- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は悪くない。通信品質が少し不安定」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間は優秀」
- 【3】イヤホンの音質「イヤホンはやや低域過多のバランスのさわやかドンシャリ」
- 【4】スピーカーの音質「スピーカー位置が調整されており、耳に痛い感じがない。低域は不足する」
- 【5】総評「ネックスピーカーとしてはなんとか使えますが、音に迫力がありません。イヤホンは低域にパワフルさ、高域に派手さがある正統派ドンシャリで、解像度は少し悪いですが、好きな人には悪くないです。しかし接続品質が安定しません」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は悪くない。通信品質が少し不安定」
おすすめ度*1 | |
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※イヤホンとしての評価です |
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ASIN | |
スペック・評価 | |
イヤホン連続再生時間/スピーカー連続再生時間 | 25h/7h |
Bluetoothバージョン | 4.2 |
対応ワイヤレスコーデック | SBC |
防水性能 |
IPX4 |
音質傾向(イヤホン) |
ドンシャリ、低域強調、さわやか、シャリシャリ、風通しが良い、派手、シャープ |
イヤホンデザインはネックバンドタイプです。イヤホンは小さめで装着感は良いです。
対応コーデックはSBCのみ。接続品質はやや弱く、プレーヤーを少し動かすだけでプチプチしやすいところがあります。ぶっちゃけこの機種は前に試したことのあるSEOBIOG HX208と比べると、ネックスピーカー部分が大きく進化していて、音質がだいぶ聴きやすくなったんで、通信品質が弱いのは本当に残念です。
テスト環境
今回のテストはHiby R6 ProとONKYO GRANBEATで行っている。
【2】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間は優秀」
付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Micro-B)、説明書。
【3】イヤホンの音質「イヤホンはやや低域過多のバランスのさわやかドンシャリ」
この製品はスピーカー部分とイヤホン部分があるので、分けて音質をレビューします。
まずイヤホンの音質ですが、低域が強いドンシャリです。低域の重心は普通かやや深いところにあり、パンチが若干強いのでリズムコントロールは悪くなく、スピード感も出ますが、少しブーミーでバスドラキックとベースは膨らみすぎる傾向にあり、曲によってはややノイジーかも知れません。床面は高くないですが、音の広がりが強いので中域に浸食しやすいところはあり、少し篭もって感じられる可能性はあります。
中域は既述のように低域の支配力が及ぶので暖かですが、やや清潔感に欠けて感じられる可能性はあります。中域音は少しふくよかで、ボーカルはやや暗く感じられるところがあります。一方で高域で強調があり、シンバルのシャリ味はかなり露骨に白く浮かび上がる感じがあり、その影響を受けてか中高域付近でボーカルに清潔感が出ます。
全体の立体感としては低域に寄ったドンシャリで、ドンとシャリの間にやや分離感があるので、若干音場は縦伸びしてワイドレンジに聞こえます。
美点
- 広がりが良く、パワフルなパンチ力のある低域
- ボーカルが濃い
- 高域は派手め
- コントラスト感が強い
- 熱量が高い
欠点
- 低域の支配力が強い
- 透明感に欠ける
- 見通しが悪い
- やや刺さりやすい高域
- 奥行き感に欠ける
- 音場の縦軸がやや間延びして聞こえる
[高音]:高域はやや白味を強調しやすく、ハイハットは派手めにシャンシャン余韻を出し、弦楽も少しヒステリックに伸びる。一方で中高域付近にそれほど強調はないため、ボーカルはどちらかというとドライで、伸びも強調されず、高域の明るさに比して暗い(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:中高域にあまり強調点がない。そのためボーカルはやや暗めに中域の真ん中で膨らみ、甘味を出す。ピアノや弦楽のツヤも抑えめ。
[低音]:100hz~30hzまで輪郭がゆるい太めの振動。低域はブーミーで少し見通しが悪く、熱量も高くて、ドラムとベースの分離は明瞭でないが、表面のパンチが利いているため、リズムコントロール自体は悪くなく、スピード感は出る(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:低域が広く、高域に向かうにつれ、細くなる三角形の音場を感じる。バランス的には高域でシンバルのシャリシャリするあたりが最も目立ち、低域はブーミーに広がって重い存在感を出す、典型的なドンシャリ。中域も厚みがあってそれなりに音の繋がりがあるが、中域の上の方で谷間があって、音場が少し縦長に感じられやすい。また奥行き感はあまりない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムスはスネアやタムの表面に強調があり、上面が浮き上がる感じがあってパツンと明るく弾ける感じがある。ドラムセットの光源になるハイハットとも近い。それに比べるとややバスドラムは分離して聞こえ、下の方で重く広くブーミーに音を奏でる。パッツンパッツンあるいはパズンパズンというような、やや上辺とバスドラが遠いような、縦軸に分離感のあるドラムサウンドになる。ハイハットは明るく浮き上がりやすいので、コントラスト感は良好(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:低域と高域に比べ、中域から中高域に少し後退が見られるので、男女問わずややボーカルは薄味になる。中域で少し楽器音に埋もれやすいところはある。強調点は中域の真ん中にあり、中高域で強調されないので、暗めでドライな声色になる。
【4】スピーカーの音質「スピーカー位置が調整されており、耳に痛い感じがない。低域は不足する」
スピーカーはイヤホンの音質を薄くした感じで、同じく高域のシャリっとしたあたりに強調がありますが、低域の存在感がなくなったので、相対的に中高域の聞こえが改善されます。
このスピーカーの音質は以前レビューしたSEOBIOG HX208のスピーカーに比べると聞きやすくなっており、HX208が耳のすぐ下にスピーカーユニットが来るために高域がダイレクトに聞こえて不快感が強かったのに対し、こちらは側面にスピーカー口があるため、耳に直接音が当たって痛くなる感じはなくなりました。音はHX208と同じくシャープネス強調で軽い感じになりますが、HX208ほど聞き疲れしやすい感じはありません。
美点
- 高域のディテール
- 音が薄味なので聞き疲れしにくい
欠点
- 中低域の下の方から音が存在しない
- 全体的に細く、音がミニチュア的
[高音]:シャリシャリしたあたりが強調され、シャンシャンという空気感もかなり派手めに聞こえる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:中高域が聞こえ、中域はあまりよく聞こえない。ボーカルやピアノ、タム、ギターなどとにかく細めに軽く聞こえる。
[低音]:低域の存在感は薄く、そもそも100hz以下は無音でスピーカーに耳を近づけて全く鳴っていない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:高域と中高域が細く聞こえてくる感じになる。高域でわずかに立体感が出るが、全体的に非常に平面的(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:シンバルとタムしか聞こえず、バスドラはすっぽり消えているような感覚がある。パスパス軽い感じになる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:イヤホンの時よりボーカルははっきり聞こえるが、細く、薄く、ボソボソはっきりしない。
【5】総評「ネックスピーカーとしてはなんとか使えますが、音に迫力がありません。イヤホンは低域にパワフルさ、高域に派手さがある正統派ドンシャリで、解像度は少し悪いですが、好きな人には悪くないです。しかし接続品質が安定しません」
音質はともかく、ネックスピーカーとして普通に使えるというのは悪くないポイントです。ただしスピーカーとしては圧倒的に低域が不足し、中域の上半分以上からしか音が聞こえません。イヤホンの方はいまどきここまで素直なのは珍しい、典型的なドンシャリですが、低域支配力が強く、中域を浸食しやすく、高域もやや耳に刺さりやすく、ピーキーに感じます。
接続品質もあまり安定しないので、個人的にはぶっちゃけとくにおすすめするところはありません。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。