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【完全ワイヤレスイヤホン Apple AirPods Pro レビュー】アクティブノイズキャンセリングとヒアスルーは現状最強。音質は大人びた濃厚感のある音。文句なくおすすめ。

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Apple AirPods Pro

Apple AirPods Pro

Apple AirPods Pro

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「良好な装着感。通信品質も高い」

おすすめ度*1

Apple AirPods Pro

ASIN

B07ZPS4FSW

スペック・評価
連続再生時間/最大再生時間

4.5h/24h

Bluetoothバージョン 5.0
対応ワイヤレスコーデック AAC/SBC
防水性能

IPX4

音質傾向

濃厚感がある、膨らみがある、豊満、豊か、コクがある、シンバルの聞こえが良い、音に深みがある、深煎り、大人びた音、落ち着いている、聴き心地が安定している

 AirPods ProはAirPodsのインイヤー型デザインとは異なり、カナル型のデザインを採用しています。装着感は自然で、遮音性はそこそこ良いです。

 

 対応コーデックはAAC/SBC。ONKYO GRANBEATHiby R6 Proで交互に繋ぎながら接続品質をみました。テストしたのは新宿駅周辺です。駅構内の改札付近などではほとんど途切れはありません。繁華街を歩いていても、ほとんど途切れる場面はなく安定しています。バスターミナル付近ではやや途切れが目立ちますが、総じて通信安定度は高い印象を受けます。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProとONKYO GRANBEAT、Cayin B6II/A01で行っています。

www.ear-phone-review.com

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【2】外観・インターフェース・付属品「充電ケーブルはType-Cです。ANC性能は実用性が高いです」

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル(Type-C)、専用充電ケース、説明書です。

 

アクティブノイズキャンセリングは優秀

 AirPods Proはアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載しています。以前SONY WF-1000XM3のノイキャンを試したときは、率直に言って個人的には満足できるとは言い難いところがありました。まだまだ完全ワイヤレスイヤホンでノイキャンは静粛性が十分でないという印象を持っていました。

www.ear-phone-review.com

 

 しかし、AirPods Proを試したところ、WF-1000XM3よりも静粛性が増しており、充分な実用性を感じました。具体的には、電車のヴィーンとかキューンという駆動音がかなりカットされ、WF-1000XM3で不満を持った電車内での静粛性が増していて、実用的なレベルになっています。さらにサーキュレーターの風音テストでも、ブオーッという音をWF-1000XM3がサーッ程度にするのに対し、AirPods Proはスーッあるいはシーッというくらいまで静かにしてくれました。あくまで私の体感なので、装着性の違いによって差が出るとは思われますが、メディアのレビュー記事を読んでも大抵AirPods Proのノイキャンの方が優秀だという結論が出ています。

 ただし、無音楽状態では少し耳にツンとくる感じがありますので、それが苦手な人は注意が必要かも知れません。

www.phileweb.com

ascii.jp

 

 いつもお世話になっているBLINKYさんのこちらのツイートも参考になります。

 

ヒアスルーも優秀

 ヒアスルーも驚きました。「イヤホンを付けていないかのような透明感のある外音の聞こえ方」みたいなレビューもあって、しかし、「大げさだろう」と思っていましたが、本当に透過性が高めです。SONY WF-1000XM3はレビューでも書きましたが、自分の声が若干遮断されていた感じだったのに対し、AirPods Proは自分の声も明瞭で周囲に障壁がないかのようです。

 これまでヒアスルーに関して完全ワイヤレスイヤホンで、個人的に最も高く評価してきたのはJabra Elite Active 65tでしたが、EA65tはわずかにホワイトノイズがあり、AirPods Proの自然な音の聴かせ方に劣ります。鮮明度はわずかにEA65tのほうが高いかも知れませんが、総合的にはAirPods Proのほうが高い評価になるんじゃないかと思います。どちらにせよ甲乙付けがたいレベルで、高水準です。

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Apple AirPods ProApple AirPods Pro

 

【3】音質「温かみのある低域が特徴的。全体的にややふんわりしたマイルドな音色。豊満でコクがあり、大人びている」

 AirPodsは音質的にはコスパは良くないとよく言われます。たしかに低域にやや強めの温かみがあり、中高域から高域にかけてのディテール感は少しぼんやりとして聞こえやすく、鮮明さと繊細さに欠ける音質傾向です。中域と低域の境目も立体感が薄いので、人によっては篭もっていると感じやすいでしょう。また音場表現的にも濃厚系で中域は下の方で押し出しが強い感じがあり、清潔さと高域方向での立体感に欠ける印象を受けるところがあります。聴き心地は安定していますが、全体的に豊満でぼーっとした印象は免れないところがあります。

 低域はかなり中低域に厚みが持たせられており、低域弦楽はかなり太く重く出ますし、ドラム音も厚みを出して重量感高めにドスンドスンとした音になります。ベースはやや膨らみ、暖かみが強く、輪郭は少し曖昧に聞こえるかも知れません。量感的には少し重みが強調されやすい低域です。

 中域の下の方は低域とつながっており、少しもやもやした熱気を感じるかも知れません。中域は基本的に押し出しが強く、ボーカルは前面に出てきて、ギターサウンドもやや中域で膨らむバランスになっています。そのため中域だけを見ると、ややかまぼこの印象を受けるかも知れません。中高域に向かっては少し後退している印象で、楽器音のディテールはマイルドになっています。

 高域はさらに後退的になっており、シャープネスはあまり強調されません。高さはあまり強調される印象はないと思います。シンバルだけは少し空気感が強調されて聞こえる感じがあります。

 

 総合すると、中域の真ん中から低域にかけてに重点が置かれているような、やや豊満なサウンドになっており、音の広がりと量感に重点が置かれています。聴き心地はマイルドで、人によってはライブ感が感じられると思いますが、やや緩い立体感の音響になっており、空間に清潔感はあまり感じられないと思われます。そのため音楽全体が少しボーッとして聞こえやすい感じはあります。

 

音質因子評価
音質因子 評価
鮮やかさ
(鮮やか/色味が薄い)
やや鮮やか。中域で押し出し感があり、音がやや厚めにしっかり聞こえる。

鋭さ

(鋭い/鈍い)

やや鈍い。エッジを強調する感じはあまりない。
明るさ
(明るい/暗い)
普通。中域の真ん中くらいに焦点があり、高域はそれほど明るい感じではない。自然光の明るさを感じる。
派手さ
(派手/地味)
普通。中域で音の広がりは良く、高域方向は暗いが、そこではややシンバルの高さが目立つ感じがある。
硬さ
(硬い/柔らかい)
柔らかい。全体的にエッジを強調しないソフトタッチ感があり、低域も膨らむ感じがあって柔らかい。
尖り
(尖っている/丸みがある)
丸みがある。ほとんど尖る音がない。
穏やかさ
(穏やか/騒々しい)
やや穏やか。ディテールを強調する感じがなく、ややぼんやり気味に音を聴かせるので、騒々しい感じはあまりないが、押し出し感は少し強い。
力強さ
(力強い/嫋やか)
やや力強い。低域から中域下にかけて充分な量感があり、パワフル。
豊かさ
(豊か/貧弱)

豊か。音が豊満。

太さ
(太い/細い)
太い。中域から低域にかけて厚みがある。
手触り
(ざらざら/滑らか)
滑らか。音の質感的には膨らむ感じが強く、滑らか。
粒感
(きめの細かい/粗い)
粗い。ディテールの強調は少なく、ぼんやりしている。
清潔感
(澄んだ/濁った)
濁っている。全体的に温度感は高めで濃厚系のサウンドになっている。
潤い
(潤いのある/乾いた)
やや潤いのある。充分潤いを感じるには、中高域の光沢が少し足りない気もするが、中域で潤い感がある。
重さ
(重い/軽い)
やや重い。低域方向に重心が落ち着く、安定的な音場になっている。

 

ボーカル因子評価
ボーカル因子 男声 女声
澄んでいるか
(澄んでいる/濁っている)
濁っている 濁っている

明るいか

(明るい/暗い)

やや暗い やや暗い

伸びやかか

(伸びる、突き抜ける/天井感がある)

普通 やや天井感がある

潤っているか

(しっとりしている/乾いている)

しっとりしている ややしっとりしている

太いか

(太い/細い)

太い やや太い

濃いか

(濃い/薄い)

濃い やや濃い

子音が強調されるか

(目立つ/目立たない)

やや目立たない やや目立たない

 

空間因子評価
空間因子 評価
主に中域の密度
(ぎっしり/スカスカ)
ぎっしり
主に高域の高さ
(抜けが良い/天井感がある)
やや天井感がある
主に低域の深さ
(深掘り感がある/浮き上がりがよい)
やや深掘り感がある
主に低域と中域の横幅
(広い/狭い)

やや狭い

主に中域の奥行き感
(奥まる/前屈み)
前屈み

 

美点
  1. ボーカルフォーカスが良い
  2. 濃厚感がある
  3. 低域に重量感がある
  4. 音が前進的で抱擁感がある
  5. マイルドで聴き疲れしない音質
  6. ボリューミーで満腹感がある
欠点
  1. 透明感に欠ける
  2. 篭もっていると感じられる可能性がある
  3. 高域のディテール感が抑えめ
  4. メリハリに欠けると判断される可能性がある
  5. 分析力に乏しい感じの出音なので、解像度に劣ると判断されやすい

 

[高音]:高域は基本的に閉じている。シンバルの空気感だけ少し清潔に浮き上がる感じがあるが、シャープネスは抑えめで、ボーカルの子音に尖る感じはない。弦楽や金管もそれほど高さを強調しない。基本的にはマイルドで少し暗い高域の印象を受けるだろう(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)

[中音]:中域は真ん中付近とその下くらいに厚みがあり、基本的に濃厚で音の沈みが良く、少し滞留する感じがある。ボーカルフォーカスは良く、太くはっきり濃く、コクを出して聴かせ、ピアノ音や弦楽にもコクがあり、深みが感じられる。ギターサウンドはやや伸びやかさを抑えた豊満な横の広がりのある音で、色味が濃く、黒みがある。

[低音]:100hz~40hzまで太く緩いボーッとした振動。30hzでかなり沈み、20hzでほぼ無音。ベースは厚く、温かみもあってややブンブン太く聞こえ、唸りが強い感じがある。バスドラは重く、やや下に重い鈍い膨らみを感じやすい。総じて地熱感は高め。低域弦楽も太く出やすく、ボンボンしやすい(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:低域から中域に厚みがあり、下に豊満で重い音場になっており、清潔感に欠け、少し鈍重な感じはある。中高域以上のディテールや立体感は抑えめなので、やや平面的で奥行きが足りないように感じられやすい(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムスは低域で重みを感じさせ、全体的に少し豊満で、もさっとした感じがある。上辺の鼓面の弾けは抑えめでもさつく感じがあり、ボツボツと鈍い感じがある。フロアタムはドドンと少し重めに膨らんで出る。全体像は重めのバツンバツンないしバズンバズンといったところ。ハイハットはチンチンしたあたりを濃く暗めに出しつつ、高いところは意外と明るくシンシンと浮き上がる立体感がある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは男女ともに濃く、コクがある。ボーカルは一般にほとんど最前面に出てきて、フォーカスは良い。女声ボーカルは少し太く暗い感じがあるが、甘味とコクがある。明るさを抑え、深みがある感じなので、男女ともに少し大人びて聞こえやすい。

 

【4】官能性「解像度感が高いとは言えないが、コクのある豊かな深煎りの音を出す」

パスピエ「永すぎた春」

永すぎた春

永すぎた春

【Hiby R6 Proで鑑賞】この曲ではかなりタムが膨らむので、熱気は強めになります。シンバルは結構高さを出して聞こえるので、高域で少し清潔感が感じられますが、中域は濃厚でぼんやりしている感じが強いので、祭りの場にいるようなライブ感がありますが、人によっては清潔感が足りず、リズムにビシバシ感がなくて、メリハリが弱いと思うかも知れません。ボーカルはかなりコクがあって、濃い感じの甘味を出すあんこのような声色になっています。

 


&DNA(初回限定盤)

 

ヨルシカ「冬眠」

冬眠

冬眠

【Hiby R6 Proで鑑賞】中域で濃厚になりやすく、ギター音も明るく伸びるというよりは下に沈み込むようなコクのある音になっているので、むしろこうした落ちついた沈潜する曲は深く聴かせる感じがあります。ドラムも重く下に広がって沈み込む音なので、メリハリを強調せず、胸に音が落とし込まれてくる独特の静謐感があります。ボーカルも落ち着きがあって大人びており、憂愁を感じさせる声色で、しっとりこの曲を楽しむならなかなかよいです。

 


負け犬にアンコールはいらない(通常版)

 

Sonny Clark「With a Song in my Heart」

With a Song in My Heart

With a Song in My Heart

【Hiby R6 Proで鑑賞】高域で明るさを強調しないので、落ち着いたJAZZを楽しむには持って来いです。シンバルだけ清潔に浮き上がって聞こえますが、ピアノは非常に穏やかで静謐感があり、金管も渋めに色味を抑えて聞こえてきます。空間には低域の熱気に由来する濃厚感があり、充満する空気感があって、風味が横溢してくるような充実感を楽しめます。

 


Sonny's Crib

 

【5】総評「ANC性能は最強。ヒアスルーも最強。音質は濃厚系で大人びている」

 アクティブノイズキャンセリングとヒアスルーにかけては現状最強と言って良く、機能性を重視するユーザーには非常に魅力的なガジェットに思えるはずです。音質は少し現代的でない、大人びた雰囲気の音で解像度を重視した感じではありませんが、豊かで風味があります。総じて使い勝手に優れており、文句なくおすすめできます。

 

まとめ
  • 濃厚で大人びた音
  • アクティブノイズキャンセリングとヒアスルーが素晴らしい完成度
  • 通信品質も高く、使い勝手も良い

 

Apple AirPods Pro

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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