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【特集】実力・評判ともに拮抗。amazonの激安セールで手に入れたJVC HA-FX1100 と Westone W40を課題曲で聞き比べた!

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JVC HA-FX1100Westone W40

 

  amazonのカスタマーにとって年2回の大規模セールの1つ、年末恒例のサイバーマンデーが近づいています。今年は12/7 18:00から。欲しかったオーディオ製品を格安で手に入れるチャンスです。

 もちろん私も牙を研いでその日を待っていたわけです……。

 

 そこで休日だった昨日、来たるべきサイバーマンデーに向けて、ほしいものリストをチェック・整理していたのですが、そんな私に驚きの事態が!!!

 

 「Westone W30」がタイムセール中!?

 キレが良いバランスドアーマチュアモデルながら、ウォームな音色で聞き疲れせずに聴けるのが魅力なWestoneのWシリーズ。とくに私が狙っていたW30がサイバーマンデーを待たずしてタイムセールしているではないですか!?

 

 たしかにWシリーズはここ2ヶ月くらい頻繁にタイムセールを繰り返していました。これまでのタイムセールでは通常販売価格のだいたい1.5割引くらいで手に入れることが出来ました。

 しかし、私の目を釘付けにしたのはいつもより値段が安く、2割引になっているところ。

 「サイバーマンデー前に?早めに軍資金を枯渇させようという孔明の罠か?」

 と疑りながら商品ページに行くと、そこにはダメ押しのように「20%OFFクーポン」が待ち構えていました。

 

 「ちょっとまて!タイムセールで20%OFFでさらに20%OFFってことは36%OFF!?ヤバすぎ!」(※実際には元の値段の40%引きだった)

 何かの間違いかと思って、とりあえずカートに入れて購入画面まで行くとたしかに3.6割引くらいの値段……。

 商品ページに戻って手を震わせながらどうしようか考えていると、すぐ横にあるW40もタイムセール中なことを発見してしまいました!

 

「うお!まじか!」

 たしかにW40はもう5年前に発売された機種です。そろそろ代替わりですし、在庫整理っぽい値引きもあるでしょう。しかしこのタイミングで……。

 サイバーマンデーでもう一度もっと安売りされる可能性もありますが、この価格は十分に魅力的すぎました。

 ということで、W40をポチっと。27690円。決して安くはありませんが、普段の4万円の値を見慣れていた私には安く見えます。

 これが「行動経済学で言うアンカリング効果か!」と実感しながら購入、W40を手に入れてしまいました。

 

 しかし、アンカリング効果の助けがあったとはいえ、Westone W40の実力・評判は数々のレビューや店頭での実機試聴で確認済み。音もバランスドアーマチュアらしからぬウォームで耳当たりの良い音です。瞬発力があるバランスドアーマチュアモデルの中では、私の大好きなJVC WOODシリーズに音味が似ている感じなので、私の愛用している2機種、Klipsch Image X11i の瞬発力と JVC HA-FX1100 の豊穣さを兼ね備えている機種といえましょう。まあ裏を返せば、性懲りも無く、おんなじような音のイヤホン買っちゃったとも言えますが。

 

 ということで、この記事は個別レビューのためにエイジング中のWestone W40をJVC HA-FX1100(こちらもタイムセールの激安価格のおかげで物欲に勝てず入手……)と聞き比べようという表題通りの記事でございます。

www.ear-phone-review.com

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【課題曲その1】山下康介「烈風いざないて」

 この曲はPCゲーム「信長の野望・烈風伝」のOPムービー曲です。信長の野望のOP曲はどれも秀逸ですが、個人的にとくに気に入っている曲の一つです。公式の音源動画はないので、とりあえずリメイク版ゲームのPV動画を埋め込みました。背景で流れているのがこの曲です。

 この曲のポイントとしては大きく3つあると思います。

  1. 低域表現
  2. 弦楽
  3. 管楽

 まずは低域弦楽の重厚感とドラムキックの地熱感の出し方が曲の迫力を左右します。次に、とくに中盤からラストにかけて大きく情感に関わってくるのが弦楽で、自然なしなやかさと、浮つきすぎないほどよい色味が求められます。最後は曲の味付けとして大きく関わってくる木管と金管で、入れ替わり旋律を盛り上げます。細かいところではシンバルのシャリ感も一定の粒感と厚みがないと臭みが出やすいですね。

 JVC HA-FX1100とWestone W40はともに重厚感のある低域に定評があり、また一定の広さを感じさせる優れた空間表現と、調和性のあるウォームな音質でこういうオーケストラ風の劇伴曲に向いていますので、両者とも得意分野と言えます。

 インピーダンスが異なるので、同じ音量だとJVC HA-FX1100のほうが量感が感じられますが、W40は多少繊細さで勝っているということは真っ先に言えると思います。

【低域の違い】

 1.の低域表現については低域弦楽の重厚感については両者迫力を感じさせるに充分ですが、厚みと低域方向への地熱感ではHA-FX1100のほうが強いです。W40がドドンだとすれば、HA-FX1100がズドドンだというくらいの違いで、両者とも太さは申し分ないですが、HA-FX1100のほうが空間への広がりで勝っています。それが曲全体に鳴動する揺らぎを与えていて、躍動感につながっており、迫力に大きく貢献しています。一方でドラムキックに関しては、HA-FX1100が若干潜るような、下から響いてくる膨張感があるのに対し、W40のキックは膜を張る柔らかさがありながらもよりまとまりを感じ、はっきりした輪郭があります。

【弦楽の違い】

 2.の弦楽ですが、こちらも輪郭感には差があります。HA-FX1100の弦楽は芯がはっきりしていますが、輪郭は空間に溶け込み、調和的です。芯で情感をしっかり出しながら、弦楽だけが浮き上がりすぎず、空間全体に波紋のように揺らぎを広げる鳴り方をします。一方で、W40はより弦楽が孤立しているというか、まとまりがよい形で聞こえます。より尖りがあり、抜けが良く聞こえるのはW40でしょう。HA-FX1100が余韻を空間に色づけする音だとすれば、W40は色味をさっと消して、その静寂に余韻を感じさせる鳴らし方です。炎にたとえれば、HA-FX1100の弦楽の音はキャンプファイヤーのようにゆらいで明るさと熱気を四方に伝える性質の炎。W40の弦楽はガスコンロのようにまとまりがよく周囲に熱をあまり逃がさず、ピンポイントで熱する性質のものという感じです。

【管楽器の違い】

 3.管楽器についても同様のことが言えます。印象としてはW40の管楽器はHA-FX1100と比べると細いです。低域の圧倒的厚みに比べるとやや力負けしている印象は否めませんが、一方で輪郭ははっきりしており、厚みのある低域に包まれながら、それを切り開いて聞こえてくる突き抜け感があります。それに対し、HA-FX1100の管楽器はそれ自体太く厚みがあり、低域に負けない同質の重厚感を感じさせ、むしろ低域と調和的です。低域の熱量を受けて同等以上の熱気を放って聞こえてきます。W40が管楽器と低域音に方向性の違う引き合う対立軸を持ち込んで、そのコントラストで曲に一定の緊張感をもたらすことで説得力を出しているとすれば、HA-FX1100は完全な一体感で空間全体を躍動させて迫真感で説得力を出します。

【結論】

 結論から言えば、この曲に関してはHA-FX1100のほうが私の好みなのですが、HA-FX1100にそれほど劣らない量感の迫力を出しつつ、より個々の音の個性を感じさせるW40の音も素晴らしいとしか言いようがないです。

 

【課題曲その2】Owl City & Carly Rae Jepsen「Good Time」

 ここ3年くらいよく聞いている Carly Rae Jepsen の曲です。

 この曲のポイントとしては大きく3つあると思います。

  1. 低域表現
  2. スピード感
  3. 分離感

 この曲も低域に一定の重厚感が出ないと物足りなく感じそうです。ただこの曲の場合は低域を厚くすればいいというものでもなくて、中高域に覆い被さって見通しが悪くなると、せっかくの爽快感が台無しになりそうです。またこの曲は音のキレの軽妙さでも印象はだいぶ違うのでスピード感は重要です。そして個々の輪郭感がないと、緻密な味も減じます。

【低域の違い】

 1.の低域に関しては量感と厚みではHA-FX1100のほうが優れているので、ビートの重みが迫力を感じさせてくれます。ただ見通しという面では、W40のほうがすっきりしていています。低域と中域の間に適度な距離感があって、中高域に広い空間を感じます。両者の表現には位置関係的な差を感じ、HA-FX1100の低域が前面に出てきて近く聞こえるのに対し、W40の低域は床面を作るように少し離れています。デジタルドラムの音味も若干異なっていて、HA-FX1100がズドンという膨張感のある圧を感じさせるのに対し、W40はウェットな粘りが少し強めにズチャッとした音に聞こえます。これは地熱感の差に明瞭に出ていて、HA-FX1100のほうが、W40より熱気を感じさせます。

【スピード感の違い】

 2.に関しては、W40のほうが明らかに瞬発力が良く思えます。HA-FX1100に比べて、よりはっきりした輪郭感と抜けの良さを持っているW40は軽妙さでは勝っています。

【分離感の違い】

 3.については背景が見えるかどうかで明らかに差があります。W40の音にはまとまりがあり、背景すべてに広がらずにいくつか余白を感じさせています。これはクラブサウンドでは大事な点で、音に広がる余裕を与えていて、個々の音がより個性を発揮しやすいパーソナルスペーズを維持できています。そのため曲を俯瞰して楽しめるところがあります。HA-FX1100の迫力は魅力ですが、この曲では個々の音がぎっしり詰まりすぎてしまって、窮屈そうに見えるところがあります。

【結論】

 結論から言えば、この曲ではW40のほうが見通しよい分だけきれいに聞かせてくれる気がするので、私はW40に分があると思います。HA-FX1100はたとえるならお祭みたいな表現の仕方で、熱気と迫力は出ますが、みんなでまとまって神輿を担いでいるようなところがあるので、個々の音の動きが制約されてしまって窮屈そうに聞こえます。それに比べると、W40は一体感がありながら盆踊りくらいのスペース感があって、個々の音がスムーズに踊れるだけの隙間が感じられて音に渋滞する感じがありません。

 

【課題曲その3】Jess Glynne「Thursday」

 ここからは結論だけ書いていきます。

 Jess Glynneは「Home」を聞いて衝撃を受けました。それ以来ずっと聞き続けていますが、今年10月に2枚目のアルバムが発売されて、これがまた収録曲がどれも素晴らしいです。そのセカンドアルバムの中からこの曲を聞き比べてみます。

 この曲では甲乙付けがたいところがありますが、空間を震わせる低域の地熱感がよく出るのはHA-FX1100のほうです。そのせいで空気感の濃密さではHA-FX1100が圧倒的に勝ります。一方でW40では高域に残響感があり、より透明感が感じられます。この曲に求められる低域やボーカルの厚み、楽器音の一体感に関しては両者充分満足できるので、評価の分かれ目は後味程度の細かな好みの違いになってきます。HA-FX1100が濃厚なシチューかポタージュ、W40は味は濃いがさっぱりしたコンソメスープといった感じです。

 

【課題曲その4】ヨルシカ「負け犬にアンコールはいらない」

 Youtubeがある日しきりにおすすめしてきて、見事に嵌められてしまったのがヨルシカです。moraにハイレゾ音源あります。アルバムは2つとも粒ぞろいで飽きさせません。

 この曲に関してはW40のほうがまじめに見通しよく音を表現してくれて、本来こういう聞かせ方が丁寧でいいんだと思うんですが、HA-FX1100の聴かせ方のほうが、断然ハートに歌詞を響かせてきます。ボーカルの歌う嘆きの感情の篭もり具合では、圧倒的な差があり、個人的には文句なくHA-FX1100一択です。これは厚みと熱気の差ですね。

 

【課題曲その5】Uru「remember」

 夏目友人帳の劇場版の主題歌です。いわゆる「お涙ちょうだい」系の刺さる歌ですね。このシングルはカップリング曲もよくて、「ごめんね。」はやや軽妙なR&Bで、気持ちのスイッチを切り替えてくれる曲。ほかに山崎まさよしの名曲「One more time, One more chance」のカヴァーと、名曲「フリージア」の弾き語りに近いセルフカヴァーが収録されています。ちょっとしたミニアルバムくらいの収録数でコスパが良いです。どの曲もしっとり心に響くのでリラックスタイムに最適です。

 迫力と情感という面でやはりHA-FX1100に軍配を上げます。高域での透明感はW40のほうが優れていて、音の繊細さもより強く感じられるのですが、HA-FX1100のほうが躍動感があり、情感の盛り上げ方がうまいです。中域付近で厚めのボーカルでしっかりためを作っておいて、サビでそれを力強く一気に持ち上げるパワフルさがカタルシスを生んでいます。

 

【総評】

 どちらも調和的な音場表現で低域にかなりの存在感があり、音に厚みがあるという点で共通性があって、しっかり情感をのせて聞かせてくれるタイプのイヤホンなのですが、より突っ込んで迫力と叙情を強調してくるHA-FX1100のほうが徹底している観があります。W40にはHA-FX1100にない見通しの良さとスピード感があって、キレのあるオシャレな曲ではその強みが出ます。ファーストインプレッションではWestone W40は Klipsch Image X11i と JVC HA-FX1100のいいとこどりみたいな紹介をしましたが、いくつかここで課題曲を聴いた印象では、Klipsch Image X11i の代わりは出来ても、JVC HA-FX1100ほどの豊穣な表現力はないので、後者の代わりは出来なさそうだなというのが感想です。

 

JVC HA-FX1100Westone W40

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