つい先日、QCY HT03のファーストインプレッションで「ANC性能がわりと良いようだ」という話をしました。
ちょうどEdifier NeoBuds Proのレビュー用にANCテストをしたので、ついでにQCY HT03も一緒に測定してみましたので報告します。結論から先に言うと、QCY HT03のANCはかなり優秀ですね。
ANCの測定の難しさ
サザン音響の稲永さんがこちらで書いていますが、アクティブノイズキャンセリングの測定は装着感が大きな影響を与えます。
私のテスト方法の場合、稲永さんの使っているような正式なANC測定器を使っていません。すなわち、ヘッドホンから出される基準ノイズをまず測定し、次にANCイヤホンを装着させた上でもう一度同じノイズを流してその差を1/6オクターブ(A特性)ごとに測定します。
この方法の場合、その測定値には基本的に二通りの大きな誤差要因があり、一つはヘッドホンの装着感の違いによる基準ノイズ値の誤差、ANCイヤホンの装着感の違いによる測定値の誤差です。
1つ目はHATSに対し、装着感によって測定値が変化しづらいヘッドホンを選ぶことで誤差を縮小できます。開放型ヘッドホンでイヤーカップが大きいものがいいでしょう。
2つ目は測定前にイヤホンからピンクノイズを流して装着感を確認し、十分な密閉度を得られていることを確認して測定します。
この方法は概ね誤差が少なく測定できるので、私はこれを基準に測定値を出し、レビューのスコアを算出しているわけです。一方で、この方法にはいくつか固有の欠点があることがわかっていますが、ここでは技術的な話をするわけではないので省略します。
実際の測定値
さて、小難しい話はここまでにして、測定値を以下に示します。
この価格帯付近で最高のANC性能を持っていると思われるEarFun Air Pro 2とちょっと値段が高めのEdifier NeoBuds Pro、それにQCY HT03のANCの測定値を重ね合わせたものです。NeoBuds Proはハイノイズキャンセリングモードです。
今回の測定の場合、可聴域平均値ではEarFun Air Pro 2≧QCY HT03>Edifier NeoBuds Proといった具合です。
ファーストインプレッションでもQCY HT03がほぼEarFun Air Pro(≒EarFun Air Pro 2)と同等クラスのANCのように思えると述べたのですが、実際の測定値でも裏付けられているようです。これは価格を考えると優秀ですね。
Head-FiにもSoundPEATS T2のANCよりも効果が高く、公称値の35dB以上のANCが効いていると思われるという指摘をしているレビューが掲載されていますが、私の実感と測定値とも符合します。
まとめ
廉価な価格で優秀な耳栓が欲しい場合、QCY HT03はおすすめできる選択肢ですね。まだ詳細にはレビューしてませんが、音質とビルドクオリティも悪くないので、「迷ったらこれを買う」でもよいんじゃないでしょうか。こちらから購入できます。
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