- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
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audio-sound Score
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:10.0/10.0
- 低域:10.0/10.0
- 歪みの少なさ:9.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:12.5/10.0
こんな人におすすめ
- なめらかなサウンドが好き
- ボーカル中心で聞きたい
- コスパ重視
Truthear HOLAの概要
「アウトラインレビュー」は製品の概要を簡潔に紹介するレビューシリーズです。今回取り上げる製品は「Truthear HOLA」です。
Truthear HOLAの完全なレビューはこちらにあります。
基本スペック
- 周波数特性:8Hz-46kHz
- インピーダンス:28Ω±15%
- 感度:120dB/Vrms
- コネクタ:0.78mm 2pin
Truthear HOLAの特徴
- コストパフォーマンスに優れたダイナミックドライバー搭載のインイヤーモニター。HOLA、ポリウレタンサスペンション複合液晶ドーム振動板とN52マグネットのデュアルキャビティ内磁気回路ダイナミックドライバを採用。ハイエンドマルチドライバーやカスタムイヤホンで一般的に使用されているDLP-3Dプリントキャビティを活用。新設計の無酸素銅ケーブルの採用。優れた客観的指標を提示。
- 卓越したドライバー HOLAは、同価格帯ではほとんど使われていない改良型1 1mm内磁型成熟ダイナミックドライバーを採用しており、同じ圧力条件下で小型ダイナミックドライバーよりもパンチのある低音域を実現することができます。成熟した構造は、優れた線形歪みと非線形歪み指数を提供し、高エネルギー変換効率を確保し、さらに、いくつかのコンポーネントのドライバのサイズを改善し、同時に、それは優れた高周波応答を提示することができます。
- 新世代のDLP 3Dプリント技術:HOLAは、HeyGears社のDLP 3Dプリントキャビティを使用しており、その強固な不透明樹脂と繊細な表面研磨プロセスにより、優れた質感と軽量化を実現し、高い精度効率を提供します。
- 優れた対物レンズ指数 HOLAの線形歪みは例外的で、適度な低音ゲインと高域の振幅特性は一種のHRTF特性を備えています。HOLAは部品の改良により、IEF_Neutral_Targetに高度に適合しており、驚くほどパンチのある音、クリーンでスピード感のある音、高域の穏やかな音で、長時間のリスニングでも疲労を感じさせません。
- 新開発のケーブル HOLAでは、ケーブルの芯線を増やし、ケーブルカバーを最適化した高品質無酸素銅ケーブルを採用しました。0.78 2Pinユニバーサルジャック(キャビティは0.78 2Pinサンケンソケット)と組み合わせ、ケーブル交換やイヤホンのメンテナンスの利便性を実現しました。
パッケージ
パッケージは価格帯の標準を満たしています。価格のわりに豪華です。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- キャリングポーチ
- 説明書など
ビルドクオリティ
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感
装着感は良好です。
音質
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
Truthear HOLAはニュートラルに近いサウンドシグネチャーを持っています。
音質についての詳しいレビュー内容はこちらを参照して下さい。
低域
Truthear HOLAの低域はかなり深くまでよく伸びており、なかなかの臨場感を実現できます。
ドラムキックはインパクトが十分にあり、重さも相当に感じられ、ランブルも満足できる水準です。
エレキベースも黒く、しっかりとした広がりを持って聞こえます。
存在感の上でも中域とよくバランスが取れていると言え、低域マニアにかなりおすすめできると言えるでしょう。
中域
中域はかなりニュートラルに近く、質感表現はかなり正確です。
HOLAを聴いたときにこの中域は面白すぎて思わず笑ってしまいました。かなり明るくボーカルが前面に出てくるのに、角が取れた妙にツルツルして滑らかな音で聞こえるので、耳に柔らかい独特の聞き心地が非常に楽しく感じましたね。
構築感は悪くなるので、たとえばTinHiFi T4 Plusのようなしっかりしたスタジオモニター系イヤホンの音と聴き比べるとすぐに、立体感が少し悪いことがバレるのですが、楽器やボーカルがそれこそ「ヌルヌル動く」ようなスムーズな感覚が斬新です。
中域は全体的に明るく、ボーカルへのフォーカス感はかなり高いうえ、エッジ感が弱めで音が柔らかいので、聞き疲れ感もない、第一印象ではかなり聞き取りやすい中域です。
よく聞くと前述のように立体感が悪いので、少し物足りなくなってくるのですが、まろやかなスムーズさが強調されたサウンドはとにかく面白い印象を受けました。
ただ安月名莉子「seifish」のような曲の立体感がかなり丁寧に構築されている曲を聴くと、途端に物足りなさが出ますね。とくに弦楽や金管は顕著にメリハリ感が消えて、分離感の悪さが感じられ、わりとつまらなくなります。TinHiFi T4 Plusも若干エッジが柔らかいんですが、HOLAよりははるかにまともです。ディテール感に関してはHOLAより優れていますし、T4 Plusの音を聴いた後だとHOLAであまり聞く気にならなくなるかもしれません。
同じようにエッジが柔らかめのイヤホンとしては、TinHiFi C2が思い浮かびますが、こっちはこっちでクランチ感がしっかりしており、解像度でHOLAを上回るので、やはり聞きごたえにはだいぶ差が感じられてしまいます。そういう意味でHOLAの中域は価格帯では悪くないというかわりと優れており、よくまとめられているとは言えるのですが、それほど感動させられる感じではありません。むしろ面白いといった感じで、純粋に良い音というよりは癖があって楽しい感じがやや勝ります。
高域
Truthear HOLAの高域はかなり滑らかに減衰するように調整されていますが、拡張性では物足りません。全体的なエネルギーもやや弱く、ディテール感はモニター用に使うには少し不足気味に思うかもしれません。
ピーク感はほぼないので、音像はかなり滑らかで、つながりの良い自然な倍音表現が味わえます。シンバルクラッシュは若干地味ですし、高域は中域よりだいぶ抑えられたバランスになっていますが、そのおかげで高域に敏感な人にもかなりセーフティです。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:S-
- 個人的な好み:S-
滑らかでメロウなサウンドが好きならTruthear HOLAはかなりおすすめしやすい機種です。サウンドバランスもほとんどニュートラルでやや中域が強調された感じとなっており、価格帯ではよく調整されているほうでしょう。
ただ、競合のTinHiFi C2やC3、あるいはCCA CXSなどと比べるとやや滑らかさを重視しすぎて丸く聞こえすぎる感じがあり、人によっては音の角が取れすぎて分離が悪く、表現に緻密さも足りないように思うかもしれません。
好みもあるので一概には言えませんが、一般的には完全に競合するCXSをはじめ、近い価格帯にはさらに優れた機種が多いため、一番におすすめという感じではありません。ボーカル中心のリスニング用に使うならかなり有力な選択肢に思いますが、とくにスタジオモニターを探している場合は多くの人にとって、CXSのほうが優れているでしょう。
音質的な特徴
美点
- 良好なサウンドバランス
- 聴き心地が良い
- なめらかなメロウサウンド
- 良好な原音忠実度
- 価格以上の解像度
- 明るくクリアな中域
- 中域への適切なフォーカス
- スピーカー的な定位感
欠点
- ディテールの不足
- 輝度の不足
- 構築感が不足気味
総評
Truthear HOLAは滑らかな中域中心のニュートラルサウンドを聞かせてくれる優れたインイヤーモニターです。非常に低価格でありながらパッケージもかなり豪華で、全体として高い満足感をもたらしてくれます。
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