おすすめ度*1 |
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ASIN |
独特の形状のケースが特徴的。蓋部分が回転する構造になっており、USB充電中はイヤホンを収納し、イヤホンを取り出す際にはUSB充電部分が収納されるようになっている。バッテリーケースはモバイルバッテリーとしても使用可能で、充電容量が大きく、ケースを含めた最大再生時間が60時間と長めなのが特徴。
小型で丸いドラム型のハウジングは耳への収まりは良く、装着感は良好。遮音性も高く、音漏れも少ない。
aptXには対応しない。通信は比較的安定していて、音飛び・遅延はないが、5分に1回程度の割合で通信途絶が発生する。日常使用には問題ないくらいだと思うが、やや気になる。
出自的にはヨーロッパのレビューで見かけた機種Cellularline Hideの系統に属すると思われる。しかし、海外で見つけた音質に関するレビューを読む限り、Hideはシャリシャリメタリック系の音質だということなので、それが正しいとすれば、このイヤホンのウォームに寄った音質の印象とは明らかに違う。
ドイツのレビューが代表的なのでリンクしておくが、Cellularline Hideの音質の評価は明らかに高域よりでレビューを読む限り、硬質な音の印象を受ける。他のレビューでもメタリックと表現したり、低域が出ないと言ったりしている。つまるところ、私が手に入れたAir Twinsの、ウォーム傾向で優しい聴き心地を感じさせる音質とはかけ離れた印象だ。金属楽器の中高域に煌めき感があるので、そこだけを指してメタリックということは的外れではないかもしれないが、ハイハットは金属光沢感を強く主張する感じではないし、ドラムは衝撃力は強くなく、軟質な音だ。ロックに向くような、ギラギラしたメタリックサウンドとは異なり、私の印象ではよりアコースティックな音に親和的だ。
以前レビューしたYATWIN i9 plusとRademax X9のように、イヤホン自体の形状は変わらなくても音質が異なるというケースがあるので、今回もそのような調整が加えられたとみるべきかも知れない。どちらにせよCellularline Hideについては日本で入手困難で、見たことすらないので、今のところ確かめようがない。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品は低反発タイプを含むイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、説明書。
日本のamazonのレビューではバッテリー関連の不具合が非常に多い。またスライド型ケースの使い勝手は独特で、改善を求める声も多い。
【2】音質
音質的にはやや落ち着いた、色味の少し乏しい音質で、高域だけ少しキラキラしている。ピアノ音などは太めで表面の光沢感は感じられるので、なかなかよく思う。パーカッションも柔らかみのある表現で、ドラムはゴム鞠かソフトテニスボールのような弾力感のある音、ハイハットはシャンシャンという溶け込みの良い耳に優しい音で鳴らす。どちらかというとJAZZや室内楽のようなアコースティックな曲を楽しむのに向いている。
[高音]:煌めき感はそこそこ出る。端は丸く、溶け込む感じがある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:ピアノ音には厚みがある。弦楽は少し根元太め。ギターはややエッジが柔らかめ。色彩感的にはグレーな印象を受けやすいが、弦の金属的な光沢だけは明瞭。
[低音]:厚みがある太い振動。ただしおとなしめで支配的ではない。50hzぐらいから音が沈む(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:左右やや近い。奥行き感はそこそこ(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムは膨張感はそこそこあり、ソフトテニスボールのようなしなやかさのある弾みを出す。ハイハットは粒感は良い。端は空気に溶け込むので、シャリシャリというよりシャンシャンと後味を引かない(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルは自然でふっくらした感じがある。温度感はあるが、少し暗め。
【3】官能性
いきものがかり「月とあたしと冷蔵庫」ではキーボードの色味が落ち着いた背景を作る感じの曲のせいか、ギターとハーモニカの金属光沢のある音が発色良く聞こえる。暖色感のある曲のせいもあるだろうが、息も尖らず刺さる感じはない。パーカッションは輪郭よく、しかし端では空気に溶け込む、親和性の高い雰囲気で、この曲の世界観に合っている。
光田康典「ブランデンブルク協奏曲 第5番」はブズーキの色合いが煌めき感を伴ってきれいに出る。弦楽は厚みがあって存在感たっぷりで、根元太く、表面には色彩がよく乗っている。高域木管は尖らず、端は丸くしなやかに伸びる。表面に光沢感を感じさせながら、端で尖らせず、聞き疲れしないバランスでよくまとめている。
木野日菜&長江里加&小原好美「スリピス」は少しボーカルがボソボソしてしまう感じがする。透明な明瞭感には欠ける感じがするので、この曲の持ち味であるボーカルの定位感ある掛け合いは少しぼやけて、はっきりしないかも知れない。パーカッションの丸く広がるまとまりのよい感じや、弦楽やピアノの尖らない煌めき感は調和的で優しく、個人的には好みではあるが。
秦基博「Rain」は元々グレーな色彩感を抑えた表現に感じやすいところもある曲だが、このイヤホンだとそのグレーな感じを少し強く感じやすい。ギターの光沢感だけはキラキラと発色良いので、よく映える。ドラムは膨張感の少しある優しい音で、ボーカルも高域でやや暗く、中域でふっくらな温もり感を出す、少し下方向に向いたような声色で突き抜け感には乏しいため、ギターだけが目立ちやすい。
【4】総評
音質はそれほど悪くないとは思う。聞き疲れはあまりしない。ギターや金管の発色が良く、アコースティックな曲に強みを感じさせる。ピアノも厚みのある音で大人びた感じがあり、JAZZに向きそう。
コスパ的には使い勝手の悪いところ、不具合が多いところが気になる。amazonでのレビューでも不具合報告や使い勝手の悪さの指摘は多いのだが、この傾向はCellularline Hideのヨーロッパでのレビューにも共通していて、使い勝手は極端だ(レビューを読む限り良い意味ではない)とか、気まぐれな通信品質とか言われている。残念ながら、あまり安定性の高い機種でないことは確かだろう。
【5】このイヤホン向きの曲
比較的良い感じで聴けるのがこの曲。ハイハットの柔らかな溶け込む感じはこの曲向きだと思うし、厚みのあるピアノもそう。ボーカルの少し暗いけれども、高域で少し清潔感があり、中域で温もり感のある表現も合っている。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。