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【コラム】安全地帯「太陽」という神アルバムを知っているか。名曲は死の雰囲気を纏っている

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安全地帯Ⅷ 太陽

安全地帯Ⅷ 太陽

 いつも不満に思うことがある。「コンプリート・ベスト」だとか「VERY BEST」だとか「ALL TIME BEST」だとか「GOLDEN☆BEST」だとか「ゴールデン☆ベスト」だとか「安全地帯・玉置浩二 ベスト」だとか作ってくれるのは良いよ?でもなんでいつも俺が愛する安全地帯屈指の名曲「1991年から警告」と「太陽」が入ってないんじゃ!

 声を大にして言いたい。少なくとも俺にとって、安全地帯最高のアルバムはこの「太陽」で、このアルバムを聴いたときの俺の衝撃は凄まじく、まさに自己崩壊を経験した。安直に批評じみたつまらないことを言えば、「1991年からの警告」とか、まさに核戦争の危機を感じる今だからこそ訴えかけるものがある社会的な曲だろう。そんな括りはつまらないけどな。この曲の本質はもっと根深い、驚きとともに現れる死の危機を前にした、生への本能的な疼き、儚い執着にある。

 俺は玉置浩二があまり好きじゃないし、歌はすごいと思うけど人柄とか知らないし、人格的に尊敬するところもたぶん全くないし、話したことなんてないけど、たぶんきっと話したら言葉が通じないと思う。どうしてそう思うかって言うと、俺だったらベスト盤出すたびに「1991年からの警告」と「太陽」だけは必ず喧嘩してでも入れるだろうけど、現状のベスト盤の収録曲を見ていると、そうなっていないから、たぶん玉置浩二は俺とは世界観が一致していない。

 「青い瞳のエリス」だとか「田園」だとか「じれったい」だとか、嫌いじゃないし今でも聴いてるけど、それでも「1991年からの警告」と「太陽」のヤバさには敵わない。「太陽」にはとても正常とは思えない、怖気が来るほどの渇望感があり、「1991年からの警告」には差し迫った世紀末的危機感があるけど、まさに俺自身がこの音楽を黙示録的に渇望して取り憑かれたように無性に聴きたくなるときがある。べつに「熱視線」だとか「夏の終わりのハーモニー」だとか「好きさ」とかなくても世界は存在すると思うが、「1991年からの警告」と「太陽」なしに俺の世界が成り立つとは思えない。それくらい俺にとって命とも言える曲が「1991年からの警告」と「太陽」だ。

 ベスト盤に収録されないところを見ると、おそらく世間一般の評価や安全地帯自身の評価は違って、彼らや彼らのファンの大多数にとっては通過点で、時代の雰囲気的なものが刹那的に現れた、異端的な作品という括りなのかも知れない。

 だが俺にとって、このアルバムは音楽の世界観を変えたコペルニクス的転回をもたらした一枚だ。「1991年からの警告」「太陽」がこのアルバムの中でも私にとって特別な曲であることは確かで別格扱いしているが、他の曲を見渡してもヤバイ。このアルバムを作った安全地帯はたぶんかなりヤバイ。そして安全地帯が忘れ去られても「1991年からの警告」と「太陽」は忘れ去られるべき曲ではない。少なくとも俺は墓場に行くまでこの2曲を聴き続けるくらいヤバイ。この2曲に比べれば世に溢れる楽曲のほとんどは忘れても良いほど、俺にとってはヌルいものばかりだ。

 俺はずっと「1991年からの警告」後の世界を生きてきたし、「太陽」のように愛を渇望して今も生き続けている。そしてこの2曲はいつも俺に驚嘆をもたらし、俺はそのたびに死を覚悟させられる。なぜなら、驚きとは予測不可能であるから、そうであるならば、驚く感情を抱くとき人は無防備に自己を曝け出す羽目になる。だから人は、驚嘆するたびにきっと死に向かい合うことになる。人にとって最大の、そして逃れられない突然の出来事、それは「死」であるから。したがって、人にとってある音楽が驚きであるならば、それは死への恐れとともに語られるべきなのだ。名曲を語るとは死を語ることに他ならない。そのとき人は自分の人格を曝け出して言葉を紡がねばならないという意味でもそうだ。己の名曲を語るとき、人は無防備に他者の視線の中に、恥部に至るまで裸身を晒すことになる。俺の好きな音楽はこれだ、というのは俺はこういう人間だというに等しい。赤裸々に自己の本質をさらけ出すこと、それは自己の全否定につながりかねないという意味で、人格的な死に向かい合うことに他ならない。つまり、俺はこの2曲の世界観を生き、この2曲とともに死と寄り添い続けている。

 人はいつも名曲に出会うと、なすがままにされてしまうのだ。人を殺すのは名曲の特権である。

 

 

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