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【コラム】DAPでBluetoothの音質は変わるの?慎重に聞き比べてみた。

 昨日完全ワイヤレスイヤホンのMZTDYTL D08のレビューをしたとき、私は不用意にこう言った。「【3】官能性」の節だが、「※BEESA版の官能性テストはSONY NW-A27で行ったが、同じ機種でレビューするのも芸が無いので、今回はActivio CT10でテストした。」という発言だ。

 

【問題の所在】

 実はこれは些か物議を醸しかねない。なぜなら、このMZTDYTL D08はBluetoothでも音質の再現性が低いとされるSBC接続しか出来ない機種であり、そのことを踏まえると私の発言は2つの前提条件に基づいていることになるからだ。つまり、

  1. Bluetooth接続でもDAP(デジタルオーディオプレーヤー)の音質の違いが出る。
  2. 仮に前項の主張通り音質の違いがあるとして、それは音質の再現性が低いSBCでも認識可能なほどの違いである。

 という2点である。

 

 この点に関しては実際ネット上を見てもいろいろ論議されている。Bluetoothの音質については、最終的には信号を受信するレシーバー側への依存が大きいので音質に差が出ないという主張があり、一方では通信信号の段階で音質上の違いは表現されているので、DAP側の音質の違いによってレシーバーの再現する音質にも一定程度差が出るという主張がある。

 

【私の立場】

 私自身としては当然のことながら後者の主張に立っている。最大の理由は私がテストに用いるNW-A27はBluetoothイコライザー機能を持っており、設定でONにすれば実際にイヤホンやスピーカーの再生音質が変化するという単純な事実だ。プレーヤー側のイコライザーがレシーバー側で再現される以上、一応情報として音質はワイヤレス信号に乗っていると見るのが妥当だと思う。少なくともNW-A27のイコライザーに搭載されているサラウンド機能を使えば、SBCでも明らかな音質の違いが再現される。

 

 だが一方で、私自身疑問に思うのは、イコライザーをOFFにしたSONY NW-A27とActivio CT10のBluetooth接続の音質にレビューでわざわざ断りを入れて意識させなければいけないほどの「差」があるかということだ。

 

【ワイヤードとワイヤレスでの音質再現度の違いが問題だ】

 ミニイヤホンジャックを通した有線接続に関してはかなり明瞭な差を感じることは確かだ。NW-A27とActivio CT10には音場の広さに一定の差があるのは明瞭だし、大音量時の音のエッジを聴けば、どちらが耳に優しく聞き疲れしにくいかは明らかだ。

 

 しかし、一度デジタル信号化され、情報量を調整されたBluetooth接続ではどうだろう?有線接続の印象やイコライザー機能がBluetoothを介しても再現されることに影響されて、音質の違いを過大評価していないだろうか?実際はニュートラルな状態ではDAPごとの信号に差はないのではないだろうか?

 

【幸いにしてテストできる機種はあった】

 私がMZTDYTL D08をレビューしていて疑問を抱いたのはその点だった。実際Activio CT10を使ってBluetooth接続で聴いていると、私はNW-A27との音質の違いを感じていると思ってきた。しかし、それはもしかすると、有線接続時の音質の違いの影響に引きづられた錯覚に過ぎず、実際は差など存在しないのではないかと思い始めたのである。これは試すしかない。

 

 幸いにして私の手許には双子と言ってよいBEESA D08とMZTDYTL D08という素性は全く同じなイヤホンがある。購入時期もほぼ一緒で両方ともレビュー向けに一定時間バーンインしただけでエイジング具合もほぼ同じである。時期も離れていないので、聴いているプレイリストもほぼ共通の曲で差はない。実質的な状態に差は無いと思われるし、細かな個体差はあるかも知れないものの、ほとんど印象の上での音質的な差がないことは実際にテストしたので、私自身がわかっている。

 

 そこで私は、BEESA D08をSONY NW-A27に接続し、MZTDYTL D08をActivio CT10に接続していろいろ音源を流して印象を比べてみることにした。

 

【で、実際聴いてみると……】

 当初は比較的楽に違いが出るだろうと楽観していたが、これが意外に差を感じるのは難しいことがわかった。率直に言って、自分の耳を過信しすぎてたかも知れない。

 

 たとえば音量。音量の違いで曲の印象は意外と変わる。単純な音源を探して、ほとんど同じ大きさに音量を合わせることから始めた。そのうえでNW-A27とActivio CT10に同じプレイリストを作り、時々イヤホンを入れ替えながら通して聴いてみた。

 

 率直に言って、ほとんど違いがないように思われた。印象的にはCT10のほうがやや音が丸く、すっきりとして聞こえる。しかし、これがCT10の有線接続で聴いたときの印象に左右されていないとは自信が持てなかった。同じプレイリストを聴いていることもあり、イヤホンの性能自体は全く同じなため、音の特徴がそれほどはっきり感じられない。Bluetooth接続でデジタル信号に変えられていることも大きいかも知れない。情報として差を感じづらい。

 

 ただ引っかかるところはあった。

 ↑の曲を聴いていたときだが、ドラムとギター、ハイハット、ボーカルの全体的な骨格にかすかな差を感じた。具体的にはNW-A27のほうがパーカッションとギターの印象が強い。印象論かもしれないと慎重に何度も何度も聞き比べた。

 

【聞き比べて見えてきたもの】

 何度も聞き比べてようやく差がわかったと思えたのは、この曲の3:40以降のラスト部分である。ドラムの重みに差があるのと、ギターの近さ、圧迫感に差があること、最後のボーカルの締めの印象が少し異なることが感じられた。

 

 具体的にはNW-A27のほうがドラムが重たい。最初は音量のわずかな差による印象の違いも考えたが、何度も調整して聴いた結果、音の塊としての硬さにかすかな違いが感じられる。CT10のほうが音の抜けが良く、圧迫感が少ないように思われる。

 

 ギターも同様だ。こちらは距離感的にも差を感じる。NW-A27ではギターは相対的に近く、圧迫感を加えてきているように感じられた。それに対し、CT10ではよりスムースに中央から離れていく印象がある。

 

 ボーカルについてはまずなめらかさが違う。わずかではあるが、NW-A27はドライで耳に粘る感じがある。それに比べてCT10の終わり方は丸く、つややかでスムースだ。

 

 こうした違いは音量を大きくすればよりはっきりする。音量レベルの調整幅が必ずしも同じというわけではないので、慎重に考える必要はあるが、しかし、音量を上げるとNW-A27のほうは音場が明らかに狭まる印象がある。これは音のエッジが混濁しているからであろう。少しガチャガチャしてくる。一方で、CT10は大音量でもこうした混濁は少なく、すっきりしているように思われる。もちろん音量レベルが必ずしも同じとは限らないので、妥当性がどの程度かはわからない。

 

【私の結論】

 結局のところ論拠は曖昧だ。オカルトの可能性もなきにしもあらずだが、しかし、少なくとも現段階では、私個人は音質の違いを一応納得することが出来た。あえて蛮勇の謗りを恐れず踏み込めば、DAPの性能の違いはBluetooth接続の音質の違いをもたらす可能性は大いにある。実際それは感じられるレベルである。それが音質再現度が悪いというSBC接続であってもだ。これが結論。

 

【おまけ:SBCは音質が悪い?】

 ちなみに、今まで音質が悪いと決めつけていたSBCだが、実際のところ最近の機種ではSBC接続でも音質は非常に良く思える。正直、一昔前はaptX接続のイヤホンのほうが明らかによい音質という印象があったが、最近は全然そんなことはない。むしろSBCだけで十分高音質に思える。国内メーカー品ではaptX対応機種は減っているような印象もあり、かといってSBCのみだから音質が悪くなっている印象もない。ただ、これではただの印象論だし、実際以前のSBCは音質が悪かったことは確かなので、SBCがよいとも言いづらかった。

 

 しかし、これについては最近、藤本健さんのブログ記事を読んで、私の印象が間違っていたわけでないことがわかった。こんな僻地で駄文を編んでいる私と違い、藤本健さんは一流のオーディオレビュアーである。感謝しつつ、この記事をここで〆としたい。

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