- 【1】装着感/遮音性/通信品質「付け心地は良い。通信品質も安定している」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「コンパクトなデザインです」
- 【3】音質「5000円以下の低価格ではかなり解像度に寄せたバランスの調整」
- 【4】官能性「一言で言うと、明るいアニソンにぴったりです」
- 【5】総評「5000円以下でひたすらに解像度を求める人には有力選択肢の一つです」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「付け心地は良い。通信品質も安定している」
おすすめ度*1 | |
---|---|
ASIN | |
スペック・評価 | |
連続再生時間/最大再生時間 |
8h/72h |
Bluetoothバージョン | 5.0 |
対応ワイヤレスコーデック | AAC/SBC |
防水性能 |
IPX7 |
音質傾向 |
弱ドンシャリ、シャリシャリ、パチパチ、チャリチャリ、ドンドコ、アタック感がある、透明感がある、光沢感がある、爽やか、清潔、澄んでいる、潤いがある、甘味がある、コケティッシュ |
ノズルがなだらかに盛り上がっているハウジングデザインになっており、装着感は悪くありません。遮音性はそこそこ良いです。
対応コーデックはAAC/SBC。ONKYO GRANBEATとHiby R6 Proで交互に繋ぎながら接続品質をみました。テストしたのは某関東ターミナル駅周辺です。比較的通信品質は安定しており、駅の改札付近でもほとんど途切れません。バスロータリー付近や人の多いところでは途切れが見られましたが、価格帯では通信品質は高めです。
通信チップはairohaのA1526です。
ただし、距離耐性は高くないのか、送信機器から距離をとると5mくらいでブチブチ切れやすいです。
テスト環境
今回のテストはHiby R6 ProとONKYO GRANBEATで行っています。SONY NW-A55で行っている。
【2】外観・インターフェース・付属品「コンパクトなデザインです」
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル(Type-C)、専用充電ケース、説明書。
【3】音質「5000円以下の低価格ではかなり解像度に寄せたバランスの調整」
この機種は以前レビューしたwewow X11 sky-freeの改良版に当たる機種です。sky-freeもツヤパリした透明感と光沢感の高い輪郭の良いサウンドが特徴でしたが、この機種はさらに輪郭が細かくなっており、ディテール感が増しています。モバイルバッテリー機能はオミットされましたが、ケースデザインはコンパクトになって持ち運びやすくなっており、通信品質にも向上が見られます。
聞き比べた感じ、音質的な第一印象はsky-freeとほとんど変わりません。高低バランスもあまり変化がないように思われますが、わずかに低域の存在感が増したように思われます。一方で解像感には目に見える改善が入っており、これまでわずかに輪郭が甘く、カクカクしたりギャンギャンまとまりが悪い感じになっていたところが、かなりディテールがよくなっていて、さらに細かく描かれるようになっています。音像の鮮明度が一段階上がっていて、以前よりもさらに音に磨きがかかりました。これは大部分はチップ変更によってもたらされたと思われます。
さて、肝心の音質ですが、中高域でガラス質の光沢感を出し、奥行きがあり、立体感のある音を奏で、ツヤツヤ系の鮮やかな、解像度重視系のサウンドになります。中域が清潔なので、透明感は高めに感じられやすく、楽器音がかなり分離してレイヤーを詳細に描き分けているように聞こえ、ボーカルの浮き上がりも良く感じられます。そのボーカルはやや子音を強調するところがあり、ツ音は若干尖りますが、基本的に清潔で媚びた感じもある思春期の声色に聞こえます。
低域はほとんど強調がありませんが、中域が清潔なので、浮き上がりは良く、量感はそれほどでもないですが、存在感があります。ただし、一般的に低域は淡泊なバランスで、下の方でやや濃いくらいの風通しの良い音になります。床面のディテールは悪くないとは思いますが、低域を重視する人には些か物足りないでしょう。
全体的に縦軸でワイドレンジなサウンドで、床面は低く、高域は少し腰高に、奥行き感もあるサウンドになります。音場はよく整理されている印象を受けるでしょう。
音質因子評価
音質因子 | 評価 |
鮮やかさ (鮮やか/色味が薄い) |
やや鮮やか。全体的に音の光沢感が強く、鮮やか。 |
鋭さ (鋭い/鈍い) |
普通。エッジはやや強調されるが、音の端は少しツルッとしており、滑らか。 |
明るさ (明るい/暗い) |
明るい。中高域の光沢感は強めで明るい。 |
派手さ (派手/地味) |
派手。中高域は少し眩しいくらいなので派手に感じる。 |
硬さ (硬い/柔らかい) |
やや硬い。高域で明るく派手な感じがあり、音は若干硬質なところが強調されやすい。 |
尖り (尖っている/丸みがある) |
やや尖る。音の先は丸い印象があるが、少し緻密さを強調しやすく、シンバルやギター、弦楽でエッジを強調する感じがある。 |
穏やかさ (穏やか/騒々しい) |
やや騒々しい。奥行き感があり、よく整理されているが、それでも中高域が少し目立ちやすく、わずかにガチャガチャしやすい。 |
力強さ (力強い/嫋やか) |
やや力強い。ドラムのパンチを始め、ギターや弦楽のアタック感が強めで、ノリが良い。 |
豊かさ (豊か/貧弱) |
普通。解像度が高く、情報量は多い。 |
太さ (太い/細い) |
普通。高域で少しスリムに聴かせる感じはあるので、曲によってはわずかに細く感じられる可能性がある。 |
手触り (ざらざら/滑らか) |
滑らか。シンバルはややざらざらするが、全体的にツヤのある光沢成分が多く、音は滑らかである。 |
粒感 (きめの細かい/粗い) |
やや細かい。中高域は充分に明るく、ディテールの強調が見られる。 |
清潔感 (澄んだ/濁った) |
澄んでいる。音場は明るく、見通しが良い。 |
潤い (潤いのある/乾いた) |
やや潤いのある。ボーカルにしっとりした感じは感じられ、アコースティックギター音にも潤い感がある。 |
重さ (重い/軽い) |
普通。低域はやや量感的には軽い印象を受けるが、少し深く床面を出すところがあり、重心が高くなる感じはない。 |
ボーカル因子評価
ボーカル因子 | 男声 | 女声 |
澄んでいるか (澄んでいる/濁っている) |
澄んでいる | 澄んでいる |
明るいか (明るい/暗い) |
明るい | 明るい |
伸びやかか (伸びる、突き抜ける/天井感がある) |
伸びやか | 伸びやか |
潤っているか (しっとりしている/乾いている) |
しっとりしている | しっとりしている |
太いか (太い/細い) |
やや細い | やや細い |
濃いか (濃い/薄い) |
普通 | 普通 |
子音が強調されるか (目立つ/目立たない) |
目立つ | 目立つ |
空間因子評価
空間因子 | 評価 |
主に中域の密度 (ぎっしり/スカスカ) |
ややスカスカ |
主に高域の高さ (抜けが良い/天井感がある) |
抜けが良い |
主に低域の深さ (深掘り感がある/浮き上がりがよい) |
やや深掘り感がある |
主に低域と中域の横幅 (広い/狭い) |
やや広い |
主に中域の奥行き感 (奥まる/前屈み) |
やや奥まる |
美点
- 中高域のディテールが良く、ツヤも強く明るい
- 低域はやや薄味だが、深みがある
- やや透明感の強いサウンド
- 解像度感が高い
- ボーカルのディテールが細かく、口の形がわかる
欠点
- 全体的に透明感が強く、ややデジタルで人工的な印象を受ける
- 音がややチャラく、派手めでガチャガチャしやすい
- 一般に低域の量感が不足気味
[高音]:高域は透明感があり、少しガラス質の光沢感を強調する、「クリア」なサウンド。高域の高いところはなだらかで、シンバルの空気感の強調はそこそこで、白味は充分に出るものの、その白味を強く押し出す感じではないが、輝きは強く、キラつく感じになる。ギターもかなりギラつき、タムやスネアはパリパリパチパチしやすく、アタックが強い。金管も艶やかにププッという粒立ちが強調される。全体的に高域は音の粒子がつぶらに浮かび上がるような立体感があり、質感は滑らかだが、分離感は強く緻密に聞こえる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中域はやや清潔で中高域に比べると後退しており、奥行き感重視に聞こえる。しかしボーカルフォーカスは良く、基本的にちょっと前に出て聞こえ、ほどほど実体感があり、甘味も感じられる。楽器音は基本的に中域で膨らまず、少し輪郭を強めにくっきりして聞こえる。
[低音]:100hz~30hzまで太いやや鈍い振動。20hzでもわずかに振動感あり。中低域に厚みがあまりなく、重低域まですんなり音が沈んでいる。低域弦楽は透明系でエッジを深く強調する印象を受ける。バスドラキックは結構濃いが、少し硬質でタイト傾向。ベース音も中低域が清潔な分だけ相対的にやや濃く浮かび上がる。とはいえ、重低音は広がりを強く主張する感じもあまりなく、人によっては薄味なくらいかもしれない。そのため人によっては存在感の割に低域が少し狭くスカスカしているように思うかも知れない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:やや中高域から高域あたりの音が目立ちやすいバランスになっていて、ビシバシした衝撃感が強く出る場面も多い。深い重低音の広がりはあまりなく、低域に向かうほど細くなっている逆三角形の印象を受けるかも知れない。中高域のディテール感は輪郭含めてかなり詳細になり、ここでは音場も広く感じられる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:タムやスネアの明るく弾ける音が少し目立ちやすく、一方でバスドラキックはタイトで硬く広がりに欠ける一点突破な感じに聞こえる。バシンバシン系のやや硬質なドラム表現になる。シンバルは高域の空気感がそれほど広がないため、立体感はそれほどでもないが、白味は充分にあり、シャリシャリとした刻みを強調し、やや金属的な味の強い明瞭感がある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:男声ボーカルはやや色が薄く、中性的に聞こえやすい明るめの声色になる。女声ボーカルは少し明るいくらいの自然な感じに聞こえることが多く、輪郭がはっきりして明瞭感が強い。ボーカルは全体的に輪郭強めで息感も丁寧に出すが、場合によってツ音などがきつめに聞こえることはあるかも知れない。
【4】官能性「一言で言うと、明るいアニソンにぴったりです」
777☆SISTERS「MELODY IN THE POCKET」(vs Antro TouchTwo C5S)
【GRANBEAT/NW-A55で鑑賞】基本的には清潔感と透明感重視の明るく伸びていくサウンドになります。低域はかなり抑えめでやや薄味で、人によってはちょっとスカスカするくらいに感じるかも知れません。若干細い足場に聞こえますが、それでもベースはそれなりに黒みを出し、フロアタムもそこそこ床面を出すので、音場に透明感があるおかげで存在感はそれなりに感じられます。ボーカルは媚びてコケティッシュな味わいを出しつつ、清潔で明るく、思春期的な清純さも兼ね備えてのびやかで素直な声色です。
さて、音質的に似ている機種として、比較的最近レビューしたAntro TouchTwo C5Sが挙げられます。イヤピを同じにして、双方をNW-A55に繋ぎ、聞き比べてみました。
全体の印象を見てみると、TouchTwo C5の方が少し中高域の光沢感が強く、派手です。ピアノ音のキンキン感に差が大きく出ており、TouchTwo C5のほうがかなり艶やかでノリは良いですが、一方で少しうるさげでもあり、SKY-FREEのほうはわずかに輪郭がまろやかで聴き心地が優しいです。その他の楽器音も中高域のアグレッシブさはTouchTwo C5Sが強く、出だしからアタック強めに迫ってくる感じがあります。SKY-FREEはそれに比べるとわずかに穏やかです。
ボーカル表現もTouchTwo C5Sのほうがわずかに媚びた感じが強く、キャンキャンした弾む感じが強めに出て、鮮やかさとノリの良さで勝ると思いますが、SKY-FREEのほうはより清潔で澄んだ伸びやかさを出すので、より清純派に聞こえます。同じ思春期系の声色でも、TouchTwo C5Sがアイドルっぽいとしたら、SKY-FREEはお嬢様くらいの差を感じます。
一方で逆にシンバルはTouchTwo C5Sが案外白くて清潔系なのに対し、SKY-FREEはかなり輝きが強めでギラつきます。そのため、クラッシュ感はSKY-FREEのほうが結構強くなります。
低域の床面表現はTouchTwo C5Sのほうがわずかに硬く、ダンスフロアのビシバシ感は強めです。
しかし、ぶっちゃけるとこの2機種のこの曲の表現はほとんど近似していると言って良く、ビシバシ感と光沢感をより重視するならTouchTwo C5Sを、よりマイルドで少し清潔感の強い音を求めるならSKY-FREEを、となりますが、ほぼほぼ代替可能です。通信品質的には総合的に、わずかにTouchTwo C5Sのほうが高い印象を受けるので、その差を優先して選んでも良いかも知れません。
佐藤聡美&茅野愛衣「君にまつわるミステリー」
【Hiby R6 Proで鑑賞】こういう透明感のあるウキウキ系のアニソンなんかは相性が良く、ギターエッジがかなり浮かれてディストーションしてくれるし、そのエッジも端は丸くて和やかです。アタック感も良く、ドラムの疾走感もタムタム気持ち良く明るく出してくれますが、ベースはやや薄味で若干上滑りに思うかも知れません。ボーカル表現は甘味を出しつつ、清潔な印象も感じられますが、ツ音をはじめ子音がかなり尖るのが人によってはうるさく感じられる可能性はあります。口の形が明確に聞こえ、歌詞が明瞭ではありますが、人によっては声質が清潔な割に、唾が妙に多めに出ているように感じるかも知れません。
Matt Bianco「Golden Days」/Takamatsu「Einstein」
【Hiby R6 Proで鑑賞】好みにもよりますが、こういう明るく透明感のあるスムースJAZZ的な曲を楽しむにも良いです。この曲もウキウキした感じで、ピアノも透明感高め、弦楽も下で重みを出すような、深掘り感のある、少し透き通った床面表現になり、ボーカルものびやかで上で清潔です。金管やピアノに渋みがなく、うわ滑っていく妙にスマートな音色で、濃厚感はほとんどないと思われますが、奥行き感があって音の粒立ちがよく、スピード感があります。より電子的な音を使う本格的なスムースJAZZにはなおさら親和的です。
下の動画のような曲を透明感重視で、輪郭くっきりめに楽しみたいような人にはおすすめです。
【5】総評「5000円以下でひたすらに解像度を求める人には有力選択肢の一つです」
透明感と煌めき感のある高解像度系サウンドが好きなら、低価格ではおすすめできる機種の一つです。同価格帯で同じような高解像度サウンドのAntro TouchTwo C5Sに比べると、こちらの音の方が少し落ち着きがあり、聴き心地もより安定しています。一方で、通信品質的にはわずかにAntro TouchTwo C5Sに劣る印象を受けますが、それでも価格帯では優秀な方です。アニソンや電子音の多いEDM、テクノ、スムースJAZZあたりを透明感重視で高解像度で聴きたいなら、おすすめ度は高めです。
まとめ
- 清潔感と光沢感を兼ね備えた音で解像度が高い
- 通信品質は比較的良好で、バッテリー品質は高い
- やや低域が薄く感じられやすい
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。