- 【1】装着感/遮音性/通信品質「小型で装着感が良い」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「スペックは優秀」
- 【3】音質「上から下までバランスの良いフラットサウンド。中高域あたりに強調があり、抜けが良いハイファイ系」
- 【4】官能性「ハイファイ感があり、バランスも良い」
- 【5】総評「ハイファイ感のあるデジタルサウンドに強み。最近のロック、ポップス、アニソンと相性が良い」
- 【6】同価格帯の実力派完全ワイヤレスイヤホンとの聞き比べ
- 【関連記事】
【1】装着感/遮音性/通信品質「小型で装着感が良い」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
イヤホンのハウジングデザインもケースデザインも旧型のSOUL ST-XSと細かい違いがあるが、よく似ている。小型で耳への収まりも良く、付け心地も軽い。遮音そこそこ。
おそらくチップはQCC3020あたり。対応コーデックはaptXとSBC。通信品質は良く、比較的安定している。雨の中でロケテストしたので若干いつもと条件が異なる可能性があるが、駅でもそれほど途切れず、ロータリーで少し途切れが見られるくらいだった。
【2】外観・インターフェース・付属品「スペックは優秀」
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、説明書。Qiワイヤレス充電に対応している。
連続再生時間は8時間。ケース込みの最大再生時間は48時間。
防水性能はIPX7。多少水没させても壊れない。
【3】音質「上から下までバランスの良いフラットサウンド。中高域あたりに強調があり、抜けが良いハイファイ系」
音質はフラットで中高域から高域で光沢感や伸びやかさが強調され、輪郭も比較的しっかりした伸びの良い現代的なハイファイ系のサウンドになる。現代的なロック、アニソン、ポップスあたりは得意。EDMは高域のキラキラ感は充分だが、低域に不足感を感じるかも知れない。
分離感重視の音作りに思え、少しクール系で人工的な音に感じるところはあるので、色彩感は良いが、豊かな広がりや抱擁感はあまりない感じでデジタルな音に感じられるだろう。コンピュータチックな解像度重視なら気に入るはず。
美点
- バランスが良く見通しの良いフラットサウンド
- よくボーカルフォーカスされていて、ギターも美しい中域
- 高域も比較的開放的で抜けが良く、一定の煌めき感もある
- 全体的にディテール感があり、解像感は高い
欠点
- 立体感や奥行きに少し乏しい
- 低域の存在感が薄い。低域をはっきりさせるにはイヤピ交換必須
- 音に暖かみを感じづらい
[高音]:高域の空気感はそれなりに感じられ、抜けの良い感じがある。中域よりは少し下がる印象があるが、それでも充分に前に出てきており、低域よりは近い(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:中域ではギターやピアノ、ボーカルが少しだけふっくらする。おそらく一番音が太いところではあるが、厚みはあるがそれほど強調せず、基本的にはすっきり感が強い。音の輪郭もくっきりしているほうであり、少しデジタル的で硬い感じがある。
[低音]:100hz~40hzまで、少しぼーっとした鈍い振動。30hz以下ほぼ無音。標準イヤピで聞く限り、低域の存在感は薄く、強調が見られない。質感的にはクリアで膨張する感じはなく、重低音まで見通しが良い(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:フラットで、標準イヤピでのバランス的には中域から中高域が一番近く、次に高域、最後に低域といった感じになる。低域に不足感を感じやすい。ディテールはほどよくばらけていて、低域はクリアで見通しが良いし、中高域から高域にかけては詳細さが高めなので、解像度は高く感じられるだろう(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムはタムやスネアが力関係では強めでパリパリしたあたりを強調するが、キックも重く濃い感じで出るので、軽っぽい感じではない。しかしスネア・タムとバスドラの間に音の分離が見られ、分析的で一体感に欠ける。ハイハットにシャリシャリ感があり、やや白味も強めにはっきり聞こえる。ドラムセットは音の分離が良いハイファイ感がある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:男声ボーカルは少し明るめ。女声ボーカルも明るい感じがある。分離感は良く、前面に出てくる。
【4】官能性「ハイファイ感があり、バランスも良い」
Uru「願い」
透明感を重視していながら、ボーカルフォーカスもよく、中域に少し厚みがあるのでバランス良く楽しめる。低域がやや不足していて、中域以上がちょっと浮き上がって聞こえてくるバランスだが、解像度は高く感じられる。こういうデジタル的な音作りのポップスには強みを感じる。
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TVアニメ「まちカドまぞく」OP主題歌「町かどタンジェント」
ちょっと軽快で明るめのこういうアニソンにはもってこい。あくまで透明感重視ながら、ボーカルにもふっくらした感じがちょっとあるので甘味もあるし、抜けもほどよく、すっと声が上がっていく。ややカチカチした硬い感じもあるが、この曲ではほとんど気にならない。
TVアニメ「まちカドまぞく」オープニング&エンディングテーマ 町かどタンジェント/よいまちカンターレ
ワルキューレ「絶対零度θノヴァティック」
ハイファイ感のあるフラットサウンドなので、こういうアコースティックっぽい音も組み合わせた全方位に音が出てくるデジタル系ポップスにも強い。全体的にディテールがよく散りばめられていて不足感がなく、ボーカルにもしっかりフォーカスされる。
凛として時雨「DISCO FLIGHT」
この曲、凛として時雨の曲の中でも超面白くて好きなんだけど、このイヤホンはほどよいディテール感の分散が見られるから、たとえばこういうちょっと遊び心の多いロックサウンドも比較的よく聞かせてくれる。低域を強調しないから、中域の最も遊んでいるあたりに埋没感がなく、クリアに聞こえてくるのもいい。すげぇ楽しい。
【5】総評「ハイファイ感のあるデジタルサウンドに強み。最近のロック、ポップス、アニソンと相性が良い」
おそらくQCC302X系のチップを使っていて、通信安定度はそれなりに高め。音質も解像度は良く、低域の不足を除けば、それほど不満がない。音に厚みが出ないのでアコースティックな曲は得意な印象を受けないけど、デジタル系のサウンドだとかなりバランス良く楽しませてくれそうな印象でオススメできる。スペック的にも不足感なし。
【6】同価格帯の実力派完全ワイヤレスイヤホンとの聞き比べ
vs Enacfire Future Plus(藍井エイル「アイリス」)
ここからは同価格帯くらいのいくつかの機種と聞き比べするが、まずEnacFire Future plus。Future Plusのほうが低域にボリューム感があり、全体的に重心が低く、音が太い。パワフルでライブ感を重視する音に聞こえる。
一例としてたとえば藍井エイル「アイリス」を聞き比べてみれば、ぶっちゃけ個人的にはFuture Plusの方が好み。ドラムとベースに暖かみと厚みがあり、熱気があるし、ギターサウンドもより黒みがある。E18 Plusの低域はクリアで分離が良いように思えるが、ダンス的で音が細く、パスパスと音に涸れている感じがある。ボーカルフォーカスはされており、ギター音のギラギラチャリチャリしたあたりに強調がある。
好みによるが、ロックやポップス、アニソンにライブ感を求める場合はこのイヤホンは不適で、どちらといえばモニター的な音である。
vs Hiyoo A8-C5(花澤香菜「ざらざら」)
次にHiyoo A8-C5と聞き比べて見ると、これも基本的にはFuture Plusと同様に温もり感の欠如が気になる。たとえば花澤香菜「ざらざら」のような曲はボーカルに甘味とギターに黄金色の温もりが感じられるくらいが好きだが、E18 Plusは音が硬くチャリチャリパリパリしている。解像度感は高く、この曲でも一定の音の膨らみもあって悪くはないが、A8-C5の充実した音を聴いた後だと温もり感は少し足りない。一方でギターサウンドに注目すると、チョーキングやアルペジオなどギターの変化はわかりやすく、この曲でもより繊細にギターを感じられるのはE18 Plusの方になる。
個人的には没入感はA8-C5のほうが高いので、この曲を聴くなら、ゆったりした広がりのあるA8-C5のほうが好きかなと思うが、一方でA8-C5の高域は暗めで、低域のスピード感もゆるいため鈍重な印象を受けるということもあるだろう。少なくともA8-C5は高域の解像度が物足りないことは確かだ。
vs FEYCH NB-T01(ナナヲアカリ「パスポート」)
次にFEYCH NB-T01と聞き比べてみる。率直に言って、NB-T01が充分な低域の厚みを出してくれるのに対して、E18 plusの低域は涸れていて、この曲みたいなダンスサウンドでは不足を感じる。しかし中高域の解像度は高く、満足感があるので、いろいろイヤピを試してみると、良さそうなのがAZLA SednaEarfit Short。ちょっと強引だけど、ケースにギリギリ収まる。このイヤピを使えば低域の存在感が増すので、価格帯では真にEDM向きと言える音質に近づく。あくまでSedna Shortを装着した感じであれば、NB-T01と全体的なバランスは似た感じになり、むしろ高域で一段抜けが良く煌めき感があるだけ上位互換に近い音に聞こえる。
個人的な意見としてはしたがって、EDMを楽しむなら標準イヤピは力不足なので、交換したほうがよいという感じになる。
しあわせシンドローム(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)
vs wewow sky-free(KARAK「いつかまた生まれた時のために」)
ハイファイ系サウンドを持つ同価格帯の機種というと、wewow sky-freeが挙げられる。たとえばKARAK「いつかまた生まれた時のために」を聞き比べて見ると、より透明感が強く光沢感があるのはsky-free。E18 plusはsky-freeよりはもう少し全体の重心が低く、たとえばボーカルはsky-freeがひたすら透明で上に伸びていくのに対し、少し厚みがあって抜けは相対的に抑えめでふっくらして聞こえる。
個人的な好みから言うと、この曲ではsky-freeの音のほうが好きで、低域の濃さもあるし、高域の透明感のある音もきれいで立体感が感じられる。E18 plusもバランスが良いハイファイ感があって、全体像は悪くないが、ややメリハリに乏しい。E18 plusの音には曲によって奥行き感とか立体感が足りない感じがあるのは事実だろう。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。