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【特集】コントラスト、シャープネスとは何か?最強3機種(NT01AX/MTW/EA65t)を聞き比べつつ、その意図するところを具体的に提示する

SENNHEISER MOMENTUM True Wireless

SENNHEISER MOMENTUM True Wireless

 

 

 この記事は特集記事「フルワイヤレス列伝 2019」で用いた指標でとくにわかりづらいかもしれないと思う「コントラスト」と「シャープネス」について解説するための記事です。個人的には、この2つの指標は「暖色感(調和性)」「音場」とともに、音の「解像度」とか「情報量」とかいわれるものに関わる重要な指標であると考えており、これをうまく明確化できればどんな音質かをかなり明示的に提示できると思っています。自分でもこの指標について明確化する必要があるのと、皆さんにこの指標の具体的な意味を理解して頂ければ、これからの記事をより楽しんでもらえると思ったので、ここで掘り下げて説明したいと思います。

 

「コントラスト」と「シャープネス」について

 まず、簡単に概念として「コントラスト」と「シャープネス」を説明しますと、前者は「音の浮き上がり方・発色」、後者は「音の輪郭感・分離感」というふうに簡単にまとめることはできると思います。「暖色感」と「音場」が位置関係、聴きやすさといった音の「質感」に関わるとすれば、「コントラスト」と「シャープネス」は個々の音がどのくらい聞こえやすいかという音の「見た目」に関するものになるだろうというように私は考えています(ここら辺はまだ断言できるほどではありません)。ただこうは言っても、それじゃあ具体的に「コントラスト感のある音」ってどんなもの?「シャープネスのある音」って何?って話になると思いますので、ここでは具体的に曲を挙げ、聞き比べながら説明したいと思います。

 わかりやすくなるよう、聞き比べる機種は「フルワイヤレス列伝 2019」の第1回で取り上げたNUARL NT01AX(NT01AX)/SENNHEISER MOMENTUM True Wireless(MTW)/Jabra Elite Active 65t(EA65t)を取り上げたいと思います。わかりやすくするよう、「コントラスト」と「シャープネス」について各機種の私の評価を以下に抜き出しておきます。

 

NUARL NT01AX
コントラスト 
シャープネス 

 

 MOMENTUM True WIreless
コントラスト 
シャープネス 

 

Jabra Elite Active 65t
コントラスト 
シャープネス 

 

【課題曲】菅野よう子「Power Of The Light」

  比較的取り上げる回数が多い曲なので、詳しい説明は省きますが、この曲の特徴は弦楽と木管、金管、鍵盤と高域音を多用するところにあります。また下の方にも低域弦楽が深みを作ります。

 

シャープネスを考える

 この曲を例えばシャープネスが高い、MTWやEA65tで聴くとどう聞こえるかというと、高域で弦楽に音の芯が見えるようになり、金管や木管にはプッ、ヒュッという息を吹き出す音が強く聞こえてくるようになります。こうしたことによって音の精彩は増したように感じますが、強すぎると細切れに聞こえてきて、せわしない音楽に聞こえてきます。

 ではシャープネスが低めだとどうなるかというと、たとえばより低めと評価しているNT01AXはシャープネスの強い2機種に比べるとだいぶ音がまろやかで、とっかかりが少なく聞こえます。弦楽を芯があるというよりは一定の広がりを持って、金管の音もプッという音が柔らかめに抜けていくように聞こえます。この点に関して、NT01AXに解像度的な不満を覚える人はプロ楽器奏者などには多いかも知れません。息継ぎの繊細さみたいな表現には少し欠けます。

 シャープネスは音のギザギザ感、エッジ感と言っても良いのですが、これが強いと情報量が増したように思う人は多いはずです。弦楽は芯の弦の運びの音とそれが空間に広がる音が一定程度分離されて聞こえますし、金管も息のプッという詰まる音とその後の伸びの分離が強く聞こえますから、極端にいえば1つの音が2つの情報を持っているように聞こえるわけで、これを情報量が多いと考える人がいるのも不思議でないわけです。

 一方で、情報量が多くなることは音をやや大げさに極端に聴かせるところもあり、耳は一つの音にそれだけ神経を使うようになるので聞き疲れしやすくなります。あまり目立ちませんが、MTWで木管の音を聴くとかなり精彩がありますが、場面によってせわしなく、やや浮き上がりが強く聞こえ、気になってしまう人には場合によって耳障りくらいに感じられるかも知れません。私は今回、集中して聞き比べしていたら、このMTWの木管はかなりうるさく感じました。普通に聴く分にはたぶん全然気になりません。むしろ面白いと感じるはずです。

 

コントラストを考える

  シャープネスが輪郭で音を分離するとすれば、コントラストは色合いの違いで音を分離します。これを仮に高域と低域の明度差と定義します。私は元々、これは高域と低域の力関係みたいなものに還元できるのではないかと考えていて、あまり重視していなかったんですけど、たとえばあんまりはっきり低域が振動を出さないEA65tであまりに高域がきれいに聞こえるので、どうしてだろうと考え、最初はそれをシャープネスの問題だと思っていたんですけど、むしろ低域と高域の色味の違い、つまりコントラスト感にあると考えるようになりました。

 具体的にはEA65tの低域振動を聴いてみますと、非常に緩く重い音でブーミーというよりも量感と音像のはっきりしない背景のような音です。あんまり自己主張がない感じなんですけど、中高域と併せてみると、なんか中高域がすごくきれいに発色します。この曲に関してもEA65tで聴くと低域があまり厚みが感じられないんで、面白くないかと思いきや、重く黒い音で自分は目立たないのに、中高域をキラキラさせる仕事を丁寧にこなします。

 NT01AXのコントラスト感の出し方は少し違う感じです。こちらは高域弦楽音がかなり明るく目立つので、意識がそちらに自然と向きます。NT01AXの場合は高域弦楽=高域木管=ピアノ高域>金管>低域弦楽みたいな発色の力関係が整えられていて、高い音ほど明るく透明感を増してきれいに聞こえるように立体感が形成されています。それが高低のダイナミックさを生み出しています。おそらくHDSSとは何らかの構造を設けて、この中高域の発色の整序をおこなう仕組みだと私は考えています。この曲だとNT01AXだけ弦楽とピアノ、金管の色分けがよく出来ている感じがします。

 それに比べるとコントラスト感を低く評価したMTWは弦楽・高域木管・高域金管・ピアノが同じ地平線上に同じ力関係で並んでいるように聞こえます。個々の音が時々高くなる感じですが、どんぐりの背比べをしている感じがあります。そのため地平線付近に密度感が出ていて中域の豊かさにつながっているのですが、高低のダイナミックさに乏しく、静的に音が横に広がって聞こえてくるように感じるのです。俯瞰して音を感じることはでき、見通しは良い感じですし、シャープネスも適切で聞き惚れるバランスの良い音で精彩には富んでいますが、ダイナミックさではNT01AXに一歩譲ります。

 

コントラストとシャープネスを総合して考える

 で、私自身がいろいろレビューを読んでわかったことは、いわゆるオーディオのプロ批評家はシャープネスを比較的高く評価しやすい傾向にあるということです。そしてコントラストをリスニング志向とか演出とか外連味とかいって比較的低く評価するようです。そのため、評論家的にはMTWのような音が好ましいということになります。他にも音場とか暖色感など関わってくるのでそれが全てではありませんが、コントラストとシャープネスに関する限りそういう傾向があります。

 ちなみにドンシャリの音は、低域と高域を強調すると定義すれば、コントラスト感が増す系統の味付けで、シャリ感強調とすればシャープネス感が増す系統に属すことになります。コントラスト感がある音響は音をダイナミックに、迫力があると感じやすくなります。

 本来は2~3曲紹介してより明確に解説しようと思ってたのですが、まだ体調が本調子でないのかここまで書いたところで少し汗ばんできたので、素直に休もうと思います。もしかしたらのちのちこの記事は増補するかもしれません。

 うまく伝わったかどうかわかりませんが、今回はここでおいとましたいと思います。駄文に付き合ってくださり、ありがとうございました。

 

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