- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにSivgaから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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audio-sound Score
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:6.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
こんな人におすすめ
- 明るい音が好き
- 聴き心地重視
- 装着感重視
Sivga Phoenixの概要
「アウトラインレビュー」は製品の概要を簡潔に紹介するレビューシリーズです。今回取り上げる製品は「Sivga Phoenix」です。
Sivga Phoenixの完全なレビューはこちらにあります。
基本スペック
- 再生周波数:20Hz-20000Hz
- インピーダンス:80Ω
- 感度:96dB
- 価格帯:3000円~5000円
Sivga Phoenixの特徴
SIVGAは、高性能で高品質のヘッドホンで知られています。SIVGAのラインナップモデルの多くは、外装ハウジングに木材などのエキゾチックな素材を取り入れています。多くの異なるタイプの木材を使った無限に近い試行錯誤の結果、SIVGAはついにゼブラウッドをヘッドホンシェルの最良の材料として選びました。
新しいヘッドホンモデルはSIVGA PHOENIXと呼ばれ、ダイナミックドライバーを使用して高品質で低歪みのサウンドを提供するオープンバックオーバーイヤーヘッドホンに仕上がっています。
デザイン
SIVGA PHOENIXは、美しいゼブラウッドハウジングに埋め込まれたダイナミックドライバーを備えているヘッドホンです。パッド入りヘッドバンドとイヤーパッドはどちらもソフトな付け心地を実現しており、長時間のリスニングの際にも最大限の快適性を提供するように設計されています。
外側のステンレス鋼グリルのワイヤーは、黒色のコーティングラッカーで覆われ、航空グレードのアルミニウム CNCで処理されています。仕上げとして、アルミニウムには陽極酸化処理とサンドブラスト処理が施されています。
広大な音場、深みのある豊かなサウンドを持ち、優れた職人技の結晶であるSIVGA PHOENIXは、世界中のヘッドホンユーザーに非常に高いコストパフォーマンスをもたらします。
50mmダイナミックドライバーが実現するインパクトのある低域パフォーマンス
SIVGAが独自に開発したポリカーボネート製の超薄型振動板を搭載したこのヘッドホンは、あらゆるタイプの音楽を楽しむために作られています。しかしながら、ダブステップ、EDM、ヒップホップなどの重低音の利いたミュージックを聴くと、その真価が発揮されます。
極薄ポリカーボネートのダイヤフラム(振動板)は、SIVGAのチームが独自に開発したものです。PHOENIXのために最適になるよう調整されたドライバーは、独自に設計されたダイヤフラムの構造とともに、ダイナミックドライバーの一般的な欠点を排除できるよう組み合わされています。
その結果、PHOENIXは、これまでにないレベルの明瞭さと明確な音質を備えた強力な低域レスポンスを提供することが可能となりました。
快適なイヤーパッド
組み合わされているスエードレザーは、弾力のあるヘッドバンド全体を覆っているため、頭頂部の快適性は充分にあります。各イヤーカップには、ステンレス鋼グリルが装備されています。オープンバック(開放型)デザインは、より広大な音場を生成し、音楽のピンポイントな解像度を把握することができます。
イヤーパッドは人間工学に基づいていて、柔らかく、最大限の快適性を実現します。 イヤーマフの内層は不活性スポンジで作られています。イヤーカップには、耳に圧力をかけないように十分なスペースがあり、良好な密閉性も提供されます。
イヤーパッドの外側の素材は肌に優しいベルベットでできており、高級感があって柔らかく、疲れることなく長時間のリスニングが可能です。
音質
PHOENIXは50mmダイナミックドライバーを使用して驚くべきサウンドクオリティを実現します。強力な低域、クリアな中域、十分に拡張された高域を組み合わせることにより、歪みが非常に少なく、疲れのないサウンドを実現します。
パッケージ
パッケージは価格の標準以上です。豪華に思えますね。
パッケージ内容
- ヘッドホン本体
- 3.5mm→6.35mmアダプター
- 説明書
ビルドクオリティ
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感
装着感は快適です。軽量で通気性も良好です。
音質
FiiO M15につないでレビューします。
Sivga PhoenixはハーマンターゲットカーブOEを意識した中域充実系のサウンドシグネチャーを持っています。開放型らしく高域の伸びもよく、サウンドバランスは一見とても良いように思えます。
こう書くとハーマンファンは魅力的に思うかもしれませんが、Sivgaは実際にはハーマンターゲットカーブをだいたいなぞっただけで、ハーマンターゲットカーブの枢要を理解してチューニングしているようには思えません。そのため、一見よさそうに見える測定上の大まかな特徴は、ミクロに検討していくと途端に化けの皮が剥がれます。こまめに検討すれば、楽曲の中心部である中域の再現度に著しい欠陥を抱えていることはすぐに確かめられるでしょう。
Phoenixには音楽の構築感、骨組みを表現する性能が圧倒的に不足しているため、全体的にふにゃふにゃしてぼやけて聞こえるスッカスカの気色悪い音楽が聞こえてきます。オーディオ素人はこのスカスカ感を開放感と勘違いして、音場が広がっているように感じ、「さすが開放型のPhoenix!素晴らしい音場を持っている!」などと褒め始めるかもしれませんが、ちょっと経験を積んだオーディオマニアが聞けば、それはただ単に表現力が不足しているだけだということはすぐわかります。
音質についての詳しいレビュー内容はこちらを参照して下さい。
低域
Sivga Phoenixの低域はリニアに伸びており、ヘッドホンとしてはそれなりに深く見通し感に優れています。
ドラムキックのインパクトは悪くないものの、エレキベースは少し明るく、深さで物足りません。
低域好きを満足させることはできないでしょう。
中域
周波数特性を大雑把に見ると、一見よさそうに見える中域ですが、実際はPhoenixの最大の問題点です。とにかく構築感に欠け、音楽の骨格の再現能力に劣っており、大雑把なサウンドバランスはよいですが、細かく見るとひどい有様です。
ギターもバイオリンも軸が弱くて、とにかくふにゃふにゃ。ボーカルもぼんやりしていてわかりづらく、立体感があいまいにされすぎて定位感もなんだか希薄です。全体的に音楽に活気がなく、死んだように聞こえて不気味なくらいです。
相当耳が疲れているときにはこういうぼんやりした音が耳当たり良く快適かもしれませんが、大抵の場合ははっきりしなさすぎて、聞いているうちにぶん投げたくなりますよ。
高域
高域の調整は拡張性も比較的良好で、なかなかに悪くありません。
中域の明度に対して高域の輝度が釣り合っていない感覚があり、それが引き締まり感の不足をもたらしていますが、これは高域の問題というよりも中域の問題です。
高域は単体で見れば、わりと良質です。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:C
- 個人的な好み:C
Sivga Phoenixは一見サウンドバランスは悪くなく、聞き初めのころはその開放型という見た目もあって、音場が広い音を持っている優れたヘッドホンだと思うかもしれません。
しかし、実際にはそれは中域に欠陥を抱えているだけです。
基本的に音楽を聴くには構築感が大幅に不足してふやけた音を出すだけの張りぼてヘッドホンですが、耳が疲れた時に優しく聞かせてくれる耳休め用の機種としては悪くないかもしれません。
音質的な特徴
美点
- 聴き心地がやさしい
- 明るく朗らか
- モニター的な低域
- 良好な解像度
- 良好な高域拡張性
欠点
- 低域の深さで物足りない
- 不自然な質感
- 構築感の不足
総評
明るく、聞き心地の良いサウンドを聞かせるヘッドホンを探しているなら、Sivga Phoenixを候補に加えてもよいかもしれません。しかし、それは基本的に音楽の立体感を描写する能力に欠け、ぼやけ気味でスカスカの音に聞こえやすいという弱点があります。
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