- 基本スペック
- 競合機種との比較表
- Tronsmart Apollo Boldの特徴
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音漏れ
- 接続品質
- インターフェース/操作方法
- ヒアスルー&ANC性能
- 音質
- 音楽鑑賞
- レコーディングシグネチャー
- 総評
- 【関連記事】
今回取り上げる機種はアクティブノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤホン、Tronsmart Apollo Boldです。
Tronsmartは2013年に深圳に設立された電子ガジェットやアクセサリーを設計・製造・販売するメーカーです。研究開発型の企業で、ワイヤレススピーカーの分野では比較的多くの製品を展開しています。
このブランドを有名にしたのはTronsmart Spunky Beatです。この機種は低価格でありながら、Qualcommの人気Bluetoothチップ「QCC3020」を搭載し、海外で話題になりました。低価格モデルの中では音質的にも評価が高く、比較的フラットに近く万能性が高いところが評価されています。
そのTronsmartから発売された完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデルがTronsmart Apollo Boldで、アクティブノイズキャンセリング搭載機種になります。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:4-10h/30h
- 防水性能:IP45
- 対応コーデック:aptX/AAC/SBC
- 技適番号:210-140195
競合機種との比較表
Padmate PaMu Quiet | Earfun Air Pro | Tronsmart Apollo Bold | AVIOT TE-D01m | Buttons Air X | |
タイプ | カナル型 | カナル型 | カナル型 | カナル型 | カナル型 |
連続再生時間 | 4h | 7-9h | 4-10h | 7-10h | 8h |
最大再生時間 | 12h | 32h | 30h | 50h | 40h |
対応コーデック | aptX/AAC/SBC | AAC/SBC | aptX/AAC/SBC | aptX adaptive/aptX/AAC/SBC | aptX/AAC/SBC |
防水性能 | IPX4 | IPX5 | IP45 | IPX4 | IPX4 |
ANC性能(10) | 8 | 9 | 8.5 | 5 | 6.5 |
ヒアスルー(10) | 8(やや集音的) | 8(自然) | 8(自然) | 7(自然) | 7(自然) |
音質傾向 | U字型 | 弱U字型 | V字型 | U字型 | 強U字型 |
Tronsmart Apollo Boldの特徴
-35dBのノイズカット性能を持つハイブリッド式アクティブノイズキャンセリング機能
Tronsmart Apollo Boldは各イヤホンに2つのマイク(外側のフィードフォワードマイクと内側のフィードバックマイク)を内蔵しており、ハイブリッドアクティブノイズキャンセリングを搭載しています。これにより、周囲のノイズと耳の内側の不要な音を拾って、ドライバーユニットから逆位相の音を発して、その騒音を打ち消します。
そのANC性能は業界最高水準の-35dBを実現しています。
- フィードフォワードANC:マイクは狭い周波数範囲のノイズを低減します。
- フィードバックANC:マイクは、より広い周波数範囲のノイズを低減します。
フィードフォワードANCは、より狭い範囲とより浅い周波数で機能します。フィードバックANCは、より広い範囲とより深い周波数で機能します。Tronsmart Apollo BoldのANCは、フィードフォワードANCとフィードバックANCを組み合わせており、全周波数帯でノイズに対して機能します。
業界最高峰クラスの通信SoC「QCC5124」
Tronsmart Apollo BoldにはQualcomm社のハイエンド完全ワイヤレスイヤホン向け通信チップであるQCC5124が搭載されています。
Qualcomm QCC5124システムオンチップ(SoC)は、低消費電力でより長いオーディオ再生を実現し、完全ワイヤレスイヤホンのような小型オーディオデバイスにおいても、堅牢で高品質のワイヤレスBluetoothリスニング体験ができる要件を満たすように設計されています。
QCC5124アーキテクチャは、低消費電力で高性能を実現するように設計されており、音声通話と音楽ストリーミングの両方で、以前のテクノロジーと比較して消費電力を最大65%削減できます。これによりQCC5124を搭載した小型オーディオデバイスは、事実上すべての動作モードでより長いオーディオ再生をサポートするように最適化されています。
Tronsmart Apollo Boldは現状でこのQCC5124を搭載する最も廉価な完全ワイヤレスイヤホンの一つです。
装着検出機能
Tronsmart Apollo Boldにはセンサーによる装着検知機能があります。これによって片側のイヤホンを耳から外すだけで再生中の音楽が一時停止されます。耳に戻せばまた再生が自動的に開始されます。音楽再生中に突然誰かから話しかけられたとしても、耳からイヤホンを取るだけですぐに対応できます。
付属アプリによるコントロール
Tronsmart Apollo Boldには制御するための専用アプリが付属します。アプリを使用すればファームウェアのアップデートやEQの切り替えなどができます。
画面はVer.1.10ですが、最新の1.23ではコントロールのカスタマイズもできるようです。なお、イコライザの日本語訳が少し変ですが、よくあることなので気にしないでください。
人気ANC機種に劣らない性能
Tronsmart Apollo Boldは市場で人気のANC対応完全ワイヤレスイヤホンに対して、スペック面では決して劣っていません。
パッケージ
パッケージは価格帯では少し豪華です。パッケージはしっかりしており、一流メーカー品と比べてもかなり上質に思えます。開梱体験も少し凝っており、いくつかの層に分かれて付属品が収納されています。付属品にはイヤーピースの替え、充電用USBケーブル(Type-C)、説明書などが含まれます。
ビルドクオリティは価格を考えると標準的か少し上質です。ケースはコンパクトで、持ち運びに便利です。
装着サンプル
装着感は良好です。耳に入る部分はコンパクトですが、本体は意外と大きめで少し耳から出る部分が多くて目立つかもしれません。
音漏れ
Tronsmart Apollo Boldの遮音性はなかなか優秀です。Tronsmart Apollo BoldをHATS(ダミーヘッド)に装着し、FiiO M15に接続して、図書館レベルの静かな環境で30cm程度離れて正面に座ってサウンドリークを聞き取ってみました。サウンドリークのテストではイヤホン側に独立した音量調節がある場合は音量を最大にした状態で、M15の音量調整だけで判断できるようにしています。
音量半分ではわずかに音漏れが目立ち、気にならないレベルですと1/3程度まで音量を下げる必要がありました。図書館など静かな環境では1/3、公共の場では音量7割くらいまでを目安に音量を調整すればよいと思われます。
接続品質
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では優秀な接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。ただし、遮蔽物を挟むと通信が途切れがちになり、接続は維持されているようですが、音楽は一貫して聴くのは少し難しい感じです。
ANC OFF時でもホワイトノイズは少しあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。ただし敏感な人は少し気になるかもしれません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはフェースプレート部分にあり、タッチ式です。
電源ON
充電ケースからイヤホンを取りだすと、自動で電源ONになります。
電源OFF
充電ケースにイヤホンを収納すると、自動で電源OFFになります。
ペアリング
充電ケースからイヤホンを取りだした際に接続先がない場合、自動でペアリングモードに移行します。
リセット方法
充電ケースからイヤホンを取り出します。すべての接続をキャンセルし、イヤホンがどこにも接続されていないことを確認します。その状態で左右のイヤホンのマルチファンクションボタンをそれぞれ5回タップします。すると、イヤホンのLEDが2回赤く点滅し、次に白く点滅し、左右のイヤホンがペアリングされます。その後左右のイヤホンのLEDが白くゆっくりと点滅したら、リセット完了です。
曲再生/停止
左右どちらかのマルチファンクションボタンを2回タップします。
曲送り
右耳側のマルチファンクションボタンを2秒長押しします。
曲戻し
左耳側のマルチファンクションボタンを2秒長押しします。
音量を上げる
右耳側のマルチファンクションボタンを1回タップします。
音量を下げる
左耳側のマルチファンクションボタンを1回タップします。
通話応答
着信時に左右どちらかのマルチファンクションボタンを2回タップします。
通話終了
通話中に左右どちらかのマルチファンクションボタンを2回タップします。
着信拒否
着信時に左右どちらかのマルチファンクションボタンを2秒長押しします。
音声アシスタントの起動
左右どちらかのマルチファンクションボタンを1回タップしたあと長押しします。
ANC ON/OFF/ヒアスルー切り替え
左右どちらかのマルチファンクションボタンを3回タップします。
ヒアスルー&ANC性能
ヒアスルー性能
ヒアスルーをONにすると、ホワイトノイズが少し聞こえます。ヒアスルー時は周囲の音の聞こえはおおむね自然だと思います。自分の声も明るさは少しだけ増す気がしますが、太さはかなり自然です。
ANC性能
下はヘッドホン(beyerdynamic DT990 Edition 2005 600Ω)から-30dB@1khzにテストトーンの音量レベルを合わせた上で、基準ホワイトノイズを流して測定し、その後標準イヤーピース Sサイズをつけ、ANCをONにして、もう一度ヘッドホンから基準ノイズを流し、このイヤホンの遮音性能を1/6オクターブごとに測定したものです。今回の測定では、基準ノイズに対し、20hz~20khzの可聴域での平均遮音性能は21.06dBくらいありました。
この測定値はメジャーメーカー製でかなり優秀なANC品質を誇る完全ワイヤレスイヤホンBOSE QuietComfort Earbudsに匹敵します。もちろんこれは単純平均値でのことであり、実際のノイズ削減傾向は異なるので、聴感上QCBuds並みの効果が期待できるというわけではありません。
ANCの効果はかなり強力で、効果ははっきり感じられます。ANCをONにすると、ホワイトノイズは少し増えます。空調の音はかなりしっかりカットされ、ほぼ聞こえません。サーキュレーターの音は完全に消えないかもしれませんが、低周波がかなり低減され、だいぶすっきりして聞こえます。
ANC傾向としてはとくに聴感上の効果が高いとされる低域から中低域は、比較的強力にカットされており、さらに中域のカット効果も高いようです。効いてるのかどうかわからないなんてことは全くありません。価格を考えると、単純に驚異的な性能です。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [ヒアスルー 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [ヒアスルー 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [ヒアスルー 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [ヒアスルー 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- モード別音質比較(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー解説
ANC ON時やヒアスルーON時は低域と高域が少し持ち上がり、V字が深くなります。全体的なサウンドシグネチャーはかなり極端なV字型の重ドンシャリであり、中域はドライでカサカサして聞こえやすいでしょう。
THD+N特性
THD+N特性とは音に含まれる歪み成分を表し、パーセンテージが低いほど音がピュアできれいに聞こえます。
THD+N特性は高級イヤホンの場合、1%以内であることが望ましいです。下の図は上が-40dB@1khz(適正音量レベル)における、スイープでの周波数毎のTHD+N特性、下が上限-30dBで1khzでの音量レベルによるTHD+N特性(THDNL)です。このイヤホンはどちらでも概ね1%未満で優秀です。
- THDN平均値:0.04807155%
- THDNL平均値:0.15024085%
- THDNL平均値(-60dB以上):0.078670466666667%
音質解説
低域と高域が持ち上がっているV字型なので、上でも下でもディテールは強調され、奥行き感のあるサウンドで聞こえますが、質感はナチュラルではありません。中域は特に乾燥してカサカサした感じで聞こえやすいので、貧相な印象を受けやすく、クラシックやJAZZを好む人には充実感が不足して感じられやすいところがあります。
なお以下の解説は一般的な使用状況にかんがみて、ANC ON時を基準に行っています。
※各評価項目はあくまでリファレンスサウンド(当サイトの機器測定における自由音場フラット)から見ての周波数特性データと私の聴感に基づく評価です。たとえば迫力のある低域を重視する人は「存在感」「太さ」「重み」「臨場感」が高い低域を好むと思いますが、このような音は本来最も重視されるべき「原音忠実度」はおそらくあまり高くありません。
再生機器にとって「原音忠実性」こそが最も重視されるべきというのはオーディオ界隈の共通認識であると思われますので、本ブログの音響機器の評価も「原音忠実性」を最も重視しています。
「原音忠実度」は基本的に高ければ高い方が多くの人にとって良いと思われますが、ほかの評価値は中間値である「B」を離れるほど原音忠実性が薄れます。そのため「S」や「A」はその音要素を好む人には最も心地よい音かも知れませんが、他の人には不快かも知れません。そして不快な音要素が決まっている人は、むしろその音要素が低い評価のものを選ぶとより心地よく音楽を楽しめると思います。
このように、当ブログでは原音忠実(リファレンスサウンド)からの距離を提示することで効率的にあなたの好みに合ったオーディオ機器を発見できるように工夫しています。
評価が高ければ高いだけ良い評価値というのは「原音忠実度」「クリア感」「おすすめ度」で、とくに「原音忠実度」+「クリア感」がオーディオ製品としての単純な優秀性を表します。
「原音忠実再生」についての参考動画:創造の館「いい音とは何か」
※以下のリンク先はpdfです。
低域(原音忠実度:C+/臨場感:B+/深さ:A/重み:A+/太さ:B+/存在感:A-)
低域は深さや重さがかなり強調されています。全体的に床面が近く、この低域の張り出し感によって、音場にはシアター的な奥行き感があります。
傾斜が強く、厚みは少し抑制的なので、低域は比較的引き締まっており、階層性も明瞭に思えます。ドラムキックもかなりビシバシした印象で、リズム感はかなり強調されて聞こえるところがあります。膨張感は抑え気味で、かなり分離感は強いので、ベースとドラムキックの描き分けもはっきりしていますが、全体的にアグレッシブに聞こえやすい低域です。
中域(原音忠実度:B-/厚み:B+/明るさ:B/硬さ:B/存在感:C+)
中域は比較的ニュートラルに近いですが、音場の一番奥で聞こえやすく、充実感はあまり感じられません。
比較的中域周辺が広く、低域と高域両方から空間的な距離感があるので、ボーカルの周辺の空間は清潔です。そのため、ボーカルは前面にいませんが、わりとフォーカス感はしっかりしています。ボーカルボディは少し薄く、少し子音が目立ちますが、ボーカルニュアンスが尖るあたりは周囲の楽器音のほうが派手で、それに埋没するところがあり、聞き苦しい感じはあまりありません。ただ、楽曲にもよりますが、少し溺れ気味に聞こえるので聞きづらい感じはあります。率直に言って、中域の解像感はあまりよくありません。
高域(原音忠実度:C+/艶やかさ:B+/鋭さ:B/脆さ:A+/荒さ:B/繊細さ:A/存在感:A-)
高域はマイクロディテールがかなり強調されており、音が少し脆く、荒々しく感じられるところがあります。爽快感がありますが、がさつに聞こえやすい感じもあり、好みを分けるかもしれません。
中高域は中域と釣り合いが取れており、色気は少し強く聞こえ、アニソンやEDMで色気のある音を楽しむことができます。マイクロディテールも少し強く、風通しが良い感じがあり、爽快感があるサウンドは現代的な曲と相性が良いでしょう。派手で楽しいサウンドを楽しめます。中域を薄く感じさせるところがあるほど強めの高域ですが、突き抜けの良いサウンドが好きな人には魅力的に思えそうです。
グルーヴ/音場/クリア感(グルーヴの中心:中域/音場:A-/クリア感:A-)
※一般にグルーヴの最も大きいところが最も活き活きと聞こえるので、音楽の中心になります。グルーヴの中心範囲の大きさは変動的です。グルーヴの中心は個人の音楽の好みを決定し、音響機器選択のヒントになります。音響機器のグルーヴの中心が個人の好みと離れている場合、むしろその不自然さが強調され、その音響機器を楽しくないと感じる可能性が高いです。音場の評価はBが自然な広さです。クリア感の評価は全高調波歪の測定値を参照して決めています。
このイヤホンのグルーヴの中心は一般に中域に存在すると思われます。
音場は立体的です。奥行きはかなり広く、高さも少し高めで、深さもあり、幅も少し広めだと思います。音場は前方定位的で広く聞こえるでしょう。
音質総評(原音忠実度:C+/おすすめ度:B/個人的な好み:B+)
ちょっと極端なドンシャリ傾向なのがわりと好き嫌いを分けそうです。全体的にディテールの強調があるので、クラブミュージックやEDM、ロックを聴くと、第一印象はよいと感じる可能性が高いですが、いろいろ聞いていくとポップスやバラード曲で中域の透明感がいまいちな感じや、全体的に音がゴチャゴチャしやすいところが気になってくるかもしれません。オーディオスペックは悪くないわりに、音の響きに余裕が感じられないので、解像感はあまりよくないと感じる可能性が高く、安っぽい音に思えるところがありそうです。
個人的には、音の出し方はかなり楽しい感じなんで、ときどき聴きたくなるところはあるんですが、短時間でわりとすぐ飽きます。いろんな曲を長時間楽しみたいって音ではないですね。ANC OFFならまだ悪くない感じがしますが、普通はANC ONで使いますよね。
音質的な特徴
美点
- 価格を考えると、素晴らしく歪みの少ないクリアなサウンド
- ディテール感がある
- 奥行き感がある
- 臨場感がある
- 立体感がある
- 分離感がある
- ダイナミックで楽しいドンシャリサウンド
- 引き締まった中域
- 中域への適切なフォーカス
- タイトな低域
- コントラストの高いサウンド
欠点
- 音がかなりドライ
- 充実感に欠ける
- ボーカルが埋没的
- 質感の自然な解像感に欠ける
- 貧相に聞こえる中域
音楽鑑賞
後ろから這いより隊G「恋は渾沌の隷也」
こういう曲を聴くと、第一印象はかなりいいです。上と下で音がはっきり聞こえるんで、空間も少し広く思え、派手さも十分、重厚感にも優れています。ボーカルもよく聴くと充実感が足りないんですが、こういう媚び媚びの曲だとボーカルニュアンスのほうに意識向きやすいので、長く聞かない限り第一印象ではほとんど不満が出ません。ボーカルはよく聞くと荒々しくてがさつに思えるところもあるんですが、最初はハキハキして元気で勢いがあるように感じられて、むしろ好ましく思える可能性が高いですし、ボーカルのすぐ上くらいでかなり派手な感じが楽しく、エレキギターのディストーションや金管なんかが派手に色気を出しながら、突き抜けるように伸びるのが心地よく思えるくらいです。
とにかく刺激的に楽しくこの曲を味わいたいなら、個人的にはわりとアリですね。
MindaRyn「BLUE ROSE knows」
元々わりと細い感じで聞こえやすい、媚びたボーカルなところもあって、このイヤホンの中域をやや過剰気味にすっきりして聞かせる感じとは合っている気がします。全体的にメリハリ感が増して、タイトでディテールは細かく聞こえ、高域の強調によってアグレッシブさも増して聞こえるので、この曲をポップで元気いっぱいな感じで聴かせてくれます。
96猫「嘘の火花」
ドラムは重厚でパワフルですし、シンバルが本当に火花のようにチクチクして聞こえるので、この曲をこのイヤホンで聴くのはかなり好きですね。楽器音に埋没的で少し荒んだ感じが強く聞こえるボーカルも、薄味気味ですが、妙な儚さが感じられて個人的には意外とかっこよく思えます。ボーカルやエレキギターの色気はとくに強いというわけではありませんが、標準以上なので華やかさも十分に感じられます。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。ANCはONで、コーデックはaptX、使用イヤーピースは標準イヤーピースのSサイズです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
Tronsmart Apollo Boldは、1万円レベルで2万円以上の一流メーカー品のアクティブノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤホンに劣らないANC性能を発揮する高コスパ製品です。使い勝手も良好で高音質コーデックであるaptXにも対応する魅力的な製品です。その音質は楽しいドンシャリで、ディテール感と立体感に優れた、勢いの感じられる没入型のサウンドを提供してくれます。
業界最高クラスに劣らないアクティブノイズキャンセリング機能を廉価に手に入れたい場合、Tronsmart Apollo Boldはかなり魅力的な選択肢になるでしょう。
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