- 有線イヤホンを完全ワイヤレス化する時代が到来
- Shure Aonic 215の優位点
- Shure Aonic 215の欠点
- Shure Aonic 215のスペック
- ギャラリー
- まとめ「残念ながらゲームチェンジャーではありませんが、mmcxの完全ワイヤレス化では定番機種になり得ます」
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有線イヤホンを完全ワイヤレス化する時代が到来
オーディオ業界では完全ワイヤレスイヤホンが飛ぶように売れる時代がやってきており、ワイヤレス技術も日進月歩で革新されています。時代はついに普通のリケーブル対応の有線イヤホンを完全ワイヤレス化できるところにまで来ています。
これまで有線のイヤホンを完全ワイヤレス化する手段としては主に2つの方法がありました。
FOSTEX TM2
一つはFOSTEX TM2で、国産の大手オーディオメーカーが開発しており、さまざまなアダプターを接続可能で、リケーブル可能なイヤホンであればほぼ間違いなく完全ワイヤレス化できるのが特徴です。ただし値段は高めです。
TRN BT20S
もう一つはTRN BT20Sです。こちらはよりリーズナブルな値段で有線イヤホンを完全ワイヤレス化できます。作りはチープでTM2ほど対応端子も多くありませんが、音質は充分で接続性も安定しています。ただしTM2にあるヒアスルーには対応しておらず、機能面は必要最小限です。
そして今回、第3の選択肢としてSHURE AONIC 215が登場しました。この製品はmmcx専用です。
比較表
収納ケース | ヒアスルー | 価格 | mmcx | 2pin 0.78mm | FitEar 2pin | A2DC | 連続再生時間 | 操作性 | |
Shure Aonic 215 | ◎(バッテリー機能付き) | ○ | 32000円 | ○ | × | × | × | 8時間 | ○ |
FOSTEX TM2 | ○(バッテリー機能なし) | ○ | 30000円 | ○ | ○ | ○ | ○ | 10時間 | △ |
TRN BT20S | × | × | 6500円 | ○ | ○ | × | × | 6時間 | ○ |
Shure Aonic 215の優位点
Shure Aonic 215にはいくつかの点で、先行製品に対する優位性があります。それを最初に確認したいと思います。
バッテリーケース付き
FOSTEX TM2には充電ケースが付属していますが、バッテリー内蔵ではなく、その大きさも大きめで持ち運びに向いているとは言いづらいサイズでした。TRN BT20Sには付属ケースがありません。
それに対し、AONIC 215にはしっかりしたバッテリー内蔵の充電ケースが付属します。しかもTRI AUDIO Tri-i3のような比較的巨大なイヤホンですら普通に収納できるサイズになっています。
またバッテリー内蔵充電ケースがあるおかげで本体の連続再生時間8時間のほかに3回の充電を実現しており、最大再生時間は32時間になります。これは類似品と比べて抜群に優秀です。
ヒアスルー機能搭載
外音取り込み機能、いわゆるヒアスルーが標準で搭載されています。ややホワイトノイズが多いですが、それなりの品質のヒアスルーです。
俺、Westone党だけど?
ご安心下さい。WestoneのあなたもSHURE Aonic 215は温かく迎えてくれます。
Shure Aonic 215の欠点
一方でAONIC 215には明確な欠点があります。
アプリの完成度が低い
アプリは率直に言ってよくありません。まずインストールできるのがAndroid 8.0以降のスマホになり、最新DAPであるFiiO M15にすらインストールできません。DAPでこのアプリをインストールできるのはCayin N6IIやHiby R6 Pro、iBasso DX160などになります。
アプリにはなかなか高機能なイコライザーが搭載されていますが、このイコライザーの効果が適用されるのはアプリ内のプレーヤーで音楽を再生したときのみです。
さらに、アプリのプレーヤーはDSDなど高音質ファイルの再生に対応しておりません。
そういうわけで、アプリは最新スマホ以外にインストールできないばかりか、実用上もあまり必要性がありません。できることはヒアスルーの制御とその外音取り込みレベルの調整、およびファームウェアアップデートのみです。
対応端子がmmcxのみ
残念ながら対応端子はmmcxのみです。
価格が高い
Shure SE215(定価12000円程度)が付属していますが、それを考えてもなお3万円以上の価格設定は強気すぎる気もします。
Shure Aonic 215のスペック
- Bluetoothバージョン:5.0
- 対応コーデック:aptX/AAC/SBC
- 連続再生時間/最大再生時間:8時間/32時間
ギャラリー
装着サンプル
まとめ「残念ながらゲームチェンジャーではありませんが、mmcxの完全ワイヤレス化では定番機種になり得ます」
現状では、mmcxイヤホンを完全ワイヤレス化したい場合の有力選択肢であり、少なくともmmcxに関する限り、FOSTEX TM2よりは操作性や使い勝手で優れています。価格はかなり強気なので、常識的な選択肢としてはTRN BT20Sのほうがはるかに現実的ですが、専用のケースがついてくるのは便利でしょう。
悪くない選択肢ですが、率直に言ってゲームチェンジャーではなく、画期的な機種ではありません。
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