗く、ギターも黒い感じで締まって大人びた感じの、もうちょっと黒みの強いコントラスト感を持つEP-T16Sのほうが私の好みです。ボーカルはもう少し濃い一方、アタックの強調も強くなっていて、ツ音がやや尖り、スネアはより攻撃的に硬く弾けます。若干野性味が増して、もう少し攻撃的なロックに寄せた感じで楽しめるくらいがマクロスっぽいかなとも思いますが、ここらへんは解釈の問題かも知れません。
マクロス25周年記念プロジェクト マクロス・マキシマムBOX!
【5】総評「ちょっと明るい感じが好みを分けそうですが、解像度は高く、比較的万能に聴けます。通信品質や使い勝手も良いでしょう」
基本的に音の印象は若々しく、しかも解像度が高いです。この価格帯で元気で明るい音を聴きたいなら悪くない選択肢でしょう。通信品質も良く、使い勝手も悪くないので、価格を考えると全体的にかなり優秀です。一方で、個人的には音質は基本的に明るいキャラクターに寄せられていて、どの曲も元気に聴かせてくれるのですが、大人びた雰囲気に欠ける感じが気になります。
しかし、完成度は高く、この価格帯で選ぶなら充分に魅力的な機種であることは間違いありません。あまり欠点らしい欠点がない機種です。
まとめ
- 明るく元気な音
- 解像度が高い
- 通信品質や使い勝手も良い
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。