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【コラム】もう非科学的な妄説に迷わされない!誰でもわかる!リケーブルでイヤホンの音が変わる原理

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 ケーブルの音質変化原理を理解しているオーディオマニアは普通、必要なケーブルを正しく購入するのであまりこだわりませんが、世の中にはなぜかケーブルを必要をこえて交換して楽しむオーディオ変態がいます。

 彼らによればケーブルは音質の変化をもたらす魔法のアイテムだそうです。本当にオーディオを嗜んでいる人は、ケーブルの微細な音の違いを感じ取れるほど聴覚が発達しているので、一般人にはわからない音の変化を知覚できるのだそうです。興味深いですね。

 

 この記事は残念ながら、そういったリケーブルで常人を超えた音の変化を感じとれるような超人類を相手にしているものではありません。この記事は正しいオーディオ知識を得て、正しくリケーブルを行いたいと思っている常識的なオーディオ人のためのものです。

 この記事ではオーディオマニアが科学的に考慮すべきリケーブルの作用を紹介し、いくつかの妄説の誤りを正します。

 

リケーブルでイヤホンの音が変わる原理

 イヤホンケーブルで音が変わる原理は科学的には複雑ではありません。それはダンピングファクターの変化という主作用と、イヤホンのインピーダンス特性への影響という副作用で理解することができ、そのどちらもイヤホンケーブルの持つ固有の抵抗値が作用を及ぼしています。

 

ダンピングファクターとは?

 簡単に言えば、ダンピングファクターとはイヤホンを適切に駆動するための制動力です。ダンピングファクターが悪化することにより、過渡応答が劣化したり、外部ノイズへの耐性が悪化します。これにより音像がぼやけて聞こえるようになり、曲の立体感やイメージングに悪影響を及ぼします。

 

 ダンピングファクターが悪い音はぼけて聞こえるので、よりはっきり聞こえるようにするためにケーブルをより低い抵抗値のものに変えることを考慮する場合があります。

 しかし、実際にはイヤホンとDAPを使うようなポータブルオーディオチェーンの中では、ケーブルがダンピングファクターに与える影響を考慮しなければいけない場面はほとんどありません(基本的にアンプの出力インピーダンスの影響のほうが大きすぎるため)。

 

 ダンピングファクターの計算式は以下のように表されます。

 

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 音楽を鑑賞する用途でのダンピングファクターの目安は20~50以上と言われています。高ければ高いほどよいですが、普通の耳では100以上になってくると違いがわからないかもしれません。

 ケーブルを含め、適切なオーディオチェーンを構築するためにはこの式を覚えておくとよいでしょう。より簡便な方法として1/8の法則というのがあり、アンプの出力インピーダンスを駆動したいヘッドホンやイヤホンのインピーダンスの1/8程度に合わせるとほとんど最適な設定になるという経験則があります(1/10から1/2くらいの間で最適設定が見つかることが多いです。時々成り立たないときがあるので、上の式が必要になったり、より幅広いインピーダンスで試す必要があります)。

 

 1/8の法則や最適駆動のためのアンプの選び方の指針については、以下の記事を参照してください。

 

  • 「1/8の法則」に当てはまらない常識はずれな設計がされているイヤホンの例:Audiosense DT600(記事内に録音データもあります)など。ただし極めて稀。

 

 ちなみに上のダンピングファクターの式を見れば、なぜ高級なIEMほど抵抗値の低い良質なケーブルを必要とするのかが、すぐわかります。一般に、現在のオーディオ市場では高級なハイエンド機種ほどインピーダンスが低い傾向にありますよね。

 

www.youtube.com

 

イヤホンのインピーダンス特性とは?

 イヤホンやヘッドホンは音質を設計する際に固有のインピーダンス特性を持ちます。理想的なイヤホンはインピーダンス特性が十分にフラットであることが望ましいですが、現実には音作りのために多くのイヤホンのインピーダンス特性はフラットになっていません。バランスド・アーマチュアドライバーは特性上インピーダンス特性がフラットでなく、さらに複数のドライバーを組み合わせるとそれぞれのインピーダンス特性の影響を受けて、イヤホン全体のインピーダンス特性はより複雑になります。

 インピーダンス特性が十分にフラットでないと、アンプの出力インピーダンスやケーブルの抵抗値によって、周波数特性自体が変化します。私のブログで「制動特性」として掲載されているデータがそれで、それはそのイヤホンの周波数特性がアンプの出力インピーダンスの変化によってどのような変化をするかを表しています。

 インピーダンス特性は一般にダイナミックドライバーではより安定しているため、シングルダイナミックドライバーのイヤホンがリケーブルによって大きく音が変わることはありません。

 これもなぜ、マルチドライバーの高級機種ほど高品質なケーブルを必要とするかの理由になっています。

 

リケーブルによる音の変化まとめ

 イヤホンのリケーブルが音質に与える作用として科学的に考慮すべきものは2つのみです。

  • ダンピングファクターの変化による過渡応答や外部ノイズ耐性への影響
  • インピーダンス特性の影響による周波数特性への影響

 

リケーブルを巡る妄説

  • 材質により音は変化する。たとえば銀はより音が明るく、銅はより音が太い。
    →これまで解説したように基本的に材質の抵抗値は音に影響を与えるが、銀に固有の音、銅に固有の音があるわけではない。つまり、高域や低域の周波数特性が素材によって変化するわけではない。銀のほうが音が明瞭に聞こえるとすれば、基本的にそれはダンピングファクターの変化を聴いている可能性が高い。そしてすべてのオーディオチェーンでケーブルを変えただけで、聴感でわかるほどのダンピングファクターの向上効果が期待できるわけではない(むしろ例外的)。
    また、イヤホンのインピーダンス特性は様々である。ある抵抗値の変化があるイヤホンには高域の強調をもたらすが、ほかのイヤホンでは低域を強調する結果になるということもある。つまり、まったく同じケーブルでも、組み合わせるイヤホンによって測定される音の変化の結果が異なる場合は普通にある。よって、ケーブルの材質によって一様に音の傾向が変わるという考え方が科学的に全く正しくないことはすぐわかる。
    銀線が銅線よりオーディオ的に大きなメリットをもたらすのはかすかな抵抗値の差ではなく、その電気的耐久性である。銀は銅より経年で特性が変化することが少ない。銅の錆は電気を通さないが、銀はほぼ錆びることがない。また銀は黒ずんでも通電する。つまり、中古でリケーブル製品を買う場合は劣化している可能性がある銅よりは、見た目がたとえみすぼらしくても銀線を選んだほうが良いだろう。
  • 表皮効果により高域が影響を受け、音が変化する。
    →もしこの高域が数MHzとか数GHzという次元の話をしているのなら正しい。だが、数十kHz単位までの高域であれば、イヤホンケーブルに表皮効果の影響は現実的に存在しないと言ってよい。表皮効果の影響を考えなければいけないのはデジタルケーブルでのオーディオ伝送の話であり、アナログケーブルでは関係ない。
    表皮効果による全抵抗の変化を考慮すると、25 kHzの周波数では、導体のサイズ(口径)に応じて抵抗が約1.05〜1.3倍に増加し、これにより電力を得ることができます。図に示す損失効果。 3.表皮効果によって引き起こされる固体導体の抵抗の変化による25kHzの周波数でのこの効果は、0.02 dBになります(より線ケーブルの場合、充填率のためにさらに小さくなります)。従来のスピーカーシステムを聴いても、結果に大きな影響はほとんどありません。 — Источник: https://sewerge.ru/ja/inductive-cable-the-real-impact-on-the-operation-of-the-system/ © sewerge.ru
  • Litz構造の効果で音質が向上する。
    →厳密に言えば正しくない。オーディオ的な理想は信号を最もスムーズに伝送できる単線の使用が好ましい。しかし、単線は柔軟に曲げるのには不便なため、短距離で複雑な形状で使用する場合、撚り線構造にして耐久性を高めつつ、伝送ロスを抑える。単線はノイズに強く長距離まで正確に伝送できるが、撚り線のほうが取り回しが良いため、短距離で使用するイヤホンケーブルは撚り線で作るのである。その際、撚り線で発生する近接効果を抑えるためにLitz構造が採用されることが望ましい。
  • 近接効果により云々かんぬん。
    →基本的に上で説明済み。

 

意外な盲点:接点端子や汚れの抵抗

 「説明はわかった。しかし、それでも同じ抵抗のスペックのケーブルで音の違いを感じる、これは事実だ。実際測定したら周波数が変わった」ということはあるかもしれません。ケーブルそのものよりも、端子部分の抵抗値、もしくは端子部分の汚れによる抵抗値の変化の影響のほうが多いことがあります。

 

ケーブルで音が変わったと思ったら、本来チェックしなければいけない項目

 実はイヤホンではケーブルの音の変化より、その他の音の変化の影響のほうが大きい可能性があるので、それを考慮する必要があります。聴感だけでケーブルの音の変化を認識するには、これらをクリアして初めてケーブルで音が変わったかどうかを検証できると言えます。

  • 周辺の環境音の変化
  • ケーブルの抵抗値の変化による聴取音量の変化
  • イヤホンをつけ外すことによる装着感の変化
  • 価格や見た目、誤った知識による先入見などによるプラシーボ効果
  • 接点端子の汚れ
  • テストするアンプの出力インピーダンスが十分に低いか

 聡い人はすでにお気づきと思いますが、ケーブル変更による知覚するのも困難な微細な変化よりも大きな変化をもたらす要因は多数あり、科学的にはケーブル変更が音質変化の主要因となるケースは極めて稀です。イヤホンの左右の個体差や装着感の差など上記に挙げた要因のほうが、リケーブルで生じるわずかな音質差より、一般にははるかに音質差の程度が大きいのです。

 つまり、上記の様々な要因により毎日あるいは毎時間、あるいは装着しなおすたびに微妙に違っている音(科学的には変化を聞き取れると十分に言える水準)を聞いていることに気づかないのに、どうしてそれより小さいケーブル変更による微細な音質差(科学的には変化を聞き取れるとは言えない水準)に気づくというのでしょうか。リケーブルで音が変化したと思ったら、それはリケーブルによる音の変化を捉えているのではなく、上記のリケーブル以外の要因による音質変化が生じたか、先入見など実際の音質変化以外の要因により錯覚しているというのが一番合理的な解釈です。

www.ear-phone-review.com

 

リケーブルについてさらに具体的に

www.ear-phone-review.com

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まとめ

 世の中にはイヤホンケーブルに対する妄説が溢れています。実際にあなたがリケーブルによって音質変化を感じたとき、そのどれかが説得的で自分の状況にあっていると思い、ケーブルで本当に音が変わったのだと思いこむこともあるでしょう(しかしこれまで解説したように、実際には通常のポータブルオーディオ環境でケーブルが音質変化に重要な影響を与える場面はほとんどありません)。

 そしてそのうち、あまり人におすすめできない低品質なケーブルを手にしながら、「このケーブルは高域を繊細に聞かせ、音場を広げる素晴らしいアイテムだ!」などと叫びだすのです。オーディオ的に品質の高いケーブルはどちらかと言うと、まともなオーディオチェーンにつないだときに音を変化させないはずなので、ケーブルによって音が変化したと感じたら、むしろそのオーディオチェーンに問題があるかもしれません。

 あなたが自分好みの素晴らしいオーディオチェーンを手に入れたいと思っており、そこへの道筋を理解できる本当のオーディオマニアになりたいと思っているなら、少なくともリケーブルに関して、より科学的に分析する姿勢を身に付けておくことは損にならないはずです。

 

 

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