【国内正規品】beyerdynamic オープン型オーバーヘッドヘッドホン 高級オーディオ向け高インピーダンスモデル DT 990 E/600
- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は圧迫感がなく、安定しています」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「パッケージはシンプルです」
- 【3】音質「量感のしっかりした低域、手がかりを丁寧に出す中高域」
- 【4】概括
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【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は圧迫感がなく、安定しています」
ASIN | |
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B002ANRMPG | |
スペック・評価 | |
再生周波数帯域 | 5~35000Hz |
インピーダンス | 600Ω |
感度 | 96dB |
ドライバー |
ダイナミック型 |
軽量なアルミハウジングで負担感はありません。適度に頑丈ですが、側圧が強い感じはなく、ベロア仕上げのイヤーカップがマイルドな装着感を実現しています。開放型なので、遮音性は低いです。
テスト環境
今回のファーストインプレッションのテストはFiiO M15を使って行っています。ゲインは「高」設定です。
装着サンプル
【2】外観・インターフェース・付属品「パッケージはシンプルです」
付属品はキャリイングケースです。
【3】音質「量感のしっかりした低域、手がかりを丁寧に出す中高域」
周波数特性イメージ(試験運用中)
※周波数特性イメージはあくまでレビューの便宜上、個人的に周波数分布のだいたいのイメージを掴むための参考情報で、測定方法も測定されたデータも非常にアバウトで厳密な信頼性や正確性に欠けます。いずれ勉強を深めて信頼性を高めていきたいとは思いますが、本ブログは周波数特性の測定をメインとしていませんので、期待しないで下さい。私自身も聴感上の音像印象の解釈の補助として利用しているだけで、この周波数特性イメージを全面的に信頼し、依拠しているわけではありません。
レコーディングシグネチャー(試験運用中)
レコーディングシグネチャーはバイノーラル録音されていますが、品質は良くありません。低域は抜けやすくなるので、イコライザーで低域を持ち上げていますが、それでも充分出ていません。したがって聴いたそのままの音質とは異なりますので、あくまで参考情報ということでお願いします。
原曲
銀の意志 Silver Will / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ファーストインプレッション
スマホで鳴らしても思ったよりは鳴らせますが、推奨しません
インピーダンス600Ωです。感度的にもスマホで鳴らすのはもはや不可能かなと思ったのですが、Galaxy A30で鳴らしてみたところ、音量を最大まで上げれば、案外悪くないような気がします。とはいえ、スマホで鳴らせるヘッドホンでないことは確かでしょう。最大音量でもなんか音がゆるゆるしていて、微妙です。また低域が露骨にドライブされていないので、パワフルさが感じられにくいです。
安定的な聴き心地と手がかりを重視したモニター的サウンド。しかし高域の派手さの演出も忘れない(織田かおり「Calling」)
低域の量感、厚みを適度に感じさせつつ、中高域の手がかり感をしっかり感じられる味付けになっています。音が鋭くならないよう高域はシャープにエッジを立たせないようにチューニングされており、安定感を出しつつ、長時間のスタジオ録音でも疲労感が出にくいようにされています。それでいて、高域の高いところは空気感が感じられるように粒立ちが高く聞こえるように強調されています。そのため高さに不足感は基本的になく、しかし、高域はその先では閉じているので、中域の甘味もよく閉じ込められています。そのため音場は必ずしも明るい印象は受けないかも知れませんが、実際にはのびやかで色づきも良く、最初の印象は外連味が少なく、地味に思えても聴き込んでみると、広い音場に定位の明確な音像が聞こえてくるモニター的な良さがあります。
具体的に見ていきましょう。たとえばこの曲では低域がパワフルでやや厚みを強調するので、一聴した印象ではややマスキング量が多いのではないかと予想しました。実際、最初は音楽が安定的で、ピアノも煌めきもなくはありませんが、それ以上に、量感豊かで少し沈み込みも良いゴージャスな雰囲気に聞こえ、弦楽も倍音の強調もありますが、重厚感が強調され、横の広がりを感じます。エレキギターもややすっきりとクランチ感重視で聴かせる雰囲気があります。ディストーションがきれいでないとは言えませんが、歪み成分を強調しすぎて音楽全体の焦点がギターの味わいに集中しすぎないようになっています。マスキングは実際のところはあまりなく、たしかに静寂感はありますが、クリアな音場です。
ボーカルは低域の支えが良く、ボディがあるので細くなりません。それでいて、エッジ感は強調されており、息が上に向かってのびやかに突き抜けていくすっきりした雰囲気は充分に出ます。派手さは少ないとは言えますが、パワフルさと浮揚感を備えている自然な雰囲気の割にのびやかでオペラ的なボーカル表現で、歌い上げる雰囲気が好きな人には魅力的に映るはずです。
また高域ではハイハットのクラッシュやスネアのスナッピーには強調があり、意外とリズムが細かく、明るく粒立って目立ちますので、要所要所でカタルシスをしっかり演出してくれます。
この曲は重厚感と浮揚感をどちらもバランスよく味わうのは難しいところがありますが、このヘッドホンはモニター的にバランスを取ってその両方を聴かせてくれます。
厚みと手がかりのしっかりした聞きやすいサウンド(STEREO DIVE FOUNDATION「Daisy」)
結構低域が強い曲なんでうるさくなるかと思いましたが、重低音のほうは支配的にならないようになっているモニター的な調整になっているので、低域に混濁感はありません。個人的には低域が良く聞こえる割にライブ感には少し欠けるかなと思いますが、篭もる感じは出にくいので、籠もる音が嫌いな人には歓迎されるでしょう。モニターヘッドホンという主旨を考えれば、ありうべき調整といえます。
一方で高域でハイハットや電子音の粒立ち、ピアノの手がかりなんかはしっかりと感じられるようになっていますので、音は鋭くないですが、緻密感はちゃんとあり、音楽表現に繊細さが感じられるはずです。ピアノはとくに太めの量感に優れたパワフルな感じなのに、ハンマーは強くなく煌めきも強くなく弾けすぎず、他の楽器を邪魔しない落ち着いた存在感を持っていて、聴きやすいです。
この聴き心地と聞きやすさを両立させているところが個人的には見事だと思います。
厚みがあり、クランチ感のある少し大人びたロック(ReoNa「Disorder」)
ロックではスネアの胴鳴り感やキックの重みが強調されるので、一般にリズムパートはやや厚みのあるパワフルかつ少し大人びた味わいになります。打ち込み感は強く、たたき込んでいる雰囲気はよく感じられるので音は活き活きしていますが、疾走感はあまり強くないかも知れません。しかし、ハイハットの粒立ちやスネアのスナッピーにも存在感があるので、決してスピード感が足りないというわけではなく、この曲でも派手さを感じさせてくれますが、基本的には安定的な要素の方が多い気がします。
ギターも派手にのびてディストーションするというよりはクランチ感を丁寧に出して色気を利かせる雰囲気が強いです。艶やかで匂い立つ感じがありつつ、明るさは適度に抑えて聴かせてくれるので、個人的にはこういう曲とは相性が良いんじゃないかと思っています。
色づきが良く手がかりもしっかりした存在感のあるピアノ(EGOIST「エウテルペ」)
なんていうか意外ともっさり聞こえやすい曲です。とくに私の個人的解釈では、この曲の場合ピアノの存在感が大きく曲の味わいに影響するので、しっかりした存在感で音が鳴ってくれないと、音楽全体の潤い感に不足が出やすく、カサカサした雰囲気になりやすいかも知れません。
そういうことを考えると、量感と手がかりがしっかりしつつ、しかも煌めきを目立たせすぎない落ち着いたクラシック的なピアノの雰囲気を丁寧に聴かせてくれるこのヘッドホンはこういう曲を聴くときに魅力的に思えるはずです。実際、量感と手がかりが良好なおかげで地味めの落ち着いたピアノサウンドにも関わらず、全体の中で埋没することがありません。
高域の粒立ちは繊細に表現されるので、落ち着いたピアノサウンドの上では電子音やハイハットは透明感を維持したまま、細かく聞こえ、空間に高さを感じさせてくれます。こうした聴かせ方が活きるのも中域で音楽の柱となるピアノがしっかりと構造を支えてこそと言えます。
【4】概括
量感と手がかりを重視したモニターサウンドで、聴き心地は安定しています。外連味のある音ではなく、どちらかといえば安定的な正統派モニターサウンドといった味付けなので一聴した雰囲気でその良さがわかりづらいところはあるかもしれませんが、自然な色味と太さのある丁寧な表現は長く使っていろいろな曲を聴くほど、スルメのように味の良さが感じられるかも知れません。
【国内正規品】beyerdynamic オープン型オーバーヘッドヘッドホン 高級オーディオ向け高インピーダンスモデル DT 990 E/600
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