「本当に、世の中にアニソンが多すぎて聴ききれない!」「完全ワイヤレスイヤホンも多すぎて聴ききれない!」(ハズキルーペCMの渡辺謙風に)
というわけで、今回は「私がそれでも聴きたいアニソン」上位に入るTVアニメ「ハクメイとミコチ」ED曲「Harvest Moon Night」を取り上げて、低価格完全ワイヤレスイヤホンで聞き比べようという私以外誰得な特集記事です。
【試聴する完全ワイヤレスイヤホン】
今回取り上げる完全ワイヤレスイヤホンはすべて家電量販店など実店舗では見かけないamazonや楽天などの通販サイトでしか手に入らないものばかりです。その中でもあまりメジャーではない製品をあえてチョイスしました。通販専売の製品でもSoundPEATS TrueFreeやQCY T1、HAVIT G1などメジャーな製品はモノ雑誌なんかで取り上げられてレビューが目に触れる機会も多いでしょうから、この記事はあえて無視してマイナー製品にフォーカスします。とはいえ、いずれも私が普段使用している機種ばかりなので、使い勝手は悪くありません。今回聞き比べる機種を以下に列挙します。
ちなみに私の数ある手持ちの完全ワイヤレスイヤホンの中で課題曲「Harvest Moon Night」を一番満足して聴かせてくれるのはBOSE SoundSport Freeです。なんとなく私の好みの傾向がわかると思います。
【音質比較レビュー】
課題曲について
この「Harvest Moon Night」はすでに説明したように、2018年1月から3月まで放映されたTVアニメ「ハクメイとミコチ」のメインエンディングテーマとして使われました。
曲調としては民族調でアコースティックな楽器がだいぶ明るいテンポと色彩感で楽しく聴かせてくる曲です。各楽器の材質感に濃厚味がないと薄っぺらくなりやすく、そういう意味では、基本的には小型ドライバーで音が細く出やすい完全ワイヤレスイヤホンとはあまり相性が良くないと言えるかも知れません。私自身は中低域に一定の重厚感と少し太い声色でボーカルを楽しめるくらいのウォームな音質がこの曲に最適と考えており、そのため前述したようにBOSE SoundSport Freeを最もふさわしいと考えています。
CANAVIS J29
音質的にはドンシャリ系のイヤホンです。この曲をこのイヤホンを聴くと、印象としては硬いです。ボーカルの息が強く尖り、ピアノはやや鮮明度高め、弦楽の色味は強め、ベースは輪郭感強め、シンバルはシャリシャリで全体的にシャープでクール、明るめの印象となります。こうした硬質な表現は解像度感はかなり出ますから、一見印象良く思えますが、聴いていて落ち着かないところがありますし、聞き疲れしやすいところはあります。
こういう音が好きな人は多そうですが、私のイメージするこの曲の雰囲気とは違うので、私はあまり好みません。率直に言って温かみに欠けます。
ifancier KD-66
音に瑞々しさがあるので、冒頭の出だしはかなり印象が良いです。刻みが良い音ですが、色味的にはかなり明るくてボーカルは少し細く白味がある声色です。シンバルはシャリシャリでCANAVIS J29と比べてももう少し明るいくらいです。解像度感は比較的高く、フレッシュな味で爽快、これはこれで悪くないところもありますが、この曲に関しては濃厚さに欠けます。
瑞々しさがあって活き活きしており、スカッとしたところのある気持ちの良いサウンドで多くの人に好まれるところがある音ですが、やはり私のイメージするこの曲の雰囲気とはちょっと違います。
KOMODO U10
中高域が尋常でないほどキラキラシャキシャキ、鮮明なクリスタルサウンドで印象からくる解像度感はダントツです。しかし低域は硬すぎるし、存在感が薄く、イメージ的にはディズニーランドのエレクトリカルパレード。上の方だけ妙にキラキラ溌溂としていますが、低域はどことなく寂しいです。音も硬質でこれでもかというくらいクール。
刻みの良い分離感は魅力的で見通しがよく感じられ、覚醒を促してくる音ですが、いかんせんこの曲に関しては完全に私の趣味じゃないです。ごめんね。
Lesoom S1
これまで比較的鮮明度の高い音質のものが続いてきましたが、このイヤホンは一転してウォームです。最近のイヤモニ系のイヤホンになれていると、音の分離感は良くなく、印象的にはぼやけたように感じられるかも知れません。シンバルもおとなしめ、低域の深掘り感もぼやっと薫る雰囲気で明瞭感に欠けると思うことでしょう。
しかし、耳当たりがよく風味をよく醸すその調和的な音質は、この曲には非常に良く合います。とくに低域弦楽の温かみのある音は聞き込むほど風味が感じられてきて、さながらスルメ。ボーカルも温かで太くそれほど明るくなく、ガス灯のようにほんわかしています。低価格でこの曲を聴くなら、私はこれで聴きます。
Qitian T3plus
妙にバランス感覚の良い音です。演出感は少なく、どことなく無機質的ですが、明るすぎたり暗すぎたりということがなく、ニュートラルで鮮明感もほどよくあり、あまり欠点がない代わりに面白みもないというのが最大の欠点です。
この曲も正直それなりに聴かせてくれて、意外と聴き応えはあるのですが、印象としては平坦です。率直に言って生々しさに欠ける音で、デジタルな鳴らし方をします。逆に言えば、最近流行のサウンドイメージに近いところがあり、意外と多くの人に好まれる音かも知れません。私はこれでこの曲を聴くのはあまり好きじゃないですね。
TIAMAT Thor
この価格帯ではCANAVIS J29と並んでドンシャリ系最右翼に属するので、音質はよく似ています。ただしよりシャープでかしましいのはこちらです。とくに金属系のパーカッションの音はキラ味が強く、まるでクリスマスに浮き立つ街の中にいるよう。音としては硬質でクール。
低域から高域まで明瞭感は強いので、クリアな印象を受けますが、個人的には、この曲を聴くには落ち着きがなさ過ぎます。J29に比べるとボーカルは相対的に落ち着いている印象ですが、ほとんど誤差です。どちらにせよ温かみに欠けます。
【総評】
あくまで私の観点ですが、この曲を楽しむのに最適な音質を持つのは、この中ではLesoom S1です。次点でifancier KD-66をおすすめし、 味気なくても良いならQitian T3plusがよいです。その他のイヤホンは演出感が過剰なので、私はあまり好みませんが、どれもクリアで明るいシャープネスのある音ではあるので、こちらが好みという人も多いでしょう。
このささやかなレビュー記事はこれでおしまいです。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。この記事が皆様の参考になり、楽しい音楽ライフにつながれば幸いです。
皆さんの音楽ライフのハズキルーペになりたい。ちょうどいい案配となりました。
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