オーディオテクニカ 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(ブラック)audio-technica ATH-CKR7TW-BK
おすすめ度*1 |
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ASIN |
やや外側に重心のあるハウジング。耳当たりは悪くないが、BOSE SoundSport Freeのように安定性に欠けるところがある。イヤーピースをよく選ばないと外出時などに耳から脱落してしまうかも知れない。
遮音性はあまり高くなく、周囲の音は結構聞こえ、没入感は高くない。電車のアナウンスなど十分周囲の音は聞こえるように思えた。音漏れはそこそこ。
aptX対応。通信品質は比較的安定していて、途絶はない。ただし0.3秒くらいの遅延は恒常的に見られ、動画鑑賞時には口パクが気になるかも知れない。音楽鑑賞にはあまり問題とはならない。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、日本語説明書。
後発で出してきた時間的余裕のおかげか、インターフェースは成熟していて、比較的わかりやすく思える。SONYの統一感のない、販売店員でさえ時々迷うこともある、わかりにくいデザインインターフェースに比べると、直感的にペアリングでき、使用できる。音量操作と曲操作を左右で分けており、左で音量、右で曲・通話操作と明確。充電ドック取り出し時の、自動ペアリング・自動接続にも対応する。
【2】音質
音質的には、CKRの型番機としてSound Realityシリーズらしい、一見淡泊だが、フラットに高低見通しよく、個々の音もバランス良く聴かせて後味をすっきりとまとめあげる、エッジ感を感じさせるのに聞き疲れしにくい品の良い爽快サウンド。高域は清潔感を感じさせる抜けの良い音で、臭みがなく、中域ではやや硬質で輪郭感があり、個々の音が鮮明で、低域は厚い音だが自己主張が強くなく、中高域をサポートする鳴り方。徹底的に臭みを消して、どのジャンルの曲でもすっきり後味良く、音楽を長時間楽しんでほしいという意図を感じさせる。
[高音]:突き抜け感はそこそこ良い。透明感や煌めき感よりは清潔感を重視した音の出し方(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:鮮明度高く思える。やや硬質でクール傾向の音。ギターのエッジは比較的綺麗に出る。ピアノや弦楽は硬い光沢感を感じ、輪郭は良いが若干無機的で人工的に聞こえるところはある。
[低音]:100hz~40hzまで厚い振動。30hzから沈み、20hz以下はほぼ無音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:音場の見通しは良い。個々の音のエッジはシャープだが、抜けが良いので耳に刺さらず後味すっきり。色味は全体的に明るめに感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムは表面の爆発力高め。音の端はシャリシャリシャープで輪郭感が強く、バシンバシンという鋭い音。ハイハットもシャープに尖る感じで聞こえる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:爽快感のあるさっぱり味。息は少し尖りやすいが、抜けが良く刺さる場面は少ない。色味は明るい。
【3】官能性
池田綾子「宵の道」を聴いてみると、ボーカルが高域にまっすぐ伸びてすっきり抜けていくシームレス感がなかなかよい。ピアノ音は若干厚みが足りず、光沢感もどことなく金属的で人工的に思え、情緒に乏しい気がするので温もり感には欠ける。透明感の出やすい曲であるが、どちらかというと透明感は抑えられていて、ボーカルの清潔感が目立つ。
ClariS「again」は大音量で少しキラ味が強く思えるが、全体的にシャープでメリハリ良く、しかも抜けが良いので爽快感増し増しで楽しめる。曲の見通しも良く、奥行き感や広さも感じさせる。音味は若干デジタル感が強い。
nano.RIPE「スターチャート」はパーカッションとギターのシャープなエッジ感がかなりよい。シャリ感の出る感じではあるが、抜けが良いので刺さらない。ボーカルの突き抜け感も良く、立体感がある。ドラムは若干バネを感じさせるブヨブヨした感じなのが少し気になる程度。
Trysail「Sail Out」もシャープなエッジをサッパリ後味で楽しめる、爽快感が強いソーダ味に聴ける。リズムは固着感がしっかりしていて明瞭に聴かせながら、最後は粘らず抜けて疾走感を出す。
【4】総評
音質的にはオーテクらしい、スッキリ素直で演出感を感じさせない爽快感のある音。エッジ感は良好だが、耳に刺さったり妙に尖ったりしないので、長時間聴いても比較的聞き疲れしにくい。派手さがないので初見では淡泊に思えるが、耳が慣れてくるほどその解像度感がクセになってくるところがある。音質傾向的にはクール方向なので、温もり感はほとんどないが、清潔感のある音が心地よい。
使い勝手の面では、恒常的な小幅の遅延と、重心が外側にある装着感の不安定性だけが気になるが、インターフェースは洗練されており、使い勝手は上々。
aptX対応で通信コーデック面での優位性はあるが、ATH-SPORT7TWと音質的な差はあまりないので、とくにこだわりがなければSPORT7TWの方が安い分だけお得に感じる。聴いてみた感じ、若干の解像度の差はたしかに感じるが、音質傾向は双子かというくらい相似。通信品質的には遅延の具合も同じで、価格差ほどの機能差を感じない。むしろSPORT7TWにはヒアスルー(周辺音取り込み)機能もついているだけ面白みがあるようにも思える。
【5】このイヤホン向きの曲
煌めき感と色彩感が良好で、エッジのよいシャープな音が、後味スッキリ抜けるので爽快感高めに楽しめる。メリハリがよくて心地よい。
中高域の煌めき感は良く出ている。透明感は若干抑えめでどちらかというと清潔感が出て、さっぱり塩味。ボーカルはサビ付近では少し尖りが強いが、概ね刺さらず不快感はない。イヤホンによっては癖が強いというか、アクの出やすい曲だが、このイヤホンはすっきりまとめて臭みを出さない。
オーディオテクニカ 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(ブラック)audio-technica ATH-CKR7TW-BK
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。