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【コラム】1週間を振り返る(10/15~10/21)

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 サウジアラビアの記者ジャマル・カショジ氏殺害事件が国際問題となり、イタリアの財政問題も再び顕在化して、慌ただしい一週間となりました。

 カショジ氏殺害問題はサウジ側が歩み寄りを見せる形で収束しつつあるかに見えます。ただテレビのワイドショーなどが報じるように現在の皇太子政権の国内的威信にも関わるナイーヴな問題ですから、サウジ側も一定以上は関与を認めることは出来ません。国際社会でこの問題を正当に断罪する機関はないので、結局外交での妥協点を見出して解決するしかない状況です。ここには、ロシアや北朝鮮に代表される、国家的な暗殺事件や中国のICPO総裁や劉暁波氏の監禁事件のような非人道的な問題が立て続けに起こっても、解決するための決定的手段を持たない、現在の国際社会の倫理的役割の低さが露呈されています。

 イタリアの財政問題の方もとりあえず沈静化していますが、関係者の見方はまだ厳しく、予断を許しません。低成長時代を迎えた現在、国家の経済政策の舵取りはますます厳しくなっています。イタリアのような中規模経済国がコストのかかる先進的な福祉国家体制を維持しつつ、経済発展を目指すのは難しくなっております。さらには経済と金融のグローバル化が進んで、一国の経済危機が世界全体に波及するような構造になってしまっていることも、この問題を複雑にしています。これを他山の石と笑うことは出来ないかも知れません。イタリアとEUの間に現在あるようなやりとりは、もしかすると将来的に日本とアメリカの間にも起こってくるかも知れません。アメリカの金融は急速に世界の中で台頭しており、近い将来、国際金融資本主義的政策に舵を取る政権がアメリカに登場した場合、日本に対し厳しい財政規律を要求してくることがあるかもしれません。それを内政干渉としてはねつけられるほど、強固な経済的独立性を(日本だけでなく中国など他の経済大国も含めて)現在の国家は持っているでしょうか。今のイタリアの苦境は明日の日本の姿であるかもしれません。

www.bbc.com

jp.reuters.com

 

【今週の注目製品】

 今週もさまざま製品をレビューしましたが、個人的に感慨深い3機種を取り上げます。

 

1. Panasonic RP-HTX80B

 以前レビューしたRP-HTX70をそのままワイヤレスにしたような機種です。付け心地や使い勝手はほとんど変わりません。RP-HTX70は低価格の割に非常に使い勝手が良く、音質も良かったですが、この機種もその良さを継承しています。5000円台の実売価格ですが、場合によって10000円クラスとも渡り合えるポテンシャルを秘めています。

 

www.ear-phone-review.com

 

2. XUNPULS S3X

 この機種はほかの完全ワイヤレスモデルはなかなかないロックな音を聞かせてくれます。大ざっぱな言い方になりますが、JVC HA-XC70BTBOSE SoundSport Freeっぽい音を低価格で聞きたければ、これは選択肢に入るかなと言った感じです。解像度や量感は全く違いますが、厚みと深掘り感のある低域表現が印象の上で似てますね。なかなかオススメです。

www.ear-phone-review.com

 

3. SONY WI-SP600N

 音質や機能を考慮すると、お値段はちょっと高めに思いますけど、安定の使い勝手のあるSONY製品です。SONY製品のノイズキャンセリングについてはいろいろ言われてますが、私の体感ではこの機種に限って言えば、それなりに感じられます。コスパは決してよいとは言えませんが、いい製品です。

www.ear-phone-review.com

 

【今週の特集記事】

  コラムでワイヤレスの音質を取り上げました。率直なところ、DAPによるワイヤレスの音質変化は、たとえば(個人的に理屈はよくわからないけれども確かに存在すると思っている)USBケーブルの音質変化ほど目に見えて感じられるものではないですね。長く使っていると、DAPごとの音質の特性みたいなもののイメージが脳に出来てしまって、それに影響されてるんじゃないかと、聞き比べしながら何度も考えました。一応結論としては音質変化支持となりましたが、DACが利く有線接続時ほどの違いは感じられないという残念な感想です。

www.ear-phone-review.com

 

【今週の読書】

 さて、オーディオとは関係なしに今週読んだ本の中から良書を紹介したいと思います。

1. 歴史

  今月、アサシンクリード オデッセイが発売されましたよね。舞台は紀元前431年のギリシャ、ペロポネソス戦争の時代です。冒頭から映画「スリーハンドレッド」でもお馴染み、テルモピュライの戦いのレオニダス王が出てきて、相変わらず製作スタッフの歴史マニアっぷりが素晴らしい。

 というわけで、久しぶりにトゥキュディデスの「戦史」を読みたくなりました。岩波文庫版が比較的安価で手に入れやすく、最新訳になるとちくま学芸文庫版になるのですが、個人的には西洋古典叢書版をオススメします。文庫版だとどうしても注釈が見づらくなりますが、西洋古典叢書版は文末欄外注形式なので、本文を読みながら気軽に注釈を確認できます。訳文は中公「世界の名著」などにも採録された岩波文庫版の久保正彰さんの訳が人口に膾炙していると思われます。私が最初に読んだのも久保訳です。

 私はギリシャ語については素人ですが、トゥキュディデスの文章は長文で、ところどころ難解で解釈の分かれるところがあり、多くの場合訳者は注釈で情報を補足しているので、トゥキュディデスを楽しむには、他の古典に増して、注釈との照合がどうしても欠かせないところがあります。しかし、じつは柳沼重剛『トゥキュディデスの文体の研究』が明らかにするように、トゥキュディデスの文全体を見ると、他の著作に比べて平均の語数は必ずしも多いわけではありません。いくつかの箇所で重文や複文を多用した徹底的に長い箇所があり、集中的に長文を運用しているのです。

 専門家ではありませんので、これ以上は深く踏み込ませんが、この難解なトゥキュディデスの文章を訳者がどう捌いたかというのが注釈に表れ、それが本文をさらに魅力的にしているので、トゥキュディデスの訳書は、なんとも面白いのです。

 

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